Fate/make.of.install   作:ドラギオン

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マスター会談

ダンとアーチャー、そしてランルー君とランサーの協力を得るために、保健室に向かう一行。途中何人ものマスターやNPC達とすれ違ったが、異様な集団故に全力で避けられてしまった。

 

 ブレイカーは、全く意思の疎通の取れなそうなランルー君と意気投合し、仲良く話しているセレアルトの姿にうすら寒いものを感じ、ダンとアーチャーに「あいつらの会話が理解できないのは俺だけかな?」と聞いてしまうくらい困惑していた。

 

 ダンたちも会話の内容が理解できないらしく、おかしいのは二人だけだと知り安心していた。

 保健室に近づくと、アーチャートランサーの二人が警戒しながら前に出る。彼らの視線の先には、とても校舎の天井では高さが足りない巨体が武器を構えていたからだ。足元にぐちゃぐちゃになった海魔の死骸が散らばっている。

 

「おじさん、いっぱい、つれ、てる、ね」 

「アステリオス。お前が此処で見張りをしてるってことは、ラニも居るのか?」

「うん。ありす、たち、かんびょう、してる」

 

 保健室の前にいたのは、アステリオスだった。呼びに行く手間が省けたと思いながら、警戒する二人を制止する。

 

「こいつは、味方だ。アステリオス、今はこいつらも仲間だ」

「うん。どう、ぞ」

 

 アステリオスが保健室の扉を開いてくれるので、マスター達が中に入っていく。一方でサーヴァントたちは、全員外に待機することになった。

 

 保健室が大人数で入るに向かない上に、また何匹かの海魔が湧いて出てきたからだ。全員マスターの方針に従うサーヴァントであったため、護衛を買って出た。

 

「おじさん、はいらない?」

「マスター達の会談に俺だけ入るのは、フェアじゃない。だが、今毒で苦しんでる女の子のサーヴァントだけは退出させない。それは了承してもらうぞ」

 

 あらかじめ話を通していたので、アーチャーとランサーも静かに頷く。主が毒に倒れて、まともなサーヴァントなら一時も傍を離れたくないと思うのは当然だろう。

 

「マスター達がどういう決断を下すかわからないが、組むんならその時はよろしくやろうや。俺たちは6日後には殺し合う関係だけどな。今はそれは置いておこう」

 

 ブレイカーがそういうとアーチャーが楽しそうに笑う。

 

「俺のマスターがいる。そう悪い結果にはならないさ」

「自信満々だな」

「我の妻も、ブレイカーのマスターを特別気に入っておる。それに命を救われたのだ。彼女であれば、心からの願いを断るなど無為な事はせん」

「ランサー、それは心強いな。」

「おじさん、なかよし、たくさん」

 

ーーーーーー

 

 意外と和やかなサーヴァント達に対し、保健室の中は中々混沌を極めていた。

 

「岸波さんも居たんだね」

「久しぶり、セレアルト。相も変わらず怪我をしてしまって、保健室に行こうとしたら、あの蛸がうじゃうじゃいて、途方に暮れてたら、ラニが手助けしてくれてね」

「ラニとも友達だったんだ」

「ミス岸波とは、何度かお話して交友を深めていました。なので手助けしたのですが、中に入ったら、ミスありすが毒に倒れていると聞いて、こうして貴方を待っていたんです」

 

 サクラが事前に話を通してくれていたらしく、ラニだけでなく岸波もキャスター討伐作戦に乗り気であるらしい。これは思ったよりも大所帯になったなとセレアルトが考える。

 ブレイカーがせっかく用意してくれた場ゆえに、自分が進行するべきだろうかとセレアルトが、手を叩く。

 

「まず、面識がある人とない人がいると思うので、自己紹介から。えーと、セレアルト・グッドフェローです。サーヴァント、ブレイカーのマスター(仮)です」

「そうですね。自己紹介は大切です。ラニ=Ⅷと申します。アトラス院制のホムンクルスでありサーヴァント、アステリオスのマスターです」 

「じゃ私が。岸波白野です。サーヴァント、バーサーカーのマスターです」 

「ランルー君! ランサーのマスター」

「私は、ダン・ブラックモア。サーヴァントアーチャーのマスターだ」

 

 5人が自己紹介を終え、次は作戦会議となる。会議の内容は、現在キャスターが行っている無差別攻撃と今後の展開の予想だ。彼らを放置すれば7日目を迎える前に海魔の群れによって校舎が飲み込まれかねない。それはマスター達の死を意味している。

 だからこそ今この段階で倒すしかない。だがそれにはかなりルール違反を犯す事となり、悪条件の中サーヴァント達だけでアリーナに潜ってもらい、キャスターを討伐する必要がある。そのリスクは計り知れない。

 

「第一に、私とミス岸波のサーヴァントはアリーナ潜行は不可能かと」

「そっか、バーサーカーだもんね。アステリオスのクラスも?」

「えぇ。バーサーカーはマスターから距離を離して戦うには一番向きません。そうですよねミス岸波」

「うん。本当なら、キャスター討伐に行きたいみたいなんだけど、魔力の消費量がどうしようもなくって」

 

 ラニと岸波の二人は、申し訳けなさそうな表情をするが、セレアルトが首を横に振る。

 

「それでも、保健室の護衛はお願いできる? 実質、サーヴァントを向かわせたマスターは無防備になってしまうから、安全確保のために、2人には護衛をお願いできないかな?」

「お安い御用だ。指一本蛸には触れさせない」

「同じく。アステリオスには、護衛を。私の師に誓って貴方方を危険には晒しません」

 

 ラニと岸波が居残り組兼護衛組に決まる。残ったのはランルー君とダンだ。ダンは真剣な表情で話を聞いていたが、セレアルトたちの目を見ると少しだけ鷹のように鋭い目が緩まる。

 

「私のサーヴァントはアーチャーだ。単独行動スキルを持っている為、最も相応しいだろう。騎士として、一人の男として、キャスターたちの愚行は看過できない。喜んで協力させてもらう」

 

 ダンは、真摯に対応してくれるらしい。一方でランルー君は、ベッドで高熱にうなされているありすの傍に立って、彼女の額とお腹に手を置きながら、まるであやすように鼻歌を歌っていた。黒いドレスのアリスは、どうしていいのかわからず、心底困っている。

 だが、彼女から明確な慈愛と母性を感じ取ったのか、静かに見守っている。

 

 そして、自分に番が回ってきたと感じたランルー君が、セレアルトの目を見つめる。

 

「お姉さんは、全面的に協力してくれるって」

 

 もはや言葉すら不要である。セレアルトとランルー君の共感覚じみた意思の疎通に全員ドン引きではあるが、ランルー君の様子を見るに不満はないらしい。

 

 彼らの会談を傍で見ていたサクラは、聖杯戦争というバトルロワイアルの中でも、こうして人間の善性を捨てない彼らの生き方を異常だと思いつつ、とても尊いものを見ているのだと感じた。AIである自分には下すことのできない決断を。

 マスター達の協力を得られたことで、決行は明日の夜となる。マスター達は全員保健室に集合し、そこでアリスを先頭に、ブレイカー、アーチャー、ランサーでキャスターを討伐するという事で話がまとまる。

 

 ラニだけは、アリス達の傍にいると言ってくれたため、他の全員が一度解散し、明日の決戦に備える事となった。

 

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