Fate/make.of.install   作:ドラギオン

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玉砕

 

「レオ、やはり謝罪をした方がいいかと」

「ガウェインが、僕の行動を否定するとは珍しいですね」

「流石に見ていられませんので。それに好意を抱くなら、先に相手からの信頼を得なければ。まさかレオにこんな弱点があるとは思っても居ませんでした。ある程度でよければ、私からコツを伝授しましょう」

「ほう、興味深いですね」

 

 校舎の廊下で、騎士鎧の男に女性の口説き方を教わっているレオ。ガウェインと呼ばれたのが彼のサーヴァントだろう。ガウェイン。その名前だけで彼が誰なのかは明白だ。

 

 騎士王を支えた円卓の騎士でも最上位の騎士。太陽の騎士と呼ばれた男が彼なのだろう。見たまんまでクラスはセイバー。最優のクラスに恥じぬ、最も優れた騎士。それを従える少年こそが、この月の聖杯戦争の数多くいる優勝候補の中でも別格と言える才覚を持ったマスターだ。

 レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイ。この世界を支配する西欧財閥の次期当主。世界を財力と武力で牛耳る文字通り世界の覇者である。

 

 そんな運命を定められ生きてきた彼は、当然のごとく世界を導く存在になるようありとあらゆる教育や調整を受けてきた。より素晴らしくより完璧に。まるでキングメーカーのごとく生み出された彼だが、完璧であるがゆえに、完全ではなかった。

 今こうして自分のサーヴァントに叱られている。だが、一応相手の忠言を受け止める技量はあるのか、真剣にガウェインの言葉に耳を傾けている。

 

「わかりました。こういう作法があったのですね。よし、セレアルトさん。金婚を前提に結婚してください」

「ひぃい」  

「添い遂げるつもりだぞこいつ!?」 

「レオ! 何を聞いていたのですか!?」

 

 すごく丁寧な仕草でプロポーズされたセレアルトは悲鳴を上げながら、後ずさり、ブレイカーの背中に完全に隠れてしまう。もとより異性に耐性の無かった彼女は、最強クラスの肉食系男子にトラウマを覚えているようだ。

 サーヴァント二人は、あんまりな姿に突っ込みを入れざるを得ない。

 

「ちゃんと教育しろよ」

「レオは、完璧な王です。ただ、少し勝手がわからなかっただけでしょう。ですが、どうにか説得してみるので、逃げないでくださいレディ」

 

 主の恋を支えるのも従者の使命と、なんとかして関係の修復を狙うガウェイン。

 

「レオの言動は問題ありましたが、我が主は、非常に優良物件かと」

 

 主を優良物件扱い。とんでもない不敬である。

 

「押し売りは無理があるだろ」

「無理は承知の上です」

 

―――――――

 

 可笑しな押し売りを退け、保健室に向かおうとしているブレイカーとセレアルト。だが、レオたちは、何故かついてきている。

 

「何でついてくるんだ? うちのが靡かないのはわかっただろうが」

「元々、セレアルトさん達が何かしようとしている事は、把握していましたので。僕らも同じ目的で動こうとしていたんです」

「この海魔をお前らも退治しようとしてたってことか」

「はい。このような個人の勝手な犯行によって聖杯戦争が根底から揺らぐことを、僕は良しとしません」

「立派ですレオ。流石は最高の王です」

 志は立派だろう。主従でセレアルトにアプローチを続けて居なければ。移動している最中も、レオは自分と結ばれた場合のプレゼンをされ、サーヴァントであるガウェインは、必死にレオのアピールをつづけた。だが、あまりのしつこさに、セレアルトの堪忍袋の緒が切れた。

 まぁそうだろうとブレイカーは神妙な表情で頷いている。

 

「しつこい!! 此処までされたら、ハッキリ、ハッキリいいます。ハーウェイ君!」

「レオと呼んでください」

「結婚もお付き合いも、お断りします!」

 

 ばっさり行った。それがブレイカーとガウェインの感想だった。これ以上ない位の拒否。哀れ地上を治めるはずだった王は、普遍的な少女によって初恋を打ち砕かれた。流石に拒否されたことに気が付いたのか、レオの顔色が悪くなり、明らかにポーカーフェイスを失って狼狽えている。

 

「な、なにが、問題なのでしょうか」

 

 しかし西欧財閥の御曹司、すぐに思考力を取り戻し、少しでも事態を好転させようと足搔く。既にアッパーをもろに受けたボクサー並みにふらついているが、ハーウェイの後継ぎとして矜持が彼を奮い立たせる。

 

「こんなこと言いたくなかったけど。……私は背の高い人が好みなのよ!!」

「ごふっ」

「レオーーー!?」

 

 セレアルトの一撃は宝具の真名開放よりも深くレオのハートを抉っただろう。見た目で判断する事になるので、こんな理由で否定したくなかったセレアルト。だが、相手は自分に一目惚れをしたという、所詮は見た目が好みだったから告白されたのだ。

 なら見た目が好みじゃないから断ってもいいだろうと判断したようだ。

 あまりにあんまりな断りにブレイカーも同情してしまう。そう、西欧財閥の御曹司で、現在の世界の支配者ともいえ。、あらゆる才能に富み、完璧な王を自称するレオにも、ないものがあった。

 

 それは背丈だ。

 チビという程ではないが、セレアルトの好みからは外れるらしい。 

 

「レオ、息をしてください。……あまりに惨いですよレディ。レオにとってどうにもならない問題を理由に断るなど」

「ぐふ」

「おい、お前が止め差すな。それにそいつまだ成長期だろ。頑張ればなんとかなるんじゃないか? ベアラー、お前理想の身長はどれくらいなんだよ」

 

 瀕死のレオを見て助け舟を出すブレイカー。セレアルトは、好みを聞かれて少し恥ずかしそうにしながら、ブレイカーとガウェインを指さした。二人の身長は大体180前後。最低でもそれくらいが彼女のストライクゾーンに入るようだ。

 セレアルトの言葉を聞いていたレオが、ガウェインの肩に手を置いてどうにか立ち上がる。そして、静かに誰かとの通話を始めたようだ。

 

「兄さん。聞こえていますか」

「レオか。何故お前から通信を?」

「答えてください! 兄さんは何歳で身長は今幾つですか」

 

 突然そんな質問されても困るだろう。通話の向こう側の人物も困惑している様子だ。

 

「25で、160前後だ」

「くっ、希望はないんですか」

「本当にどうしたんだ? おい、あ」

 

 身長が低い一族だったようだ。

 絶望し通話をぶちぎったレオ。相手が可哀そうである。そして、ゾンビのように生気のない目でブレイカーとガウェインを睨むレオ。その視線は二人の顔よりも上を恨めしそうに見ている。二人は、気まずくなり顔を逸らす。

 

「所でガウェイン。令呪って、色んなことに使えると知っていましたか?」

「え?」

「絶対命令権のほかにサーヴァントを強化したり、空間移動したり……なら、縮めという命令も叶うと思いませんか? 前から少し、縦に長すぎないかと思ってたんです。どうです、より地に近い目線を手に入れるというのは」

「レオ。正気に戻ってください! それなら、彼はどうするのです!」

「あ、てめぇ」

 

 ぶっ壊れたらしいレオは、令呪を使って自分より背の高いガウェインを縮める計画を発案する。主の暴走に恐れ戦いたガウェイン。なんとブレイカーを引き合いに出して、難を逃れようとしている。とんでもない事に巻き込まれ、ブレイカーがガウェインを見損なう。

 ふらふらの状態のレオを支えるガウェイン。だが、そんな二人を見てもセレアルトの目は冷ややかだった。

 

「そういう訳なんで。それに今日は遊んでる時間はないんです。ありすちゃんを助けてあげないといけないんだから」 

「そ、そうだよな。悪いな坊ちゃん。俺らは作戦があって忙しい」

 

 そう言って、二人を置き去りにしようかと思ったのだが。

 

「その作戦に、ガウェインを貸し出しましょう。ですから、どうか友達からでも始められませんか?」

「「「え?」」」

 

 レオの提案によって、ガウェインがジル・ド・レェ討伐隊に組み込まれたのだった。

 

 





 ほぼギャグ回。レオのイメージがCCCよりになってしまいます。
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