フランドールズ   作:ダークフレア

1 / 9
初投稿です。よろしく。
全然書ける気しなかったんだけど最初の一文書いたらあとはなんとか書けた。


ある日の地下室

母の死と共に私の生は始まった。産声をあげるより先に血を浴びてるあたりスカーレットの一員としてはそれらしいなんて言うやつもいるかもしれない。そうであるならどんなによかったことか。

 

  スカーレット家の連中はまともだ。私を排除する程度には。

 

父は私のことを地下に幽閉した。危険だからだそうだ。それ以来話したことなんてないし、そもそも私を地下に連れていくよう命令していた偉そうな吸血鬼ってだけで父かどうかなんてわかりゃしない。父なんじゃないかとそのとき思っただけだ。産まれたときに破裂させた女吸血鬼だってほんとに母かは実はわからない。吸血鬼がどうやったら誕生するか私はいまいちわかってないのだ。

 人間の血を吸ってそれっぽくすれば吸血鬼になるらしいことはわかるが私は吸われた人間の記憶なんて持ってない。ならばうまれつきの吸血鬼なのだろうか。なら吸血鬼はどう生まれるのか。植物から人間まで女的なものに男的なものが結合して命の元ができて適当にほっとくと動きだすらしいけど吸血鬼もそうなのだろうか。人を餌とし見下し上に立つ化け物を気取ってるくせに増え方が人をこっちに引き込むか人と同じ方法で増えるなんて笑い話にもなりはしない。

 要するに吸血鬼が母体からおぎゃあとうまれるのかはわからないから私の意識が発生するとともに吹き飛ばした奴が生物的な意味での母だったかなんてわからないのだ。いえるとすれば、母らしきものを母だったかもしれないもの(紅い泥)にしたこと。私に母はいないということだ。

 

 ここまで書いてフランドールは羽ペンを置いた。おかしなことに気が付いたのだ。

地下にきてしばらくして暇すぎて自分の手を壊してみてあっさり戻ったのを見て、自分の胴体を()()()()()()()()のだ。なんともなかった。しいていえば疲れた。なんとなくだるくなったのだ。

特に面白くないのでそれからあまりやってない。やるとしたら寝付けないけど寝たいときくらいだ。程よく疲れてぐっすり眠れるので重宝している。3日に1回くらいだ。

 おかしなことっていうのは体が壊れるってその程度のことなのに母らしき何かをあれからみたことがないのだ。こわれっぱなしになって死んだのかなんて思ったけど、別に地下に来て以来父親っぽいやつとも会ってないことを思い出した。まあ壊れて戻って会いに来てないだけだろう。

 さっきまで書いてたものを見てみる。母の死と共に私の生は始まった、なんて書いてある。ちゃんちゃらおかしい。壊れて戻ってそのままに決まってるのだ、真実に気が付いてしまえば死んだなんて勘違いしてたこれまでの自分のほうがどうかしてる。目の前の紙の目を引き寄せてにぎりつぶしてベットに潜った。まぶしいのに気が付いてろうそくの芯を消し飛ばして目をつぶった。今日は発見があってすっきりしたからよく眠れるだろう。

 

 

 

 目が覚めた。体を起こしてろうそくに火を灯す。夜目がきくからろうそくをつけなくても特に日常生活に支障をきたすようなことにはならない。しいていえば気分の問題だ。寝ようとして寝れていないのか起きてるのかがごっちゃになることがよくあり、それで困るわけでもないが、区別をつけることにして目印としてろうそくに火を灯すことにしたのだ。人間にとっての太陽みたいなものだろうか。目障りな時は好きに消せるし気が向いたらいつまででも明るいままにできるあたり私の太陽は従順で可愛らしい。ろうそくがしばらくついてて寝るときに消すとぐっすり眠れる気がするのでろうそくをつけたり消したりするのを最近は楽しんでいる。

 辺りをぼんやりと見渡す。石の壁が一つだけ火がついたろうそくに照らされてる。床には読みかけの本とか壊した壁の破片とか綿のとびでたぬいぐるみとか雑多なものが落ちている。物は気が付いたら増えたり減ったりしている。暇つぶしになるものを定期的に誰かがおいていくのだ。結構助かってたりはする。特に本は最高で長く時間が潰せるし繰り返し読んだっていい。時間置いてからまた読むと違った味わいがあったりするのだ。こうして本を書いてるのが人間ならそれだけで人間には餌以外の価値が見いだせる気がする。人間が書いているのかなんて分からないが、著者名はほぼ毎回といっていいほど異なるので、こんなに吸血鬼はいないだろうといろんな妖怪や人間が書いた本が集まっているんだろうと思う。まあ、よくはわからないのだ。たまに読んでて人間の立場から書かれたとしか思えないことがあるからそういうときは人間が書いた本なんだろうと思うことにしている。

 雑多なものが送られてくるといったが食事は送られてこない。最初は一日に何度も食事が運ばれてきたが一時期食事が面倒になり三日ほど食べず、一人遊びに熱中していいところに空気読まずに食事を持ってきたメイドを()()()()女の声がして

 

 「食事が食べたくなったらいいなさい。用意するわ。その他、要望があればいいなさい。対処するわ。」

 

 とのことだった。十日後に紅茶が飲みたいと言ってみたら中身の入ったティーセットが部屋の真ん中に現れたからちゃんと聞いてるんだなと感心した。何か食べたくなったら言えばでてくるし特に食べたくなければ全然食べないこともある。飢餓っていう状態が本ででてきたりするのだけどいまいちピンとこない。食べてもいいし食べなくてもいいのが食事でしょうとは思う。

 

 今日は何して遊ぼうか。この間は石ころを天井近くだけど天井に当たらないように投げる遊びをした。これが結構難しくてマスターするのに3日かかった。右手で投げるところから始めて右手左手右足左足右の羽左の羽までやって飽きた。部屋を見回しても全然やることが思いつかない。やることがないから昨日はフランドール・スカーレットの歴史を本にしようと筆をとったのだ。一文目から嘘を書いてたことがわかったからもう書く気は起きない。早くても次は30年後だろう。

 

 暇でしょうがない。もう一人の自分を起こそう。

 (緊急事態です。緊急事態です。暇すぎて死にそうです。起きてください。)

返事はない。が、この程度では起きないことは分かっていた。

(かーえーるーのーうーたーがー、きーこーえーてーくーるーよー)

何も聞こえてはこない。なんせ相手は起きてたらイライラするから別人格つくって寝るという離れ技をやってのけた化け物だ。

(もっしもっしかめよーかめさんよー、せっかいのうちでーおまえっほどー)

続きを忘れた。こうなったら切り札を切ろう私と彼女をつなぐ楔を。

(フランドール・スカーレット)

(・・・・何のよう?)

目覚めた!

(おはようございます)

(・・・・それで?)

(暇すぎるし話相手が欲しいなって)

(・・・・そろそろ寝ていい?)

(話相手がいないから私がうまれたのでしょう?あなた以上にここで寝る残酷さを知る者はいないわ)

(しょうがないかー。いいよ、起きてあげる)

(そうこなくっちゃ)

そうして分身をつくる。普段分身をつくってもなんともないが今回は違う。もう一人の自分がそっちを動かし始める。命が宿る。

目の前の私が伸びをする。まばたきを何回かして腕や体をまわしてこっちに向きなおる。

「元気にしてた?フランドール?」

「まあまあね、体はピンピンしてるわ、フランドール」

そんな当たり前のことを言ってしまうくらい久々な会話だった。




フランちゃんは可愛くてかっこいい。この世の真理。

またね
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。