ここまでのあらすじ
紅く黒くあらんと決意を新たにし、パチュリーに魔法を師事しようと訪ね、魔導書を得るも前提の魔力の扱いに苦戦。そんな中現れた紅美鈴のあまりの白さに漂白されかかるフランドール。フランドールの明日はどっちだ!
「そういえばお前、いつから紅魔館にいるんだ?」
ワイン片手に美鈴に問いかける。この問いはかなり重要だ。
「昨日からですね」
「それはまた随分と急だな」
(これは面白いな)(かなり有望)
「当主様にあって働くことを許されて、妹様の使用人を仰せつかりました」
まあ、前から紅魔館にいたやつは誰もフランドールの使用人なんてやりたがらないからな。
「どうして紅魔館で働こうと思った?」
重要な質問だ、ナイス相棒
「武の高みを目指しているので、強大な吸血鬼という存在を感じてみたいと思いました。」
(これはまじめに大チャンスじゃないか?)
(どうしかける?)
(微妙、少し考える)(時間稼ぐ)
助かる
「どう感じた?父とはあったろうし、私とは手合わせまでしている」
「そうですね、当主様は紅魔の主であるという風格がありました。実力は手合わせしたわけではないのでなんとも。妹様は実力は素晴らしく、人格もとても、なんていうんでしょうか、、、、そう、まっすぐに吸血鬼らしくてとても好感をもちました」
(好感ねぇ、父を殺すを父を超えると言い換えて全部言ってしまって取り込みましょう。今すぐいうか師弟関係を結んでからか・・・師弟関係が先かな)
(その方針で)
「なるほどね。わたしも今まで吸血鬼と狼男くらいしかあったことなかったから、美鈴と話していると新鮮で楽しいかな。人間らしさというか、まあ人間にあったことないから何とも言えないんだけどね」
「私が妹様の人間像のモデルになるんですか、緊張しますね」
「ふふ、そうね、そうなるわ。人間が紡いできた技術をとおして人間にふれてみたくはあるんんだけど?」
赤い液体の入ったワイングラスをくるくるとまわしながらじっと見つめる
「えっ、それって・・・?」
「中国拳法を教えてもらおうと思って」
「それは構いません、いや、むしろ喜ばしいことです」
「そう、それじゃ、よろしくね、師匠」
「えっ!!そんな妹様に師匠と呼ばれるなんて恐れ多いです」
「あら、あなた人間に師事したっていってたじゃない。妖怪が人間に師事できて吸血鬼が妖怪に師事できない理由がないわ」
「それはそうですけど・・・・」
「それともあなたは人間だからと師匠と呼ばなかったの?」
「呼び名は師匠だったり師父だったりです。」
「ほらなにも問題ないじゃない、私がそう言っているのよ、問題なんてありえないわ」
「わかりました。妹様の師匠役、お受けいたします!」
(勝ったな・・・・紅美鈴、弟子をきって当主につくとは思えない。フランドールの不利益につながるようなことはしないだろう)
立ちあがりワインを飲み干し、グラスを置き机を片付ける。まあ。隅に押し込むだけなのだが。
「いや、いいですよ、妹様。わたしがやります。」
「このくらいどうってことないわ、そのうちパチュリーが片してくれる」
そういいつつ机を運び終わる。部屋の真ん中あたりに動き回るスペースを確保する。
「さて、よろしくお願いします、師匠」
「よろしくお願いします、妹様」
(これってフランドールと呼ばせるチャンスじゃない?)距離は詰められるなら詰めたい
「フランドールでいいわ、なんならフランでも」
「えっ、いやっ「嫌なの?」
「そんなことはないです!」
「なら?」
「っっっ!!!フランドール?始めますよ!」
「ええ、よろしく師匠」
(少々強引ではあったが、このあと鍛錬が進めば慣れてくるはず。あとはまじめに鍛錬に臨むのみ!)既成事実路線だ
「まずは基本の構えからです、足は肩幅程度で踵は紙一重浮かして下さい。」
「こんな感じ?」
美鈴がくるりと周りを回って
「いい感じです、正拳突きをしてみてください」
「正拳突き?こんなの?」
握りこぶしをつくり正面をつく
「はい、大丈夫です。今度は足を前後にずらして正拳突きを」
ずらして、えいっと
「そうです、違いを感じましたか?」
「こう、体がねじれる感じ・・・?」
「そうです、そのねじれというか回転をうまく拳にのせることで全身の力を拳に伝えるのです。妖怪が腕の力だけ殴るのに対し、力が弱いとはいえ、全身の力を使えば人間でも拳の威力を高められるのです」
「体の使い方を工夫しているってわけね」
「そうです、力がよわくてもうまく使えば大きな力を発揮できるのです」
「なるほどねぇ」
「じゃあ、いろいろ足の位置とかどっちの腕で突くのか、どんな角度で、とか工夫をしながら何回もやってみてください」
言われた通りいろいろやってみる。体の力をうまく拳に乗せられるように意識しながら
「続けながら聞いてください。こういって打ち続けることが基本の鍛錬になります。体の動きを意識しながら続けることで最適な体の使い方を探っていきます。もし人間同士なら体のつくりはかなり共通しているのでいろいろ指導することもできるのですが、フランドール様の場合体格も違いますしもともとの力も違います。参考までに私の例は見せますが、最適解はご自身でみつけてください。」
そういって美鈴は正拳突きをしてみせた。ぐっと腰を落とし突く。今度はゆっくり。足から腰の回転に力が伝わりそして腕、拳へ。自身の体の動きを完璧に把握しているからこそのスロー。美しい
それを参考に、腰を落とし紙一重浮かせていた踵を地につけ踏みしめる。今まで踵を浮かせていたからこそ分かる踵をつけることによる充実。踏みしめ、体をねじり、突く。おっ、これは
「そう、いい感じです」
目があったら笑っていた。もう一度
「いい感じです。あと20回ついてから逆の足の配置、逆の手でやってみてください」
20回突く。足の前後をいれかえ、逆の手でつく。うまくいかない。
「いきなり逆ですからまずはうまくいきません、もとのほうで体の動きを意識してみて逆のほうでってくりかえしてみてください」
構えを戻して突き、逆にして突き。ましになった。
「はい、構えを一回突くごとに入れ替えて突くのを20セットやってみてください」
突くごとによくなっていくのが分かる。20セットやる。
「少しずつ良くなっている気がするんだけど、どう?、師匠」
「ええ、驚くほどよくなってます。あとは時間があるときにこれを繰り返していくルーティンを毎日くりかえしてください。」
「一日何回?」
「何回でもいいです、1回でもやれば0回よりはるかによく、回数を増やせば増やすほどいいというものでもないです。最初は感覚を覚えているうちになんどもやって定着させることを推奨しますが」
「なるほど」
「では、私に向かってうってください」
「えっ?」
「大丈夫です。師匠が信用なりませんか?」
打たぬほうが失礼だし手を抜く気もない。一歩で間合いを詰めつつ足で地を踏みしめる。そのまま間髪入れずに突く。力の伝達を意識しつつも最速で。
スッと拳の軌道がずれる。美鈴のとなりを空振り、地に足をつけたままでは体勢が崩れるからそのまま空中に飛び出す。
見えてはいた拳に手を添えられてずらされたのだ。
「これが拳法の防御術のいなしです。力に力で正面衝突するのではなく、力に別の力を加えて軌道をかえる。力が弱い人間が妖怪に対抗する術のもう一つです。」
「さっきの突きが攻撃の術でいまのが防御の術ね?」
「はい。中国拳法はいろいろな流派に分かれさまざまに命名されたいろいろな技がありますが、究極的にはこの二つの組み合わせや応用になります。防御しつつ攻撃に移るパターンはごまんとあります。これら以外には鍛錬によって高めた気を使って超常現象をおこすものがありますが基本はこれらの組み合わせです。」
「この二つが基本で完璧に使えれば奥義に至るということね」
「はい、そうです。中国拳法の鍛錬はこの二つの修練に終始します。防御は私がついてフランドール様がいなすという訓練法で攻撃の方は時々わたしが見ながら突き、私がいなくても鍛錬をしてください。どちらも形になってきたら実戦でしようしてみるといったところでしょうか」
「分かったわ。あと師匠、鍛錬中は様は不要よ、余計な配慮が混ざってしまう。呼称からよ。」
「そうですね、わかりました。フランドール」
何度か突いて時々指摘を受け、直し、また突き、時々師匠に突いていなされ、また突く練習。試しにといなす練習をするも失敗。実害は大したことないが、師匠いわく、
「いなされた相手は体勢を崩し隙をさらします。そこから攻勢に出るのです。立ち回りの基本はいなしです。もちろん自分から仕掛けることはありますが」
突きはそこそこ様になったがいなしは全然コツがつかめなかった。
「最初はこんなものでしょう。今日はこんなところで」
師匠が鍛錬を終わらせる。
「ありがとうございました」
師匠から礼を言われ、返す。
「ありがとうございました」
「はい、礼に始まり礼に終わるのは大事です」
ふーむ。人間らしいというか何というか。面白い
「いや、人間でも礼に始まり終わるのは武道を志すもののみです」
ほう、読んできたか
「ふむ。いや、いいんじゃないか?」
「はい、良いものです」
スッと正拳突きをしてみる。
「人間は鍛錬する前に体をほぐしけがの防止をしますが、妹様に必要かどうか」
「鍛錬終わってもフランドールでいいよ?」
そう言いつつ手をヒラヒラさせたあと、足を地面と水平に蹴り出しピッと止める。もう少し角度を上げてピッと止める逆の足でも。ピっと止める。
「・・・・・・・・・・鍛錬するときは動きやすい服に着替えましょうかね」
「なんで?とくに邪魔にならないよ?」
「あー、うーん、同性だしいいかなぁ・・・・・」
謎に頭を悩ます師匠。
「このあとどうするのめーりん」
「とくにいもっっ・・・フランドール・・・様のご用命がなければ紅魔館の内部の把握ですかね、なにぶんまだなれないもので」
「もう、好きによんでいいわ。行ってらっしゃい」
「はい、いってきます」
(お前の居場所はここだともとれるんだけど普通に返ってきたな)
(良好ね)
紅美鈴が扉をあけて出ていく
(師弟関係を結べたね?)
まずは状況認識。感情を共有しているから同感なのは知っているが脳内でも言葉に出すのは大事なのだ
(そうだね。いい感じだと思う。なにより中国拳法面白い)
(いい感じ。初の子飼いになるか?)
(ありそう。でもそう狙わずに師弟関係を深めるのが大事ね)
(そうだね、それが正攻法で近道だろうね)
(実際拳法面白い。わたしたちでは体の工夫をしようとはならなかった)
(そうだね、人間の工夫面白い。)
(まあ、食材なのは変わんないけど。面白いなら生かしてみるのは面白いよね)
(あれだ、ペットってやつ)
(あー、人間ペットにむいてるかも。話することもできるし)
(たしかに、暇つぶしに飼ってみるのは面白いかもね)
(ふふっ、そうだね)
正拳突きの練習を始める。足を毎回入れ替えながら
(そういえばさー)
なんだろう
(魔法どうしよ)
(あー)
忘れてた
(そうよねー、ちまちまやってくしかないかなー)
(まずはそこからだけど、どうにもならない感じなら師匠に聞いてみるとか。あの感じ気を扱う能力といいかなり人間の技術詳しいから魔法使いじゃない側からの魔法がきけるかもしれない)
(なるほどね、聞いてみるのは面白いかも)
あーでもないこーでもないと体の動きやその他他愛もないことを脳内会話しながら正拳突きの練習をしていった。いい感じに飽きたら魔導書を読むかな。
この小説の構造的問題について。フランドールを通してこの世界は観測されているのでフランドールが自分のことをかわいいと思わないとフランドールをかわいいって前面にだして書けない。フランドールがかわいいと思わなかったらそこにあるのは事実の描写だし、同じようにフランドールが残酷だと思わないと残酷な描写じゃない。ベッドが壊れるのと人や妖怪が壊れるのの差をフランドールが見出さない限り人を殺すことは残酷なことにならない。
他人視点をもっと積極的に導入してしまえばわかりやすくはなるだろうけど、せっかくアニメとか漫画とかわかりやすいメディアではなく小説を書いているんだから一人称で突っ走るのがいいような気もする。悩ましい。
ご意見・感想お待ちしております。
サブタイトルつけわすれてたのでつけました。サブタイトル投稿3秒前に決まる(たまに忘れる)んだけどそんなものなのかな
P.S.私は自分の書いているフランドール大好きです