白い少女と異世界の魔法使い   作:紺乃 惺爛

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おまたせしました。


五千字ちょっとですがたのしんでいただければ幸いです。


禁忌の白と呪いの石

 

 

 

 

 

 

【side イリヤ】

 

 

 

 

 

 

しばらく歩くと、なにか、区切りのようなものがあった。

 

 

「結界ですね。この中に烏族の村があるのでしょう。ご主人さま(マスター)、踏んじゃだめですよ?踏んだら効力なくなりますから。」

 

 

・・・・・。一応念話で聞こう。

 

『ソレは、あえて踏むという、お笑い芸人的なノリでは・・・?』

 

『ありません!!』

 

キャスターさんに怒られた。セイバーは同情するような目で見ている。

 

 

 

烏たちは、結界となっている、細い注連縄のようなものを踏まないように越えていく。

私たちもちゃんと真似をして踏まないように乗り越えた。

 

 

お笑い芸人には出番がなかったようだ。

 

 

 

さて、改めて周りを観察する。

見た目は林だ。その上に、簡素な家が立ち並ぶ。その奥へ奥へと進む。

早い話がツーリーハウスの群。

 

地に下りているものもいるし、木の上で何か作業をしているものもいる。

 

回りをみると、人はみな黒い。たまにちゃいろや紺色などは見かけるが、せつなほど白い子は見かけなかった。

 

 

そしてみな、遠巻きに私たちをみていた。

 

 

きっと珍しいのと、私の髪の色とせつなだろう。

 

うん。せつなが、なぜ不幸を呼ぶといわれているか少しわかる気がする。

 

 

 

目立つのだ。彼女は。森の中でも、外でも。

 

 

彼らは一様に黒い服や、ちゃいろなど、森に溶け込む色の服を着ている。

 

その中に、「白」はどうしても目立ちすぎる。

 

森の中で生活する彼らの目印となってしまうほど。

 

 

そして、他の烏とせつなはまったく違う。他の烏たちは、烏のように(クチバシ)があり、肌の色も黒やちゃいろだ。

 

翼さえなければ、せつなは人間としてやっていけるくらいなのに対し、彼らは人に溶け込むことはまず無理だろう。何らかの呪術処理をしなければ。

 

 

彼らは、森に溶け込む民。せつなのように目立ってしまえば、遠くからの的だ。

だからこその禁忌の白なのかもしれない。

 

 

そんなことを考えながら歩いているとふと、開けた場所へ着いた。

その奥まった場所にとても大きな木とその中に彫られた大きな家が見えた。たぶんあれが目的地。

大きな木なのか、大きな家なのか判別のつかないソレは、まさに村の拠点という感じだ。

 

 

 

リーダーのような烏が、数歩先を行き、入り口で声をかける。

 

「長、稀人(マレビト)を連れてきました。」

 

 

「入れ。」

 

 

なかから聞こえる声は、重厚で深みのある声。

リーダーや他の烏は、入り口で止まり、私たちが先に入る。

私たちの後から、先ほどの烏たちが部屋へ入り、壁際へ立つ。

 

 

長は、中に座っていた。今まで見た烏族の中で最も黒い。まさに、カラスの濡れ羽色といった感じだ。

闇の塊のような長が私の中にあるせつなを見、そのあと私を見る。

そして、後ろから入った烏たちが、全員が私たちを囲うように壁際へ立ったのを確認すると言葉を紡いだ。

 

 

稀人(マレビト)、とりあえず話をきこう。座りたまえ。」

 

 

「では、僭越ながら、ご主人さま(マスター)に変わり私がお話しさせて頂きます。」

 

 

キャスターが買って出る。ここは彼女に任せよう。彼女の知っている場所ということで。

 

 

「うむ。許そう。そなたの霊格なかなかに気に入った。」

 

 

「私たちは、殺生石の開封をしたいとおもっています。」

 

 

キャスターが頭を下げる。まずは下手に出る方針らしい。

 

 

「殺生石の開封と?あれがどのようなものかわかっておるか?」

 

 

「はい。私も狐のはしくれ。あれがどのようなものか、誰よりもわかっていると思います。」

 

 

「主、名は?」

 

 

「キャスターと。そう呼ばれております。」

 

 

「ふむ。なるほどなるほど・・・・・。」

 

長は一度言葉を区切り、こちらを値踏みするように見つめた。

 

「こちらとて、呪いを振りまくアレが無くなるのは、悪いことではない。しかし、アレは我等が村の戦力として数えられておるものでな。たやすく手放してしまっては、他のモノ達に攻め込まれるやも知れん。」

 

 

「・・・・・・」

 

 

そういわれてしまうとこちらには交渉材料がなくなってしまう。

キャスター。大丈夫かなぁ。

 

 

「そうですか。では残念です。」

 

 

 

あれ?キャスター、引き下がったよ?

 

 

あれ?殺生石要らないの?

 

 

 

「長、あれと同じ狐として1つ忠告をしておきましょう。」

 

キャスターの自信に満ちた横顔。なにかする気なのかな?

彼女は私の腕の中のせつなにチラリと視線を向けて、また長に向き直った。

 

 

「この、白い忌み子。村に不幸を呼ぶという、この子がいるのです。呪いと不幸。この二つはとても仲のよいもの同士。しかも、それは、どちらか一方を排除すれば終わるというものではないでしょう。」

 

き、きゃすたー!!!ちょっと。なにその言い方。せつなに対して酷い!!

 

「ふ、む・・・・・。」

 

 

「そして、この呪いと不幸は、残念なことに、もうリンクしてしまっている。」

 

 

今の発言によって、長の顔には驚きが、周りからは、疑問や疑いの声が上がってきている。

ってか、私も知らないよ。そんな事実。

 

 

「これの難しいところは、そのリンクがもう切り離せないということでしょう。」

 

 

さらにキャスターが続ける。

 

「今はまだそこまで影響がありませんが、せつなが成長するごとに、殺生石は呪いを生み、この土地を汚し、せつな自体も、徐々に自我を乗っ取られ、殺生石を護るモノとなってしまいます。」

 

 

稀人(マレビト)、今、お主が言った言の葉、事実として、ソレを裏付ける証拠はどこにある。」

 

 

「証拠?それはこの子には殺生石のにおいが強く残っています。たぶん、三日と空けず殺生石の元を訪れているからでしょう。」

 

キャスター。何をする気なのさ。

 

ご主人さま(マスター)、大丈夫です。もう少しすれば、殺生石も、せつなも私たちのものになりますよ。』

 

『うむ。余は余裕で解かる。あのキャス狐が何を考えているか。交渉の基本だな。』

 

 

まぁ、二人がそういうなら、信じるけどさ。

 

 

「ふむ。なら、稀人(マレビト)のいうことが事実か、今宵でも確かめてみよう。おい。稀人(マレビト)に寝床と食事を頼む。お三方、今宵はわしの家に滞在するといい。」

 

 

 

黙っていたけど、一言口を出させてもらう。

この、キャスターの流れを崩さないように。

 

「でしたら、せつなも同じ様に長の家へ滞在させませんか?監視がしやすくなると想いますが。」

 

 

「うむ。ソレもそうだ。では、せつなもこの家で寝かせるとしよう。処で白い稀人(マレビト)よ、お主はなんと言う名だ。」

 

 

「イリヤスフィール・フォン・アインツベルンと申します。長いので、イリヤと呼んでください。」

 

 

「外つ国から参られた方か。其方の赤い稀人(マレビト)も同じようだが。」

 

 

「うむ。余も、こことは違う場所から来た。今は亡き都だが、いい国であった。余の事はセイバーと呼ぶがよい。」

 

 

そのとき、誰かが入ってくる。

 

 

「長、風護達が、帰ってまいりました。」

 

 

「そうか、すぐ行こう。稀人(マレビト)、すまぬが、所用を済ませてくる。客室へ案内する故、御緩りと寛ぐとよい。」

 

 

入れ替わりで、別の(ヒト)が入ってくる。

 

 

「お客様方。こちらへどうぞ。」

 

女性と思しきその烏の進めに従い、違う部屋へ向かう。

階段を歩いて上がり、右へ、左へ。

 

さっきの長さん達のいた部屋もそうだけど、案外薄暗い。

鳥目じゃないのかな?

そんな事を思いつつ、さらに奥へ。

 

 

「すみません。解りづらくて。」

 

烏さんの声にハッとなる。

 

 

「あ、いえ。でも、大変ですね。こんなに難しいと覚えるの大変じゃないですか?」

 

キャスターも、セイバーも黙ってるつもりの様だから、私が答える。

 

「あ、いえ。普段、この道は使わないので。適当になってしまってて。すみません。」

 

そっか、この人たちには翼があるからこんな面倒な道は使わないんだろう。

 

それから、また、上っていって右へ左へ曲がっていくと、吹き抜けのような場所へついた。

おそらく25mくらいの高さはある。

 

「お客様、こちらです」

 

その吹き抜け沿いの大きな部屋を割り当てられた。

 

「あ、ありがとうございます。」

 

 

「では、何かありましたら、私は隣の部屋に居りますのでいつでもお呼びください。」

 

そういって、案内の人は部屋を出て行く。

 

セイバーは、部屋の中が珍しいらしくきょろきょろと見て回っている。

 

「やっと羽を伸ばせますね。ご主人さま(マスター)

 

「うん。そうだね。ところで、せつなを寝かせられるもの何かないかな?」

 

奏者(マスター)、布団がある。これを今からしくからな。そこにせつなを寝かせよう。」

 

押入れの戸を開けて布団のもふもふを楽しみながら、セイバーがいう。

 

キャスターは、部屋の柱に、紙を貼っている。結界だろうか?

真剣な顔をしているのでそっとしておいたほうがよさそうだ。

 

「そうだね。布団敷くのお願いしていい?セイバー。」

 

「余にまかせよ!!」

 

セイバーはちっこい体で、一生懸命に布団を出すが、うまく出せなくて、途中布団の山に埋もれていた。

 

うん、かわいかった。そのあと少し膨れるところまでふくめてね。

 

 

 

セイバーが、なんとか敷いてくれた布団にせつなを寝かせた。

 

「大丈夫かな?起きないといいけど。」

 

そっと布団をかけながら、せつなの顔を見る。すやすやとよく眠っているようだ。

 

 

ご主人さま(マスター)、せつなの様子はどうですか?」

 

結界を張り終えたのか、キャスターがこっちへやってくる。

 

「よく寝てるよ。ところで、さっきしてたのは結界?」

 

「はい。私たちの話が漏れないようにするのと、ここにいる四人以外が無断で浸入した場合、ショックを与えるタイプの結界です。」

 

ショックの部分で唇がニヤッと笑ってましたよ。キャスターさん。

なんだか怖いんですけど・・・。

 

「ショックとはどの程度のものなのだ?キャスター」

 

セイバー!そこ聞いていいの!?

 

キャスターが嬉々として答える。

 

「んーと、拷問訓練を受けた歴戦の戦士が10秒で発狂死するくらいのショック?」

 

ナニソレ。超怖い。

 

「一応、死なないようにはなってますけど?」

 

「いや!それもはや、防犯を越えてるでしょ?」

 

「大丈夫ですって。一応治癒もされますから。」

 

セイバーはナニがなんだかわからない顔だが。私には解かる。

その治癒はやさしさなんかじゃない!!

 

治癒と書いて拷問って読ませるものだ!!

 

「それって、ショック→治癒→ショック→治癒・・・・・の無限ループじゃん・・・。」

 

奏者(マスター)、つまりどういうことだ?」

 

「えっとね、すごい苦しいけど、治療されて楽になったかと思えば、また苦しくなって、また治療されて・・・が、ずーっと続くんだよ。」

 

 

「ほう。それは親切ではないか!」

 

 

「どこが!!!」

 

反射的に全力ツッコミしてしまった。

 

「あは。セイバーさんもそう思いますよね?」

 

「うむ。毒殺されないのだからぬるいと思うぞ!」

 

 

「・・・・・・歴史上の大物(わるもの)はいうことが違う・・・。」

 

「ん?今変なルビが見えた気がするが?余の見間違いか?」

 

・・・やば・・・・・。

 

「気のせいです。セイバー。」

 

「ならよいのだがな。」

 

セイバーちょっとこあい

キャスターもこあいよぅ・・・。

 

 

「あ、ご主人さま(マスター)、話は変わるのですが、せつなにちょっと術をかけますがよろしいですか?」

 

「それって、作戦のため?」

 

「はい。せつなのみているものが、私にも見え、私とせつなの念話の術です。」

 

「せつなに害とかないならいいと思うよ。でも、ちゃんとせつなの了承を経ないとね?」

 

「もちろんです!ご主人さま(マスター)

 

 

 

「うん。お願い。セイバーはどうするの?」

 

 

 

「余はこの屋敷の中を見て回ろうかと想う。このような建築は初めてだからな。奏者(マスター)、かまわぬか?」

 

 

「そっか。解かった。私はちょっと疲れたし、寝るよ。セイバー行ってきていいよ。」

 

うん。なぜか知らないけど、せつなの顔を見ていたらすごく眠たくなってきた。

 

セイバーは落ち着いたフリをしているがわくわくしているのがあのくせっ毛でわかる。

きっとツリーハウスはじめて見たんだろうな。

 

 

私はSE,RA,PH(セ ラ フ)の知識で知ってるからあまり気にならない。知識にあるのとちょっと形が違うけどそれは誤差だと思うし。

 

 

「キャスター、ごめん、少し寝るよ。」

 

「かしこまりました。でしたらもう少々お待ちください。もう一組布団を敷きますので。」

 

キャスターが立ち上がろうとするのをとめる。

 

「いやいいよ。」

 

そう。このサイズならあまり気にしなくていい。

 

「せつなと一緒に寝るから。この体だから、あんまり狭くなさそうだし。」

 

もぞもぞとせつなの隣に入る。

 

「では、枕をもうひとつ持って来ますご主人さま(マスター)。」

 

キャスターはすばやく押入れを開けて、もうひとつの枕を持ってくると、せつなの枕をそっと動かし、私の枕を置いてくれた。

 

「アリガト。キャスター。」

 

私はなんとなくキャスターの頭をなでる。

 

 

「・・・あのっ・・・ご主人さま(マスター)?!」

 

 

「あ、ごめん。いやだった?」

 

 

慌てて、撫でていた手をのける。子ども扱いしたように思われたかな?

 

「いえっ!嫌ってわけじゃないですっ!!・・・・・・・・・・・・・・・・(むしろもっとなでいてほしいくらいです)

 

 

 

なんか小さい声で言ってるけど聞こえないし・・・。

 

 

「ホント?キャスター。」

 

 

私が返事をするとキャスターが遠くから戻ってきた。

 

 

「はい。嫌いではないですよ。それより、ご主人さま(マスター)もお疲れのようですからしっかりお休みください。私がちゃんと番をしておりますので、安心してください。」

 

 

「うん。ありがとう。キャスター」

 

 

 

私はそういうと、布団の中に首まで入り、隣のせつなを抱き寄せる。

 

せつなは子どもなのでとても、暖かい。

 

瞼を閉じると、じんわりと体から力が抜け、睡魔に身を任せた。

 

 

 

 

【side out】

 

 

 

 

 

 

 




文書をなやんで悩んで投稿しました。

へんなところがあったりした場合は教えてください。


一応確認はしたのですが、誤字、脱字がないともいえません。



大分変更したので以前のよりマシかもしれません。
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