旋律の彼方に   作:玉莊亭翠嶽

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第五話 サルベージ

 戦艦金剛。1911年(明治四十四年)にイギリスで起工。1913年(大正二年)8月16日、全長214.6m 、全幅28m、総排水量2万6330tの巡洋戦艦として竣工し同日就役。1928年(昭和三年)より横須賀で第一次改装を受け、全幅31m、排水量は2万9330tとなった。

 1935年(昭和十年)より同じく横須賀で第二次改装。3万1720tの近代戦艦となった。1944年(昭和十九年)11月21日、金剛は台湾沖でアメリカの潜水艦『シーライオン』の雷撃により沈没し、31年間の戦艦生命を終えた...

 

 それから100年以上の歳月が過ぎ、時代は西暦2057年となった。

 

 目の前を大小さまざまな鋼材が、重機によって引き揚げられていく。113年の間に、鋼材は錆び、朽ち果てて、藻が絡み、貝などが張り付き、ちらっと見た感じでは岩のようだ。

 引き揚げられた鋼材は、ベルトコンベヤーに乗せられ岸壁へ運ばれる。そこでは大きなトラックが待っていて、鋼材を満載して基地の隣の工場へと運んでいくのだった。

「おい、千早!ぼんやりするな!」

鳴海という、このサルベージ作業の現場監督ともいうべき立場の男が、重機の中から群像に向けて怒鳴った。

「は、はいっ!すいません。」

「ぼんやりするなよ。次、お前の番だ。ここに乗れ。」

そう言って鳴海は操縦席の隣のシートをバンバンと二回叩いた。群像は言われた通り、そのシートに乗り込んだ。

「いいか、まず、これが磁場のモニターだ。」

そういって鳴海は、等高線のような曲がりくねった線が映し出されたモニターを指さした。

「鋼材がある所は磁力線を見ていればわかる。鋼材だとコンピューターが判断すると、こういう風に黄色く点滅する。いいな?」

「はい。」

「そしたら、この左右のレバーを使ってアームの位置を調節するんだ。ほら、このモニターの×印がアームの位置だ。分かるか?」

「はい。分かります。」

「このトグルスイッチでアームを上下させるんだ。黄色く点滅している脇に数字がでているだろう?」

「はい。57と出ていますね。」

「それが深さだ。単位はメートルだ。トグルスイッチの上に表示されている数字が現在のアームの深さだ。今は20メートルの位置にあるな。」

そういうと鳴海はスイッチを操作して、アームを下降させた。

「いいか。電磁石に鋼材がくっつくと、このランプが点灯する...ほら。いま点灯した。」

「はい。点灯しました。」

「そしたら、引き揚げるんだ。いいな。分かったか?」

「はい。分かりました。」

「よし。じゃあ、次の鋼材、お前やってみろ。」

「はい!」

 

 毎日が、熱帯の太陽の下で、単調に過ぎていくように、群像には思われた。

 

 事実、単調だった...

 

 そう。5月11日までは。

 

 

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