鼓動が速くなる・・・
視野が狭まる・・・・・・
五感が消えていく・・・・・・・・・・
そして、
きる
斬る
斬る斬る切る斬るkill斬るキル斬る斬る斬る斬るKILLKILLKILLKILLKILLKILLkillKillKillKill斬る斬る斬るキル斬る斬る切るkillKillKillKill斬る斬るKILLキる斬る斬るKILLKILLKILLKILLKILLきるkillKillKillキル斬る斬る斬る斬るKILLKILL斬る斬る斬る
暗殺~SWORD X SAMURAI~
京都の時間 3時間目
逆鱗の時間
雅な古都、京都。
その中でも閑静で厳かな雰囲気の祇園。
その路地裏には・・・・・
ワゴン車に撥ねられて動かない相楽タスク、
そのワゴン車に乗せられて連れ去られた、椚ヶ丘中学三年E組の女子生徒、
当惑する、残された男子生徒、
そして・・・・・
黒赤色になった髪から怒気を発し、
左頬の縦一文字の傷から血を滲ませ、
視線だけで斬り裂かんばかりの目つきと逆さ鱗に触れられた龍のような形相の緋村健がいた。
「アイツラ…、全員コロシテ殺る………」
「待って緋村、落ち着いて…」
渚は健を止めようとした。しかし、他の誰も、同じ班の雪にですら抜き身の凶刃のように変貌した健は止められなかった。
「落ち着きなさい、バカ緋村!」
そんな健の頭に跳び蹴りが直撃した。
「…岬?」
「あの…、すみません私もいます」
髪の色が幾分戻った健が視線を向けると全身擦り傷と土埃だらけ巻町岬と電柱の影に奥田愛美が立っていた。
「ごめん…、一番近くにいた奥田さんしか助けられなかった…」
咄嗟に暴漢の魔の手から逃れ、奥田愛美を助けた岬は悔しそうに唇を噛んだ。
「1人助けただけでも上等だよ、みさきち」
「え…?相楽っ!?」
岬達が視線を向けるとワゴン車に撥ねられたタスクが平然と立っていた。いや、よく見ると・・・
「ちょ、タスク腕…」
髪の色が元に戻った健が掴んだタスクの両腕は力無くだらりと下がっていた。
「おぅ、感覚はあるけど力が入らねぇんだ」
「ケホケホ…、それは脱臼っていうんだよ…、この脳筋は…。渚、ちょっとしおりの付録の119頁を開いてて」
雪は修学旅行のしおりを開かせるとページを見ながらタスクの腕と肩を掴んだ。
「………っ、しょと」
雪がタスクの腕を上げると関節が入った。同じようにもう片方の肩関節も入れた。
「お…、おぉ~」
タスクは腕をブンブン回して感心していた。
「紫村君、よくできたね…」
渚は感心した。
「一応…、こんな体だから応急手当の部分は読み込んでだんだ…」
雪は咳払いすると状況の確認を始めた。
「誘拐されたのは、翼ちゃん、萌、神崎さん、…茅野…、それに倉橋さん」
「…っ、」
陽菜乃の名前が出た途端、健は爪が食い込むほど手を握り締めた。
「で、犯人だけど…、健、知ってるの?…コホコホ」
「あぁ…、椚ヶ丘高等部の比留間兄弟。運転席にいた小柄な方が兄、いかつい方が弟。春休みに裏山で飲酒と喫煙してそれを注意した倉橋に手を出そうとしていたのを俺が半殺しにしたグループのリーダー格。その後表向きには転校ってなってるけど、実質退学になってる。まさか京都にいるなんて…」
「あいつらが着ていた制服、京都の菱卍学園のだよ。京都で有名な不良高校」
岬が頬についた土埃を拭いながら教えてくれた。
「たぶん他の連中も地元の人間だろうね。そうなると、結構厄介かも。あの車、たぶん盗難車だろうし手馴れていた。オレらみたいな余所者が知らない場所がアジトって可能性が高い」
カルマの意見に全員沈黙してしまった。
その時、裏路地に面した店の勝手口が開いた。
「なんじゃい、真昼間から騒がしいのぅ」
そこから出てきたのは甚平に羽織を着た、口元と顎の髭が特徴的な老人だった。
「翁!」
その老人を見て、岬は驚いた。
「おぉ岬、久し振りじゃな。そうかそういえば修学旅行でうちに泊まりに来るとあの婆が言うとったな」
「おい、みさきち。このジイさん誰だ?」
「お婆ちゃんの…弟だっけ?」
「兄じゃ。岬の友達諸君、岬の大叔父、柏崎稔じゃ。葵屋の老分番頭をしておる。ま、よろしくの。気軽に翁とでも呼んでおくれ」
「はぁ…」
翁はポカンとしているタスクの制服に目をやると、好々爺な目付きが急に険しいものに変わった。
「これは…」
タスクの制服に張り付いていたそれは赤いステッカーだった。丸い円の中に鷹と孔雀とコンドルが描かれていた。先ほど車に撥ねられた時に車体に貼られていたのが剥がれてくっ付いたようだ。
「………お前さんら、一体何があったんじゃ?」
「実は………」
岬から事情を聞いた翁は顎鬚を撫でながら話し出した。
「岬の友人を連れ去ったのは菱卍学園の中でも相当の荒くれ者じゃな。このステッカーが証拠じゃ」
「ねぇ翁、それは…?」
「『鷹雀怒流(タジャドル)』、京都だけでなく関西全域で有名な半グレ集団じゃ」
翁は懐から煙管を出すとマッチで火を付けた。
「暴行、恐喝は日常茶飯事、さらに強盗や婦女暴行まで…、とにかく下手なヤクザよりも手がつけられん連中じゃ。問題はその頭目が関西全域に影響力のある関西集英組の組長の息子なんじゃ」
「………関係ないっすよ…」
健はそこまで聞くと小太刀の目釘を改めた。
「翁、私達、攫われた友達を助けに行くの。鷹雀怒流(タジャドル)のアジト、見当つかない?」
「な…、なんじゃとぉ?!おぬしら本気か?」
「やられっ放しじゃ癪だしな」
タスクは両拳をガッとぶつけると不敵に笑った。
「………待っとれ」
翁は懐からスマートフォンを取り出すと操作した。
● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎
京都市内某所の廃工場
捕まった陽菜乃、翼、萌、茅野、神崎達は結束バンドで後ろ手に拘束されて工場内に監禁されていた。萌は他の4人を庇うように比留間兄弟を睨みつけていた。
「げっへっへ、俺のことを覚えてるか?」
そんな萌を無視して、大柄で顎鬚を生やしたおよそ高校生とは思えない老けた風貌の比留間(弟)は下卑た笑みを浮かべながら陽菜乃の顎をくいっと上げようとしたが、陽菜乃は顔を反らして避けた。
「べぇ~、だ。あんた達なんかひーちゃんにまたやっつけられちゃうよ」
そんな陽菜乃を比留間(兄)は一笑に付した。
「ほっほっほ、ここを見つけるのは地元の人間でも難しいぞ。地元の人間でもないただの修学旅行の中学生には不可能。万が一、ここが分かっても今回は助っ人を呼んである」
「助っ人…?」
薄暗い工場の奥から鳥のようなほうきのような髪型の男がアイスキャンディーを舐めながら現われた。赤い袖なしの特攻服に皮ベルトで左右の腰に一本ずつ刀を差していた。
「おーおー、トーキョーの進学校なんて勉強ばっかの醜女ばっかと思っとったけど、けっこうなべっぴんさんがいるやん。俺、沢下張太よろしゅう」
表情こそ笑っていたが、その奥には得体の知れない感情が潜んでいた。
「なぁ、頭のええあんたらに質問や。男はどういう時に女を抱きたなると思う?」
その質問に陽菜乃達は黙ったままだった。
「好きで好きでしゃーない気持ちが昂ぶった時?まぁそれもあるわ、普通はこれや」
ほうき頭は構わずにさらに続けた。
「あとは酔った勢いとかもあるな。よーするにそいつにとって性欲へ繋がる何らかの感情のトリガーがあるっちゅーわけでな…」
「………なんの話ですか、そんなに私たちを犯したいなら…んぐっ!?」
口を挟んだ萌の髪を掴んで乱暴に上を向かせた沢下は舐めていたアイスキャンディーをその口に突っ込んだ。
「人が話ししてるんや、最後まで聞けや」
沢下は先ほどまでのおちゃらけた表情から一変、凶悪な目付きと口調になった。
「俺の場合はなぁ…、血や」
沢下は手で口元を隠すと妖しげな笑い声を上げながら話を続けた。
「処女の血ぃもええけど、俺なぁ…、女の内股の柔らかい部分を切って出てきた血にごっつ興奮するんや…」
それになぁ…、と沢下は続ける。
「血みどろの戦いの後とかもっと興奮するんや。命のやり取りで子孫残さなあかんちゅー本能が働くんやろうな、あぁ、血みどろなのは相手の方やけど」
沢下は背中に交差させて背負っていた二振りの刀を抜いて萌達に見せた。
「あんたらのお仲間にごっつ強い奴おるらしいやん。もしそいつが来たら、斬り刻んで斬り刻んで、めっちゃ興奮してあんたら全員血まみれになるまで楽しみたいなぁ」
「………~、」
萌達は沢下の異常な性癖に絶句した。
● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎
ドォォンッ!!
突如、工場のシャッターが破壊された。
「なんや!?」
沢下の視線の先、破壊された工場の出入り口には二人の人影が・・・・
「ひーちゃん!」
「相楽君!」
陽菜乃と神崎に、木刀と拳を構えた健とタスクは応えた。
「陽菜乃、ちょっと待ってて」
「神崎、じっとしてろよ」
一気に走り出した二人に、果たして沢下は冷静だった。
「お前ら、そっちの爆発頭だけいてもうたれ。赤毛の方はそのまま俺ンとこまで来させろや!」
工場に潜んでいた十数人が物陰からタスクに襲い掛かった。
「オラァッ!!」
しかし、タスクは首への鋭い爪先蹴り、肩への踵落し、腹部への前蹴り、腰への回し蹴り、と凄まじい連続蹴りで相手を倒していった。
「これならどうだ!」
ワックスでこてこてに髪型をセットし左耳にピアスをしている男が大きな筒状の物をタスクに向けた。
「…相楽君っ!」
神崎の叫び声と同時に、爆音が響いた。
発射されたのは鉄球ではなく木製の砲弾だったが、それでも人ひとりを吹っ飛ばすのには十分な威力だ。
「…ォ、ウッラァッ!!!」
タスクは側に落ちていた鉄骨を掴むとバットよろしく、フルスイングで木弾を打ち返した。
打ち返された木弾は工場の天井に大きな穴を開けた。
「くっそ…、化け物かアイツは。もう一発…」
その時、木砲目掛けもうスピードで飛来する物があった。
しかし、砲身に遺物が入ったことに気付かず、ピアス男は二発目を発射した。
バァァンッ!
木砲は暴発し、その爆煙の中からタスクが突っ込んできた。
「オラぁっ!」
タスクはピアス男の頬に強烈な蹴りを減り込ませてそのまま壁まで吹っ飛ばした。
着地したタスクの足下に、対先生物質のBB弾が埋め込まれた野球ボールが転がっていた。
「す、すごいです杉野君、こんなに離れているのに」
「奥田さんのゴーグルもな、助かったよ」
「はい、まだまだ改良中の試作品ですけど、お役に立ててよかったです」
突如として現われた健とタスクの襲撃に諸悪の根源比留間兄弟は慌てふためいていた。
「おい兄ちゃんどうする?」
「くそ…、どうしてこの場所が」
「京都情報ライン網(グループ)、るの一番を舐めんじゃないわよ」
その言葉に振り返ると、そこには岬が立っていた。さらにその後ろでは渚と雪が陽菜乃達の結束バンドを解いていた。
「鷹雀怒流(タジャドル)の連中が出入りしているとこなんて地元民なら見て見ぬ振りして気にしてるんだから、情報なんてすぐに集まるのよ」
「くっ…、おい女どもを逃がすな!」
「わかったぜ、兄ちゃん」
比留間弟が陽菜乃達を逃がそうとした渚と雪の前に立ちはだかった。
「待てコラぁっ!」
そこに、沢下の部下十数人を倒したタスクが割って入り、手四つの状態になった。
タスクも中学生としては長身だが、比留間弟はさらに大きく、細身なタスクは不利に見えた。
「お前、さっきから足技しか使っていなかったが、さては車に撥ねられて両腕を痛めたな?」
「………」
無言のタスクをじりじりと力押しする比留間弟。
「お前もあの緋村なんかに関わったせいでこんなとこまで来て不運だな。あいつのあの頬の傷は俺がつけたんだ。お前にも一生残る傷をつけた後、後ろの…、女……、ども………」
しかし、徐々に顔色が悪くなり、脂汗を滲ませていた。
「…るせぇんだよ」
ボキィ
工場内にタスクの両手が比留間弟の両手を握り潰した音が響いた。
「あぎゃ~!手が、手が~!」
「五月蝿ぇっつってんだろうが!」
タスクの頭突きが顔面に減り込み、比留間弟は鼻血を噴出しながら倒れてしまった。
「…っく、役立たずの愚弟め…!」
それを見た比留間兄はある物を構えた。それは一見玩具の銃のようだったが・・・・
「動くな!これは玩具じゃないぞ!3Dプリンターで作っている本物と同じ物だ。弾丸もここの工場で作っている実弾だ」
比留間兄は一番弱そうな翼と茅野に狙いを定めた。
「ふ~ん、あっそ」
岬は、しかし怯むことなく一歩前に出た。
「う、動くな…、殺すぞ!」
その言葉を聞いた瞬間、比留間兄はタスク達の雰囲気が豹変したように感じた。
「殺す…、か」
岬が袖を素早く振ると対先生クナイが掌に納まり、次の瞬間には銃口に刺さっていた。
「撃ってもいいけど、途端に暴発するよ」
「くそ…」
銃が使えなくなった比留間兄は、しかし、不敵な笑みを浮かべた。
「馬鹿め!銃が一丁だけだと誰が…「だろうね~」…言った………?」
いつの間にか、比留間兄の隣にはカルマが居て、その手には二丁の銃が握られていた。
「制服の膨らみでバレバレ」
カルマは弾丸を抜くと空っぽの銃を放り投げた。
「………おい、今誰に銃口向けてた…」
そして、比留間兄の後ろには、健には劣るが怒りを滲ませた雪が立っていた。
「ひっ…、」
元々小柄な比留間兄だが、180以上ある雪と対比するとより一層小さく見えた。
「………潰れろ………」
雪は両手で持った修学旅行のしおりをハンマーのように脳天に打ち落とすと、比留間兄は気を失ってしまった。
「あの…、雪君、ありがとう」
「ありがと…、紫村君」
翼と茅野にお礼を言われた雪はむず痒そうな表情を見られまいとそっぽを向いた。
健と沢下のはかなり長くなるので、今回はここまで
年内に続き載せれれば載せます