暗殺の時間
椚ヶ丘中学校
創立10年で有数の進学校となったこの学校には旧校舎がある。
その旧校舎までは過酷な山道を登り、勉強環境もお世辞にも良いとは言えない。
三年E組
通称エンドのE組
その教室で始業の挨拶が今日も・・・・
「起立」
赤毛を一房に結って左肩に垂らした女顔の男子生徒、緋村健は号令をかけた。
ジャキ ジャカ ガシャン
およそ学び舎とは無縁な銃火器類を構える音が教室に響いた。
健含め生徒全員、ゴーグルをかけ、ハンドガンやアサルトライフルを構えた。
標的は・・・・・・・
「礼っ!」
パパパパパパパパパパパパパパ
丸い顔に黄色い肌、触手をぬるぬるさせた・・・・・
担任教師
「おはようございます、発砲したままで構いません、出欠を取ります。磯貝君」
「………!」
クラス委員の磯貝が返事をしたが、発砲音で上手く聞き取れない。
「もっと大きな声で」
「はいっ!」
担任教師はそんな調子でクラス30人分の出欠を取り終えた。
「遅刻無し、赤羽君と相楽君ももうすぐ停学が明けますね。ぬるふふふ、楽しみですね」
標的、担任教師は月を7割も蒸発させた超生物
最高速度はマッハ20
彼らE組は成功報酬100億を提示されその暗殺を依頼された・・・・・殺し屋なのだ
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シュッ!
教室の中央の座席から支給された対先生物質のナイフを改造したクナイが投擲された。しかし・・・
「…巻町さん、暗殺は授業の妨げにならない時にと言ったはずです。罰として後ろで受講していなさい」
顔を真っ赤にした担任教師がチョークで白羽取りにして防がれてしまった。
「はぁ~い、そんな顔真っ赤にして怒んないでもいいのに~」
E組で一番長い髪を三つ編みにしたボーイッシュな女子生徒、巻町岬は文句を垂れながらそのまま教室の後ろに立った。
「ねぇ雪、あとでノート見せて」
一番後ろの席に座っている背の高い男子、紫村雪に岬は擦り寄った
「ごほ…、自業自得でしょ…、僕は知らないよ………けほ…」
「え~…、ケチ」
岬は矛先を斜め前の女子生徒に切り替えた
「ねぇ翼ちゃん、ノート見させてもらうね」
「ふぇ!?あの…、うん………いいょ…」
髪の毛の右側だけリボンで結んだ気の弱そうな女子生徒、明神翼徐々に声を小さくしながら頷いた。
●○◎●○◎●○◎●○◎●○◎
昼休み、健、雪、翼の机を固めて、そこに岬、それに高荷萌が集まって昼食を食べていた。
健と翼は弁当、岬はコンビニの牛丼、萌はサンドイッチと野菜ジュース、雪はエナジーゼリーだけ。
「う~ん、さっきのは惜しかったな~」
岬はがつがつ牛丼を掻っ込みながらさっきの暗殺を振り返っていた。
「ちょっと、牛丼食べるなと言わないけど一応女子なんだから口の周りにご飯粒つけたまままにするんじゃないわよ」
中3女子とは思えない色香を振りまきながら高荷萌はハンカチで岬の口元を拭いてやった。
ネクタイを締めていない肌蹴たYシャツの胸元から覗くのは胸囲のFカップ。
「あ、健またアスパラ残してる。てゆーか巻いてあるベーコンだけ剥がして食べたでしょ」
「嫌いなんだよ…」
翼が健の弁当箱の隅に追いやられた緑黄色野菜を箸でつまんで口元に押し付けた。
「食べなきゃダメ」
「…嫌だ……」
「コホコホ…、相変らず健と翼ちゃんは仲良いね、お弁当も同じ中身だし」
「ち…、違うよ雪君!健とはただの幼馴染だし、健ん家父子家庭で、でも小父さんはほとんど仕事で家に居ないからご飯とかの面倒はウチで看てるだけだし、このお弁当もお母さんが1人分も2人分変わらないからっていつも持たせてくれるの」
翼は顔を真っ赤にしながら全力で否定した。
「緋村んのとこのお父さんって何してるの?」
岬が今度は山盛りの紅しょうがをもりもり食べながら訊いた。
「ん~、剣術の出稽古で海外渡り歩いてる。警視庁でも教えてるけど、海外からの依頼のが多いんだ。FBIとかCIA、今はイギリス。英国情報局秘密情報部ってとこに行ってるみたい」
「………ケン君のお父様って、何者…?」
萌も野菜ジュースのパックに差したストロー艶っぽい唇でくわえながら訊いた。
「ん~…、うちの担任と比べたらちゃんと人間だけど誰よりも人間離れしている。あとケンじゃなくてタケルね」
「ところでさ~、100億円もらったら何する?」
早々に食べ終えた岬が唐突に訊いてきた。
「100億か~…、赤べこのチェーン店とか増やせるかな~?でも今のお店の内装とかも一新するのもいいかも」
翼の実家は和菓子屋『赤べこ』。椚ヶ丘市内だけでなく遠方からも買い求めに来る客もいるくらいの評判だ。
「私は~…、将来の葵屋のために貯めておくかな」
京都の老舗旅館、現在は全国主要都市にも手を広げている旅館『AOIYA』の大女将の孫娘の岬は暇さえあれば旅館で働いた時のことをよく考えている。
「僕は…、ごほ………、ちょっと想像つかないな………、ケホケホ」
ゼリー飲料を飲み干すにも誰よりも時間がかかっている雪は咳き込みながら呟いた。
「あんたはまずその病弱体質を改善しなさいよ、100億もあれば一族総出で体質改善に協力するわよ」
色っぽく長い黒髪を掻き揚げながら家族旅行で何かあっても大抵なんとか出来てしまう医療一族の本家長女、萌はウィンクした。
「………」
しかし、健だけは気乗りしない様子で窓の外の欠けた三日月を見上げていた。
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その暗殺は5時間目の古典の授業中に実行された。
渚がナイフを短歌を書いた短冊に隠して接近して振り下ろしたが、担任教師は難なく受け止めてしまった。
しかし、本当の暗殺は次の瞬間起こった
バァァン
担任教師に抱きついた渚を中心に爆発が起こり、何百もの対先生弾が教室中に飛び散った。
「っしゃあ、やったぜ100億頂き!」
どうやら寺坂、吉田、村松の3人が渚にグレネードを持たせて自爆テロを仕掛けたらしい。
「ちょっと、渚に何持たせてんのよ!」
茅野カエデが食って掛かった。
「安心しろ、人間が死ぬ威力じゃねぇよ、俺の100億で治療費くらい…」
戦果を確認していた寺坂が首を傾げた。渚が謎の膜に包まれて無傷で横たわっていた。肝心の担任教師は・・・・・・
「…ッ!」
健は天井からの殺気に思わず身構えた。そこには、顔色どころか全身をどす黒くした担任教師が寺坂達を見下ろしていた。
「寺坂、吉田、村松、首謀者は君らだな…?」
声まで低くなった担任教師に寺坂達3人は怯えきっていた。
バシュンッ
ボゥンッ
マッハ20で教室から飛び出し、次の瞬間には戻って来た担任教師は大量の表札を持っていた。
寺坂 村松 吉田
3人のだけではなく、クラス全員分の表札を
「政府との契約ですから、先生は“君達には”危害を加えないが、次また今の方法で暗殺に来たら“君達以外”には何をするかわかりませんよ」
健はその表札の中に、自宅の、正確には道場の看板があったのを見つけた。
・・・・・・・その時、健の中で何かが切れた・・・・・・・
健は机に立てかけていた木刀を握ると机を蹴って担任教師に一気に肉迫し、木刀を振り上げた。
「にゅ!?」
どす黒かった担任教師は黄色に戻り、健の振り下ろした・・・一瞬その刀身が揺らめいた・・・木刀を真剣触手絡めで抑えこんだ。しかしその木刀が起こした真空波、カマイタチが教壇を真っ二つにしてしまった
「………ちょっと先生、何勝手にうちの道場の看板持ってきてんのさ?喧嘩売ってる?地球の前にうちの道場滅ぼすって?だったらまずオレを殺してからにしろよ………」
目が釣りあがり、徐々に声の怒気と髪の赤みが増していく健を、担任教師もクラスメートも呆然と見ていた。
「にゅ…、すみません緋村君、君の家に表札無かったので………、申し訳ない…」
先ほどのどす黒いオーラは跡形もなく霧散していた。
「………今日は看板設置し直すので早退します。」
健は木刀を触手から振りほどいた。
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健は自宅に戻るとそのまま敷地内の道場に向かった。
入り口に看板を掛け直すと、靴と靴下を脱いで一礼し、道場に入った。
正面の神棚に一礼し拍手を打ちに祭られている小太刀を手にするとその場に正座し左手で柄を右手で鞘を握るとゆっくりと抜いた。
その小太刀は奇妙な構造をしていた。
本来刃があるべき部分に峰があり
そして峰の部分に刃がある。
逆刃の小太刀だった。
「家庭訪問の予定はなかったはずですけど………、先生」
健は背後に声をかけた。道場の入口にはいつの間にか担任教師がいた。
「入っても?」
「…どうぞ」
担任教師は一礼すると道場に入ってきた。そして健に向かって土下座した。
「先ほどは本当に申し訳ありませんでした。」
健は溜息をつくと向き直った。
「頭を上げてください、もういいですから」
「………いい道場ですね」
「神谷御剣流剣心道場、明治から続いています」
「それは?」
「先祖伝来の守り刀です。研ぎ減らされて小太刀くらいになってますけど、元は常寸の刀だったみたいです」
健は横にした逆刃の小太刀を担任教師に見せた。
「で、教壇真っ二つにした罰でもありますか?それとも担任教師への暴力行為で?」
「いえいえ、あれは先生に非がありました」
「じゃあ何しに…?」
「君はその剣術の力を嫌っていますね」
「………」
「E組行きの経緯は知っています。そして君が暗殺に乗り気でないのも」
「神谷御剣流は活人剣、人を活かす剣です。それを俺は………」
「しかし、その剣で救った人もいます。その技、一番活かせるのはこのE組だとは思いませんか?」
「…まさかとは思うけど、標的の先生が自分から『殺しに来なさい』って言うつもり?」
「はいそうです」
「…………」
健は正面の担任教師の発言に呆れた。と、同時に・・・・・
ヒュッ
小太刀を突き出した。本当に刺すつもりは無かった、寸止めするつもりだったが・・・・
「あ、あんまり遅いんで手入れしておきましたよ」
「…っ!?」
健が突き出した小太刀はいつのまにか研がれて椿油で磨き上げられていた。埃をかぶっていた鞘や緑青が浮いていた鍔までピカピカになっていた。
「明日からはそれを帯刀して登校することを許可しますよ、緋村君」
担任教師はにゅるっと立ち上がった。
「あぁ、それと茅野さんが素敵な名前を付けてくれました。以後私のことは『殺せんせー』と呼んでください」
ではまた明日、と言い残すと担任教師・・・、殺せんせーはマッハで一礼すると帰ってしまった。
「あ、でもくれぐれも見つからないようにですよ!刃物持った問題児クラスの担任とか世間体が色々あれなので!!」
そしてマッハで戻っておろおろしながら注意していった。
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翌日
緋村健は登校した。
腰には逆刃刀の小太刀を差している。
「おはようございます、緋村君」
「おはようございます、殺せんせーっ!」
健は挨拶一閃、小太刀の居合抜きを放った。が・・・・
「ぬるふふふ、まだまだ」
出席簿で白羽取りされてしまった。
「ち…、」
健は小太刀を出席簿から抜くと軽く振った。
その刃の部分には、対先生物質がコーティングされていた。
「剣は凶器、剣術は殺人術。だからさ、この剣で…、神谷御剣流の活人剣で………、」
健は切先を殺せんせーに突きつけた。
「活かして殺るよ、殺せんせー」
健は序章で人斬り抜刀斎、この段階では流浪人への移行期辺りの性格です
次回はちゃんと陽菜のと絡めます
あとオリジナル一人はカルマと同じタイミングで登場させます
キャラのプロフィール、現時点でのものを載せます
ある程度進んだら一話使って載せます
出席番号23
『緋村健』(ひむらたける):井上麻里奈
容姿=[緋村剣心+ヨーコ(グレンラガン)-胸]÷2
身長:158cm
体重:60kg
出席番号29番
『紫村雪』(むらさきむらゆき):鈴村健一
容姿=[紫原(黒バス)+病弱]
身長:186cm(E組一背が高い)
体重:70kg
出席番号28番
『明神翼』(みょうじんつばさ):花澤香菜
容姿=[三条燕+小野寺小咲(ニセコイ)]÷2
身長:155cm
体重:41kg
カップ:B
出席番号15番
『高荷萌』(たかにもえ):沢城みゆき
容姿=[高荷恵+峰不二子]÷2
身長:166cm
体重:49kg
カップ:F
出席番号26番
『巻町岬』(しのもりみさき):伊藤かな恵
容姿=[巻町操[再筆]+松前御花(花咲くいろは)]÷2
身長:149cm
体重:34kg
カップ:A