暗殺~SWORD X SAMURAI~   作:蒼乃翼

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これにて一学期終了です
陽菜乃編挟んで、夏休みの孤島編です


試験の時間《期末》③

「さて皆さん、全教科の採点が届きました」

前回一度も出番の無かった殺せんせーは封筒から答案と一緒に、学年順位の用紙も取り出した。

「まずは英語…、」

殺せんせーはくわっと目を見開いた。

「E組1位、そして学年でも1位!なんと、高荷さんと中村さんの2人!!堂々の百点満点です」

おぉ~、とクラス中から歓声が上がった。

「ふふん」

萌はイリーナの妹分の面目躍如と言わんばかりに胸を張った。

「でさ~、殺せんせ~。トップが2人の場合ってどーすんの?」

中村の質問に殺せんせーは冷汗を流していた。

「むむ…、これは最初から想定外でした…。しかし、2人の健闘を讃え、いきなり触手破壊権2本獲得です!!」

オォォッ!とクラスから先程よりも大きな歓声が上がった。

「いーじゃんいーじゃんすげーじゃん、これでA組との争いもすでに一歩リードだよ」

「でも浅野は流石だな、一点差の99点だぞ」

ちなみに、耳たブサイクの瀬尾は96点で学年4位だった。

「では続いて、国語」

E組は一瞬で静まり返った。

 

「E組1位…、神崎有希子98点!」

おぉ~、と歓声が上がり、次の結果を待った。

「しかし、学年1位は浅野学秀100点」

あぁ~、と落胆の声が。

「明神さんも95点で学年3位と躍進しましたね。大健闘ですよ」

「…はい」

答案を返されて席に戻る翼の背中を健は手の甲でそっと叩いた。何も言わなかったが、健なりの励ましだった。

「では、社会科です。E組1位は磯貝君97点、そして…」

すでに英語で2人学年トップをE組が占めているので、ここが勝負の分かれ目だった。

「おめでとう!浅野君(95点)を抑えて学年1位です!」

「よっし!」

磯貝がガッツポーズをするとクラス中から歓声が上がった。これで英2人に社1人。A組との賭けには勝ったのだ。あとは殺せんせーの触手破壊権をどれだけ獲得できるかが問題だった。

「では次、理科。E組1位は奥田さん。そして、学年でも1位の堂々98点です!!」

「………」

クラス中が湧き上がる中、カルマは答案用紙を手にそっと教室を出た。それを見て後を追う影が・・・・・

 

 

 

 

 ● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎

 

 

 

 

E組校舎から離れた木陰で、カルマは答案用紙を噛んで喰いしばっていた。

「食べる~?」

「…ッ!?」

カルマは背後から差し出された『美味しい棒おでん味』を手で払った。

「紙食べるなんて、カルマは山羊だったの?」

「ぁあ゛?」

瞳孔が開いた目を向けられても、雪は動じなかった。

「あ~、違うか~、カルマは山羊じゃなくて負け犬だもんね~」

雪は語尾を上げて挑発するような口調でカルマを見下した。

「ッ…」

歯向かおうとしたカルマの目の前に雪は答案を突きつけた。そこには高得点が記されていた。

「数学は結局浅野に負けたけど、総合では学年6位。それに引き換えカルマは今回は何ッッにもしてなかったよね~」

雪は美味しい棒を咥えるとがりっと齧った。

「たしかにぃ~、カルマは勉強できるし暗殺でも高い能力があるけど、それ以外何もしてないよねぇ~」

雪はもごもご食べながら喋っていてそれが余計にカルマをイラつかせた。

「浅野に五英傑は言うに及ばず、他のA組生徒もちゃんと勉強してたみたいだね。僕と高荷、それに片岡に竹林以外のトップ10はA組の独擅場(ドクセンジョウ)。ま、当然っちゃ当然か。今回は1教科特化で臨んだわけだし。テスト自体の難易度から言っても一学期でいきなりE組が上位に食い込むなんて、まぁ無理ゲーだよね~、“僕ら”でも無い限り」

「…ッ、何が言いたいわけ…」

「カルマさぁ~…、余裕で勝つ俺カッコいぃ~、とか思ってたでしょ?」

「ッ~!!」

図星を指摘されたカルマは耳まで髪の様に真っ赤になった。

「今回の一番の目的は各科目での1位。それは萌に中村さん、奥田さん、磯貝の4人。カルマならどの教科でも狙えたはずだし、なんなら学年1位だって。そうなれば触手破壊権はもっと手に入ったはず」

「………」

「殺るれる時のために刃の手入れを怠った、錆びた刃掲げたただのバラガキ、いや、ただのチンピラか」

「……~…」

歯を食いしばりながらも言い返せないカルマの頭を雪は身長と同じく大きなで片手でぺしぺし叩いてぐしゃぐちゃと撫でた。

「………ッチ!」

カルマは雪の手を払うとそのまま走り去ってしまった。

「紫村君…、」

カルマがいなくなると、おもむろに一部始終を木陰から見守っていた烏間先生が出てきた。

「言ってる事はもっともだが、あんなに挑発的に言って大丈夫か?」

と、そこにマッハで殺せんせーまで現れた。

「大丈夫です。あれは立ち直りの早い方向への挫折ですから」

「カルマは才能があるのが長所だけど、それが短所でもあるんだよね~。特に何もしなくても大抵どうにかなるし、できちゃうから。負ける悔しさを早めに知れば人は成長するんだよね~」

雪はずいぶんと達観したことを言った。

「これ、 僕のおね…、姉の受け売りなんだけどね」

雪は一瞬殺せんせーの方を見て言いよどんだ。

「さて、教室に戻りましょうか。帰りのHRで触手破壊の暗殺です」

 

 

 

 

 ● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎

 

 

 

 

「では、触手破壊権を獲得した四名はどうぞ好きな触手を」

 

「おい待てよトップは4人じゃねぇぞ」

 

そこに寺坂組の4人が待ったをかけた。

「何を言ってるんですか?5教科トップは…」

「は?アホ抜かせ、トップは英・社・理、それに…、」

寺坂組は教壇に答案用紙を叩きつけた。それは・・・・・

「あと【家】だろ」

「か…、家庭科ぁぁぁあ?!?!」

家庭科の答案用紙、そこには4人揃って100点の数字が記されていた。

「ちょ…、え?!家庭科なんて“ついで”の科目じゃないですか?!」

 

 

「………ついで………?」

 

 

「100点満点なんて、“こんなのだけ”なに本気になってるんですか!?」

 

 

「………殺せんせー、こんなの、ってどういうことですか?」

 

翼がおもむろに立ち上がった。その目は・・・瞳孔が開いて据わっていた。

「律~、試験前の殺せんせーの会話データある~?」

雪の問いかけに律は即座に記録していた音声データを再生して応えた。

『はい。殺せんせーはこういいました。

「今回の期末試験、総合と各教科でトップを取った生徒にはテスト返却時に触手を一本破壊する権利を差し上げます」

主要5教科と名言はしていないので、家庭科でのトップも触手破壊権に当てはまります』

「だってさ~、翼ちゃん」

「そういうことなら…、」

翼は教壇の前に立つと自分の答案用紙を置いて見せた。

「わたしも触手破壊できますよね?」

 

明神翼 家庭科 100点

 

「え…、ちょ…、ま…、」

そこに岬が止めの一言を投げかける

「往生際が悪いぞ殺せんせぇ~。大人しく、萌っちとリオっちの英語2本、磯貝の社会1本、奥田ちゃんの理科1本、そしてつっちゃんと寺坂組の家庭科5本。合計9本の触手を差出なさい」

そう言うと岬は殺せんせー目掛け9本の飛クナイを投げた。その飛クナイは殺せんせーの顔をかすめて黒板に刺さった。

「きゅ、9本ンン~~~!!!???」

 

 

 

 

かつてない程取り乱す殺せんせーを見ながら、健は思案していた。

「9本…、同時に破壊…、一撃の重さ…、手数…、乱撃…、打ち込みと反し…、」

 

 

 

そして、タスクも・・・・

「………このままじゃ、ダメだよなぁ…」

 

 





●―○―◎―●―○―◎―●―○―◎―●―○―◎―●―○―◎―●―○―◎―●―○
結果 (学年順位)
出席番号11番 相楽タスク
《英語》  51点(187位)
《国語》  62点(187位)
《数学》  30点(187位)
《理科》  43点(187位)
《社会》  47点(187位)
《合計》 233点(187位)
※家庭科:50点
各教科点数は上がったが、今回も学年最下位


出席番号15番 高荷萌
《英語》 100点(1位) 中村莉桜と同点1位で触手破壊権を獲得
《国語》  95点(3位) 神崎に次いで高得点
《数学》  97点(3位) 浅野、雪に次いで高得点
《理科》  96点(3位) 奥田、浅野に次いで高得点
《社会》  94点(3位) 磯貝、浅野に次いで高得点
《合計》 482点(5位) 瀬尾を蹴落とし、E組女子・総合でトップ
元々成績は優秀でさらに今回はかなり勉強した
※家庭科:90点 福岡にいる病院食を作っていた大叔母から基礎から病人食の作り方まで教わっている

出席番号23番 緋村健
《英語》  69点( 81位) 
《国語》  77点(120位) 
《数学》  78点( 35位) 
《理科》  85点( 14位) 
《社会》  94点(  6位) 
《合計》 403点( 40位) 
※家庭科:79点
社会で1位を狙っていたがあと数点及ばず
理科では陽菜乃にいいとこ見せたくてかなり勉強した


出席番号26番 巻町岬
《英語》  77点( 55位)
《国語》  77点(120位)
《数学》  55点(130位)
《理科》  66点( 64位)
《社会》  88点( 20位)
《合計》 363点( 77位)
※家庭科:66点
萌に教わり苦手科目を重点的に勉強して、前回よりは上がった。


出席番号28番 明神翼
《英語》  79点( 54位)
《国語》  95点(  3位)
《数学》  56点(125位)
《理科》  57点( 98位)
《社会》  76点( 49位)
《合計》 363点( 77位)
※家庭科:100点 触手破壊権獲得
両親が共働きなので基本的な家庭料理はできる(健は材料を切ることは得意)
今回は理数をあえて捨て国語でのトップを狙ったが及ばず
それでも国語は神崎に匹敵する高得点
今後は理数系の克服が課題


出席番号29番 紫村雪
《英語》  96点(3位)
《国語》  94点(4位)
《数学》  99点(2位) 証明問題で最後まで書ききれずマイナス1点
《理科》  97点(2位)
《社会》  94点(3位)
《合計》 480点(6位)
どさくさ紛れに瀬尾の上をいき、E組男子1位
※家庭科70点
苦手な社会科も克服し上位に


各科目の順位は名簿の時間を参考に、同じ点数のキャラが入ればそれと同じに、それ以外はだいたいの予想でつけてます
こういう明確な数字の設定って、大好きなんですよね


次回は原作では夏休み暗殺前の癒し、しかしてここの作品ではメインディッシュ
陽菜乃回です

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