動画のとこでネタ入れてます
殺せんせーを修学旅行のグループでアクティビティに誘い込み、その間に他のグループが暗殺の下調べと準備をした。それは烏間先生も同じで、律に必用物資の搬入も済み、あとは暗殺の舞台となるビーチ一帯はE組が貸し切ったので他の客がいないかの確認しに来ると・・・、
「どォお?」
「いいよ姐さん、その角度もっと腕で胸を挟みこんで谷間を…、そうそれ!」
セクシーな水着のイリーナが岡島辺りだと出血多量で殺されてしまいそうな悩殺ポーズを決めて萌に写真を撮らせていた。
「…何をしている?」
「あ…、烏間先生…」
萌は顔を引き攣らせながらカメラを隠した。
「だってせっかくこの私の水着姿でビーチの視線を1人占めしようとしたら人っ子ひとりいないんだもん」
「当然だ。暗殺自体はもちろん、その準備も人目に触れさせるわけにはいかにからな。さっきひと泳ぎして帰った客を最後にここは防衛称名義でE組が貸し切った」
「余計な事してんじゃないわよ!」
「それで二度もダメになった水着デビューを写真に残そうとしてて…」
萌は岡島から借りたカメラ(何をどうやって撮ろうとしていたかは推して知るべし…)でイリーナを激写していた。
「はぁ…、高荷さん準備は?」
「はい、ここまでは問題無く完全に予定通りです」
「そうか」
そう言うと烏間先生はイリーナを抱え上げた。
「え…!?ちょ…なによ積極的じゃない、まさかこのまま2人のヤってるところを萌に撮らせる気?」
「…!?」
萌は慌ててカメラを構えたが、撮れたのは烏間先生に海に放り投げられたイリーナの無様な姿だった。
「ぶへっ!?何すんのヨ!」
「イリーナ、お前は前に言ったな『仕事はプラン通りに行かないことの方が多い』と」
それは中間試験前の弛緩していた頃、殺せんせーが第二の刃の話をした時のことだった。イリーナはおちゃらけた目付きから一瞬で殺し屋の眼に変った。
「そうよ。計画書読んだけど、ここまで複雑で大掛かりな計画なら1つか2つはズレが生じるわ」
「………」
萌はカメラを持ったまま固唾を飲んだ。
「萌も、この計画に胡座かいてちゃダメよ。隙あらばおこぼれ頂戴しちゃうわよ」
「その通りだ。それに不安要素はまだある。ロヴロの子飼いの殺し屋の何人かが行方知れずになっている。無論、仕事上のトラブル、ということもあるだろうが、タイミングが気にかかる。防衛省でも…、ッ!」
そこまで口にすると烏間先生は口をつぐんだ。
「いや、何でもない。とにかくこの島自体も悪い噂をちらほら聞く。暗殺を取り巻く空気が不穏になっている。心して取り掛かってくれ」
「…はい。それじゃ、まずは第一段階の夕食があるから、姐さん」
「はいはい、せいぜい横から掻っ攫われないように他の連中にも言っときなさ~い」
気を引き締めて踵を反す萌をイリーナは手をひらひらしながら見送った。
● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎
「いやぁ、遊んだ遊んだ」
貸切の海上レストラン(ちなみにこの単語を聞いた時に異常な反応を示した不破さんは乗船と同時に厨房にグルグル眉毛の副料理長がいないか確認しに行った)で食前ドリンクを飲んでいる殺せんせーは、真っ黒に日焼けしていた。
「いや黒すぎでしょ殺せんせー…、人間だったらほとんど全身熱傷ですよ」
給仕をする萌は殺せんせーのグラスに追加を注いだ。
「ぬふふふ、高荷さんこの水に何か入れましたね」
殺せんせーの鼻(真っ黒で何も見えないが)が何かを嗅ぎ取った。
「ぎくッ…!」
「裏山で倉橋さんと毒性のある植物を取ってそれから精製した天然毒です…。一応相楽君に嗅いでもらってほぼ無色無臭だと思ったんですけど…」
今夜のメインの1人である奥田さんからの不意討ちの毒殺にも殺せんせーは嬉しそうに頷いた。
「奥田さん、無味無臭の毒薬が今後の課題ですね」
そう言うと殺せんせーはその水を一気に飲んだ。すると、顔全体から無数の棘が飛び出した。
「にゅやっ!?」
殺せんせーは色と相俟ってまるで巨大なウニのようになった。
「ちょ…、あのそれで食事できます…?」
萌はドン引きしていた。
「ぬるふふふ、高荷さん先生には脱皮という奥の手があることをお忘れですか?」
次の瞬間、黒くて棘の生えた殺せんせーの皮だけがその場に残り、いつもの黄色い殺せんせー(アロハシャツ)が現れた。
「あ、月1回の脱皮…。棘とかの変化もリセットさせるんですね」
「その通り。“本来はヤバイ時の奥の手”ですが…」
「「「………」」」
「あ…!!」
殺せんせーは自分のしでかしたミスに気づいた。
「バッカだなぁ…、殺せんせー」
「んで未だにあんなドジを暗殺できねぇんだろうな」
岬とタスクも呆れていた。
その後は、寺坂の鼻くそ入りスープに始まったコース料理を堪能した殺せんせー。下船すると・・・、
「うぉっぷ…」
案の定船酔いした殺せんせーはおぼつかない足取りで水上パーティールームに案内された。そこでは三村と岡島が待ち構えていた。そして翼と萌が殺せんせーの左右に立った。
「さ、席に着いて下さい殺せんせー。」
「楽しい暗殺の夜、まずは映画鑑賞でもしましょうか」
その背後の席には寺坂、吉田、村松、狭間、磯貝、奥田、中村の触手破壊権を持つ7人が座り、他の生徒も何人か座った。健とタスクは入口の左右に分かれて壁にもたれかかっていた。配置が完了すると触手破壊権を持つクラス委員の磯貝が説明を始めた。
「まずは三村が編集した動画を見てもらいます。その後、俺を含めた9人が殺せんせー先生の触手を破壊し、それを合図に暗殺を開始します。いいですね、殺せんせー?」
「ぬるふふふ、上等です」
(ここは周囲を海に囲まれている…、それに壁や屋根の立て付けが不自然に整っている…、対先生物質が仕込まれている可能性がありますね…、脱出はリスクが高い…、少々狭いですが中で躱すしかないようですね)
表情には出さず、殺せんせーは現状を確認した。と、そこに渚が近付いた。
「殺せんせー、念のためにボディチェックさせてもらうよ。前に片岡さんの時に着ていた水着を隠し持っていたら逃げられちゃうから」
渚によるボディチェックも済むと殺せんせーは悠然と座った。
「準備はいいですか?全力の暗殺を期待します。君達の知恵と工夫と本気の努力。それを見るのが先生は何よりも楽しみなのです。遠慮は無用、ドンと来なさい」
動画が始まった。
(いい動画ですね、編集に構成…、三村君中々の仕事です)
画面を見ながらも殺せんせーは開けられた窓の内、山の方から一直線上で自分と結ばれる窓に気を張っていた。
(あの窓、その向こうの山からE組きっての銃士の千葉君と速水さんの臭いを感じます。そこさえ注意していれば…)
『まずはご覧いただこう、E組の裏山に存在しているエロ本廃棄スポット。そこにいる巨体…』
「んにゅ?」
『誰であろう、奴である』
「んにゅぁぁぁ?!?!」
画面にデカデカと映し出されているのは、夏休み始めに健たちに目撃されたカブトムシの被り物をしてエロ本の上に正座して熟読している殺せんせー自身だった。
『ここで、この現場を目撃したT.H君に話を聞いた』
殺せんせーの画面が切り替わり、モザイクで顔が隠された生徒が映し出された。しかし、特徴的な赤毛の髪色はモザイク越しでも一目瞭然だった。
『イヤー、マサカダッタヨ。ダッテ、虫トリニキタラ、タンニンノアンナトコ目撃スルなんて』
声も加工されていたが、これは明らかに・・・
『シカモ、ジャンルが熟女OLとか。JKとかのガクセイものジャナカッタだけ、まだマシかな?』
「ちょ…、あの時表紙はすぐに木の葉とかで隠したのに…!?なんでバレて…」
奇声を上げながら慌てふためく殺せんせーを見ながら、タスクは隣の健に訊いた。
「………あれってお前だよな?」
「あぁ、あの時殺せんせークワガタに集中して動きがいつもより遅かったから一瞬あれば表紙とタイトルくらいを見れたんだ」
画面は別の物に変った。そこは最近話題の洋菓子店だった。
『続いてはこちら。人気ケーキ店のバイキングに並ぶ巨影…、奴である』
女物の服にかつらで女装して多くの女性客に混じっていた殺せんせーにどんぐりのように頼りなさそうなチャラい男の店員が注意していた。
『わたし、ころ子よぉ』
しかし、殺せんせーはシラを切った。チャラい男は店に困惑しながらも店の中に戻っていった。
『バッカモ~ン!』
突如、殺せんせー改め、ころ子の頭上に大きな盥が落ちてきた。
『ちょっとアナタ、ワテクシの店のバイキングは女性限定よ!そんな変装で紛れ込もうなんて、とんでもないワネ!』
ドングリ男を従えて、筋骨隆隆でスキンヘッドでオネエ口調の男が出てきた
『ちょ…店長さん、私ころ子です…、女性です!』
『パティシエとお呼び!イイわ、こうなったらフランスの落下傘部隊で鍛えたワテクシが、パティシエの権限に於いて実力を行使するワ!』
『ひぃぃ~!ミスターデンジャラァ~~~ス!』
恥ずかしさのあまり顔を隠そうとした殺せんせーの触手を、翼と萌が両側から腕を組んで押さえてしまった。
「さ、まだまだあと1時間はありますよ」
「1時間も!?」
「まさか逃げたりしませんよね?」
「………」
殺せんせーの醜態に尾ひれを付けまくったナレーションに狭間さんからの毒舌におる精神攻撃を、殺せんせーはノーガードで受けるしかなった。
● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎
1時間後
「………しんだ…、せんせーもうしにました…、あんなすがた、みられ…ては、もういけてけません………」
殺意の無い、しかし悪意100%の映像による立て続けの精神攻撃により魂が抜けかけた殺せんせーは、グロッキー状態だった。
だからこそ、部屋全体が徐々に変化していた事に気づかなかった。
「…!?」
殺せんせーは慌てて足下を確認すると、海水が部屋中に満ちていた。深さは足首程度だが、殺せんせーの触手はたっぷり海水を吸って膨れ上がっていた。
「いつのまに…?!」
(まさか、満潮!?)
「さぁな、誰かが支柱を短く斬ったんじゃねぇか?」
「船に酔って」
「恥ずかしい動画見て」
「海水もたっぷり吸ってわね」
寺坂が立ち上がり正面に立つと、村松、吉田、狭間がそれに続いた。
「だいぶ動き鈍くなったんじゃない?」
「さぁ、本番ですよ」
「よ、避けないで下さいね」
中村、磯貝、奥田も続く。
「わたしたちはこっちの方を」
「殺らせてもらいますね」
翼は対先生ナイフを、萌はデリンジャーを組んでいた触手に押し付けた。
「………やりますね…」
パパパパパパパン
パァン
ザシュ
「くぁっ…!」
足の7本と両腕の触手を同時に破壊された殺せんせーは、しかしそれでも千葉と速水が狙撃するであろう窓への警戒を怠らなかった。
果たして、それは計画には折込済みだった。
『赤羽さん、竹林さん、不破さん、紫村さん今です!』
律の合図で4人は同時に実行に移った。
「…ッ!?」
突如、四方の壁が爆ぜた。正確には、壁に括り付けたロープをカルマ達がボートで引っ張って破壊したのだ。
殺せんせーの姿が丸裸になったのを確認した雪は胸ポケットのもだいる律に指示を出した。
「よし、律。海中部隊に合図」
『了解です』
律からの合図を受け取ると、今度は海中に待機していた岬たちが実行に移った。
「これは!?」
夜中の暗い海面から、突如無数の人影と水柱が飛び出した。
「水圧で空を飛ぶ、フライボード!?」
驚愕する殺せんせーを見下ろしつつ、岬は的確に指示を出した。
「矢田ちゃん、片岡ちゃんに合わせて。杉野、菅谷の方にちょいズレて!」
そうして水柱による檻が徐々に狭まり・・・
「合体!」
全員が肩を組み、ほぼ隙間の無い水の檻が殺せんせーを囲んだ。さらに駄目押しで渚と茅野が桟橋からホースによる放水をして外側にも檻を作っていた。
さらに、環境は激変する。
「そうそう、もっと飛び跳ねて~」
陽菜乃がホイッスルでイルカを操り万が一動きが鈍くなるのを覚悟で殺せんせーが飛び込んでも潜水できないようにしていた。
「仕上げだ、律!」
雪の号令と共に、海中から防水仕様となった律が急浮上、ライフル、マシンガンを展開した。
『射撃を開始します。照準は殺せんせーの全周1m』
触手を破壊した9人がエアガンを拳銃からサブマシンガンに持ち替え、翼と萌もナイフとデリンジャーを持ち替え、殺せんせーに“当たらない射撃”で弾幕を張った。
そこにボートの不破と竹林もロヴロから教わった狙撃体勢でボート上から参戦した。
「んじゃ、タスク、シクヨロ」
雪からの指示で、桟橋中央に控えていたタスクは目の前に置かれた物体の布を取った。
「オッシャアッ!」
「ちょ…、回転式機関砲(ガトリングガン)!?」
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ」
馬鹿力でハンドルを回し対先生弾をぶちまけるタスク。その横では神崎が照準と弾の補充をしていた。他の弾と同じで当たりはしない、が圧倒的物量の弾幕は殺せんせーをさらに焦らせた。
「相楽君、少し左に…、そう、次は右の方に」
神崎の指示による、『当たりそうで当たらない、当たったらよっしゃラッキー戦法(命名タスク)』は殺せんせーをさらに追い込んだ。
(にゅ…、これは流石に…、こうなれば“急所”のみ残った触手でカバーし一気に桟橋を通って陸地に…)
と、捨て身の強行脱出を試みようとした殺せんせーの視線の先、桟橋のタスクのさらに後方・・・・・・
「………」
逆刃の小太刀の鯉口を切り、抜刀体勢で殺せんせーから視線を外さない健が待ち構えていた。髪色はいつになく鮮やかな赤みを帯びていた。
(まずい…)
船酔い、動画と急激な環境変化で精神状態不安定、加えて触手の破壊と吸水、被弾覚悟の特攻はおそらくガトリングガンを全身に受けて相当なダメージと速度の低下が生じる。その結果、自身のパフォーマンスは半分以下にまで下がるだろう。殺せんせーは船上での健の一太刀を思い出した。
(斬られる…)
これが他の生徒のナイフだったらまだ躱せただろう。しかし、今の健の実力だと確実に斬られる。しかも急所をあからさまに庇うので健はそれすら見逃さないだろう。
今ここに、殺せんせー完全包囲網が完成した。
そしてトドメの2人が動いた。
千葉と速水の服を着せたダミーを律の起動計算で算出した狙撃スポットに設置し、本命の2人はずっと海中に身を潜めていた。
浮上する音も、姿も、水柱が隠してくれている。そこから狙うのは律の演算によりわずかに生じさせた隙間。そこからは殺せんせーの姿がはっきり見えた。
((もらった!))
千葉と速水は同時に発砲した。
対先生弾が殺せんせーに確実に迫る。
そして、殺せんせーの全身が閃光とともに弾け飛んだ。
続きは早速書き始めているので、今月中には