健達E組の前に、ダルマのように太った巨漢が立ちはだかった。
「ちょ…、こんなのナイフじゃ倒せないって」
岬はナイフを逆手に構えたまま茫然としていた。
「来るぞ!」
タスクが叫ぶと、ダルマ巨漢は口から火を吹いた。
「くっそ…」
健はかろうじて躱すと大きく距離を取った。が、制服の袖が少し焦げてしまった。
「どうする………、この『問4』」
● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎
中間テスト
普段は立ち入りすら許されないE組もテストは本校舎で受験することになっている。
つまり、敵地に乗り込み、妨害を耐えつつ強敵(難問)を倒さなければならない。
先ほどから監督官のD組担任大野が教壇を叩いたり咳払いをしたりして露骨に集中を乱している。
「うオッ!?」
タスクは無謀にも突っ込むが、火炎吐息に怯んでしまう。
「どーする健、攻略の取っ掛かりが掴めねぇぞ!」
逆刃の小太刀を握る健の手は緊張による手汗でびっしょりだった。
にゅるん
すると、その手を握る手・・・、もとい、触手が伸びてきた。
『ちゃんと教えたはずですよ、あれは正体不明の敵ではありません。火や大きさに惑わ
されず、よく観察しましょう』
殺せんせーの声が聞こえた。
すると、今まで見えていなかった数字や公式が浮かんできた。
『ね、なんてことない敵(問題)でしょ?』
そこからの健達は速かった。
健は火炎吐息を逆刃の小太刀を旋回させて防ぎ、そこにタスクが突っ込んで、火吹きダルマの口からホースの繋がった油袋(解)を引っ張り出し、ハイキックで倒した(答えた)。
「次行くぜ、健!」
「OッK!」
続いての小柄ですばしっこい敵(問題)は小さい螺旋鏢(ラセンビョウ)を次々と飛ばしてきた。
「まっかせて!」
岬が得意のクナイで全ての螺旋鏢(引っかけ)を撃ち落し、健の一刀とタスクの拳が敵(問題)の顔面にクリティカルヒット(完全解答)した。
次の筋骨隆隆の敵(問題)は鉄球を振り回していたが、タスクが受け止めている間に健達の一斉攻撃で倒してしまった(解答)。
突如として鉛筆のスピードが上がったE組の面々を監督官の大野は途惑った。
問題文の重要な部分、解き方のコツ、全て殺せんせーはマッハで教えてくれた通りだった。
以前とは違う自分たちが解いているようだった。
健たちは並み居る敵(問題)を倒して行った。
「よし、次だ!」
タスクは両拳をぶつけて気合をいれた。
ザク
「は…?」
タスクの両手首に、刀が刺さった。
「タスク!?」
しかし、その敵(問題)はどこにも見えない。
「…ッ、そこか!」
怒りに髪色を赤黒くした健は背後に振り返った・・・
そして・・・・・
「………か、体が…、」
・・・黒笠を被った妖しげな笑いをするその敵の目(問題)を見た瞬間・・・
・・・金縛りにあったように立ち竦んでしまった・・・・・・・
そして、次の瞬間、健は・・・・・・
動けない(解けない)まま、敵(問題)に斬り殺された。
● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎ ● ○ ◎
「…これは一体どういうことでしょうか、公平さを著しく欠くと感じましたが」
『おっかしいですね~、ちゃんと通達したはずですよ。あなた方の伝達ミスじゃないですか?なんせおたくら本校舎に来ないから、ハハハハ』
「………」
烏間先生が本校舎の教師と電話している横で、殺せんせーはじっと黒板を見て・・・、生徒達に背中を向けていた。
「伝達ミスなど覚えは無い」
成績優秀の磯貝や英語が得意な渚、成績不良の寺坂を始め、クラス全員意気消沈していた。
「そもそもどう考えても普通じゃない、テスト2日前に出題範囲を全教科で大幅に変えるなんて」
『わかってませんね、え~と、烏間先生?うちは進学校です、直前の詰め込みにも対応できるか試すのも方針の1つ』
『本校舎のでは、なんと理事長自ら教壇に立たれて見事な授業で変更部分を教え上げてしまわれました』
「…!!」
(あの理事長、自分の主義のためにそこまでやるか…)
烏間先生は携帯を切った。
(余計なことをしてくれた、暗殺対象(こいつ)にこのクラスから去られたら元も子もない!!)
果たして、殺せんせーの口から出てきたのは、別離の言葉ではなかった。
「…先生の責任です、この学校の仕組みを甘く見ていました。………君達の顔向けできません」
その言葉通り、ずっと生徒達に背中を向けている殺せんせー・・・・・
に向かって飛ぶナイフとBB弾
「にゅやッ!?」
それはカルマが投げ雪が撃ったものだった。
「いいの~?顔向け出来なかったら俺らが殺しにくるのも見えないよ~」
「けほ…、つーか後ろ向きのままよくかわせたね………」
「カルマ君!紫村君!先生は今落ち込んで…」
怒る殺せんせーの前に、カルマはテストの答案を投げつけた。
赤羽業
英語:98点 国語:98点 数学:100点 理科:98点 社会:99点
合計494点 学年4位
優々E組脱出圏内の点数だった。
「ちょ…、雪見せて」
健が後ろの雪の机に広げられた点数を見ると・・・・
「ウソ…、だろ…?」
紫村雪
英語:81点 国語:80 数学:100点 理科:80点 社会:40点
合計:381 50位
「俺と雪の成績に合わせてあんたが余計な範囲まで教えるからだよ」
翼は雪の点数と順位を見て不安な表情になった。
「もしかして雪君…、E組(ここ)から出てっちゃうの…?」
その問いに、雪は首を横に振った。
「僕もカルマもE組出る気はさらさらないよ、…けほ…」
「そぅそぅ、前のクラスより暗殺の方が全然楽しいし。で、そっちはどーすんの?クラス全員50位以内とかって言い訳つけて、尻尾巻いて逃げるの?」
「それって…けほけほ…、結局殺されるのが怖いだけなんじゃないの…?」
雪はそこまで言うと健とタスクに目配せした。
「そっか、殺せんせー、やっぱ殺されんのが嫌だったんっすね」
「んだよ殺センコー!それならそうと早く言えよ」
「ねー、怖いから逃げたいってさ」岬もそれに乗っかる。
クラス中から馬鹿にされた殺せんせーは・・・・
「にゅやーーー!逃げるわけありません!期末テストであいつらにリベンジです!倍返しです!」
顔を真っ赤にして怒ったが、クラス全員、そんな殺せんせーを笑った。
一学期中間テスト結果(と、個人の勉強設定)
11番 相楽祐
《英語》 30点(186位)
《国語》 35点(186位)
《数学》 19点(186位)
《理科》 29点(186位)
《社会》 30点(186位)
《合計》133点(186位)学年最下位
普通に、馬鹿
15番 高荷萌
《英語》 95点(10位)
《国語》 45点(170位)
《数学》 77点(60位)
《理科》 80点(20位)
《社会》 80点(15位)
《合計》377点(60位)E組女子1位
医系一族なので自然と理数系や社会制度などが得意になり、単純な濃度計算なら暗算で小数点第三位まで求められる
さらにイリーナお姉さまのマンツーマンで英語が飛躍的にアップ
23番 緋村健
《英語》 40点(150位)
《国語》 57点(157位)
《数学》 64点(98位)
《理科》 60点(80位)
《社会》 80点(15位)
《合計》301点(111位)
社会科が小学校の頃から得意で全都道府県の名産や作物などはほぼ暗記している
また最近は誰かさん(陽菜乃)の影響で生物の知識もついてきた
26番 巻町岬
《英語》 70点(80位)
《国語》 70点(124位)
《数学》 44点(162位)
《理科》 53点(108位)
《社会》 82点(14位)
《合計》279点(137位)
旅館経営に関する社会的知識はあるが、その反面理数系が苦手
経理は専門の人にやらせればいいと思っている
28番 明神翼
《英語》 50点(130位)
《国語》 91点(20位)
《数学》 49点(153位)
《理科》 44点(130位)
《社会》 63点(98位)
《合計》297点(120位)
真面目にこつこつと勉強をやるが、理数系の数字やアルファベットは見ただけで物怖じする癖がある
とある時期の影響で見た目や響きがカッコいい漢字にやたら詳しい
29番 紫村雪
《英語》 81点(48位)
《国語》 80(30位)
《数学》100点(1位)
《理科》 80点(20位)
《社会》 40点(160位)
《合計》381(50位)E組男子2位
理論的思考や計算がかなり速い
パズルを作るのも解くものどちらも得意
今回の敵(問題)
火男 癋見 式尉
鵜堂刃衛
次回、一学期期末テストの敵もお楽しみに