翼 作:お手柔らかに
居場所ののない世界
① 居場所の無い世界
空を飛びたい… 鳥の様に自由に思うがままにこの大空を飛び回りたい… そんな妄想に浸りながらずっと生きてきた僕
でも…飛ぶってどう言う事なんだろう?
少なくとも僕の感覚では飛行機やハングライダー等はその範疇には入らない
あ、金が無い者のやっかみと思った君
んじゃさ、自家用ジェット持ってるセレブが空を飛ぶなんて思ってる?
僕の知る限りでは彼らにとっては世界を飛び回る道具であって飛行機は手段にすぎず飛ぶとか飛びたい何て考えてやしない
もちろん、趣味でセスナのライセンス持ってる人も居るだろうけど…
僕の感性では飛んでいるのはセスナであって貴方自身じゃないよ?
と、そう思っている
無論、僕は自分の考えが正しい、感性に叶わないのは間違いだなんて言わない
だって、僕にとってはそんな世界はどうしようも無く下らない世界なんだから…
例えば今、物凄くプリンが食べたいから… と、そう言って世界からプリン以外のスイーツが無くなったらどうするよ?
ひょっとしたら、明日の僕はババロアを食べたいって思うかも知れないし餡蜜が良いって言うかも知れないけど…
うん、でもやっぱ本当に好きなのはただとか人の奢りが一番好きだったりする
と、言う訳で今の僕はスイートポテトが食いたい気分、誰か奢ってくれっ!
と、そんな事を言って奢ってくれるダチが居たら良いけど…
所詮は類友で貧乏人の僕にゃそれなりの奴等しか集まらずお互いに疫病神と罵り合ってる
まぁ、裏技使や奢ってくれるバカの一人や二人は居るだろうけど極力使いたくないんだよね… 小遣い稼ぎには使ってるけどさ
話を戻そう、僕はそんな訳で日々魔法について研究している
えっ、漫画を読んでるだけだろって?じゃあさ… 何かいい方法が有ったら教えてよ?
何か楽で簡単な方法をさ
まぁ、そんなの有るわけ無い訳で今日もフリマで見付けた胡散臭い本を片手に山の中を探検しているけどぶっちゃけ世間一般的な概念じゃ僕は既に遭難者…
と、言うカテゴリに分類されてるのは間違いない訳で…
まあ…
『出て行けっ、貴様っ…二度と家の敷居は跨ぐんじゃ無いっ!』
との熱い声援を受けて家を出てきた今の僕には明確な目的地は無く、当面の食料も足りているので焦る理由も見当たらない
まぁあえて言うなら、完全に方向感覚が無くなってるから今更細かい事を気にしても既に手遅れって言う諦めの境地に達した感すら有る
取り敢えず、暫くの間の活動拠点になりそうな山小屋も見つけた今の僕に悩みなどはない
つか、それを悩む脳ミソと危機感有ったらこの状況にはなってないっしょ?
明日の朝、何から初めるかも決められてないが誰かに決められていないと言うのが嬉いんだからさ
この山に入って既にどれ位になるのだろうか?
時に、洞窟の探索で何日も洞窟内で過ごす為に既に日付の感覚なんかすっかり無くなっている
まぁその辺りは元からいい加減な僕には大した意味無いから問題無い訳で今も最近出来たらしい崖に現れた裂け目に潜り込んでいる
「…何だこれ?…鳥居のようにも見えるけどずいぶんおんぼろいよな…?」
疑問系じゃあるけど常々思慮が浅いと言われる通り考えなしに奥へ奥へと進んで行って
…気が付くと水溜まりにうつ伏せで倒れていた僕…
「痛~っ…」
身体中が痛むのに気付き、足を滑らせ崖を滑り落ちた事を思い出したことを思い出して
倒れたまま首を捻って上を見たけど薄暗い闇の彼方に頼り無い明かりが見え崖を登るのは諦めた方が良さそうだった
取り敢えず、寝たまま身体が動くかを確かめる事にした
怪我の有る無しは、この後の行動にも影響するのだからな
(イタタッ)
そう思いながら、先ずは両手を目の前に持ってきたら腕は多少痛むが思う通りに動かせた
その腕で、まずは上体を起こすことにして座り込み取り敢えず一息吐き
背中が多少痛むが、どうやら背負っていたリュックがソリ代わりになって大した怪我はしてないめ
なんなく起き上がる事ができた
暫く座ったままで様子を伺い、そっと立ち上がってみるが今度も問題なく立つことができた
「さて…どっちに進めば良いんだろうかな?っと」
答えの返ってくる筈の無い…つか言うよりこんなとこでいきなりこっちだとか言われたらそれはそれで怖いのだけど…
そんな独り言を口に出して言ってみた
暫く静かに様子を見守ると、微かながらも空気の流れを感じたのでそれを頼りに歩き始めることにした
少なくともここに居たって仕方が無い、それだけははっきりしているのだから…
こうして、僕の元の世界には二度と帰れないかも知れない冒険は始まった
もちろんこの時点の僕がそんな事を知る筈もないしそんな事を考えてる余裕もなかったんたけどな…
② 運命の入り口はまたの名を選択の扉とも言う……って知らんわっ!
暫く歩くと、足下の水はいつの間にか無くなり乾いた岩場を歩くことに
しかし…一体この先ってどんな風になっているっいうのだろうか?
「 まぁ下手な考え休むに似たり… つか考えるのもマジめんどい 」
そう呟いて勘 ( 当たらないと言われている ) を頼りに僕は風の吹いてくる方向に歩き始めた
初めは遠くに薄ボンヤリと見えていた明かり
それがいきなり消え空気の流れも止まった
しかも、辺りの闇は徐々に濃くなってゆき…流石にちゃらんぽらんな僕でもいい加減足を止めざるを得なかった
そんな僕の手をいきなり引っ張る者があり、『 こっちだよ 』 と言う声が確かに聞こえた
正直かなりビビったが、さすがにこのままここに立ち止まって居ても仕方無いのだけははっきりしているのだから導きに従うことにした
「 貴方…強い人ね 」
そう言われてすっとんきょうな声を上げ驚く僕
「 はいぃ~っ?僕が強い?自他共に認める臆病者の僕がんな訳無いっしょ? 」
暗くて見えない筈の彼女の顔が、僕には笑っているように見えた
「 もちろん、貴方が今半端無く怯えているのは解ってますよ?でも… 今までここに来た人でこの状況で私の差し出す手を握り返してきたのは貴方が初めてなのです 」
ん~そんなもんなのかな?ただの条件反射みたいな気がしないでもないんだけどな…
そうボンヤリ考え込んでいると更に力強く僕の手は引っ張られた
「 しっかり気を持ちなさいっ!ここは貴方が考えてる程甘いとこではないのですよ!? 」
彼女の叱責が飛んできた
( 甘く無い所ってしょっぱいとでもゆーのかな? )
僕の疑問に答えてくれる気配はなさそうで…
(………………何だ?急に息苦しく )
目を閉じ誰の手とも知れぬ人の手を力一杯握りしめた
「 アナタはどっち?英雄になって可愛いお姫様と知り合いになりたい?それとも… 」
( こんな状況で言われてもな…今にも死んじゃうんじゃ無いのかってゆーこんな時に…あーっ、でもどー考えたって僕は騎士って柄じゃないじゃん? )
って思ってたらブラックアウト…僕は意識を手放してしまった
相変わらず開けても何も見えない状態で僕は壁にもたれて座っていた
相変わらず誰かの手を握ったままで…
「 そろそろ出口も近い…私が案内できるのは出口の近く迄だから後は自力で頑張りなさいね 」
そう言われて、僕の手を振りほどくとその手は僕の背中を強く押し押された僕の身体は再び宙を舞うと言うか落下感と言うのかそんな感じがした
そして…意味不明な事を叫ぶ声と怒号
大騒ぎする人々の声が遠くで聞こえ…僕は再び意識を失ってしまった
② 争奪戦開幕
( 病室? )
真っ白い壁に開け放たれた窓
消毒薬の臭い… そして纏められている白いカーテンが風に揺れていた ( 多分 ) …
気が付いた僕はどうやらベッドの上に寝かされているらしい
窓から入る風に外に咲いているらしい花の香りが心地良く風と共に大きく呼吸をしてその匂いを嗅いでみた
( この香りは…そう僕の好きな…いや、去年嫁いでいった(従姉の)姉さんの好きなあの花の筈で…あれは何と言う花だったのかな? )
「 貴女の好きな…が今年も沢山咲いてますよ 」
その声の主が教えてくれたけど、僕はその聞き覚えの無い声の主が何者なのか気にたったが身体中包帯でぐるぐる巻きで目も塞がれている僕には確かめる術が無かった
まぁ良いか…焦っても仕方無いつか面倒臭い…
どうせ指一本も動く気配の無いんだから… 動かない身体で焦っても仕方無いしぶっちゃけ何もしなくても良い状況ってマジ良くねって?
って、気がしなくもないけどもう一度右手に意識を集中してみたけどやっぱりピクリともしなかった
部屋の外から賑やかな…でも華やいだ声が聞こえてきた
でも、その声の中にも聞き知っている物はなかったがきっと可愛い娘達なんだろうなと期待させるものだった
(……え…何だ?)
何かが僕の口に差し込まれた
「さぁ★□△様お薬をお飲みください」
(…に…苦っ!?)
そう思ったけどその薬は無情にも咽を下り胃の方へと向かっていった…)
その今飲まされた薬が効いてきたらしく遠退く意識の片隅で何かが僕の唇に触れた感じがして…
誰かのクスッと言う笑い声が聞こえたような気がした
「さぁゆっくりお休みください…早く傷が癒える為にも…」
(癒える為にも?)
「眠られたようですね」
そう確かめて少女は部屋を出て行ったが、すでに眠っている僕の預かり知らぬ事だ
そうして寝ては覚め覚めては現と何日過ごしたのだろうか?
やっと手足の包帯の殆んどが外れる事になったと医者に言われたがその医者も何故かその声も女医の物だった
久し振りに自由になった手足だけど心なしか力が入らない
そんな僕の心を見透かしたように僕の担当の看護師は
「大丈夫ですよ…これまで通りに私が貴女のお世話を致しますからね」
そう言われて喜ぶべきか悲しむべきか自分の心がよく解らなかった
悪寒を感じついで謂れの無い悪意を感じ取り僕は身をよじると背中すれすれに何かが突き立った
包帯で目を塞がれたままの僕には何も見えなかったが僕の身体がいきなり宙に浮いた…
ってそんな訳はなく誰かが僕の身体を抱え上げたのだ
(一体何が起こったんだよ?)
訳のわからないまま何処かに運ばれる僕
(誰かちゃんと説明しろ)
声になら無い僕の叫び声に気付いたそいつは僕を降ろすと
「ここまで逃げれば大丈夫、戒めの封帯を解いてあげよう」
そいつはそう言うと僕の身体から包帯をほどいていった
そう言われたが身体の感覚は麻痺していて身体が動く感じもないけど動いているらしい
「さぁ、行くよ」
と言って再び僕の身体を抱き上げてそいつ走り出した
でも…僕は気になっていた
(なんだよ?こいつの甘ったるい物言いは…気色悪い)
見えない筈のそいつの顔が僕の方を見て微笑んだ気がした
(一体何なんだ?)
訳が解らない悪寒を感じたけど現状何も出来ないのと考えるのが苦手な僕は考えない主義だからまぁ良いやと結論付けた
ただ…その笑顔に思わず立った鳥肌はどうしようもない
遥か後方の喧騒から逃れるため奴は再び駆け出した…僕を抱えて
奴が走り続けていると僕の身体に異変が起こった
(あ…暑い…)
奴も僕の異変に気付いたみたいだが…そりゃそうだろうこんだけ密着してんだから気付か無い方が可笑しいが現在逃亡中の奴と身動きも出来ず抱えられてるだけの僕に出来ることは何もなかった
だが僕の身体の異変に気付いたのは僕達だけではなく追っ手の彼女らも気付いたようで…何やら焦っているような気配を感じた
何故そんな事がわかるのかその時は全く疑問には思わなかったし身体が高熱を発し始めた苛立ちから奴の手を振りほどこうとして
「い、いい加減僕から離れろ…下に降ろせっ…」
声帯を痛めているらしい耳障りな僕の声が響いた
「えっ…同意していてくれたんじゃないのか?」
その自分勝手な物言いにムッとした僕はやはり耳障りな声で
「良いも悪いも声は出せないわ抵抗出来ないんじゃどう拒否りゃ良かっただよ?
少なくとも僕はこの状況を同意した覚えはないっ…
少なくとも男に抱かれて悦ぶなんて趣味なんかは微塵にも無いんだよっ!?」
訳がわからないけど現状何も出来ないのと考えるのが苦手な僕は自分の能力で手に負えない事を無駄に考えない主義だからまぁ良いやと結論付けた
ただ…その笑顔に思わず立った鳥肌はやはりどうしようもないけどあまり好ましくない遥か後方の喧騒から逃れるため奴は再び駆け出した…僕を抱えて
奴が走り続けていると僕の身体異変は更に悪化した
(あ…暑い…)
奴も僕の異変に気付いたが逃亡中の奴に出来ることはなく包帯に隙間を作り目を出したくらいだ
ボンヤリ霞んではいるけど見えない事も無い
奴の顔が見えて又ムッとした
奴の顔はハリウッドのムードスターのように二枚目なのだ…しかも僕の嫌いなタイプのだ気障で自分の容姿を鼻にかけてる鼻持ちのならない…そんな感じかしたからだ
「痛っ…」
身体中がギシギシと軋むけどなんとか思うように動くようになってた…と言うより無理矢理動かそうと足掻いて見せた
「もう一度だけ言ってやるけどいい加減下ろせっ…ド変態っ!」
痛む喉で声を振り絞り詰るとポカンと口を開けたアホ面をさらしているから
「聞こえなかたの?耳が悪いんじゃね?それとも悪いのは頭なの?そんな難しいことを言ったつもりは無いんだけどなっ♪」
僕の言葉か途切れるのを待っていたらしく
「お前も了解してくれていたんじゃ…傷は、身体はもう大丈夫なのか?無理しない方が…「煩い、黙れっ…お前に心配されるまでもないっ…いつまでも野郎なんかに抱かれていたくたくなんか無いし身体は動けるくらいには回復してるんだっ!
だから手を繋ぐくらいは妥協してやるからだっこすんな、お前に身を委ねる気なんざ微塵もない、つかそんな事される位なら木っ端微塵になった方がマシなんだから二度とすんなっ…」
そう捲し立てて
「でも…少なくとも今現在の自分がどうすべきかわからないしお前を信じる理由は無いけど追って来るあの人達も信じきれないのが正直な今の僕の気持ちだから取り敢えず成り行きに身を任せる事にした」
そう言って先を進むと程無く闇の終わりが近付いて来た
「どうなってるの?あれ…」
闇と日の光溢れる境がはっきりと見えるを不思議に思い僕は聞いてみた
「結界の事か?」
訝しむ口調で答えたが僕は気にしないで
「結界?ふーん…まぁ良いや気にしないでこのまま突っ切ろう」
と言って僕は奴の手を引っ張って走り出した
「あっ!ちょっと待てっ!」
そう言われても止まらないのが僕の良いところ(?)…
勿論そう思ってるのは僕だけなんだけどねっ♪第三者の意見なんざ知ったこっちゃないんだけどさ
強引に結界を突き抜けたが再び意識を失った僕は奴に抱かれて奴の村まで運ばれることになった
③饅頭怖い?
夢の中で僕はお饅頭の山の前に座って大喜びで食べて居た…初めのうちは
(十勝小豆だな…)
とか思いながら味わっていた
でも…飲みのもなく同じ中身らしいそればかりを食べてちゃ飽きるのも早い
段々と食べるペースは落ちて行きついにはギブアップ
食べ過ぎて苦しんでる僕に容赦なく食べる事を強要してくる饅頭逹
満腹で飽きもきてる僕はもうは限界だったから拒否し始めていた
その僕は態度に腹を立てた饅頭達が巨大化して僕を襲ってきたけど既に満腹の僕は一歩も動く事が出来ずに巨大饅頭に押し潰されようとしていた…
「…ぉ…お饅頭が…お饅頭が…」
寝言を言いながら両手をさ迷わせる僕だけど人には絶対に見られたくない姿だな…
(なんちゅう夢を見てんだ…僕は……)
そう思いながら何か胸の辺りが重い
又姉貴の猫が僕の上で寝てんのか?あのデブ猫の奴…
目を開けたけど寝惚けたまま上げていた手で猫を追い払おうとして胸の上に有る物を払い除けようとした
グニャリとした馴染みの無い感触と僕の身体から離れないその手応えに
(はぁ?一体何がどうなってるの?)
そう思ってたらいつの間にか入って来たのか
「お嬢様お目覚めですか?」
(又女の子声だ…えっ?お嬢様?僕の他に誰か寝てたのか?そりゃいくら何でも不味いんじゃ…
しかし…それにしても随分長い夢を見てたんだな…)
伸びをして起き上がる僕は肩に掛かる髪を払いのけ…って
(そんなに長くないぞ僕の髪の毛っ!)
訳の解らない不安に怯える僕に気付いた彼女は
「お嬢様どうかなさいましたか?お辛いのでしたら医者を呼んできましょうか?」
と言われているが…残念ながら僕の耳には届いていなかった
「僕の身体一体どうなって…」
そこまで言って僕の舌は凍り付いてしまった
(何だよ今の声…まるっきり女の子声じゃないかっ!)
訳が解らない事態になりますます焦る僕に
「お嬢様、お嬢様のような方がご自分の事を僕などと言うなんてはしたない…お止めくださいっ!」
と言われてしまったけどしょうがないだろう?僕は男なんだからと言いたいがこの胸の膨らみにあの可愛らしい声…
そもそも自分の声を可愛らしいと感じる事事態が気色悪くて仕方無い…
と思ったけど他に表現しようがないのも事実で僕の混乱は益々深まっていったのだが…
「お嬢様どうかなさいましたか?」
と繰り返して声を掛けられたが返事をする余裕は無かったので焦れた彼女は僕の手を引くと大きな化粧台の前に連れてきて椅子に腰掛けさせた
そこには大きな鏡が有り写し出された僕には見えない僕の姿がそこに写っていた
「お嬢様はこんなに可愛くて魅力的な女性なんですよ?」
僕の黒くて艶やかな髪を櫛でとかしながら彼女はそう言った
僕の目にはどっちかと言うと彼女の容姿の方が魅力的なんだけどな?
と思ったが言わないでおく事にしたが僕にとっては今はとてもじゃないけどそれどころじゃないからだ
彼女は僕の髪をとかしながら更に続けて言った
「お嬢様…体調の方は如何ですか?もし宜しいようでしたら中庭の方にでも降りてみませんか?」
と提案してきたのだ
(どうしよう…どうしたら良いんだ?)
考えても答えの解らない問題に僕が答えあぐねていると
「気分転換にもなりますから庭に降りてみませんか?」
と誘ってきたから少し考えて
「そうだね…じゃあ早速行こう」
と言って立ち上がろうとしたが焦った彼女に座らされて
「このような格好のままお出掛けになるおつもりですか?」
と言われた僕の姿は三角の白い下着だけを身に付けているだけの姿をしているだったが考えなしに言ってしまい更に
「えっ…と不味いのかな?このままじゃ…」
と、考えなしに言ってしまって彼女を怒らせてしまったのだ
「お嬢様の様に魅力的な女性がその様な姿でフラフラして間違いが起きないとでも思っているのですかっ!」
と益々怒らせてしまったからもう面倒になってきた僕はどうすれば良いのか解らなくなり
「じゃあどうしたら良いの?」
と聞いたら溜め息を吐いた彼女は暫く考え込みドレッサー中から短いマントとビキニのブラに巻きスカートを出すと僕の身に付けサンダルを差し出して僕に履くよう言った
勿論ブラを着けた事なんか一度も無いから彼女に手伝ってもらい僕は言われるままにサンダルを履いて立ち上がり彼女と二人部屋を出た
途中で見知らぬ男が僕の顔をじっと見ていたが僕が何かを言う前に
「全く…我が弟ながら不躾な男ですっ!」
と詰り僕に向かって
「お嬢様に対するご無礼大変申し訳有りませんでした…あの男には後でキツく注意しておきますから御容赦下さい」
と詫びられたが僕が気になっていたのは初めて見る顔なのに何故か知っている…
そんな感じがした事だ
そう、あの嫌味で気障ったらしいし視線に覚えがあるのだ…
(あいつは何者?今確か我が弟ながらって言ってたよな…)
僕は訝しげに男の顔を見たが解らなかった
「少し見ない間にすっかり娘らしくなったな」
たっぷりの皮肉が隠ったこの物言いに聞き覚えがあったから相手を睨み付けたら気が付いた
「あーっ!やっぱりお前だったのかぁ~!?思ってた通りの気障ったらしい顔してるなっ!」
と僕が言うと奴は口許を歪めフッと笑い
「だからと言って惚れるんじゃ無いぞ?」
と言われてフンッと鼻で笑って
「大丈夫だよっ!間違ってもそんな事にゃなるもんかってんだっ…行こうっ!」
そう僕は言い捨てて歩き出したが奴のニヤニヤした視線が無性に腹立たしく感じた
「貴女の弟?なら悪いけど僕の一番嫌いなタイプだから彼とは友達にはなれない
まぁ、仲間としては頼れそうだとは思わないでもないけどお友達にだけはなりたくないねっ!」
そう宣言したが彼女も
「大丈夫です、私もあの子とはソリが合いませんから…」
僕達は余り大きく無い建物から出ると明るい芝生の庭が広がっていた
僕はそれを一目見たらなんだか無性に嬉しくなって駆け出してしまった
呆れる彼女の視線全く意に介さずに…
が…何て事だ少し走ると見事に…それもど派手に…もう無様なと言っても良い位に…後なんと付け足したら良いのか解らなかった…
あぁ…惨めな…他に何か有ったっけ?
とにかくどうしようもなく恥ずかしかったんだけど…
一番気に入らないのが転がっている僕に手を差し出したのが笑いを堪えながら駆け付けたあいつだと言う事だ
僕は赤くなって痛む鼻の頭を押さえながらあいつの手払い除け何とか自力でた立ち上がった
顔から火が吹き出しそうな位恥ずかしたのに…
「やれやれ…すっかり嫌われてしまったみたいだな」
とおどける仕草も鼻につく
何だろう?気分が悪くなってきて頭が重い…
もしかして目眩なのかな?
立ち上がったばかりなのになんか立っているのが辛くなり膝が折れ僕は再び顔面から地面にキスする所だったのを奴が救ってくれた
「有り難う…」
辛うじてその一言を言えた僕は意識を失いまたしても奴に世話を焼かせることになってしまった
重度の貧血…それが今の僕の症状なんだそうだ
おまけに原因不明の高熱まで出てるし…
(あぁ…煩い、さっきから飯食え飯食えって…食欲無いんだよっ!)
ガチャガチャガチャガチャッと耳障りな金属音が聞こえ続けて怒鳴り合う声
益々意識の混濁してきた僕には会話の(そんな穏やかな雰囲気じゃないけど)内容は聞き取れないけど大多数の声は僕を歓迎してないのは解る
何よりこんな喧しいとこじゃあ静かに眠れやしない
別に来たくて来た訳じゃない僕にここに居たい理由はない
何とか立ち上がりふらつきながらもなんとか歩ける
(確かこの部屋は3階に有ったっけ?じゃあ窓から出るのが近道だ)
そう考えた次の瞬間に猛烈な悪寒を感じた
そう、今まで僕を苦しめていた高熱を吹っ飛ばす位のだ…だからボクは踵返してボク以上におバカな連中の前に行き
「僕が邪魔なら出てくから心配しなくて良いよ…
でもね…この邪悪な気配を感じないの?そんなつまらない事を言い争ってる時じゃないはずだっ!」
「それは本当の事…」
全くまだ気付かないのか?そう思いながら
「煩いっ!僕は静かに眠りたいだけなんだよっ!とてもじゃいけど寝付けたもんじゃないんだけどさっ!
だからあんた等の下らない言い争いなんか聞いてたく無いから出てく所だった足を止めて教えたんだ
信じないならもう良い
今の僕にはあんまり余裕は無いんだからこのまま出て行くけど信じて迎撃体勢を取るのなら一宿一飯の恩義位は感じてるから手伝うけどどうすんのさっ!」
苛立った僕がそう怒鳴るとやっと冷静さを取り戻した男達が軍人の顔になり
「敵の規模は?」
やっと敵の接近に気付いたらしく方角とかは聞いてこない
「30~40体位で僕同様に翼を持つ者達だから空を飛んできてる…大きさはあんた達より頭ひとつ大きい位だな…
でも…強いよ、多分ね…僕と同じく人間じゃない奴等だからねっ」
と僕は吐き捨てる様に言ったが僕の看病をしていたしていた女性が何かを言おうとしたけど僕は首を横に振り
「少なくとも僕の居た世界なら立派な化け物さ…人間に翼はないんだからさ」
皮肉な笑いを浮かべる僕の顔を悲しそうな顔をして見詰めているが僕には関係ない
「離れて…」
僕に近付こうとした彼女を制し僕は頭の中に響く声のままに精神集中をすると何処からともなく現れた現れた胸当てとバックラーを身に付け
背には弓と矢筒、腰には細身の剣を携えている姿になった
「大丈夫、貴女はちゃんと僕が守ってあげるから」
そう言って笑っても上手く笑顔にはなって無いんだろうな…
彼女の顔の哀しみは益々深くなっていたのだから
闇と影が再編集にてこずりこちらをリリースしました