作:お手柔らかに

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黄泉路④

今、私は呪術の力を得る機会をえましたがその力を得る代償に失う物が有るのかも知れませんしその力を以てしても翼様の事を守れないのかも知れません」

目を閉じて話を続けるディアナ

「ですが今力を得ずにあの時力を求めていれば良かった…そんな後悔だけはしたく有りません

ですからペルセポネー様…私をお導き下さいわたしが力を得られる様に…」

「翼と同じ様な事とをい言うのだな…姉貴」

アーチャーがポツリと呟いた

「翼様と?翼様は一体なんと…」

遠くを見るように天井を見上げ

「アレは翼がこの世界で生きる事を選んだ時の事だ…

翼が俺に名前を聞いて欲しいと言いそれを俺と共に聞いていた魔女が翼に言ったんだ…

そんな簡単に決めて後悔するんじゃないよと」

続きを促すペルセポネー

「そう言われ翼は言ったんだ…

[どっちを選んだってきっと後悔するんだろうから僕は自分が思うように生きたい]

そう言ったんだ」

「翼がそんな事を…」

万感の思いでそう呟いた爺さん

「そんな翼だから俺も騎士の誓いを捧げたのだ…運命に身を投じる翼を守ってやりたかったからな」

「…………」

何かを懸命に考え込む王子

―解った…ではこちらに来なさい―

そう言うとディアナを別室に招くペルセポネーに皇子は

「私も導いては頂けませんか?ペルセポネー様」

そう願い出たがそれはあっさりと一言で断られた

―無理だ―と…

「くっ…私には何の力もないと言うのか…」

と王子は呻いたが

―そうではない、お前は未だその時を迎えてはいないし居ないしお前を導くのは私の役目では無いのだから今暫く時を待つが良い…解ったな?―

そう言ってディアナを見るペルセポーネに

「…わかりました…レイさん翼様の事を宜しくお願いしますね」

そう言って眠っているボクをレイに託すとディアナはペルセポネーの後を追って別室に消えた

暫くすると今度はレイに手招きをして

―ディアナは疲れて眠っているから媛巫女を連れてきて見守ってあげなさい―

そう言った

 

どれ位眠ったのかはわからないけど暫くはボーッなっててそのままの状態で僕とディアナは馬車で連れていかれた

僕とディアナはそのおぞましい邪気に気付き正気付いた

「気持ち悪い…」

青ざめた顔をして震える僕とディアナ包み込んでくれている爺さん

でも…目的地が近付き臭ってきた腐臭はどうしようも無かった

「シーロキュムラスさんは馬車で王子様とママとレイさんを守ってて

パパ抱っこして…お兄ちゃんはその後についてきて」

そう言うとぼくはじいさんの腕に抱かれ洞窟内へと入っていった

剣を片手に爺さんの前を歩くアーチャー

抜き放った剣は紅蓮の炎を纏っているため僕達の様子を伺うモノ達は恐れおののき近寄ることが出来ずにいた

近寄る事が出来ずに距離を置いてゾロゾロと僕達の後をつけてくるモノ達

洞窟長いトンネルが終わり大きな空間に出たその空間内を暫く歩くとそれは居た

アレはそう円月刀だったかな?

アニメやゲームではお馴染みの出で立ちの大男が仁王立ちで待ち構えていた

そいつは雷竜槍を背負う爺さんに一騎打ちの指名をしてきたから爺さんは僕をアーチャーに預けて一騎打ちを承けた

円月刀と長槍を操る二人の偉丈夫の戦いは迫力が有った

息を飲み見守る僕達の前に前に一人の剣士が現れてアーチャーに一対一の勝負を挑んできた

だからアーチャーは僕を地面に降ろして正々堂々の勝負に挑んだ

こちらはかなりの速度の戦いで僕の動体視力でギリギリ追うことの出来る早さだった

僕は二人のた戦いをただ見守るだけだった

でも…ずっと僕達の後をつけてきた奴等はそうじゃないみたいで独りになった僕を取り囲みゆるゆると包囲の輪を縮めてきた

ボウガンを頭上に放ち敵の一部を焼き払ってこう言った

「うるさいっ!つうちゃんパパとお兄ちゃんの応援忙しいからアンタ達と遊んであげる暇はないの、邪魔しないでっ!」と…

取り敢えずその不気味な連中を怯ませ撃退こそ出来なかったけど相手の動きは封じ込めた

その安心が油断になり足元を掬われた

アーチャーと剣士よりもっと早い敵が現れその接近に気付く事なく僕は呆気なく捕らえられてしまった真っ赤に染め答えに窮するつうちゃんを見ながら

「大叔父上はこの状況をどう判断すべきと思いますか?」

王子のその問い掛けに答えたのはペルセポネーだった

―要らぬ心配、翼の民の媛巫女は今こそ真の媛巫女に生まれ変わったのだからな―

一同の視線が何も知らない私に集まるけどそれには気付かずにレイと一緒に草の実を食べていた

ただちょっと可哀想なのがアーチャーでママ(ディアナ)の弟なのだから可笑しくは無いけれどおじちゃん呼ばわりは無いよね?いくらなんでもさ…

そんなのんびりした時の流れを邪魔する事態が発生した

「ペルセポネー様にご報告です

毒蜥蜴の群れが町を襲って来ますっ!」

それを聞いて立ち上がる少女は武装化すると槍を背中から外し横座りになるとまると槍はまるで魔法の箒のように私の身体を運んでくれた

私は一軒の住宅の屋根に降り立ち左の手首に装備されたボウガンに魔力を集中し命じた

―焼き払い燃やし尽くせ…フレイムアローっ!―

そう呪文を唱えボウガンを射ちまくった

でも…毒蜥蜴はまるで毒の川とでも言うように後から後からと押し寄せてきた

「どうしよう…つうちゃんの力じゃ足止めにもならない」

半べそかきながらそれでもフレイムアローを放ち続けた

(どうしよう…もう食い止められないっ!)

涙で霞む目はもう毒蜥蜴の姿を捉えることが出来ないでいたが諦めずにフレイムアローは放ち続けた

その時一陣の熱風が吹き抜け一気にかなりの数の毒蜥蜴を平らげた

(おじちゃん…え?)

「涙を拭きなさい…」

いつの間にか爺さんは小さくなった私を支えてくれていた

「つうちゃん強くない…だから…」

頬を濡らす涙を拭いもしないで背中の槍を再び手にし叫んだ

―目覚めよ雷竜の角…雷竜槍っ!―

僕の持つ槍に雷が落ち僕は全身にイカズチを纏いアーチャーを追った

炎を纏ったアーチャーはまるで炎帝の様に見えた

「おじちゃん格好良い…」

二人の活躍でまるで黒い川の様に見えた毒蜥蜴の侵攻を何の被害を被ること無く退ける事が出来た

僕はアーチャーに肩車してもらいペルセポネーの屋敷に戻ることにした

「お兄ちゃん格好良い」

僕はアーチャーの耳元に囁きそっとその額に口付けして

「これからもつうちゃんを守ってくれる?」

私がそう聞くとアーチャーは優しく微笑んで言ってくれた

「俺は翼を守る騎士だから当然だ」

と…

「お兄ちゃんはつうちゃんの騎士様?」

はにかむ私を不思議そうに見て

「?…どうした?翼…」

アーチャーが心配そうに聞くと

「うん、守ってくれる騎士様がいるってなんかつうちゃんお姫様みたいだなって思ったらちょっと恥ずかしくなっちゃった」そう言って舌を出して笑った

それを見て笑っているアーチャーと爺さんに

「お兄ちゃんとパパ酷ぉ~いっ!つうちゃん恥ずかしいの我慢して教えてあげたのあげたのにぃ~っ」

そう言って頬を膨らませたら

「何を恥ずかしがる必要がある?

お前は私達の可愛いお姫様なんだから胸を張りなさい」

面と向かってそんなこと言われたから頬が熱くなるのが解った

出迎えに来たレイが顔の赤い僕に気付いて

「翼ちゃん…お顔が赤いけどお熱が出ちゃったのかな?」

努めて明るく振る舞っているけど不安は隠せてなくて僕の額に手を伸ばしてきた

「ち、違うよっ!そんなんじゃない…パパが変なことゆーから…」

「翼が私達の可愛いお姫様と言ったのがか?

レイお前もそう思うだろう?」

(成る程そーゆ事か…確かにあれだけ正面切って言われたら誰でも照れるのに…でも…)

「その通りですよ、翼ちゃん…いいえ…翼様は私達の大切なお姫様ですよ」

そう言って微笑むから益々顔は紅くなり熱く火照って仕方無かった僕は俯いて

「お姉さんまでそんな…と…小さな声で呟くのが精一杯だった

僕達はペルセポネーの前に戻り今の異変に疑問があるから話を聞くと言う爺さんの意見を聞く事にした

「翼とアーチャーの活躍で何とか敵を退けることが出来たことをご報告します

ですが…毒蜥蜴のあの不自然な行動…アレは一体?」

―何者かに操られている…らしいとしか言いようがない

それ故その調査から始めて貰いたいのだが頼めるか?―

爺さんが「考える時間が欲しい」と言う暇もなく

「うん、良いよ」と答えた私に焦る爺さんは溜め息を吐き

「考えるまでもないか…」

と呟き

「調査からと言われましたが先ずは情報収集からで宜しいですな?」

爺さんは聞いた

―勿論先ずは我々が調べた情報から吟味して貰う…それで良いな?―

そう聞いた爺さんは頷いて

「承知した、賢明な判断に感謝する」

そう答えるのを聞き安心して隣の私を見たけどいつまでも頭を下げている僕を見てペルセポネーが

―翼の媛巫女よそろそろ顔を上げ顔を見せて欲しいのだが…―

そう言われても動く気配の無い私に気付いて私を見て呆れた爺さん

「申し訳ないないのですがペルセポネー様…翼は…媛巫女は眠ってしまっている…」

少し前から眠っていることに気付いていたペルセポネーの側近達は笑うのを我慢していた

ペルセポネーの側近の一人が私達に近付いてきて爺さんに「媛巫女様をお借りして宜しいですかな?」

そう断り爺さんが頷くと眠っている私を抱き上げペルセポネーの元に運んだ

寝ている僕をじっくり観察し受け取り改めて寝顔を見るペルセポネー…

―やはりな…―

「?、やはりとは一体?」

―ディアナ…と言いましたね?こちらに来なさい―

呼ばれて

ペルセポネーの側に寄ると

―そなたは翼の民の媛巫女の力になりたいと思うか?―

そう聞くと

「はい…ですが私には何の力も有りませんから出来ることは…」

俯いてそう答えるディアナに

―なんならお前の中に眠る力を目覚めさせてやろうか?

お前の母から受け継ぎし渡りの巫女の呪術の力をな―

「有るのですか?私にその様なモノが…」

勢い込んで聞くディアナ

―有る…それもかなりの力が眠っておる―

「そんな話…母から聞いたこと有りませんし…

ましてや…漆黒の森の魔女様からも何も聞いてませんが?」

ディアナのその言葉に

―お前の母はお前が呪術の力が目覚めることを望んではいなかったからな…

漆黒の森の魔女ならば気付いていたのだろうが簡単には出来ぬことだし未だお前の力は目覚めの時を迎えていなかったのだ

だが…運命が動き出し目覚めの時を迎えた今…妾はお前に問うこのまま普通の一人の女として生きる人生と渡りの巫女…呪術師となって翼の媛巫女と共に戦う人生のどちらを選ぶかを―

「母が亡くなり…後を追うように父も亡くなってからあからさまに疎まれる様になった私達姉弟は…

今更聞かれるほどの事はありません

翼様の帰る場所になりたい私達は同時に私達の帰る場所も翼様の元にしかないのですから…

翼様と共に戦う運命を選びます」

そうディアナは力強く宣言した

―ディアナよ…後悔はしないな?―

念を押すペルセポネーの問い掛けに

「私は出来なかった事を悔やむよりしなかった事を悔やむ生き方をしたいのです

今私は呪術の力を得る機会をえました…

その力を得る代償に失う物が有るのかも知れませんし…

その力を以てしても翼様の事を守れないのかも知れません」

目を閉じ話をするディアナ

「ですが今力を得ずにあの時力を求めていれば…そんな後悔だけはしたく有りません

ですからペルセポネー様…私をお導き下さいわたしが力を得られる様に…」

「翼と同じ様な事とをい言うのだな…姉貴」

アーチャーがポツリと呟いた

「翼様と?翼様は一体なんと…」

遠くを見るように天井を見上げ

「アレは翼がこの世界で生きる事を選んだ時の事だ…

翼が俺に名前を聞いて欲しいと言いそれを俺と共に聞いていた魔女が翼に言ったんだ…

そんな簡単に決めて後悔するんじゃないよと」

続きを促すペルセポネー

「そう言われ翼は言ったんだ…

[どっちを選んだってきっと後悔するんだろうから僕は自分が思うように生きたい]

そう言ったんだ」

「翼がそんな事を…」

万感の思いでそう呟いた爺さん

「そんな翼だから俺も騎士の誓いを捧げたのだ…

翼を守ってやりたかったかったからな」

「…………」何かを懸命に考え込む王子

―解った…ではこちらに来なさい―

そう言うとディアナを別室に招くペルセポネーに皇子は

「私も導いては頂けませんか?ペルセポネー様」

そう願い出たがそれはあっさりと一言で断られた

―無理だ―と…

「くっ…私には何の力もないと言うのか…」

と王子は呻いたが

―そうではない、お前は未だその時を迎えてはいないし居ないしお前を導くのは私では無いのだから今暫く時を待つが良い…解ったな?―

「…解りました…レイさん翼様の事を宜しくお願いしますね」

そう言って眠っているボクをレイに託すとディアナはペルセポネーの後を追って別室に消えた

暫くすると今度はレイに手招きをして

―ディアナは疲れて眠っているから媛巫女を連れてきて見守ってあげなさい―

そう言ったどれ位眠ったのかは解らないけど暫くはボーッなっててそのままの状態で僕とディアナは馬車で連れていかれた

僕とディアナはそのおぞましい邪気に気付き正気付いた

「気持ち悪い…」

青ざめた顔をして震える僕とディアナ包み込んでくれている爺さん

でも…目的地が近付き臭ってきた腐臭はどうしようも無かった

「シーロキュムラスさんは馬車で王子様とママとレイさんを守ってて

パパ抱っこして…お兄ちゃんはその後についてきて」

そう言うとつうちゃんはじいさんの腕に抱かれ洞窟内へと入っていった

剣を片手に爺さんの前を歩くアーチャー抜き放った剣は紅蓮の炎を纏っているため僕達の様子を伺うモノ達は恐れおののき近寄ることが出来ずにいた

近寄る事が出来ないけど距離を置いてゾロゾロと僕達の後をつけてくるモノ達

洞窟長いトンネルが終わりを告げ大きなホールに出てその空間内を暫く歩くとそれは居た

それが肩に担いでいるアレはそう…円月刀だったかな?アニメやゲームではお馴染みの出で立ちの偉丈夫が仁王立ちで待ち構えていた

そいつは雷竜槍を背負う爺さんに一騎打ちの指名をして挑発してきたから爺さんは僕をアーチャーに預けて一騎打ちを承けた

円月刀と長槍を操る二人の偉丈夫の戦いは迫力が有った

息を飲み見守る僕達の前に前に一人の剣士が現れてアーチャーに一対一の勝負を挑んできたからアーチャーは僕を地面に降ろして正々堂々の勝負に臨んだ

こちらはかなりの速度の戦いでつうちゃんの動体視力でギリギリ追うことの出来る早さだった

つうちゃんは二人のた戦いをただ見守るだけしか出来ずにいたし見守っているのにでも…ずっと僕達の後をつけてきた奴等はそうじゃないみたいで独りになった僕を取り囲みゆるゆると包囲の輪を縮めてきた

ボウガンを頭上に放ち敵の一部を焼き払ってこう言った

「うるさいっ!つうちゃんパパとお兄ちゃんの応援忙しいからアンタ達と遊んであげる暇はないの、邪魔しないでっ!」と…

取り敢えずその不気味な連中を怯ませ撃退こそ出来なかったけど相手の動きは封じ込めた

そう安易に思ってしまった慢心が油断になり足元を掬われた

アーチャーと剣士の二人よりもっと早い敵が現れたけどつうちゃんはその接近に気付く事なく僕は呆気なく捕らえられてしまった

(ごめんなさい…パパ、お兄ちゃん…)

薄れ行く意識の中で二人に詫びるボク

そんなボクに気付いた二人共に武器を投げ捨てやむ無く投降した

二人は武器を奪われ屈辱的な囚われの身となってしまったのだから迂闊な自分が許せなかった…ゴメン、つうちゃん「捕らえたのはこの三人だけか?」

首領らしき者の前に放り出された僕達が最初に聞いた言葉だ

「翼の民の媛巫女とその従者が来るのでは無かったのかっ!?」

その耳障りな声の主が喚き散らすのを聞き流しながら

(うるさいなぁ~…つうちゃんお寝むなのに…)

当て身を受けて意識を失った事等すっかり忘れているおめでたい私(まぁそこがボクの良い所なんだけどさっ♪)

ってちっとも良くないのに眠り続ける姿を見て癇癪を起こしたそれが

「いいがげんだだぎおごぜっ!」

そう部下に怒鳴り付けるとそいつらは最初は

「おい、いい加減に目を覚ませ」

って声を掛けるだけだったんだけど一向に起きる気配のない私に主同様に癇癪を起こして私のお腹に蹴りを入れたんだ

私の身体が何メートルも飛ぶ位のけりをね…

「痛い…」

何事も無かったようにゆっくりと立ち上がった私は寝起きの不機嫌さから目が完全に座ってて…

「もうつうちゃん本気で怒ったもんねっ!」

私の身体が放電を始めイカズチを纏い戒めを解くと二人の槍と剣を呼びだした

―雷竜槍っ!イーゴリー・ストラヴィンスキンっ!―

勿論主達の戒めを解いたのは言う迄もない事でさっき私を捕らえた敵は再び私に当て身を入れた…筈だった

でももう同じ手は喰わない…

イカズチを纏った私の身体に触れた腕は一瞬で消し炭になり私の身体に当たった瞬間にくだけ散った…

但し…衝撃波までは打ち消してくれないから今の私の小さな身体は再びかなりの距離吹き飛ばされちゃったんだけとね…

「翼っ!大丈夫かっ!?」

爺さんの心配を他所に瓦礫の隙間から顔を出して

「爺さんの雷竜槍が目覚め始めてるから声を掛けてあげて」

そう言われて困惑の表情で

「私はその様なものは知らんぞ?」と…

そんな爺さんに構わず

「久し振りだねアーチャー…約束守ってくれて有難う

爺さん何のために僕が居ると思ってるのさ?翼の媛巫女が?」

そう言うと驚いて目を見開いている爺さんに構わず

「僕に続いて雷竜槍覚醒の呪文を詠唱してっ!」

そう叫ぶと

―我雷帝の血を引きし雷帝の子なり

目覚めの時来たりし今我は雷帝の名に於いて命ずる…

雷竜より賜りし雷竜槍よ、目覚めて我に従え―

最初は戸惑っていた爺さんも契約の呪文を詠唱し終えた

「さあ仕上げた、槍の胴を持ち頭上に掲げ持ち雷竜槍と叫んで」

―雷竜槍っ!―

叫んだ爺さんに呪文の詠唱中に湧き出していた雷雲からイカズチが槍に落ちた

「つ…翼っ…これは一体…?」

緊張の面持ちのアーチャーに

「イカズチの洗礼を受け今爺さんは雷帝として目覚めようとしている

アーチャー、後の事は頼む…」

一度目を閉じて回りを見回りを見回してみる

「?、?、?」

(あの仕種は自分の事をつうちゃんと呼んでる翼のだ…)

「お姉さんは?」

(お姉さん…か…)

「お姉さんならもう帰ったよ…翼の事をくれぐれも頼むと言ってね…」

そう言われて

「そうなんだ…つうちゃんお姉さんにばいばいしてないのに…」

そう言われてもアーチャーにどうにか出来るわけ無い話だけどね

イカヅチの洗礼を受けた爺さんはもう爺さんと呼べない若々しい青年に若返っていた

勿論本人は未だその事に気付いて無いけど心配になったアーチャーが

「雷斗公、身体はなんともないのですか?」

そう聞かれた爺さんは手足を動かしてみて

「全く問題ないばかりか若返ったみたいに身体が軽い」

そう言って槍を構える爺さんを見て嬉しそうに

「うん、格好良いパパがもっと格好良くなったよ」

そう言って私にしがみつかれ相好を崩す爺さんは

「パパが格好良くなったのかね?」

そう聞かれた私は

「うん、つうちゃんもパパのお嫁さんになりたい位に格好良いよっ!」

私にそう言われて嬉しそうに

「そうかそうか」

そう言って頷く爺さんを苦笑いしながら見守るアーチャーは

「今はそんな場合じゃ無いんだけどな…」

そう口の中で呟いた

「アーチャー君この場の敵を一掃する、ついてきなさい翼は危なくない所に隠れてるように」

その言葉が面白くない私は

「つうちゃん守られてるだの娘じゃないんだけどなぁーっ…」

そうぶつぶつ言いながらも自分からは見通しの良い窪地を見付け身を潜め様子を伺った

この部屋に異様な違和感を感じたからだけど多分生身のボクはそこまでは理解していないんだろうね

まぁそれはそれで良いんだけどさ…

それは今のボクにはもう関係ない事なのだから

アレはもうボクであってボクじゃない…ボクにはもう帰る処が無いのだから…

がまぁそれは置いておくとして今はもう一人のボクのサポートに徹しよう

そう考えたボクは改めてこの部屋の全てを見回してみる

その違和感が何なのかを知るために…

でもそれは中々見付からず悪戯に過ぎていく時間に焦る僕…

(落ち着け…元々向いてない頭脳労働だからそう簡単に見付かる訳無い)

そう自分に言い聞かせて思考を集中した

(アレか?)

何も無いはずの空間にホンの小さな歪みを見付けボウガンの矢を数発撃ち込ませた

するとガッ、ガッガッガッと何かに突き刺さり空間にヒビが走る

「何故バレたと言うのだ?」

う~ん…逆に何故バレないと思っていたのかが僕には不思議で仕方無いがまぁ放っておこう

槍を手にして一気に詰め寄ると敵もいきなり増殖した

でもいち早くそれに気付いた爺さんとアーチャーと合流した僕は最大級のイカズチ放って対抗した

ずるっ…ずるっ…と耳障りな音が聞こえてきた

それと共に生臭い不快な臭いも…

「ず…ずごい魔力をがんじる…おばえうまそうだ…」

耳を覆いたくなるような不快な声で愉快とは言えない事を言われ総毛だった

―こいつは一体何者?―

その余りに強い思いが

「貴方は…誰?」

とその答えを余り聞きたくないような質問をさせてしまった

「じりだいが…」

そう聞かれて

「聞きたいような…知らない方が良いような…つうちゃんしらないよっ♪」

無垢な笑顔をそれに向けた

おぞましいほどの喜悦の笑い声を上げ

「おじえでやろう…わじの名を…」

そう聞いて爺さんとアーチャーが自分の耳を塞いだ

「わじの名は腐食の王ファーゴサイト…あらゆる物を腐らせて食らい尽くす者也」

驚きの表情を見て喜ぶ奴に

「腐った物を食べてもお腹痛くならないの?」

「……………」

―そこに驚いてたのかよ?―

そう突っ込み入れたいボクとは対照的に怒りに震える奴

そりゃそうだろうな…

大の男の爺さんやアーチャーの青ざめた顔を見ればどんな反応を期待していたのかは想像に難くない

でも悪いけ元々どこの世界の住人ではないボク等がアンタの名の恐ろしさを知るわけ無いんだよねっ…

「ぎ、ぎ様っ…わじがおぞろじぐないのが…」

そう凄まれたけど生身の僕はにこやかに笑うと

「知ぃーらなぁ~い」

と言うと高く飛び上がると槍を思い切り振り上げ目一杯魔力と体重を乗せ敵を貫き槍にイカズチを身体に集めさせ後から後からと槍に注ぎ込んだ

プスプスと黒い煙と鼻を突く異臭を放ちただの焼け焦げた塊になった奴

「雷竜姫槍っ!」

その呼び声に応え手元に帰って来た槍

「帰ろう…パパ、お兄ちゃん」

そう言って倒れ込む僕の元に慌て駆け寄り抱き止めた爺さん

「大丈夫だ、寝息をたてている…疲れて寝ているだけなのだろう…」

それを聞いて安心したアーチャーが

「取り敢えずここを出ましょう」

と言うアーチャーの意見に従う事にした爺さん

一旦馬車に戻り休む事にしようと急いで戻った 

 

馬車で待っていた四人に爺さんとアーチャーが代わる代わるに中で有った事を話し…そして…

「アーチャー…あの時の翼は一体?」

とあの時感じた疑問をぶつけてみた

「アレは雷人公は勿論王子も会った事の無いハズの翼だ」

そう言われても理解出来ない二人は

「翼が何人もいると言うことか?」

王子が聞いてきたので

「レイさん…貴女もそう感じないか?

まるで翼が何人も居るように思える程の変貌を見てる筈だ」

そう言われてレイは

「少なくとも私は4人の翼様がいるような気がする位に別人に会っている気がします」

レイはそう答えると

「では聞くがアーチャーよ、あの時の翼は一体誰だと言うのだ?」

その問いにアーチャーは誇らしげに俺が最初に会いそして誓いを捧げた…

口が悪くて可愛いげ無い憎まれ口ばかりを叩く女だと思わずにはいられない…そんな翼だ」

そうアーチャーが言ったらディアナも

「自分の事を僕と言い半裸で外に出ようとする困った方です」

そう言って溜め息を吐いたその時だった

馬車の有った地面がポッカリ口を開けその中に落ち込んだのだ

ボク達を乗せた馬車は常闇の中に吸い込まれていった

 




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