翼 作:お手柔らかに
カムバック?
①カムバック
ドサドサドサッと異次元空間から吐き出され物質界に現れた僕達は重力に引かれそのまま落下した
その際、仲間達が身体のどこかしこを打ち付け呻く中幸い無事に軟着陸の僕は見覚えのある景色に悪い予感がしていると
「 お、お前…翼、か? 」
その聞き覚えのある声に思わず身体が固まる僕は
「 つ、翼…ですか?私はそのような男の子など存じませんけど… 」
と、うっかり口を滑らせると
「 私は翼が男の子とは一言も言ってないがな? 」
そう言われて益々焦る僕は
「 わ、私にはきょーこが言ってる意味がさっぱりわからないのですが… 」
更に墓穴掘る言葉に溜め息を吐くと
「私は未だ名乗ってもいないはずなんだがな… そもそもその呼び方を許しているのは唯一人で、弟のように可愛がってた幼馴染みの翼だけなんだがな? 」
そう言って背けていた僕の顔を正面に向き直させ見るきょーこが再び溜め息を吐き
「 詳しい事情はおいおい聞くとして、まずは立ってやれ…でないとお前の尻に敷かれてる奴がじきに恥ずか死ぬぞ? 」
そう言われて立ち上がると顔を真っ赤にしてぜいぜい喘いでるその男に
「 お前、人の尻の下でいったい何やってるのさ?そーユー趣味なのか? 」
ボクにそう言われ倒れた時に打ち付けた頭を擦りながら、頭から湯気を出してるんじゃないかって剣幕で
「あ、貴女の方こそいきなり人の顔の上に座り込むなんて失礼極まりないで…ってまさか翼?
モロッコに行ってるって噂は本当… 」
めきゃ…僕の怒りの鉄拳が顔面にめり込んで
「 誰が性転換手術受けたんだよ?マジ殴んぞっ!それに僕は… 」
そう言い掛けた僕は物凄い悪寒と共に鳥肌が立ち
「 翼ちゃーんっ♪ 」
と、紫色の声で僕の名前を呼び恐るべきモノが僕に抱き付いてきた
きょーこ以上に苦手なその人物はきょーこより三個上の先輩で小南さんって人だ
「 貴方、ずいぶんご無沙汰だったんじゃないのぉ?って何か元から可愛かったけど益々女の子らしくなったんじゃないあかしら?背も縮んじゃったような… 」
ぐいっと自分の方に僕を振り向かせじろじろ眺めてそうゆー小南さんに
「あ、当たり前でしょ?つうちゃん女の子なんだもん… 」
思わず口走っちゃた自分の言葉にハッとして両手を握り口の前に持っていって更に落ち込む僕だけどその思いとは裏腹に
「 私が自分の事つうちゃんって言ったらいけないの? 」
僕の顔を見ながらニヤニヤしてるきょーこに言うと
「 つうちゃん…ね 」
と、面白そうに口の中で反芻してるからそれが面白くない僕が
「 きょーこっ! 」
そう叫ぶとぽぉーんっ!と弾ける音がして室内に煙が充満した
なかなか消えない煙をきょーこが指示し扇風機で吹き飛ばすと中から現れた僕はつうちゃんモードになっていた
白銀の翼を背負いし身長百センチくらいの少女… それが僕のつうちゃんモードで
「 よりにもよってここの連中にこの姿を見られるなんて不覚… 」
何て呟きを聞いた小南さんが
「 つうちゃん、梗子達はこれからいつものコミケなんだけどいつものバイトする?
見るからに異邦人って感じの彼らはお金も無きゃ今夜の宿すら無いんじゃないの? 」
不安そうなレイとディアナに
「 どうやら見知った世界みたいだから心配しなくて良いよ
わかった…で、会場までどうやって行けってゆーのさ?
さすがにこの姿でバスや電車は勘弁だし小南さんの幌なしトラックもヤだぜ? 」
ずり落ちそうなドレスを気にしながら言うと
「それについては私に任せなさい
それより貴方達も一緒に来なさい…
特殊な集まりとはいえその格好でいても差し支えないからこの世界に少しは馴染めるんじゃないの? 」
そう言って案内された先には一台のデコトラとプレハブを積んだクレーン付きトラックにマイクロバスが止まっていたけどデコトラを見て僕は赤面した
「 プリンセスN…私達のお姫様で彼女が居る居ないじゃ集客力が全然違ってて芸能界からのオファーも本当に凄かったのよ 」
小南さんのその言葉に一人の女子が
「 私がこの大学選んだのも彼女がこの大学の関係者って噂を聞いたんですけど…
それらしい人は見掛けませんし二月を最後に姿を表さなくなりましたよね? 」
寂しそうに言うその言葉に
( そりゃそうだろう、その前の日の晩にクソ親父と最後の喧嘩してそれまで溜め込んだ金と最後のギャラを持って打ち上げの後この街を離れたんだからな… )
そう追憶に浸りながらここに現れたときから感じていた違和感は益々大きくなり
「 ……… 」
考えがえ込む僕に気付いたきょーこが
「 翼…どうかしたのか? 」
訝しげに小声でそう聞いてきた梗子に
「 条件が二つ…二度とその名を口にするな… 僕は名を捨て過去を捨てたんだからな
僕の名はリンク・リンクス・リンクルだからリンクと呼べば良い
もうひとつは今更あの女に会う気はないから余計なことはするな」
一瞬浮かべた険しい表情…
その変化に気付いたのはボクと小南さんとシーロキュムラスの三人だけのほんの小さな変化は無視
「 それを約束してくれるなら今日の仕事、気合いいれるんだけど? 」
僕のその言葉に頷くきょーこと小南さんの顔を見て
「 なら良い…戦いの日々と貴族との付き合いに疲れてたから久し振りに弾けるのも悪くないしね 」
そう言うと支度中のきょーこに小声で
「 理由を話したいから小南さんと三人だけになりたい… 」
そう告げるときょーこは小さく頷いてそのように手配してくれた
小南さんが運転するデコトラの中
「 僕の名は確かに天野翼… だけどアンタ等の翼じゃない
アンタ等以外の人には理解してもらう気も説明する気もないけど…
所謂パラレルワールドとか平行世界… 別世界から来たんだよ
アンタらの天野翼は未だ奥羽三山の山中を彷徨いてる筈だよ…かつての僕がそうだったようにね
僕は雪がチラつき始める頃までは元の世界に居たんだからさ
それに僕達異分子がいつまでこの世界に存在を許されるかも判らない状態で再会し再び僕が消えたら… あの人耐えられるって思う? 」
僕の言葉に表情を歪め黙り込む二人に
「 知らない方が幸せなんだよ… 」
僕はそう呟くのが精一杯だった
様々なコスプレイヤーが行き交いその姿がハマってる人の周りにはにカメコが群がり残念な人は相手にされなくその一部はカメコを追いかけ回してる
そしてこの僕、翼は白銀の翼で宙を舞いコスプレ喫茶のウェイトレスを勤めている
勿論この世界に住む人達に羽はないけど二次元の世界が好きな人達だから殊更騒ぐこと無く僕をうけいれてくれた
定期的に行われるこのコミュケの常連で南南大複合創作同好会が出店してる店なんだけど大学公認の会でないから当然予算は出ない
その為の活動資金稼ぎの場であり自分達の作品の発表の場でもあるこのコミケに掛ける意気込みは半端無い
以前は謎の美少女プリンセスNと呼ばれるウェイトレスがナンバーワンだったらしいけど姿を消してしまい今回店に現れた僕はNの再来と騒がれている
もっとも、背が縮み背中に生えた翼で飛ぶ僕がそのN当人と気付く人も居ないだろうけどね
この店のシステムはドリンクにそれぞれ担当者の写真が張り付けてありそれが人気投票権となっていてオーダがひとつ入る毎に一票入る仕組みになっている
勿論、この僕がぶっちぎりのトップで一品目は本当に飲みたい物を頼み追加オーダーでオレンジペコと軽食を頼むから僕は朝からてんてこ舞い
そして、本日最初のサービスタイム
ぎりぎり入れ替えに間に合ったので最初のお客様にあの名作アニメの歌を歌いなからのキャンディサービス
篭一杯のキャンディをお客様に配る僕はまさに幸せのキャンディを運ぶ娘なのさ
僕のその立ち居振る舞いを見た待ち客は更に長く居座れるように単価が高く尚且つ調理に時間の掛かるオーダーを注文する
まぁそのお陰で僕も少しゆとりが出来たから、アイスティーを貰って飲んでたら再びオーダーが入り始めて忙しくなってそのまま忘れちゃった
でも…その飲みかけのアイスティーをお金払って飲んだ人が居るって聞いた時にはさすがに引いたしそのグラスを持ち帰ったと聞いた時には言葉もなかった
隣のブースでフランクフルトを出してるお店のお兄さんが、 「 冷めない内にどうぞ 」 ってくれたから有り難く貰って食べてたら何か知らないけど人が一杯集まってきて僕の口許を見てる
その視線に減なりして食欲を無くした僕は裏方の男子に
「あ、あんた山谷っていったけ?食べ掛けで悪いけど何か食欲無くなったから残り食べて…」
そう話し掛けたら
「あ、僕が欲しい」
「私が欲しいっ!」
「お金払うから譲ってください」
って騒ぎになったからとにかくその山谷に押し付けて店に戻ったんだ
「 はぁ、なんなんだよ? 全く… 」
訳のわからない疲労感から愚痴をポツリと溢すと
「 リンクちゃん…可愛い過ぎるって罪よねぇっ♪ 」
マリー・アントワネットのコスプレをした小南さんが紫色の声でそう僕に話し掛けてきたけど未だに自覚のない僕は曖昧に笑うしかなかった
その姿に相応しく、そっちのシュミの人で昔はよく追っかけ回されて閉口したもんだけど…今はそのシュミの対象外になったから安心して近付けるんだよね
もっとも、コスデザイナー目線では可愛い女の子達も大好きだし怖いところもあるけど基本的には後輩の面倒見の良い人だから後輩からも慕われてる
特にコスプレ衣装のデザイナーとしてのセンスは抜群で僕の見たところではサークルの後輩の女子達が小南さんを見る目は尊敬の眼差しだし僕も苦手ではあっても嫌いじゃない
ただ、小南さんの趣味を知らない僕に惚れてる二人の男達は不快感も露に小南さんを睨み付けてる
まぁこの誤解は小南さんの趣味嗜好を理解すればすぐ解けるから放っといても問題ない
問題はむしろ、お湯が全然間に合わないとゆーこの現状
持ち込めるガスコンロには限りがあるから当然一度に沸かせるお湯の量に限りがある訳で…
そこで近在のブースにお湯を沸かしてもらう代わりに僕が各ブースを飛び回りうちでも注文を受け買い付けてお客様の元に届けることにした
そんな状況に気付いた実行委員が店の前にシートやらベンチやらを用意してくれたもんだからひいひい言いながら文字どおり飛び回っていた
想定外の事態に売り切れ店続出で色んなプレゼントやら差し入れを貰い会の方には僕へのオファーがひっきりなしに来てたらしい
差し入れのアイスキャンディを幸せそうな顔で食べる僕とその僕を激写するカメコ達
騒ぎに気付いたアニメファン以外の人達も次々に訪れて益々収拾がつかなくなり
僕に会を通じて撮影会も兼ねたアニソンのミニコンサートを開きたいと言われてヒロインを歌った曲を何曲か披露した
僕が身に付けているレイが作ったアクセサリーは飛ぶ様に売れ完売だけじゃ足りず大学の方に買いに行くから作って欲しいと言われてた
僕に対してはサークルを通してアニメ誌の編集者の取材等々が有ったりともう大変だったんだよね
それでも何とか無事に一日を終えた僕達は小南さんのプライベートガレージで打ち上げをする事になったんだ
折角この世界に来たんだから久し振りに生ビールが呑みたい…つか呑んでも良いよね?
一杯位さ…今日は僕だって一日中頑張ったんだから一杯位飲んだって罰は当たらないよね?
そう思ってビールに手を伸ばしたら怖い顔で睨まれ取り上げられ
代わりに可愛らしいマグカップに入った熱々の甘いミルクココアを渡されブーッと頬を膨らませる僕はそれを無意識のうちにやってた
猫舌の僕がそのココアの熱さに閉口していると
「リンクちゃん、それ貸して」
と、言ってココアを受けとると代わりに息を吹き掛けてココアを覚ましてくれる一回生のアヤちゃんだ
僕はココアが冷める間にと思って彼女が用意してくれた梅干しのお握りと漬け物に手を伸ばしたんだ
最初は微笑みを浮かべ、その様子を見ていたきょーこの顔がひきつり
「 あ、アヤ…あの漬け物はもしかして粕漬けか? 」
事情を聞いてないアヤと酒粕を知らないディアナ達がキョトンとする中酒粕で酔っぱらった僕はすくっと立ち上がると
「 一番会員ナンバー一一九番リンク、セーラー服を脱がさないで歌いまぁーすっ♪ 」
そう言ってカラオケで歌い始めたんだけどその事態を知らないアヤと容子ったかな? の三人で振り付きでノリノリでね
歌い終えた僕達はハイタッチで
「 イェーイッ! 」
と、歓声をあげ三人で抱き合って喜びあった
「 梗子先輩、来月のコミケのコンセプトを高校の学園祭風にしませんか?
私の出身校の制服はセーラー服でしたからよろしかったら一度持ってきますけど… 」
そー言われて
「 そー、セーラー服が無い子達にはセーラー服のヒロインの着てるのを用意しますから学園祭っぽいレイアウトにするのは面白いかもしれないわね?
さしずめ貴女は男子生徒に人気ナンバーワンの美人教師ってとこ? 」
そう楽しそうに笑いながらシーロキュムラスさんを見る小南さんに向かい嫌そうな顔をして溜め息を吐くシーロキュムラスさんだった
そして僕はと言えばすっかり酔いが回ってしまい例によって暑い暑いと喚いて服を脱ぎ始めるとアヤちゃんが慌て抱きすくめ止めにかかったんだけど…
例えその身が小さな少女であっても戦士の僕をアヤが止められるわけもなく小南さんが慌ててアヤちゃんと交代して僕を取り押さえた
暫くは無駄な抵抗を繰り返しなんとか小南さんの腕から逃れようともがいたんだけどやがて疲れはてて眠りに落ちたそうだ
その僕の寝顔を見ながら
「底無しの大酒呑みだったのに…』
寂しそうにそう呟く小南さんに驚いた顔のレイが
「そうなのですか?私達の知る翼様は極微量のアルコールでも酔ってしまいその酒癖の噂を聞いた貴族達の勧めるお酒を断るのが私達の務めでしたから…」
そう言って溜め息を吐くとディアナとレイ小さく頷いて溜め息を吐いた
その翌朝、僕達は朝食の後に和泉家の大婆様と面会したんだ
たしか最後にあったのは僕の七五三のお祝いの席に顔を出していただいた時のはずでいっちゃなんだけど未だご存命なのにちょっと驚いた
なんせきょーこの曾祖母に当たる方なんだからさ
大婆様は僕達を見てきょーこのお母さんの桔梗さんになにかボソボソ話し直ぐに退出した
桔梗さんは桔梗さんで雷斗公とシーロキュムラスにきょーこの三人を呼び話し合った後きょーこだけが僕達の方に来て僕達に退出を促した
その後一旦宛がわれた離の部屋に戻り
「 私は部室に顔を出し午後の講議に出るがお前はどうする? 」
そう聞かれて
「 久しぶりに学食のオムライス食べたいよっ♪ 」
って答えたら
「 いつものようにバイクだが平気か? 」
何て聞くから
「 運転しろってンなら無理だけど後なら平気、つか久し振りに乗せてっ♪ 」
って答えると嬉しそうに
「お前乗せてると二人揃ってと言うよりお前をナンパしてくる奴等が絶えないんだよな」
笑って言うから
「大丈夫、つうちゃんモードのボクをナンパしてくるロリコンなんてそうそう居やしないだろ?」
って笑って答えると、渋い表情で男逹が溜め息を吐いた
小さく纏めてあっても白銀の僕の翼はよく目立って仕方無いからなるべく目につかないように長目のポンチョを羽織ってきょーこの背中にしがみついていた
キャンパス近くでアヤを見掛けたボクはきょーこに合図して彼女の近くで止めて貰うと
「アヤちゃーんっ♪」
急いで脱いだヘルメットをきょーこに渡しそう叫んで飛び付いた
「任せる」
そう言い残し駐輪場にバイクを走らせるきょーこを見送り
「今日は学食のオムライスを食べに来たんだっ♪」
ボクが嬉しそう話し掛けるとアヤは難しい表情で
「確か梗子先輩って午後からの講議のはずじゃあ…」
って呟くのを聞いたボクは
「部室に行けば誰か居るんでしょ? リンク良い子にしてきょーこおねぇさん待ってるからへーきだよっ♪」
って笑って言ったら嬉しそうな声で
「 そうだね、私も今日は朝の講義しか入ってないから昼食を済ませて部室に顔を出すつもりだったからお昼も一緒して良い? 」
って話してるとアヤと同じ一回生の容子も来て
「 リンクちゃん来てくれたんだね、私もアヤと同じで朝の講義しかないからご一緒して良い? 」
って聞かれたから
「 アヤちゃんと容子さんはリンクのお友達になってくれたんでしょ? 」
そう話してると戻ってきたきょーこが
「 そう言う訳だし私が講議を受けている間お前逹がリンクを見ていてくれたら助かるのだがな? 」
そうきょーこに言われて
「 はい、喜んでっ♪ 」
そう言う言ってボクの手を取り喜ぶ二人に
「まず部室に顔を出してから学食に行くからついてきなさい」
そう言われてボクの手を左右から握り歩き始める二人に連れられて歩くボク
部室には余り馴染みの無い男子…多分一回生が居て
「これを預かってきた」
そう言って木箱を渡すと受け取った男子は僕を見て
「今日はキャンパスが騒がしいと思っていたら我等のプリンセスがお越し下さってたんですね?」
僅に頬を緩めキーボードを叩きながら箱の中身を確かめること無く
「 レイさんの作ったアクセサリーですね?ただいま入荷を告知しましたからさほど時間を掛けず買いに来る人で溢れかえります
ですから他にご用がおありでしたら早めに部室から出る事をお勧めします 」
そう無表情に告げられ再びアヤと容子に手を引かれて学食に向かう事になった
その移動の途中、ボクに気付いた学生逹がぞろぞろついてきたから普段込み合うはずじゃない時間にも関わらず席が全部埋まってしまった
ボクがオムライス、きょーこは醤油ラーメン
アヤは唐揚げメインのAランチのパンで容子は白身魚のフライメインのBランチご飯大盛り
八人掛けのテーブルにボク達四人で座っているから顔だけは知ってるきょーこの同期生が四人が相席を申し出てきたから
「きょーこおねぇさんのお友達なら良いよっ♪」
ってあくまで知らないふりして答えたら喜んで席に着いた
まぁ確か同じ学部だっけ? って位の認識なんだから彼女逹がボクの事知らなくてもそれほど不思議じゃないけどね
なんせ、元々ボクはここの学生って訳でもなきゃそもそも高校も行ってない
もっと言うなら小学校すらまともに通って無くって言ってみれば不登校児童だったから読む方はともかく書き取りが出来ないしもっと言ったら九九からしてかなり怪しい
そんな事をぼんやりと考えていると四人の内の一人が僕の顔をじっと見て
「貴女、もしかして昨日のコミュケで飛び回ってた子?」
その問いに慌てたきょーこが首を横に振るのに気付かず
「そうだよ、リンクってユーんだよ、よろしくね… お姉さん達 」
笑顔で答えると事情を知らない他の三人はキョトンとし昨日の事を知ってて聞き耳を立てていた者達が一気に群がってきて収集がつかなくなってしまった
そしてその騒ぎが更に人を呼びその中の一人が
「もしかして夕べのニュースに出てた子?」
と、言うと別の女子が
「 画像の子にそっくりな子が梗子達と居れば間違い無いでしょ? 」
そう言って騒ぎがどんどんでかくなるにも関わらす幸せな顔をしてオムライスをパクつく僕に
「梗子、事情は分かりませんがこの事態では貴女達のサークルの部室ではその子が落ち着けないでしょう
私達の合気道部で貴女が講議が終わるまで責任をもって保護しましょうか?」
そう一人が言えば僕に昨日の事を聞いてきた人が
「そーゆー事ならそこの二人の一回生も一緒に来たらいいよ、自分がやるのは遠慮するけどコスプレイヤーの…プリンセスNのファンだったんだよ?」
その言葉を聞いたアヤが
「先輩もそうなんですか?私も彼女がこの大学の関係者だって噂を聞いてここに来たんです」
そう言って二人で盛り上がり始め僕の隣では容子が口の周りをケチャップでベタベタにしてる僕の口をにこにこ顔で甲斐甲斐しく拭いてくれていた
周りの喧騒や思惑など一切関知しないで食事を続けるつうちゃん
そしてきょーこは四人のリーダー格の人と何やら内緒話をしてるのをつうちゃんは気付いてないけどボクはちゃんと見てた
結局僕達だけじゃ学食から出ることもままならないので女子合気道部の精鋭の護衛を受けて彼女達の部室に行くことになった
一応護身術として合気道に良く似た体術は習ってるけど本格的にはやってないといかその暇がなかった僕の腕前じゃ正味の話
今まで一度だって役にたった試しがない
だから一応、最初のうちはおとなしく見学してたけど満腹の僕が眠くなるのは自然の摂理でしょうがないじゃん?
僕の中の四人の人格の中で唯一まともに食事するのがつうちゃんだけで他の二人も食事時はつうちゃんと変わっている
だってさぁーっ、食べないと皆煩いからまぁ言ってみればほぼ暗黙の了解とも言えるかもね
そんな感じで特に警戒すべき気配も感じないからそのままつうちゃんに身体を預け肉体から離脱していた
因みにこの能力が使えるのはオリジナルのボクでだけで他の三人は自分以外の誰かと記憶を共有する事も出来ない
そんなボクだけが三人が得た知識や経験をボクも使いこなせる為体術もまぁまぁ使える
その慢心のせい?ボクが道場に入った時から思いっきり睨んでた一回生がキレて
「 子供だろうと関係ない、その性根叩き直してあげます 」
そう言ってボクの首根っこを掴み道場の真ん中に連れ出した
勿論、寝惚けているボクは状況がわからず襲って来る敵意に防衛本能が反応して返し技で吹っ飛ばした
投げ飛ばされ、壁に叩きつけられた相手は白目をむいて失神しボクはそのまま眠りに落ちた
そんなボク達は道場の控え室に運ばれ二人仲良く(?)並んで寝ることになって後は何事もなかったように稽古が再開される事に
暫くして意識を取り戻した女子がアヤに
「いったい何者なんですか?この女の子は…」
と、聞くと
「私も昨日会ったばかりで梗子先輩の知り合いとしか知りませんし聞けない雰囲気が有るから誰も聞けないんです」
アヤが寂しそうにそう答えると
「…… 」
難しい表情でボクの寝顔を見つめる二人だった
部活の習練が終わりきょーこの講議も終わる頃に目を覚ましたボクは目を覚ましたとゆーより変体により目覚めた…
が、正解でつうちゃんモードが解けた姿に戻ったんだ
因に身長132㎝で上から98,47、89の凶悪ボディのベビーフェイス
そのボクが身長体重1mのロリロリ体型つうちゃんの着ていた服が耐えられるわけなく今のボクは一糸纏わぬ姿を晒してる…
うん、女子合気道部の道場で助かった
ボクは男に見られても全然平気なんだけどこれがレイさんやディアナさん
ましてや婆さんなんかにバレた日にゃどんなお仕置きされるやら…クワバラクワバラ
王子やアーチャー、爺さんにバレようもんならマジウザい事態になる
そんな事考えてたらきょーこが
「 丁度良い…アヤ、お前のでも一寸大きいだろうが予備の服、部室のロッカーに無いか? 」
そう言われたアヤが考え込み
「 そのセクシーボディーは隠した方が良いですからミニのワンピの上にロングコートで構いませんか? 」
そう言われたきょーこは
「 構わん、この姿のリンクの服はいずれ用意せねばと思っていたから丁度良い
今から買いに行くから…容子、タクシーの手配を頼むぞ 」
等と、勝手に話を進めてるから
「 な、何勝手な事言ってるんだよ?ボクなんかジャージで十分だから購買で間に合うだろ? 」
って言ったらきょーこの奴ボクの耳元で
「この事シーロキュムラスに報告しようか? それがイヤなら大人しく着せ替え人形になれ…」
そんな脅し文句を口にされ
( くそっ、誰だよいっちゃん不味い奴にそれを教えたのはさ? )
渋々ながらも頷く以外の選択肢は無かったけど
「 翼の無いこの姿のボクはこの世界じゃ翼の民の媛巫女としてとして振る舞う気は無いから地味なのにしてよねっ! 」
って言うのがせめてもの抵抗なんだよね… って思ってたら
「梗子、いつもの店に行くのなら私もそろそろ今年の夏物が欲しいと思ってましたから丁度良い、うちの車を道場の裏口に回させますから貴女逹も乗りなさい」
と、言われて一気に血の気が引いた
基本お嬢様のきょーこがバイクに乗る時やコスプレ以外の服はその立場に相応しい物を着ている
「あ…あのさ…ほら…異世界から来たばっかのボク逹って文無しなんだからさ…
お嬢様のきょーこが着てるよーな高級ブランド服どころか服を買うお金なんか持って無いからね?」
って言ったけど
「気にするなお前の為の出費は必要経費だと大婆様のお墨付きを頂いてるからつまらない心配するな」
そう言われたけどそんなの余計なお世話だっ!と、言いたかった…言える訳無いけどね
新展開ですね?