作:お手柔らかに

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やっぱり元の世界じゃないよね?戻れないはずなんだからさ


カムバック?②

そんな訳で四天王とボクと試合った子とアヤに容子がリムジンに乗せられキョーコは愛車に跨がりついてきた

乗せられてるのはリムジンなのにボクの頭の中ではドナドナがエンドレスで流れている

別に市場に売られる仔牛って訳じゃのにさ…

(そーいや、アヤと容子って同い年なんだな…)

ってどーでも良い事に気付いたけど不機嫌さから店に入るのをあの女に見られていたのには全く気付けなかった

ボクが八人から解放されたのは八人が薦めるコーデをお洒落大好きなつうちゃんが目を覚ましてボクの代わりにうんといっくれたお陰

もっともつうちゃん自体は直ぐに寝落ちしちゃったんだけどさ

翌日目を覚ますと朝イチの講義の有るきょーこの姿は無く…

爺さんとアーチャーは小南さんとこでバイト

レイは和泉家の分家で勉強を兼ねバイトでディアナは和泉家の女中を始めてる

そしてシュー王子は留学生という肩書きできょーこ達の通っている大学の付属高校に通う事になり…

それなのにボクはいったいこの世界で何をすれば…

何の為この世界はボクを呼んだんだろう?

そんな基本的な事はやむを得なく放っておくしかなかった…

あまり良い予感はしないけど目を覚ましたボクの身体はつうちゃんモードが発動していたからどうでも良い事だった

少なくともきょーこのお母さんの桔梗さんに連れられ餡蜜を食べに行くまでは…

勿論桔梗さんはそれを知っていた訳じゃない…

あの女もたまたま桔梗さんに気付いただけで端からボクを認識してた訳じゃ無い

オフで古本屋街を歩いていて桔梗さんに気付いただけで…最初はボクの存在には気付いていなかった

少なくともこの女が探していたのは翼の無いボクなのだからね

勿論つうちゃんにも悪気はない…

でも…あの女は気付いてしまった

「リンクちゃんの言うお姉さんってどんな人?」

その問い掛けに

「お姉さんはリンク逹のオリジナルだよ…

翼の媛巫女として生きるのに必要無いからってホントの名前を捨てリンク・リンクス・リンクルって名乗ったんだ

お姉さんのホント名前は空知翼なんだよ」

って全て話しちゃったんだよね…

だから仕方無いからつうちゃんと入れ替わり

「納得した?納得したなら二度とボクに関わるな

翼の民の媛巫女…名を捨て過去も…一時期は記憶喪失でマジに忘れ去り人であること捨て魔族の者になったボクの事は忘れろっ!

それがあんたの為だ、あんたの弟はもう居ない事実を受け入れろ

化け物が身内に居るなんてアイドルのあんたにゃ致命的なスキャンダル

だから二度とボクに関わるなっ!

頼むからボクの視界にその姿を見せるなっ!」

そう言ってその場から姿を消した

本音とは真逆な言葉を残して…

あの女が言葉も無く泣き伏しているのを気付かぬ振りで断ち切ってボクはその場から逃げ出した…

その日を境にボクは魔力を貯める為に極力表にはでないでつうちゃんモードを維持した

そんな或日曜日の事…

アヤと容子に誘われ皆で総合公園に遊びに来ていた

ディアナとレイが作ってくれたお弁当を広げ梅雨入り間近い五月の風を身体に感じていた

今は魔力のロスを押さえる為に鳥の翼ではなくトンボの羽をストールの様に肩口から靡かせている

必要時には魔力をみなぎらせれば勿論翔べるけど引き隠り気味のボクに気遣いつうちゃんも殆ど外に出てないからその機会は無かったんだけどね

アヤに膝枕をして貰いなが転た寝のつうちゃんをまるで幽体離脱の様に見下ろすボクの耳に遠くから聞こえてくるざわめきにつうちゃんと爺さんにアーチャーとディアナも気付く「お兄ちゃん…」

そう言ってアーチャーにしがみつくつうちゃんを抱えなるべく目立たないルートを駆け騒ぎの元に向かってくれた

「だから影武者にやらせろって言ったんだっ!」

メガホンを持つオヤジが叫びおろおろするスタッフ逹は一様に空を見上げている

だからボクもその方向を見ると展望台が在りその外壁に傾いた清掃用のゴンドラが見えた

「事故みたいだね、誰か乗ってるみたいだよ?」

アーチャーの耳元で囁くつうちゃんに

(あんまし目立ちたくないけど一人は知り合いなんだ…助けに行く)

そうつうちゃんに言って一気に魔力を解放し羽が大きく展開すると目にも止まらぬ早さで二人に向かったけど既に二人は落ちる寸前

だからその様子を見て二人の頭に

(手を放せっ!)

そう怒鳴り着けると驚いた二人の手が離れ宙を舞いそのすぐ後に高速で飛ぶボクが空中キャッチしたから見守ってた人達の目には二人が消えたように見えたらしく二人の姿を探していた

二人の内の一人は軽くて平気だけどもう一人は現役引退したばかりの元プロレスラーだからマジに重い

(ヤバっ…羽が負荷に耐えられない)

そう思って周囲を見回すとボートが浮かぶ池が見えたから深場に向かって放り投げ込み軟着陸を試みるけどボクの四枚の羽が抜け落ち墜落になっていた

ただそのボクの状態に気付いたアーチャーと爺さんに抱き止めて貰ってボク逹は誰一人傷付く事無く済んだけど

「美也子を助けてくれて有難う…」

きょーこと共にあの女が現れそう言ったけど

「別にアンタにお礼を言われる筋はないけど後はアンタがこの人見てなよ

ボク逹は人に…テレビ局の人間に見つかる前に撤退するから」

そう言ったけど美也子の手がボクの腕を掴み

「多分手遅れ、カメラ回りっぱなしだろうからいずれバレる

だから今度は私達に貴女を守らせて…」

そう訴えられて

「その時が来たら頼むよ…」

美也子にそう言ってあの女とは一切目を合わさずつうちゃんモードを発動…

「羽を回収しないと」

そう呟くボクに

「良いのか?泣いてるぞ…」

きょーこの胸にすがり付き泣く女を見ながら余計な事を言うアーチャーに

「知らない、無関係の人間にどうしろって言うのさ?

そんなに気になるんならきょーこの代わりに慰めて…ついでに口説い来たら良いんじゃ無い?

アーチャーのタイプなんだろ?今なら簡単に落ちるだろうから急いだら良いんじゃないの?」

悪態をつくボクに溜め息を吐き

「確かにお前に似たあの女性は好ましく思うが…

いや、それ以上はお前から事情を聞くまでは何も言うまい…」

そう言われて

「フンっ…」

と鼻をならし

「さっきも言ったけど垢の他人に過ぎないアーチャーに話す様な事は何も無いっ!」

語気を荒げて言うボクが不自然なのは自覚してる

でもこれ以上触れて欲しくないボクの正直な気持ちだった

魔力その物である羽を失ったボクはアーチャーに抱かれたまま意識を失いきょーこの家に運ばれた

翌朝目が覚めたボクは完全に肉体から離れ宙を漂っていた

穏やかな寝息を立てて眠るつうちゃんから殆ど魔力を感じず

(すっからかんって感じだな…

羽の回収急がないと不味そうだ…)

そう考えると身体(?)は壁をすり抜け昨日の公園に向かって移動を始めた

羽が放つ魔力の痕跡を手繰りながらと一枚目の羽はすぐに見付かった

池に咲く美しい鬼蓮

その蓮の葉の上に落ちていたから急いで回収すると霊体に取り込み白光に包まれ

光の中から現れたボクはまるで1/3スケールのフィギア?

そう言うような姿になり今の変身で魔力を使い果たしたボクは蓮の葉の上に寝転び微睡んでいた

裸が気にならない訳じゃ無いけど定休日の公園に訪れる者はないはずだろ?

って勝手な思い込みが甘かった

ボクの様子を伺う厭らしい目付きの男逹の視線に気付けなかった

一人の男が顎をしゃくるともう一人の男が池に入りそーっと近付くとボクの首を握り泳いで岸に戻った

ボクはいきなり首を絞められ苦しい上に口を開ければ容赦無く流れ込む水で溺れるんじゃないかと思って咳き込んでいると

「お前、何モンだ?小さい癖にエロい身体しやがってよ…」

その寒気がする視線に耐えられず逃げ出そうとしたら

「お前、さっきこれと同じ物を取り込んでたろ?」

そう言われて振り返ると確かに失った羽の一枚を手にしていたから

「返せ、それはこの世界に有ってはならない物

魔力を持たぬ者が所持して良いものではない、ボクの羽を返してっ!」

そう訴えると酷く下卑た笑いを浮かべ

「お前が俺達のペットになって俺達の言う事を聞くのなら返してやらんでもないぞ?

さぁ、私はご主人様の忠実なる下僕でありペットです

ご主人様のいかなるご命令も全身全霊を傾けお仕えしますからどうぞお可愛がり下さいまし

そう忠誠を誓いな」

そう言われて

(コイツ馬鹿?それともボクってそこまでバカって思われてる?

どっちにしろ羽は取り返さなきゃ…)

「うぐっ…」

一瞬の迷いが隙になり再び喉元を掴まれ身体に悪寒が走る

目を開けると男がボクの身体を舐めていて舌先で胸を突っついていたから気持ち悪さを堪え

「止めろ…気持ち悪い…」

「心配するな、すぐに気持ち良くしてやる…」

そう言われてアーチャーの顔が浮かび

「助けてアーチャー…ボクの騎士なんでしょ…ぉ願い…助けて…」

震える声でそう呟くと

「貴様、俺の女になにしてる?」

怒りに震えるアーチャーはもう一人の男の鳩尾に一撃を入れボクの喉元を掴む腕の肩を外すと

「お前逹が犯した罪は万死に値するがさっさと消えろ」

そう言われて後退りする男の手から羽を奪い返してボクに手渡すアーチャーに

「ボクがいつお前の女になったってゆーのさ?

どさまぎで変なことユーなっ!いちお礼は言っとくけどさ」

そう言って羽を取り込むと2/3スケールにサイズアップした

そのボクに自分が来ていたカーディガンを羽織らせると抱き上げて

「帰るぞ…」

そう言われたけど

「断る、きょーこの所には二度と戻らない」

そう言われて溜め息を吐き

「なら俺が頼れる先は小南氏の所しか知らんがそこなら良いか?」

そう言われて

「いずれそこからも立ち去るけど今は仕方ない…連れてって…

でもこの事は誰にも…特にきょーこには教えるな…」

そう念を押して身を預ける事にしたけど間が悪かった

小南さんの会社の事務所にはアヤと容子がバイトで事務を手伝っていてボクが運ばれてきた時は二人に用のあるきょーこが差し入れを持って事務所に顔を出していた

「変質者に悪戯されかかっていた…怪我をしてるみたいだから手当てを頼む」

そう言われて羽織らせてあるカーディガンに染みた血と出血箇所を確かめると

「アーチャー、席を外しなさい」

そう言われて

「何故だ?俺だって心配してるんだぞ…」

そうアーチャーが答えると

「男の貴方に見せる訳にいきませんから言ってるのに…先輩、このにぶちんにさっさと仕事させて下さい

アヤ、近くの薬局で必要な物を買い揃えて来なさい、容子は私とリンクの身体を拭き清める手伝いして」

そう言ってアヤに金を渡し容子にはお湯を用意させ

それが終わるとあまりサイズは合ってないけど身長一メートル位の女児服を着せ帰っていった

その夜目を覚ましたボクはきょーこの部屋の前に立ち

「ボクは再び名を捨てる…リンクの名はこのままあの子に名乗らせれば良い

時が経てば再び魔力も回復するだろうけど今のあの子には魔力も翼も無い

だから当分の間は姿を変えられないだろから小学校から行かせれば良いのじゃない?

ボクの学力知ってるだろ?後は頼むよ」

そう言って再び姿を消した

雲ひとつ無い夜空は明るくそのせいで星も少ない夜空を古びた神社の屋根に座り眺めていた

その夜の静けさを台無しにする女の悲鳴を聞くまでは

溜め息を吐きその声のあった方に行くと後退りする若い女とじりじり間合いを詰めるゲスがいた

だからボクはその女の前に降り立ち

「アンタみたいに若い女がこんな時分こんな所をうろちょろしてるからこんなゲスに襲われるんだよっ!」

そう怒鳴りつけると

「おいこらこのくそガキが、そのゲスってのは俺のことか?

俺にロリの趣味はないがお前も纏めて面倒見てやろうか?」

そう言われてムッとしたボクは僅ばかりに回復した魔力と闘気を見せたらチビりやがんの

「良いか、よく聞けっ!又ボクの目の届く範囲でこんなことしてみろ…次見付けた時には命はないと覚悟しとけよっ!」

そう男を睨み付けると失禁した男は脱兎の如く逃げ出したんだ

その後ろ姿を鼻を鳴らし見送り

「送ってやるからさっさと帰れっ!」

そう言い捨てると

「私が嫌われてるのは仕方無いけど…今日は死んだ母さんの月命日…せめて母さんにお線香だけでも…」

そう言われたけど既に距離を開けていたボクは聞こえなかった振りして無視した

でも…この懐かしい感じ…

勿論幼かったボク逹がこんな深夜の街を歩いた事はないけど親父が出張で留守がちたったから…

母さんときょーこの母親の桔梗さんが親友同士だった事からよく和泉家で夕飯をごちそうになった帰り道

母さんの手を二人で握り歩きながら唄った曲が頭を過り口ずさむとあの女もボクの歌声に合わせ何年ぶりかのデュオ

角を曲がれば空知家はも目と鼻の先と思っていると不意に拍手がなり何者かがボクに抱き付き

「キミ、やっぱり翼君だったんだね…」

そう言われて

「はぁっ、何の事?ボクは翼などという人物は知らない」

そう答えると暗がりに立つ男が姿を表し

「プリンセスNと呼ぶべきかな?」

その男が言うと事情を知らない二人が驚き

「可哀想に…その二人もボク同様に化け物扱いなんだ?」

皮肉を込め言って

「アンタ二人の関係者なんだろ?アイドルの二人が供も連れず深夜の街を徘徊してるなんて事務所の管理どうなってるの?」

って言ったら

「確かに茜君に関しては言い訳の余地はないが美也子は私が同行してるから問題ないと思うが?」

そう言われて

「それについは認めるけど逆にスキャンダルにはなら無いの?」

そう言ったら逆に

「あはは…自分の娘とかね?」

そう言われて改めて見る男は確かに美也子の父親で歌舞伎の…

そういった業界に詳しくない僕でも知ってる大物役者だったはず

(確かこの親父、美也子に舞台女優になって欲しがってたって聞いたような…)

「そうなんだ…まぁ良いけど…じゃこの女の事任せて…つっ…」

小さく呻き再び身体が縮むボクの身体を抱き上げて

「ねぇねぇ茜、翼を君私に頂戴っ♪ホント翼君ったら可愛すぎっ♪」

等とほざいたけど慌ててボクの身体を奪い返して

「例え美也子でも翼はあげない、だって翼は…私の可愛い妹なんですからね…

それにね、翼…貴女の今の顔は死んだ母さんの若い頃の写真に瓜二つなのよ?

詳しい事情までは聞かない…

私やお父さんには立ち入れない事情なんでしょ?

貴方とお母さんには見えていた二人を苦しめていたものについて…」

さすがに溜め息を吐き

「わかかった…でも線香を上げるだけだ、それが済んだ ら帰るからな…」

そう告げると

「梗子の側が良いの?」

そう言われて

「はぁっ…なんでだよ?きょーこにはもう一人のボク、魔力と翼を失い飛べなくなった…

アンタにボクの事バラしてくれたあの少女を預けてあるしきょーこがボクより親友のアンタを取るのは目に見えてるから逃げてきた

だから昔の隠れ家で魔力の回復を待つつもりだから気にしなくても良い

つか放っておいてくれ

と、言うよりアンタには理解できないだろうけどボクはアンタの弟じゃない

確かにボクは空知翼だ、だけどアンタの弟はかつてのボクがそうだったようにまだ奥羽三山辺りをさ迷っている

それにね、ボクは翼を得る代償に元には帰れないと言われていた

早い話し所謂パラレルワールドに迷いこんだ存在なんだよ、このボクはね」

そう長々と話すと

「結局貴女は翼で私の弟の翼にはもう会えないんでしょ?

ならこれからは妹の翼になってくれれば良いじゃないの?」

そう言われて唖然として返す言葉に迷っていると

「茜、心配させないでっ!」

声を殺して叫び

「美也子、助かりました…先生も有難うございます」

そう言って頭を下げると

「いや、礼には及ばないよ…私の方もお陰で娘の命の恩人と出会えたのだからね」

そう言われて茜の胸に抱かれるボクを見て

「取り敢えず明日は夕方まではオフですけど最近忙しかったんですからゆっくり休みなさい」

落ち着きを取り戻して言い

「先生はお迎えが待ってますが…」

そう言って美也子を見るのに気付き

「娘が男ならともかく親友の茜君の家に泊めてもらうのに不都合はなかろう?

勿論茜君の都合や心配する君の都合も有るかも知れないが…

茜君、二人を泊めてもらえるかな?」

そう言われて

「美也子は私と妹の三人で一緒に寝ましょ?

佐藤さんは客間を用意しますから」

そう言われて

「分かりましたが美容と健康の為なるべく早くお休みくださいねっ!」

そう釘を刺すのを忘れないのはさすがプロって感じかな?

つか何でボクまで泊まるって話になってるんだよ?って感じてたら

「翼君…何処か怪我してる?血が…」

美也子に言われて脚を伝う血に気付いて

「出血してるじゃないの…手当てするから傷口を見せなさいっ!」

そう叱りつけられて

「知らない…ハズいからあんたにゃぜってー見せたくない

それにアヤには出血はケガや病気じゃないから心配しなくても平気だけどね…って言われてるんだけど?

場所が場所だけに見せるのは断固拒否する」

そう話すと

「あや…確か梗子の後輩に…」

「サークルの後輩で小南さんとこでバイトしてるアヤだよ」

茜の呟きに答えるとそれまで会話に加わらず様子を見ていた佐藤さんに

「その人に体調を聞かれませんでしたか?

特にお腹が痛くないか…目眩、立ち眩みはしないか等を…」

そう探るような目で見ながら言われて誤魔化せない人間と気付いて

「下っ腹痛いけど我慢できないほどじゃない

元から貧血気味だから言われた症状はまぁ持病みたいなもの…納得した?」

そう言うとそれまで何も言わなかった佐藤さんだっけ?

茜のマネージャーさんが

「茜、ちょっと来なさい」

と言われ何か小声で言われて電話をしにいき何やら話してる

どうやら相手は和泉家らしいのは分かるけど…

戻ってきた茜は

「お風呂は止めてシャワーにしなさい

それと黙って抜け出して小南さんが心配してましたから明日謝りに行きなさいね」

そう言われて

「シャワーもヤダっ!小南さんはボクの放浪癖を知ってる数少ない理解者だから今度のコミケであの人指定するコスプレしたら平気なんだよっ!」

そう小声で言うと

「あははっ、やっぱりプリンセスNって翼くんだったんだね?」

そうわぁわぁ茜と言い合っているといつの間にか脱衣場で服を脱がされていた

「くっ…レイかディアナの入れ知恵だな?」

そう言って睨むと

「二人も翼様の風呂嫌いには手を焼かされましたからよろしくお願いしますと伝言されたと苦笑いしてました」

そう言って笑われ

「ふんっ…」

と言ってそっぽ向くのが精一杯な抵抗のボクの耳元に

「そうそう、ディアナさんからの言付けと聞きましたがシーロキュムラス様の機嫌が余り宜しく有りませんよ?

とお伝えくださいだって?」

「ひっ…」

声を出し小さく息を吸い目をぎゅっと閉じて頭を抱えるボクの耳元で

「良い娘の翼ちゃんはお姉ちゃんの言う事ちゃんと聞いてシャワー浴びてくれるよね?」

そう言われて弱々しく頷くボクの肩を抱いて風呂場に連れてく姿を呆れて見てる美也子と佐藤さん(?)の視線を気にする余裕はなかった

色々あって疲れはてたボクは久し振りに熟睡できた…

床に就く前にあの時の事を謝ったから…

ボク自身を責め苛んだあの夢の事を話して…

だからボク自身はボクを許した

もっもそれで姉さんに許されるのかは別の話だって位はわかってる

 

寝起きのボクはいつもながらに最悪だ…

いつもならディアナかレイ、守媛辺りが朝の支度をしてくれてたけど今は誰も居ない

起きていてもボクの目はただ見えているを光景を映してるだけだし三人の声も聞こえてるけど他の音と識別されない

だからいくら声を掛けようが反応しないボクは熱いお茶を呑む様に湯呑みを渡されぐいっと飲み干し

「ぉはよ、ぉ姉ちゃん…今日はきょーこお姉ちゃんの家行くの?どうせパパ、今夜も居ないんでしょ?」

未々寝惚けているボクは未だ母さんが生きてる頃のボクに戻っていた

寝惚けたままのボクは本人には決して言えないちっパイにすがり着いてママって言ったらしいんだよね…

ボクのより遥かに小さいちっパイに頬擦りしたらしい

極めつけは佐藤さん指差して

「このおばちゃん誰?」

って無謀な発言までしたらしい

 

熱くて苦いブラックコーヒーをのみ終える頃やっと頭も少し目覚めたボクは

「仕事…行ってきたら?ボクは皆が出掛けたら又寝るからさ…」

何もする気の無いボクに

「今から茜と季節の限定販売のシュークリーム食べに行く予定なんだなんだけどなぁ~っ?」

その言葉に酒呑みの癖に甘いもの大好きな本能が反応したのに気付いた美也子が

「私もカスタードクリームよりホイップクリーム派なんだよねぇ~っ♪」

と明らかにボクを釣ってるとしか思えない発言を聞き当然の事ながら

「その店ハーブティーは有るの?」

そう聞いたら

「ローズマリーも美味しいって評判だよっ♪」

そう聞いたから渋々起きて着替えを任せた

自分でやれ、何て言われたら出掛ける気ゼロなんだから当然ちゃ当然だけどね

つか夕べ着てたワンピースは血で汚れてるから与えられた服以外の着替え無いんだよね…胸がきついけど」

ボクのヒューズの飛んだ思考回路は当然の事ながらブラックアウト

配車のタクシーが迎えに来てボク達四人が乗り込み一路原宿に…

美也子に手を引かれてお嬢様御用達のブティック巡り…

あまり気乗りしないけど美也子に引っ張り回されるボク達

つか着せ替え人形と化してた

こんな状態のボクは普通に見えてまともじゃなくて危険に対する回避能力ゼロで転びかけても手を出さないからそのまま顔から落ちるから

その辺りを知ってる者は今のボクを決して外に出さない

どうしてもって時はつうちゃんを呼び出して行動させたけど、深紅と斬羽になり別の存在になった二人

今までならつうちゃんがボクの寝起きの悪さをカバーしてくれてたけど三人はもうこの身体の中には居ない

もっとしっかりしなきゃいけないんだけどそう思ってなんとかなるくらいならとっくに何とかなってる…

って勿論威張ってゆー事何かじゃないんだけどさ

四人で昼食を摂りスタジオ近くのカフェでシュークリームを食べタクシーで帰るって言ってるのを全く信用しない茜と美也子に引っ張られてスタジオ入り

まぁボクは二人の楽屋で寝て待つつもりなんだけどね

だから二人が本番前の支度をする中楽屋の隅で猫のように体を丸めて眠っていた

その茜と美也子と入れ替わりで楽屋に忍び込んだふたつの影に気付かない茜と美弥子だけどボクはいち早く気付き忍者宜しく天井に張り付いた

「ちっ、居ないじゃないか…」

一人がそう言って責めるような眼差しでもう一人を観ると見られている男は

「確かにこの楽屋に四人の女が入って三人しか出てないかなかったから居るはずなんっすよ…」

そうしきりに愚痴りながら出ていくのを見送ってもう暫くこのまま様子を見る事にした

さすがに今の一件で頭もしゃっきりしたボクは取り敢えず感覚を研ぎ澄ませ周囲の些細な音や声も聞き漏らさないように集中したんだ

(…さすがテレビ局…喧しい)

勿論防音加工を施されされた局内はボクが感じる程騒がしくないけど普通じゃない聴力の持ち主のボクからしたこの程度の防音など…

意識して遮断しなきゃ煩くて敵わないから出来れば遮断したいけどさっきの連中が何者で何が狙いかわからない以上警戒を解けない…

念の為気配も消してあるからこの世界でボクに気付けるものはそーはいない




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