【Tales of Compolt】~願う心の真の強さを知るRPG~ 作:石小路 サブロー
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【Tales of Compolt】
「会いに行くから!たくさんの時を超えてあなたにっ、あなたに会いに行くから!」
閉じた瞼の先から声が聞こえる。
端々に甲高い、大人になりきらない女性の声だ。
その声はまるで、底の無い穴の中から響いてきているかのようだった。調子がその深度を表すように大きく波打っている。
そして必死だった。彼女はただただ必死で、声がところどころ裏返るのも厭わずに泣きながら叫んでいた。
この場所は、空気の動きも感じず、音らしい音も彼女の声しかない。
奇妙だ。
肌の表面にあるかどうか分からないくらいの静電気が感じられる。ピリリと当たる針でつつくような痛みは、夏の雨上がりに立ち込めた霧の冷ややかさに似ていた。
ああ。やけに静かで、居心地が悪い場所だ。
それにしても、何をそんなに必死にこちらへ叫んでいるのか俺には全く見当もつかない。俺の心は、ささやかな動揺に襲われていた。
彼女は続けて叫んだ。
「だからそれまで忘れないで!私の事を覚えていて!また会った時に、私に笑いかけて!」
悲しい叫びが止み、小さく息を飲む音が数度聞こえた。
そこで彼女は掠れた声で、
「お願い…」
と、髪を梳くくらいに小さく呟いた。いや、呟きが小さすぎて、そんな気がしたくらいのものだった。
俺の体は何処かの、固い床の上に棒立ちになっていた。
もし彼女が俺に言っているんだとして、その俺に思い当たる節が無いのはどうしてなのだろう。夢だとしても、気持ちの良いものじゃなかった。
「すまないが、君は、誰だ?私に...言っているのか?」
俺が見れぬ姿を恐れて慎しみつつ問うても、彼女は何も言わなかった。
彼女の方から何の音もしなくなった。
2人の間に沈黙が下りる。しかし、無音とも言えぬ。
あの音が耳の奥で低く唸り続けている。
そうしているうちに、〈彼女がそこにいる〉という存在感が俺の中で薄れていった。
夢は、そこで覚めた。
第1章 時を遡りし者
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正面の窓から風が吹き込んできた。
なぜだろうか、変に懐かしさを孕んだ匂いだ。
少しの水分と、暖かな太陽の匂い。
「.....」
自室のベッドに左耳と体の側面をくっ付け、横たわった状態で〈イシュウェド・ウル・ファグリスカ〉という男は目を覚ました。
ハッキリと覚醒した素っ頓狂な顔つきでもって、その風がやってきた方向を見開いた目で睨む。口の周りの筋肉は弛緩して、半開きになっていた。
かなり驚いた表情とも言えた。
外の庭に向かって開け放たれた、昼の陽光が差し込んでいるガラス窓。そこから少し離れた奥の方に、シャンとして立つ新緑の木々がぱらぱらと見える。
一本一本の間が空いているので、妙に彼らが淋しそうに見えた。
幹に落ちたくっきりとした葉の影が、こちらに手を振るように風に揺れて動いていた。サワサワと、涼やかな音を立てている。
イシュウェドは少し落ち着かないように、目を見開いたままで周りを見回しながら体を起こした。
ベッドから両足を下ろすと、立ち上がらずにまじまじと自分の足先を見下ろしていた。
「......本当に、戻ってきたのか?」
訝しげに呟いて、少し変わっておっかなびっくりといった様子の顔を上げる。
念を入れて。室内をもう一度見てみたくて、静かに首を左右へ動かす。
扱いやすい広さの白い壁の部屋。壁に埋まった数本の焦げ茶の柱、落ち着いた見た目の家具でのレイアウトがなされている。そしてピカピカに照り輝く、味のある木目調の床。
....見覚えのある、若い頃の自分の部屋に間違いなかった。
「こんな、バカなことがあるのか?」
誰にともなく、真正面の窓向こうを見やってボケッとなった顔であっけらかんと呟く。
そして恐る恐る、それなりに木々を眺めながらにゆっくりと立ち上がってみた。背筋はピンと伸びるし、体は何やら軽い。
頬に触れると、皺一つない瑞々しい肌があった。
壁にくっついた、横幅が自分2人分ぐらいに広い鏡の前に立つ。
そこには確実に、呆然とした面持ちを見せる、若かりし頃の自分が立っていた。
若い肉体に宿った、老いた精神。
可笑しいほどアンバランス。その組み合わせに、口元が奇妙に歪む。
《戻ってきた》
それだけ分かると、あの大精霊に会えたのがいかなる言葉にも表せぬ程に喜ばしいことだったのだと思えた。
見下した物言いをした事を、今やっとで申し訳なく感じた。
イシュウェドはニヤけた顔のままでクルリと体を背後へ向けると、ドアに向かって悠然と足早に歩き出した。
《息の根を止めてやる....。この手で、必ず!》
頭の中で、その言葉が老いた自分の声でもって大音量で破裂した。同時にドアノブに手をかける。
押し開くと、部屋と同じ白い壁をした青い装飾タイルの廊下が左右へ長くのびている。
イシュウェドは素早く右に向かった。それは、〈この建物〉の〈とある人物〉の部屋へ向かう、最短ルートであった。
『カッ!カッ!カッ!カッ!–』
軽やかに、氷上を滑るような速さで進んでいく足。
血を塗ったように赤い革靴の、底が鳴る。あの頃のように。
この靴音が告げる事実が、更に、この現実を明らかなるものとしていた。
俺が歩いている。若い俺が。
あの崩壊したファグリスカにいない、身体のどこも痛くない俺が今ここ.....〈ミシュヴィッツ城〉の中を歩いているんだ!
この靴音は確かなる音だ!一歩踏み出すたびに俺の足裏の肉が体重を乗せた衝撃に押し潰され、放り出された凛とした音に鼓膜が震え、それを、怒りの衝動に狂わんばかりの冴えた俺の頭が認識している!
空間を押し割いていく俺の体!空気の温度差を認識している俺の肌!
ああ、本物だ!
【本物】だ!!
イシュウェドは笑っていた。
堪らなく、嬉しかった。目覚める前に見た、妙な夢のことなど綺麗さっぱり忘れていた。
もう、微塵も思い出せぬほど、その激しい高揚感に浸っていた。
その時だった。
もう少しだった廊下の端の左から1人の背の高い男が曲がってきて、イシュウェドに姿を見せた。
彼は目の先に見えたイシュウェドの姿を認めると右手を顔横に小さく上げて、ニッカリとあどけなく笑った。
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このハーメルンの年齢層が分からんしー(o^^o)
ルビもなんかふれないページも出来ないっぽいから、このままで、短めで投稿していきますね。よろしくどうぞ!
メッセージは俺が読むべきなのかな?よく分かんないから、メッセージとかは読まない方向でいきますね。
Arrowにお任せします。
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