白き闇は正義になれない?   作:ソウクイ

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友好

 

 

銀座に現れた門の先の世界は、竜が居たり魔法を打ち込まれた時点でお察しの通り、地球とは異なった人種やら生き物が存在するファンタジーな世界。エルフや獣人に似た種族の存在を白野は確認してる。エルフの女の子、獣人の女の子、男のロマンと遭遇した。

 

ロマンって……実際に見ない方が良い場合もあるよね。

 

まあ個人的な、あくまでも個人的な意見だけどね。残念ながら、ホント残念ながら、リアルだとエルフや獣人の女の子は……コスプレとあんまり変わんない。特に獣人。

 

あとエルフや獣人が美人や若い娘だけとか無い。当然だけどエルフにも獣人にもブサイクもオッサンも。マッチョもいる。脂身なオッサンの猫耳、ムチムチな中年オバサンのネコミミ姿……ダグバの姿で吐血しかけたよ。

 

そこはどうでもいいかな。思わず八つ当たりに銀座を襲ってきた国を襲撃しに行こうと思ったけど、思い止まったしね。

 

 

エルフや獣人、他には魔物、亜人がいる。銀座を襲ってたゴブリンやらオークやらトロルだね。亜人が居るこの世界ならダグバの姿も大丈夫かと思ったんだけど、普通に警戒される。

 

それなりに色んな所に行ったけど今の所、唯一警戒や怯えや敵意と違った反応をしてくれたのは…黒いゴスロリ服を着た女の子のみ。正体不明の女の子。

 

二度目に来た時に何故か拠点に作った小屋に居て話し掛けてきた。襲ってきた。戸惑っていたら何処かに行った。毎日じゃないけど結構な頻度でやってくる。今日もやってきて今傍に居る。傍に居る理由は不明。

 

着てる服も持ってる斧もこの世界をザッと見た限りこの娘だけの特徴、特に服装はこの子ぐらい。偉い立場としか思えない。けど何時も一人。

 

 

初コンタクトの時から何かを話すと持ってる斧で斬りかかって来た。どう考えても殺す気の攻撃なんだけど不思議と殺す気の攻撃と思えなかった。

 

細い腕で斧を振り回して岩とか壊した。格好だけでなく身体能力も一般人にしては可笑しい。常人の身体能力じゃない。流石に単純なスペックは此方が上だけど戦闘技能は逆に向こうが上。一応は戦って、手加減はしたけどそれなりに戦いの形にはなった。初めの戦いはお互いに遊びの範疇の戦いで終わった。

 

黒い少女については一応襲われた形だしヤろうと思えばヤれたと思う。今のボクだと対応がキツい筈なんだけど、あの時は倒す気にはならなかった……女の子だからってのも有るけど、最低限の歯止めと言うのかな。相手に此方を殺す気がないなら此方が殺すのは止めとくみたいな?

 

で、一応の戦いが終わると笑顔で話し掛けられた。楽しそうに戦いの感想を話してたと思う。

戦闘民族かな?今の僕も大概似たようなモノか。

 

少女はそれからボクの作った小屋の所にたまに来ると、襲って来たりせずこちらをジッと見てくる。少女は何か自分に関して目的があるとは思う。戦ったのも目的に関係あるとは思える。目的は気になる。聞きたいけど言葉がまだ判らない。敵意はないと思う。だから今は放置していた。

 

あと少しで言葉は判ると思う。

此方の言葉を何となく理解できてきてるしね。

 

『何処に行ってたの?』 

 

何処に行ってた的な質問かな。もう此れぐらいなら理解できる。未知の言語をこんなすぐに理解できるとは思わなかった。クウガのグロンギは言葉を短期間で習得してるから、同じグロンギだから言葉を学習する速度が早いのかもね。

 

質問に答えるように門の有る方角を向くと少女が満足そうに頷いた。

 

小屋の前の切り株に座って小屋を造った余りの丸太をテーブルにしている。上にはカル○ーのBIGポテトチップス(コンソメ味)。この世界特有の何かを食べたいけど……話が聞けないとどんな食べ物があるのかもわからない。

 

袋を真ん中から裂く様に開けて丸太の上に配置。ポテトチップスをパリパリと食べる。…ダグバの姿で食べるの罰当たりな感じが少しね。

 

『貰っても良いかしら?』

 

この言葉も理由できる。頷くとゴスロリ少女が此方の膝を椅子代わりにしてきた。膝の上でポテトチップスが食べてる。なんで乗ってるのかな?…何がと言わないけど、鎧ぽいけど、皮膚が変質したモノだから感触はあるんだけど…猫が膝に乗ってきた様な感じで無理矢理降ろそうって気にも成らない。

 

パリパリ

 

森の中、ゴスロリ少女を膝に乗せてポテトチップスを食べるダグバ…………そこら辺の動物でも捕まえて丸焼きにして食べた方が良いかな?

 

ポテトチップスを食べ終わると休憩は終わり。ゴミを回収して、休憩終わり。次は日課の行動、ビニール袋に入れてと森を歩いて…エルフの村に向かう事にする。ゴスロリ少女は当然の如く着いてくる。 

 

『バンデズギデグス?(なんで着いてくる?)』

 

「ふふ」

 

クスクス、笑うだけ。因みに別にグロンギ語でなくても話せるけどキャラ付け……此方の言語が出来るようになったら変えるけど、今は会話は出来ないからグロンギ語を使ってる。

 

それにしてもゴスロリ少女は当然の様に斧を持ってる。斧は端から見ると大きさ的に少女じゃなくてダグバの武器っぽくないかな?少女に武器を持たせる悪党ぽいなぁ。

 

エルフの村についた

 

この村に最初に来たときは弓とか魔法で盛大に歓迎をされた。黒い少女とは違って殺意あり。シャレに成らない衝動は沸いたけど、まさか会話をしたいのに暴れる訳にもいかない。エルフと関わる為なら我慢しようとも思う。

 

スゴスゴと帰るしかない。帰ってからストレス発散も兼ねてそこら辺の野性動物を手当たり次第に狩った。野性動物は焼いて食べたりエルフの村への手土産にした。何度か繰り返したら攻撃は止んだ。いまだと入る度に悲鳴を上げたりするぐらい

 

今度はゴスロリの女の子と一緒にきてる。ゴスロリ少女がマスコット枠になってくれて少しは警戒を緩めてくれないかな。ゴスロリ娘さんを引き連れてエルフ村に入りをした。相変わらず悲鳴でのお出迎え。攻撃が無いだけとても改善はされてるって悲しいね。

 

ダメか。 

 

マスコットどころかゴスロリ少女にも怯えた視線が向けられてる。やっぱりデカイ斧とか剥き出しに持ってるし怖いよね。ボクより怖がられてない?

 

何とか仲良くなりたい。

 

現状これでも一番期待が出来る村だしね。

 

此処とは他の村にも行った経験はあるんだけど、その時は、傭兵みたいな相手に襲われる。兵士を呼ばれる。兵士を死なない程度に倒した後だと生け贄ぽい女の子を差し出される。攻撃がないだけまだマシ……

 

さて今回は手土産を持ってきた。大人は難しいから先ずは買ったお菓子で子供を餌付けして懐柔しようと思う。…犯罪みたいな感じがするね。

 

子供たちは…

逃げてるね。

 

姿が子供のヒーローの敵だから仕方ない?ダグバの姿だけなら子供に人気が出そうな格好いい姿と思うんだけどね。なんで誰にも警戒されるんだろう。これが異文化の感性の違いかな。避けられるボクを、ゴスロリ少女がポテトチップをパリパリしながらニヤニヤ笑って見てる。…盗み食いされてる。

 

食べてる姿に子供がドンドンと興味を示してる。結果的に釣り餌に成ってるね。子供がゴスロリさんの元に、子供の対処に苦労してるゴスロリを今度は此方がニヤニヤと見ておこうか。……なんでそんなドン引きした顔をするかな?

 

 

それから繰り返しエルフ村に頻繁に行き慣れて貰ぅた。地球にも何度か戻って世間の反応を確認したりもした。世間的には門の事やダグバの事も未だに騒がれてる。門は仕方ないけどダグバについても相当に…。

 

良いニュースとしては言葉の学習には成功した。

 

言葉を学習した結果、ゴスロリさんはローリィちゃん。異世界から来た自分の事を確認する為に傍に居たそう。ローリィちゃんはエムロイってこの世界の神さまに仕える、神官で亜神という存在だそう。…異世界から来たの知られてた。

 

亜神は人から外れて何れ神になる存在らしくて、ローリィちゃんによるとボクも別世界の神に仕える亜神という認識らしい。大きく外れて無いような気もするし否定はしなかった。で、ローリィちゃんには堂々と此れからも監視をするために傍に居ると言われた。

 

まぁ監視は良いけど…それより、この世界に居たって証明をしたかったのに、別世界から来た事はロゥリィちゃんとかは気付かれた。他にも気づける人はでそう。やっぱりこの世界出身て事にするのは無理だと思うしかない。なので聞かれたらある程度は本当の事を話した方がいいかな…

 

何度も通ったエルフ村。今日もまたゴスロリ少女を伴いエルフの村にやってきた。何度も来たお陰か警戒も随分と薄くなったよ。仲良くなれそうで良かった良かった。

 

「仲良くは成ってないと思うわー」

 

ローリィちゃん人の独り言を聞いてバッサリと本当のことを言うのはどうかと思う。

 

仲良くは少し今は無理だけど会話は出来る。エルフの人に魔法については聞けた。特定の誰かを探す感じの魔法は知らないらしい。けど存在しないとも言えないらしい。

 

魔法の学術都市ができるぐらい魔法の研究をする魔法使いは沢山居るらしくて、人探しの魔法を作ってる魔法使いが居ても可笑しくないそう。つまり魔法使いが居る限り探し出される可能性は無くならない。まさか厄介な魔法使いを殲滅するなんて訳にもいかないしね。…うん、流石にダメだよね。

 

 

「あら?」

 

ロゥリィちゃんが何かを見てた。

空に影がある。

うちのワイバーンが来たのかな。

 

どうやら違うか。

 

色が赤い

随分と大きい。

 

 

まるで怪獣みたいなドラゴン。

 

此処がモンスターハンターの世界なんて可能性は無いかな。

 

あ、炎吹いてきた…

 

 

 

 

 

 

 

 

銀座事件から何ヵ月か。

 

自衛隊は特地への潜入を果たしアルヌスと呼ばれる丘に拠点を造ったが、拠点に現地の軍が進軍してきた。当然ながら自衛隊は迎撃した。

 

自衛隊と特地の現地軍の力の差は歴然。

現地軍は何万か。単純な総動員数は現地軍の方が遥かに多かった。

 

しかし戦力には数だけでなく質もある。

 

自衛隊は当然現代兵器

現地軍は中世相当。

 

極端に言えば弓矢を持った百人とミサイルが射てる一人ならどちらが強いか。現地軍は銃撃や砲撃に晒され攻撃が届く位置に辿り着く前に殆んど撃破される。万の数でも武装が中世相当だと、正面から重火器相手では勝負には成らなかった。

 

勝負の結果は現地軍の壊滅。

自衛隊の戦死どころか負傷者もいたかどうか。

 

容赦ないとも見えるが近付かれれば自衛隊の被害が甚大になる。それに自衛隊はあくまでも襲われた被害者側だ。銀座で殺戮をしてきた加害者相手に手加減しろと言うのは酷だろう。

 

 

銀座で市街地で散々な戦いを味会わされたあとの戦闘、戦った実感すら感じない圧倒的な勝利をおさめた自衛隊、銀座ゲートと繋がったアルヌスの丘を拠点とし周辺の偵察活動を開始。偵察には、最大限の警戒をするよう命令がされた。

 

地球と常識も違う敵地で油断しない様にするのは可笑しくない話だが、自衛隊の最大限警戒している仮想敵は居るかどうかもわからない、まだ敵かどうか決まっていない相手だ。

 

自衛隊はこの世界の情報を必要としていた。

だから偵察を出した。

 

自衛隊の偵察部隊の1隊。二条橋の英雄と呼ばれる事となった伊丹二尉率いる第3偵察隊。隊長を任された伊丹率いる第三偵察隊はジープで移動しながら雑談をしていた。雑談をしながらも警戒はしているが、油断しない程度には緊張感は薄いようだ。隊長の伊丹の影響だろうか。

 

「隊長ってあの銀座事件の時に居たんですよね」

 

「ん、あーまぁ一応」

 

「銀座の英雄が一応ですか」

 

「英雄(笑)さまだぞ」

 

「自分でカッコ笑いとか言わないでください」

 

「で、銀座に居たからどうした」

 

「いえね。話題のあれを隊長は直接見れたのかなって」

 

「それ……門から出てきた奴等のことじゃないよな?」

 

「白いお方の事っすよ」

 

「見てない見てない。いや遠目に何か見えたけど当時は何か判らなかったぞ。テレビで見て初めて知ったわ。意味不明な発火そういう事だったのかってその時にようやくわかった」

 

「それは残念でしたね」

 

「ハッキリ生で見れなかったことがか?まぁ残念と言えば…残念か?」

 

「ざ、残念なんですか?白い怪人……あのダグバがハッキリ見える距離に居るなんてゴメンじゃないですか」

 

「あのダグバって、もしかして栗林は仮面ライダークウガ見たことあんの?」

 

「ありますよ」

 

「え、見たことあるんだ意外?」

 

「あぁ見たのは銀座事件の後ですよ。隊長みたいにオタク趣味があるとか誤解しないでくださいよ」

 

「あぁ自衛官幹部が銀座事件の後に、ファンタジー系の本を色々と書店で買ったみたいな話があるけど、栗林もそれか?」

 

「そんな感じです。少しでも事前の知識が必要と考えてクウガ全話見たんです。見るのに苦労しました」

 

「借りれたの?ダグバの影響で全店でDVDは貸し出し中になってるとニュースになってましたけど」

 

「…借りれなかったから買ったの。DVD高過ぎ」

 

「あー買ったのか。で、見た感想は?」

 

「感想?まぁその、面白かったです。……子供向けとバカに出来ないモノでした。アレ本当に子供向けですか?」

 

「作品じゃなくてダグバの感想だよ」

 

「感想もなにも……なんですかあれ、やる気になったら単体で日本を壊滅させれるとか。核も無効に出来るとか……ダグバだけ他のグロンギと桁違いすぎませんか」

 

「それ設定とか考案…DVD以外も相当に見てるっすよね」

 

「まぁ特撮の設定はブッ飛んでるの多いからな……問題はそのブッ飛んでる設定まんまの強さかどうかだよ」

 

「現実に確定してる強さは……銀座での話ですよね」

 

「銀座事件だと死体とか残ってないから推測だけど、五桁の被害らしいな。クウガ原作でやらかしたダグバ並みの事はしてるぞ……」

 

「銀座の民間人に被害を出した話しは有りませんが、正直……襲撃犯より恐ろしいですよね」

 

「ダグバって警戒しないといけないんすかね」

 

「何万も人間を焼き殺す危険生物よ。警戒しなきゃいけないに決まってるでしょ」 

 

「いえ、危険なのは否定しないっすけど、ダグバのお陰で銀座の人が大勢助かったんすよ。テレビの学者さんの話だとダグバのお陰で犠牲者が二桁ぐらい増えずに済んだみたいですし……恩人を警戒し過ぎるのもどうかと」

 

「恩人ね。テレビでも言ってたけど今回の殺戮のターゲットが銀座を襲った連中だっただけって懸念が有るからなぁ……矛先がどうなるかわからんのだし恩人って事で警戒しないのは絶対にダメだろ」

 

「ターゲットって、グロンギのゲームみたいなことがあるんすか?」

 

「無いとも言えないだろう」

 

「……ダークヒーロー路線とか想像してたっすけど、そう言われるとダグバ怖いっすね」

 

「あれで終わりでもう二度と現れないって事なら一番ありがたいんだけどな」

 

「本当に現れて欲しくないですよね。少なくとも私達の前には、見掛けたら対話を試みろって上からの命令ですし」

 

「無茶な命令っすね」

 

「無茶でも上の命令だから従わないとダメなんだよなぁ……他に居るかどうかとか確認したいってのはわかるけど」

 

「隊長は他、ダグバの他にグロンギ族が此方に居ると思いますか」

 

「どうかね。…一応居ると考えとこ、判ってると思うが此方の現地民をなるべく怒らせるのは止めてくれよ。その怒らせた相手が偶々グロンギとかゴメンだからな」 

 

「そんな話をされたら住民と出会うの怖いですよ」

 

「小さな村だと思って入ったら、村人皆グロンギなんて事が?」

 

「だから怖いこと言わないでよ!」

 

「村どころか町規模でグロンギ居て敵対したら、下手したら自衛隊どころか日本が終わるな。ま、ダグバ一体だけでも日本終わるって言われてるから誤差かハハハ」

 

「……隊長それ笑えません」

 

「……スマン……」

 

「ダグバの事を話してたら出会わないか不安になってきたっす。居ないっすよね」

 

倉田は双眼鏡で周りを見た。

 

「ダグバと偶然会うなんてどんだけ運が悪ければあるんだよ」

 

伊丹が笑うように言う。

倉田も冗談のつもりだった。

 

「あの森に情報にあった集落が…隊長!」

 

双眼鏡を覗いた倉田が緊迫した声を出した。

 

「どうした」

 

「も、森を見てください」

 

「……煙が出てるな。森が燃えてる?」

 

「あの煙より遥かに不味そうなものが見えるんですけど」

 

「あ、見えてるの、幻覚じゃなかったか」

 

「…この世界、どこまでファンタジーなんだ」

 

第三小隊は森を燃やしている犯人を見付けてしまう。犯人、いや火事の元凶らしき生物とは相当に離れた距離にあるが、望遠鏡が無くても見えてしまうほど大きい。

 

赤い鱗を纏った怪獣サイズのドラゴン。

 

「とんでもなくデカイ蜥蜴だなぁ」

 

「隊長、トカゲってどう見てもドラゴンですよあれ。…ってドラゴンの様子が可笑しく有りません?」

 

「可笑しいってドラゴンが居るのが…確かに動きが可笑しいな」

 

目視では龍が何もない空中で暴れている様に見える。何かに殴らているみたいに仰け反ったりしている。

 

「ドラゴン悲鳴あげてないか?」

 

双眼鏡で見ている倉田だけはドラゴンが悲鳴をあげてる理由がわかった。

 

「た、隊長!!これで見てください!ドラゴンの周りを」

 

倉田がそう言いながら自分が使っていた双眼鏡を伊丹に渡した。

 

伊丹は嫌々双眼鏡で龍を見ると龍の近くに何か居る。ドラゴンから見ると人形に見える大きさ。大きな剣みたいなのを持ってる。白い鎧のーー伊丹はそっと双眼鏡から目を離しこう言った。

 

「…………よし!撤退!ビルみたいなドラゴンが居ることを本隊に伝えよう!」

 

「え?……その、ダグ「あんなデカイドラゴンが居るなら早急に下がって本隊に連絡する必要あるよな!」あ、はい」

 

倉田は良いのかなと思うも伊丹の言葉に頷いた。

 

「ドラゴン居るしな。隊の安全の為に彼処に近づけないよな!」 

 

「あ、ドラゴンが飛んで逃げていきました」

 

ある意味ベストタイミングで栗林が言う。

伊丹は飛び去るドラゴン(行かない理由)を見送るしかない。

 

「チクショウめええ!」

 

ちょっとドイツの某首相が乗り移った様な叫びだ。ドラゴンしか見てない隊員には何でそんな反応なのかわからない。見るからにヤバそうなドラゴンが居なくなるのは良いことじゃないか?まるでドラゴンよりもヤバそうな相手でも見たとでも……察した。

 

「隊長、…居たんですか」

 

ベテランの富田が代表して聞いた。

それに対して伊丹は深い溜め息をついてからいった。

 

「……フラグってあるんだよ」、

 

「フラグ?」

 

伝わらなかったようだ。

伊丹は言葉をかえた。

 

「こう言う言葉あるだろ、お化けの話をしてたらお化けが出るみたいな………」

 

沈黙があった。

ドラゴンの前には何の話をしてたか…。

 

「隊長…それはつまり…銀座事件の時の白いお化けが居たと」

 

「いたんだよ」

 

察した事が間違いでないと理解して全員が沈痛な面持ちになった。

 

「はぁぁ…行くしかないよな…倉田三曹!」

 

「は!」

 

突然やり手の上司の様に威厳を出した伊丹に背筋を伸ばした。

 

「これから向かう先で現地の住民と遭遇する可能性がある。その時の対話役を君に任せる!」

 

「了解しま……い、いやいやいや」

 

倉田は反射的に了承しかけて慌てた。此れから向かう先の現地住民とはあれだ。貧乏くじを押し付けられそうになってる事に気づいた。

 

「た、対話でしたら、男より女性の方が良いですよ!!なのでいざというときのことも考え白兵戦能力が高い栗林二曹のほうが適任では」

 

「はぁ!……此所はやっぱり誠意を持って隊の代表たる隊長が逝くべきでしょう」  

 

「おい!絶対いくの文字が可笑しかっただろ!」

 

「気のせいです」 

 

「なら目を逸らすなよ」

 

他の隊員も巻き込んでの押し付けあいに発展した。巷で有名な英雄の部隊なのにグダグダだった。時間を無駄に消費して…誰かと言わないが何かが去るまでの時間稼ぎをしてないか?。

 

 

「あ、…対話役には必要ですよね…グロンギ語とか」

 

「…グロンギ語…」

 

「対話役はグロンギ語を使えるのは必須ですね。…隊長ってグロンギ語を覚えてると自慢してたっすよね」

 

「ハハハ、なにを言うのか倉田くん、倉田くんもグロンギ語いけるよな?」

 

これで候補は二人に絞られた。

お互いが無言で牽制しあった。

一人の女性士官がまるで巻き込まれない様に視線を逸らしていた。

 

「なぁもしかしてクリもグロンギ語いけるんじゃないか」

 

「え!?なんでしっ…」

 

この反応…実はグロンギ語いけるなと二人の男は確信した。今度は三人で牽制しあうことに…ならなかった。

 

「お三方が対話役でいいですね」

 

これ以上グダグダは嫌だったのか有無を言わせず衛生兵が纏めた。

 

「「……」」

 

 

円満に対話役が決まり偵察隊は森に入る。ドラゴンが居た方向に森を進んで行くと…

 

ファンタジーの王道のエルフの村を発見。エルフだ!と喜びたいオタク自衛官が部隊の中に二人も居たが、どちらもそれどころじゃなかった。

 

 

 

銀座で大暴れした白い怪人と遭遇した。

 

 

 

 


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