白き闇は正義になれない?   作:ソウクイ

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友好

 

 

銀座に現れた門の先の世界に来て数週間、竜が居たり魔法を打ち込まれた時点でお察しの通り、地球とは異なった人種やら生き物が存在するファンタジーな世界。エルフや獣人に似た種族の存在を白野は確認してる。エルフの女の子、獣人の女の子、男のロマンと遭遇したよ。

 

ロマンって……実際に見ない方が良い場合もあるよね。

 

まあ個人的な、あくまでも個人的な意見だけどね。残念ながら、ホント残念ながら、リアルだとエルフや獣人の女の子は……コスプレと違うキツさが、特に獣人は何か違う。

 

あとエルフや獣人が美人や若い娘だけとか無い。当然だけどエルフにも獣人にもブサイクもオッサンも。マッチョもいる。脂身なオッサンの猫耳、ムチムチな中年オバサンのネコミミ姿………此方の人からしたら普通なんだけど…凄く痛々しくみえて…。

 

精神的に辛いだけで特には問題はない。思わず八つ当たりに銀座を襲ってきた国を襲撃しに行こうと思ったけど…。

 

エルフや獣人、他には魔物、此方の世界風に言えば亜人がいる。銀座を襲ってたゴブリンやらオークやらトロルが亜人だね。亜人が居るこの世界ならダグバの姿も大丈夫かと思うかな。普通に警戒される。

 

それなりに色んな所に行ったけど今の所、唯一警戒や怯えや敵意と違った反応をしてくれたのは…黒いゴスロリ服を着た女の子のみ。正体不明の女の子。二度目に来た時に拠点に作った小屋に居た女の子。

 

言語のわからない言葉で普通に話しかけてきて、斧を振りかざして笑顔で……襲ってきた。

 

相手が女の子でも襲ってきなら危なかったと思うんだけど、殺気もないし試すような感じで、どうしようか困ってたら向こうが止めてそれから付き纏ってくる。ゴスロリの女の子は毎日じゃないけど結構な頻度でやってくる。今日もやってきて今傍に居る。傍に居る理由がわからない。敵意もないみたいだから対応に困ってる。

 

着てる服も持ってる斧もこの世界をザッと見た限りこの娘だけの特徴、特に服装はこの子ぐらい。出会った人には敬われてる感じ。特殊な立場なんだと思う。地位が高そうな感じなんだけど…けど何時も一人。

 

何なのかなこの女の子は

 

たまに盗賊相手に暴れたりする。細い腕で斧を楽々と振り回して人体も岩とかも破壊してる。格好だけでなくて身体能力も一般人にしては可笑しい。見てきた相手の中だとダントツで戦闘能力が高い。脅威を感じるかと言うと…そんなに

 

襲われたけど後は好意的な感じだし外見は可愛い女の子だから、近付いてくるのを力付くで追い返そうって気にもなれない。……遠慮がない様に見えて此方が不快を感じるラインを見極められてる感じがする。老獪って感じがする。

 

こちらを観察するように見てくる。女の子は何か自分に関して目的があるとは思う。目的が何なのかは気になる。聞きたいけど言葉がまだ判らない。とはいえ、あと少しで言葉は判ると思う。最近、女の子の言葉を何となく理解できてきていた。

 

『何処に行ってたの?』 

 

何処に行ってたって質問かな。もう此れぐらいなら理解できる。未知の言語を短期間で理解できてきた事には自分でも驚いてる。クウガのグロンギは日本語を短期間で習得してるから、同じグロンギって事で言葉を学習する速度が早いのかな。頭にも影響受けてそうだけど喜んで良いのかな?

 

質問に答えるように門の有る方角を向くと少女が満足そうに頷いた。

 

小屋の前の切り株に座って小屋を造った余りの丸太をテーブルにしている。上にはカル○ーのBIGポテトチップス(コンソメ味)。お菓子は好きかい?と聞かれたさ大好きでゲスって位には好きだよ。言語を話せるようになったらこの世界のお菓子も食べたしてみたい。

 

袋を真ん中から裂く様に開けて丸太の上に配置。ポテトチップスをパリパリと食べる。…ダグバの姿で食べるの罰当たりな感じが少しするね。悪いことをしてるみたいな背徳感がある。

 

『貰っても良いかしら?』

 

この言葉も何となく理由できる。頷くとゴスロリ少女が此方の膝を椅子代わりにしてくる。膝の上でポテトチップスが食べてる。なんで乗ってるのかな?…何がと言わないけど、鎧ぽいけど、皮膚が変質したモノだから感触はあるんだけど…猫が膝に乗ってきた様な感じで無理矢理降ろそうって気にも成らない。

 

パリパリ

 

森の中、ゴスロリ少女を膝に乗せてポテトチップスを食べる自分(ダグバと同じ姿)…うーん………そこら辺の動物でも捕まえて丸焼きにして食べた方が良いかな?

 

ポテトチップスを食べ終わる。ゴミを回収して休憩終わり。次は日課の行動、ビニール袋に入れてと森を歩いて…エルフの村に向かう事にする。ゴスロリの女の子は当然の如く着いてくる。 

 

『バンデズギデグス?(なんで着いてくる?)』

 

「ふふ」

 

笑うだけで答えない。因みに別にグロンギ語でなくても話せるけどキャラ付け。日本語でも良かったかな。

 

ゴスロリ少女は何時もの様に斧を持ってる。斧は端から見ると大きさ的に少女じゃなくて自分(ダグバ)の武器っぽくないかな?女の子に武器を持たせる悪党ぽくない。これ以上イメージ悪くしたくないんだけど……

 

エルフの村についた

 

因みにこの村に最初に来たときは盛大に歓迎をされてる。弓とか魔法とかでね。その時はいきなり村に入った此方が悪いとも思ったから反撃はせずにスゴスゴと帰った。

 

言葉も話せないから野性動物を刈ってエルフ村への手土産に一日毎に訪問。何度か繰り返したら攻撃はしてこないようになる。村にフリーパスで入れるようになった。やっぱり手土産は効果抜群だった………何故か怯えられてるけど。

 

村には入れるけど恐れられてる感じで普通に会話が出来ない。暴れたり一切してないんだけどね。

 

今度はゴスロリの女の子と一緒にきてる。ゴスロリ少女がマスコット枠になってくれて少しは警戒を緩めてくれないか期待してる。ゴスロリ娘さんを引き連れてエルフ村に入りをした。相変わらず悲鳴でのお出迎え。…攻撃が無いだけとても改善はされてるんだよ。

 

ダメか。

 

マスコットどころかゴスロリ少女にも怯えた視線が向けられてる。やっぱりデカイ斧とか怖いかな。ボクより怖がられてない?エルフにも知られてる感じなのかな。早く言葉を理解してゴスロリの女の子がどんな立場なのか知りたい様な…知るのが怖いような。

 

エルフの人達と何とか仲良くなりたい。

今から他の村で一から頑張るのもちょっと面倒だしね。

 

此処から離れた所で他の村にも行った経験はあるんだけど、その時は、傭兵みたいな相手に襲われて…。兵士を呼ばれたり、兵士を死なない程度に全員倒した後だと生け贄ぽい女の子を差し出され……まだ怯えられるだけのこの村はマシな方。

 

さて今回は手土産を持ってきた。何時もの野生動物でなく買ったお菓子で子供を餌付けして懐柔しようと思う。…犯罪みたいな感じがするね。

 

子供たちは…

逃げてるね。

 

姿が子供のヒーローの敵だから仕方ないかな?ダグバの姿だけなら子供に人気が出そうな格好いい姿と思うんだけどね。なんで警戒されるんだろう。これが異文化の感性の違いかな。避けられるボクを、ゴスロリ少女がポテトチップをパリパリしながらニヤニヤ笑って見てる。…堂々と盗み食いされてる。

 

食べてる姿に子供がドンドンと興味を示してる。結果的に釣り餌に成ってるね。子供がゴスロリの女の子の元に…大人が青ざめてる。やっぱりゴスロリの女の子自分並みかそれ以上に怖がられてない?

 

 

「今日もあの集落に行くのぉ?」

 

それから更に数週間、言葉の学習に成功した。

 

言葉を学習した結果、ゴスロリの女の子はローリィちゃん。異世界から来た自分の事を確認する為に傍に居たそう。ローリィちゃんはエムロイってこの世界の戦いの神さまに仕える、神官で亜神という存在だそう。その神様に…異世界から来た事を知られてロゥリィちゃんが派遣されたらしい。……神様が普通にいる世界らしいね。

 

 

ロゥリィちゃんみたいな亜神は人から外れて何れ神になる存在らしい。ローリィちゃんによるとボクも別世界の神に仕える亜神という認識らしい。仕えてる覚えは無いけど転生させられたし否定出来ないかな。で、ローリィちゃんには堂々と此れからも神様からの要請だから監視をするために傍に居ると言われた。まぁこの世界の神様の命令らしいし監視は仕方ないと諦めるしかないかな。

 

それにしても、地球でなくてこの世界に居たって証明をしたかったのに、別世界から来た事はロゥリィちゃんの神様には気付かれた。

 

他にも気づける存在は居そうだし。

この世界出身て事にするのは無理かな。

どうしよう。

 

それとロゥリィちゃんの神様に見つけられたのダグバの姿だからかな。もし人間の姿の時でも見付かる場合は面倒だな。

自分の事を見付けられそうな存在はいるのは確認できた。言葉を覚えたからエルフの人たちに魔法については聞いてある。自分みたいなのを探す感じの魔法は知らないらしい。けど存在しないとも言えないらしい。

 

魔法の学術都市があるそう。魔法の研究をする魔法使いは沢山いるそうで作ってる魔法使いが居ても可笑しくないそう。

 

 

魔法の事を聞くって目的は達したけど、今日もまたゴスロリ少女を伴いエルフの村にやってきた。何度も来たお陰か悲鳴も上げられなくなった。どうせならもっと仲良くなりたい。だから最近は珍しい手土産を持ってくる事にした。

 

 

……何でか距離が開いたような。

 

 

 

「あら?」

 

ロゥリィちゃんが何かを見てる。

何か飛んできてる。

うちのワイバーンが来たと思えば…。

 

どうやら違うみたいだ。

 

 

色が赤いし。

形も違うし。

何よりサイズが随分と大きい。

 

まるで怪獣みたいなドラゴン。

あのサイズでよく空を飛べるね。

 

 

此処ってモンスターハ○ターの世界なんて可能性は無いかな。モンスター○ンターってやったこととか無いけどね。そう言えば、一時期モンスターハン○ーやってないと友達いないみたいな謂われないレッテル貼られたね。協力プレイが売りだったからかな。そんな事より近付いてくるドラゴンを気にした方がいいか。

 

ドラゴンと言えば知能が高かったりイメージ有るけど話したりするのかな。人間より賢くても不思議ないよね。何か目的あってきたのかな。偶々ボクが居るところに来るなんてのは偶然?ロゥリィちゃんの神様が出した観察みたいな目的とか…

 

 

え、炎を吹いてき…

 

 

 

 

 

 

 

 

銀座事件から何ヵ月か。

 

自衛隊は特地への潜入を果たしアルヌスと呼ばれる丘に駐屯地を造ったが、自衛隊の駐屯地に現地の大軍が進軍、交戦は避けられないとして正当防衛として自衛隊は迎撃した。

 

自衛隊と特地の現地軍の力の差は歴然。

単純な総動員数は敵の軍の方が遥かに多かった。

 

しかし戦闘は数だけで決まるものでもない。

 

先ず個々の質も重要だ。

 

自衛隊は当然現代兵器

この世界の軍の装備は中世相当。

 

極端に言えば弓矢を持った百人とミサイルが射てる一人ならどちらが強いか。装備の質は比べることすら可笑しいぐらいの差があった。

 

この世界の戦略も戦術も根本から覆される。この世界の当たり前の戦として真っ当に王道に戦おうと…真っ正面から戦えばどうなるか。

 

どんな武勇を誇る勇者だろうと優れた名将だろうとどうにもならない。

 

現地軍は銃撃や砲撃に晒され攻撃が届く位置に辿り着く前に殆んど撃破され、万の数でも重火器相手では勝負には成らなかった。

 

勝負の結果は現地軍の壊滅。

自衛隊の戦死どころか負傷者も居ない。

自衛隊からすれば戦った実感すらあったのか怪しい圧倒的な勝利、

 

容赦ないとも見えるが自衛隊は一切悪くない。手加減して近付かれれば自衛隊に被害が出てしまう。それにそもそも自衛隊はあくまでも一方的に宣戦布告も無しに襲われた被害者側だ。銀座に侵入し民間人を突然殺戮をしてきた加害者相手に手加減しろと言う方が可笑しい。

 

 

 

大規模な軍隊を退けた後、自衛隊は銀座ゲートと繋がったアルヌスの丘を拠点とし周辺の偵察活動を開始。

 

偵察には最大限の警戒をするよう命令がされている。地球と常識も違う敵地で油断しない様にするのは可笑しくない話だが、自衛隊の最大限警戒している仮想敵は侵略者だけではない。居るかどうかもわからない…まだ敵かどうか決まっていない相手だ。

 

 

自衛隊の偵察部隊の1隊。二条橋の英雄と呼ばれる事となった伊丹二尉率いる第3偵察隊。隊長を任された伊丹率いる第三偵察隊はジープで移動しながら雑談をしている。雑談をしながらも警戒はしているが他よりも緊張感は薄いようだ。隊長の伊丹の影響だろうか。

 

「隊長ってあの銀座事件の時に居たんですよね」

 

「ん、あーまぁ一応」

 

伊丹は適当に返事をした。

 

「銀座の英雄が一応ですか」

 

「英雄(笑)さまだぞ」

 

「たいょー自分でカッコ笑いとか言わないでくださいよ」

 

「で、銀座に居たからどうした」

 

「いえね。話題の…あれを隊長は直接見れたのかなって」

 

恐る恐ると言う風に聞いた。

 

「……門から出てきた奴等のことじゃないよな?」

 

「白いお方の事っすよ」

 

「見てない見てない。いや遠目に何か見えたけど当時は何か判らなかった。テレビで見て初めて知ったわ。意味不明な発火そういう事だったのかって後でようやくわかった……あとでマジでビビったわ」

 

伊丹は震えるような仕草をわざとらしくやった。

 

「それは残念でしたね」

 

「ハッキリ生で見れなかったことがか?まぁ残念と言えば…残念か?」

 

「ええ!残念なんですか。白い怪人……あのダグバがハッキリ見える距離に居るなんて最悪じゃないですか!」

 

「あのダグバって、もしかして栗林はクウガ見たことあんの?」

 

全員が意外そうな顔で小柄な女性隊員の栗林を見た。

 

「ま、まぁ、一応、あります」

 

「え、見たことあるんだ意外?」

 

「いえ、見たのは銀座事件の後です。隊長みたいにオタク趣味があるとか誤解しないでくださいよ」

 

栗林はオタク嫌いな女性だ。

オタク趣味の伊丹を悪く思ってのを隠さない。

 

「俺と同類扱いそんなに嫌か。銀座事件の後にクウガ関係のモノを色々と買われたみたいな話があるけど栗林もそれか」

 

「興味本位じゃないですよ。自衛隊だと何時関わるか解らないと思ったからです!少しでも事前の知識が必要と考えてクウガを見たんです。見るのに苦労しました」

 

「ダグバの影響で全店でDVDは貸し出し中になってるとニュースになってましたもんね」

 

「借りれなかったから買ったわ。DVD高過ぎ」

 

「あー買ったのか。高騰してるのによく買ったな。で、見た感想は?」

 

「感想?まぁ…ソコソコ面白かったです。……子供向けとバカに出来ないモノでした。アレ本当に子供向けですか?」

 

「作品じゃなくてダグバの感想だよ」

 

「感想もなにも……なんですかあれ、やる気になったら単体で日本を壊滅させれるとか。核も無効に出来るとか……ダグバだけ他のグロンギと桁違いすぎませんか」

 

「それ本編に出てない設定とか考案じゃないです?小説のも…DVD以外も相当に見てるっすよね」

 

はまったんじゃないかと半笑いだ。

 

「…一番大事な部分だし他のでも確認ぐらいするわよ」

 

「……問題はそのブッ飛んでる設定が何処まで正しいのかだよ」

 

「何処まで正しいのかわかりませんが……銀座事件で確認された力だけでも十分にアウトですよね」

 

「銀座事件だと焼失で死体が残ってないから推測だけど、推定の被害で最低でも五桁の被害は確実らしいな。クウガ原作でのダグバ並み……」

 

「ダグバって一部でヒーロー扱いされてますよね」

 

暗い空気を変えるように明るい声で話す。

 

「あー聞いたことある。なに考えてるんだか」 

 

「まぁダグバのお陰で銀座の人が大勢助かったのは否定できませんし。テレビの学者さんの話だとダグバのお陰で銀座の一般人の犠牲者が一桁、二桁増えずに済んだみたいですし……日本人の恩人でヒーローってのは一概に否定できませんよ」

 

「恩人ね。善意で救ってくれてたんなら良いけど、テレビでも言ってたけど今回の殺戮のターゲットが銀座を襲った連中だっただけって懸念が有るからなぁ…」

 

「グロンギのゲゲルですか…」

 

「…………ありえないとも言えないすよね」

 

もし懸念が有っていたらターゲットに日本人が入ることも有り得る。

 

「あれで終わりでもう二度と現れないって事なら一番ありがたいんだけどな」

 

「本当に現れて欲しくないですよね。少なくとも私達の前には、見掛けたら対話を試みろって上からの命令ですし」

 

「無茶な命令っすよね」

 

「まぁ問答無用に攻撃やら捕獲しろってのよりマシかもしれませんが」

 

「無茶でも上の命令だから従わないとダメなんだよなぁ…グロンギが他に居るのかどうか確認しろって…他にグロンギが居るかどうかとか確認したいってのはわかるけどさぁ」

 

「隊長は他、ダグバの他にグロンギ族が此方に居ると思いますか」

 

「どうかね。…一応居ると考えとこ、判ってると思うが此方の現地民をなるべく怒らせるのは止めてくれよ。その怒らせた相手が偶々グロンギとかゴメンだからな」 

 

「そんな話をされたら此方の住民と出会うのが怖いですよ」

 

口調は冗談の様に言うが顔色は実際に悪い。想像してしまったようだ。

 

「普通の村だと思って入ったら、村人全員がグロンギなんて事が…」

 

「だから怖いこと言わないでよ!」

 

「村どころかグロンギの国でもあったら、下手したら自衛隊どころか日本が終わりそうですね」

 

「ま、ダグバ一体だけでも日本終わるって言われてるから誤差だハハハ」

 

「……隊長それ笑えません」

 

「スマン、そんな真顔になるなよ」

 

「ダグバの事を話してたら出会うフラグとかに成りそうですよね」

 

雑談をしながらおもむろに倉田は双眼鏡で周りを見た。

 

「ナイナイ、こんな広い世界で偶然会うなんてどんだけ運が悪ければあるんだよ」

 

伊丹が笑うように言う。

倉田も冗談のつもりだった。

…つもりだった。

 

「あの森に情報にあった集落が…隊長!!」

 

双眼鏡を覗いた倉田が緊迫した声を出した。

 

「…どうした」

 

車内の全員が緊張した面持ち。

銃を何時でも使えるように持った。

 

「前の森を見てください。燃えてます!それに…アレは…」

 

伊丹も双眼鏡で前方を確認した。

 

「………火が出てるな。おいおい、こんな所で山火事か?」

 

倉田はそうじゃないとばかりに首を振った。

 

「火事もそうですが!!それより!!遥かに不味そうなものが見えますよね!!」

 

「……あー俺だけが見えてる幻覚じゃなかったか」

 

「…この世界、どこまでファンタジーなんしょうね」

 

他の隊員も双眼鏡で覗いて現実逃避したい気分を味わった

 

第三小隊は森を燃やしている犯人を見付けてしまう。犯人、いや火事の元凶らしき生物とは相当に離れた距離にあるが、その巨体はよく見えた。

 

森を焼いている炎の元凶と思わしき生き物、赤い鱗を纏った怪獣…その姿はどうみても…ドラゴン。

 

「とんでもなくデカイ蜥蜴だなぁ」

 

「隊長、トカゲってどう見てもドラゴンですよドラゴン…」

 

「火を吹いてるしあれが森を燃やしたのか」

 

「ってドラゴンの様子が可笑しく有りません?」

 

「……確かに動きが可笑しいな」

 

目視では龍が何もない空中で暴れている様に見える。火を吹く方向も四方八方。腕や尻尾も何かを振り払う様な動作をさせていた。

 

「暴走でもしてるのか?」

 

「さっきから少しドラゴンの鳴き声みたいなの聞こえますけど……なんというか…悲鳴に聞こえないっすか」

 

「確かに…悲鳴…にも聞こえるな」

 

「隊長…ドラゴンを拡大してみますと……血も吹き出してます。赤い色で良くわかりませんでしたが…怪我をしてますよ」

「怪我ってまさかあのデカイのを何かが襲っているっての?」

 

双眼鏡でドラゴンの周りを見ていた倉田が見付けた。

 

「た、隊長!!ドラゴンの右側!あ、いや、右上!」

 

「なにか見付けたのか」

 

伊丹は言われた通り双眼鏡で龍の右側を見ると何か居るを見付ける。ドラゴンから見ると人形に見える大きさ。白いかーー伊丹はそっと双眼鏡から目を離しこう言った。

 

「…………よし!撤退!ドラゴンが居ることを本隊に伝えよう!」

 

「え?……その、ダグ「あんなデカイドラゴンが居るなら早急に下がって本隊に連絡する必要あるよな!」あ、はい」

 

倉田は伊丹の言葉に頷いた。

 

「あの森にある集落の確認とかしなくても大丈夫ですかね。あのドラゴンが暴れてるの集落があると思われる所の近くですし…」

 

伊丹は悩んだ。集落近くでドラゴンが暴れてるなら救助が必要と思える。ドラゴンが去ってから救助に行った方が良いのか悩む…。

 

「あのドラゴンが何時去るのかも解らないし…連絡に戻る方が」

 

「…その…ドラゴンが飛んでいきました。此方とは反対方向に」

 

ある意味ベストタイミングで栗林が言う。怪我をおったドラゴンがフラフラと飛んで去っていく。

 

伊丹は飛び去るドラゴン(集落の方に行かない理由)を見送るしかない。伊丹は戻ってきてほしいという顔だ。見るからにヤバそうなドラゴンが居なくなるのは良いことじゃないか?なんで集落のある場所に行くのを嫌がるのか。まるでドラゴンよりもヤバそうな相手でも集落のある方向で見たとでもいうような…。

察した。

隊員たちは息を呑んだ。

 

「隊長、その……居たんですか」

 

ベテランの富田が代表して聞く。

それに対して伊丹は深い溜め息をついた。

 

「……フラグってあるみたいだ」

 

「フラグ?」

 

伝わらなかったようだ。

伊丹は言葉をかえた。

 

「こう言う言葉あるだろ、お化けの話をしてたらお化けが出るみたいな………」

 

沈黙があった。

ドラゴンの前には何の話をしてたか…。

 

「隊長……銀座事件の時の白いお化けが居たと」

 

「そう言うこと」

 

察した事が間違いでないと理解して全員が沈痛な面持ちになった。

 

「どうします。ドラゴンを発見した事を理由に出来ると思いますが…」

 

伊丹は悩むが…。いつの間にか不自然に鎮火した森を見て…明らかにヤバイのがまだ居るのがわかる上で…

 

「はぁぁ……行くしかないな」

 

ドラゴンが暴れたことで集落で要救助者がいる可能性を見過ごすことが出来なかった。

 

「倉田三曹!」

 

「は!」

 

突然やり手の上司の様に威厳を出した伊丹に背筋を伸ばした。

 

「これから向かう先で現地の住民と遭遇する可能性がある。その時の対話役を任せる!」

 

「了解しま……い、いやいや、いやいやいやいや!!」

 

倉田は反射的に了承しかけて慌てる。此れから向かう先の現地住民とはあれだ。貧乏くじを押し付けられそうになってる事に気づいた。

 

「た、対話でしたら、ほら!相手を安心させれる方が良いですよね!男より女性の方が安心出来ますよ!!いざというときのことも考え白兵戦能力が高い栗林二曹のほうが適任では」

 

「はぁ!私!?此所はやっぱり誠意を持って隊の代表たる隊長が逝くべきでしょう!」  

 

「おい!絶対いくの文字が可笑しかっただろ!」

 

「気のせいです」 

 

「なら目を逸らすなよ」

 

他の隊員も巻き込んでの押し付けあいに発展。巷で有名な英雄の部隊なのにグダグダ。時間を無駄に消費して…誰かと言わないが何かが去るまでの時間稼ぎをしてないか?。

 

「あ、対話役には必要ですよね…グロンギ語」

 

「…グロンギ語は、まぁ必要だろうな。銀座でグロンギを使ってるのを聞いた住民は居たし」

 

「やはり対話役はグロンギ語を使えるのは必須ですね!!隊長って前にグロンギ語で会話できると自慢してたっすよね」

 

「ハハハ、なにを言うのか倉田くん、倉田くんもグロンギ語で会話いけるよな?」

 

お互いが無言で牽制しあう。一人の女性士官がまるで巻き込まれない様に視線を逸らしている。こういう時に限って目敏くみつける隊長

 

「なぁもしかしてクリもグロンギ語いけるんじゃないか」

 

「え!?なんでしっ…」

 

グロンギ語いけるなと二人の男は確信する。今度は三人で牽制しあうことに…。

 

「お三方が対話役でいいですね」

 

これ以上グダグダは嫌だったのか有無を言わせず衛生兵の黒木が纏めた。

 

円満に対話役が決まり偵察隊は森に入る。ドラゴンが居た方向、鎮火したばかりの焦げ臭い森を進んで行くと…集落を発見。

 

集落は損壊はあるが無事だ。

住民が慌ただしく駆け回っていた。

 

その集落の住民はファンタジーの王道のエルフだ!エルフたちはいきなりやってきた自衛隊を戸惑った様子で見ている。エルフを見て喜びたいオタク自衛官が部隊の中に二人も居たが、どちらもそれどころじゃなかった。

 

 

 

居て欲しくなかった…銀座で大暴れした白い怪人が出迎えてくれた。

 

 

 

 

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