ブラックブレッド~半感染者~『一時更新停止』   作:抹茶屋

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 評価もらえました! 低いですが、見てもらえてると思うと、頑張ろうと思います。
 面白くなるようにこれからも頑張っていきたいです。


第九話 教会の子供たち

 夕陽が沈みかかっている時間に音波(おとは)は、目的の場所についた。

 そこは、森の中にひっそりと佇む教会だった。

 

「あっ! 音にぃだ!」

「えっ? にぃ着たの?」

「音波兄ちゃん! お帰り!」

「にぃに……あいたか……った」

 

 協会の入り口から、少年少女が音波の姿を見つけると、次々と雪崩のように向かって抱き付いてくる。

 

「ようお前ら、元気そうだな!」

「うん! ママ呼んでくる?」

「ああ、頼むよルルカ」

 

 ルルカという少女は、嬉しそうな顔で協会に戻っていった。

 ここにいる少年少女たちは、皆ガストレア大戦で親をなくし、行き場所を失ってしまった子供や、赤目をした、《呪われた子供たち》といって捨てられた子供が、ここの協会のシスターであり、この子達の母親でもある、松崎(まつざき) 優奈(ゆうな)さんが、拾って一緒に暮らしているのだ。

 

「ママ呼んできたよ!」

「こんばんわ松崎さん」

「こんばんわ、音波ちゃん」

「これ、いつものです。廃棄ですみません」

 

 音波が頭を下げると、松崎さんは、首を横に振りながら、音波の頭を撫でる。

 

「疲れたでしょう? 今晩は女の子達がシチューを作ったのよ、音波ちゃんが食べてくれると皆喜ぶわ。」

「音にぃ、一緒に食べよ?」

「うーん……」

 

 今日は、家で九魅(くみ)と一緒に遊ぶ約束をしていた。九魅も今日を楽しみに待っていたため、落ち込ませたくはなかった。なので、音波は首を横に振り、ルルカの頭に手をのせる。

 

「ごめんな、今日は九魅との約束あるんだ、また今度食わせてくれ」

「そっか……じゃあ今度は絶対に食べよ!」

「ああ、今度絶対食べる、約束だ」

「うん!」

 

 ルルカは満面な笑みで協会に戻っていった。

 

「松崎さん、少しお時間をもらっても?」

「何ですか?」

「里見蓮太郎について、少し調べてもらってもいいですか?」

「……個人情報はあまり口外したくはないのですが……わかりました、調べときます。何か分かったら連絡します」

「お願いします」

 

 音波は、ヘルメットを被り直すと、バイクに跨がり、エンジンをかける。

 

「それでは、またパン持ってきます」

「いつも感謝してます、あなたに神のご加護を……」

 

 音波はもう一度頭を下げると、その場から走り去った。

 

 

 

 場所は変わって、我が家。

 家に戻ると早速緊急事態、九魅の悲鳴が家の中を響く。

 時間はもう夕方、店は閉めているため、客はいない、家には親父と母親、そして居候の九魅だけだ。

 そのため、九魅がいくら叫んでも、店に迷惑はかからないが、近所からの苦情は絶えない。

 だから、今の九魅の悲鳴で……『ガンガンガン!』

 

「春先さん! ちょっとうるさいのだけれども!」

 

 このように近所のママさんたちが訪れる。まあ大抵は親父が出て、自慢の顔(強面)で追い払う。

 

「まあここは何時ものように親父に任せて。俺は、元凶を叱りにいくか」

 

 音波は二階に上がると、一つのドアの前に立つ、そのドアには、【九魅】と書かれたドアプレートがぶら下がっていた。

 音波はドアノブに手を伸ばそうとしたときに、目の前のドアが勢いよく開かれ、その中から九魅が飛び込んできた。

 

「音波ぁぁ! やつが現れたぁ!」

 

 音波の腹に巻き付いて上目遣いでこちらを見つめてくる。その目は少し潤んでいたため、少しドキッとさせられてしまい、怒る気が失せる。

 

「どうした九魅、怖い夢でも見たか?」

「黒い悪魔が現れたのだ! 奴等は殲滅しないと増え続ける悪魔だ!」

 

 前言撤回、音波怒るまであと一秒……

 

「お前、黒い悪魔ってゴキ○リだろ! そんなもんよりも、ガストレアの方が恐ろしいわ! 優しくして損した」

「なっ……何を言っているんだ! ガストレアはガストレアだが、奴等はそれよりもヤバイんだぞ! スプレーをかけても、苦しんでるんじゃなくって気持ちよくって悶えてるって、ぐーぐるせんせいが言ってたよ!」

「待て! 何故そんなことをぐーぐるさんに聞いた!?」

「そんなことよりも音波! 早くサタン(ゴキ○リ)を浄化してくれ!」

「何でゴキ○リがそんなに強そうな名前になってるんだよ! それに俺は白い人じゃねぇ」

「何でもいいから早くしてくれ音波ぁぁ!」

 

 このあと、九魅の部屋でサタン基ゴキ○リの討伐が始まった。

 やつは早かった、隙間と言う隙間を縫うように走り回り、気がつけば後ろの壁に張り付いている。

 しかし最後は、様子を見に来た母親の殺虫剤が、ゴキ○リに炸裂。

 ゴキ○リは悶え(喜び)ながら、その魂は天に還っり、退治に成功した。報酬は九魅の部屋のお掃除だ。

 

「九魅、今日は特別に俺の部屋で寝ることを許可する。だけど変な行動したら即叩き出すからな?」

「安心しろ、それは問題ない! 音波こそ私に欲情してもよいぞ?」

「すまねえがガキに欲情する性癖は持ち合わせてねぇんだ、寝言は寝て言え」

 

 九魅は、頬を膨らませながら、自分の部屋に戻ると、枕や毛布を持ってきた。

 

「よし、じゃあ、部屋いくぞ?」

「はーい」

 

 音波は部屋に入ると、その後ろからトタトタと九魅が着いてくる。

 九魅が部屋に入ると、早々に音波のベッドにダイブ。

 

「なんだ九魅、お前のベッド引くから手伝……」

 

 ダイブしてから数秒しかたっていないのに、九魅は寝息をたてていた。

 

「疲れてたのか? 昼寝してたのに……まあ寝ちまったら仕方ないか、お疲れ九魅、ゆっくり眠りな……。」

 

 音波はパソコンを起動すると、業務用メールに一件受信していた。

 社長からのものだった。内容は、「明日の午後、護衛として付いて来い、有無は言わせない」とのことだ。

 

「有無を言わせないって、強制かよ……」

 

 音波は断りたい気持ちで一杯だったが、短く「了解」と打って、社長に送信した。




 作品をもうひとつ増やしました。そっちと交互に投稿していく予定です。

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