機動戦士ガンダム MS戦線0079 戯け者の弾痕 作:だ~くぱんぷきん
「隊長、そろそろロンドンですよ」
肩をトントンと叩かれ、目を覚ます
休憩室でウトウトしていた俺を起こしてくれたのはコレットだった
「あぁ…もうそんな時間か…」
飲みかけだったカフェオレを一気に飲み干し、眠気を飛ばす
「オリーフィアさんも呼んでますし、一緒に行きましょう」
そう言いながらコレットは俺に微笑む
その言葉に俺も笑いながら返事をした
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「今回の任務はロンドン周辺の警戒、また、敵MSを見つけ次第、撃破せよ。との事です」
「分かった。それで市民の避難は?」
「約3分の1が避難を終えたとの事です」
「まだ人は居るのか…あまり派手には動けないな」
ふとコレットの方を見ると、身体が震えている事に気づく
無理も無い。市民に気を使いながら戦闘するなんてなかなか簡単な事じゃない
"もしも"の事を考えてしまっても仕方ない
落ち着かせる為にコレットの肩を軽く叩く
「あんまり気負うな。何かあったら俺がカバーに入るからさ。お前は自分のやるべき事をやれば良いんだ」
「ありがとうございます…」
コレットは苦笑しながらそう言った
「後、数十分後には作戦区域に到着します。我々は指定ポイントに到着後、各機、現地の兵と合流後、作戦を開始してもらいます。もうそろそろMSに搭乗する準備をしといた方が良いと思いますよ」
「隊長すいません、私1度部屋に戻ってきます。少し用事があるので」
「分かった。俺は先に格納庫に行ってる。」
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「アルベルト!ザニーの調整は出来てるな!?」
「もちろんですぜ!問題はありません!」
「よしお疲れさん!」
ザニーのコックピットに乗り込もうとした時にアルベルトが声を掛ける
「旦那!今回の任務は長期戦になりますぜ!」
そう言ってアルベルトは1本の栄養バーを投げ渡す
「腹が減ってはなんとやらです。それでも食ってちゃんと作戦を成功させてくだせぇ!」
「もちろんだ!ロンドンの市民は俺が守る!ってな!」
「ははッ、そりゃ頼もしい!」
アルベルトの話が終わった所でコックピットに乗り込み、栄養バーを食べて、作戦までの時間を潰すことにした
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『隊長。もうすぐですよ。』
オリーフィアからの通信で目を覚ます
「あぁ…もうか…」
『また寝てたんですか…?』
「まぁ…少しな」
その返答を聞くとオリーフィアは徐ろにため息をつく
『息抜きも大切ですけど、多少の緊張感は常に持っていてください!いつ奇襲されるかも分からないのに…』
「分かったよ…済まなかった」
『分かれば良いですが…後、十数秒で作戦区域です。携行武器を装備して、いつでも出撃できるようにしておいて下さい』
「了解!」
ハンガーに掛けられている100mmマシンガンをマニュピレーターで握り、着陸を待つ
『…3、2、1、発進、どうぞ!』
着陸と同時に格納庫のゲートが開く
「よし、コレット、行くぞ!」
『了解です!』
『まずは現地の部隊との合流を最優先にしてください!位置情報を送ります!では2人とも、ご武運を!』
「了解、コレット、警戒しつつ、現地の部隊と合流するぞ」
『了解しました!』
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「もうすぐで合流ポイント付近だ。にしても…さっきから音沙汰一つ無いな…敵機はとうに逃げてるんじゃないのか…?」
『それだったら良いんですが…隊長、あれって…』
コレットが示した方向にあったのは立ち昇る黒煙と1機のジムであった
「なッ…!?、もう戦闘が起こってたのか!?」
『隊長!他にも!』
「そんな…現地の部隊はとうに壊滅してたのか…?」
オリーフィアに状況の説明を求めようと通信を試みるが
、通じる事は無く、全くの無音だった
「クソ…現地の部隊がこんなになってるなら…ロンドンは!?、コレット!急ぐぞ!」
『そんな事をする意味は無いぞ。ザニーのパイロット』
その突然の通信は上空から降りて来る3機のMSの内の一つから発せられている様だった
『ロンドンの被害は殆ど無い、俺達は無駄な殺戮は好きじゃないんでな』
「コレット!奴らが目標だ!部隊が壊滅してんなら俺達でやるしか無いぞ!」
3機の内の1機に向かって100mmマシンガンを発砲する
『隊長!マシンガンが動きません!』
「んな!?、整備不良か!?、じゃあ下がってろ!」
『そろそろそんな芝居は止めろ。もう情報は充分取れたろ?』
「は?」
次の瞬間、ザニーの右腕が孤を描いて、地面に落ちる
『もうちょっと遊びたかったけど…仕方ないかぁ』
その声は明らかにコレットのものであり、ザニーの右腕を飛ばしたのもコレットの乗った陸戦型ジムである事をようやく理解した
「ッ!!?」
咄嗟にバーニアから火を吹かせ、陸戦型ジムから距離を取る
この付近には隠れる場所も無く、辺りは森林が広がるだけ
「・・・?」
今のこの状況を理解出来ず、言葉にならない声が出る
『隊長・・・理解が遅いですよぉ?、大体、最初の作戦の時に気が付かなかったんですかぁ?MSが2機と戦車が3両って言ったかな?そんなのに囲まれた新兵が生きて帰れるわけありませんよねぇ?』
その笑いを含んだ声は今の俺に、その絶望的な状況を突きつけるのには有り余るものだった
「コレット…お前だったのか…お前が…スパイだったのかァ!?」
『やっと気づきましたぁ?スパイの事がバレた時はヒヤッとしましたけど、結局最期まで…分からずじまいでしたねッ!!』
陸戦型ジムが距離を詰め、ビームサーベルを振る
それを避ける
今の俺にはそれが精一杯だった。
「お前…!!…貴様ァ!!!」
『泣いてるんですかぁ?じゃあ早く楽にして上げますよッ!!』
「クソがァッ!!」
ビームサーベルのなぎ払いを避け、懐に入り込んでから蹴り飛ばす
しかしひらりと躱され、ビームサーベルがコックピットを貫かんとする
『ミラ、援護するぞ』
ビームサーベルを間一髪避けたものの、次の瞬間、奥にいたザク•スナイパーの狙撃を脚部に喰らい、ザニーは左手を残してダルマ状態となる
『これでサヨナラですね♪隊長、割と楽しかったですよ、貴方の良心を踏みにじって活動に勤しむのは♪』
「んの…クソアマがァッ!!」
陸戦型ジムのビームサーベルが再びコックピットを狙うが、最期の足掻きとばかりに、背部のキャノン砲を放つ
偶然にもその砲弾は陸戦型ジムの頭部に直撃し、その付近の肩の関節にまでダメージを与えた様だった
『んな!?そんなのありぃ!?』
奥のスナイパーが再びこちらに狙いを定めているのに気づき、陸戦型ジムを盾にする様にして後ろに隠れる
陸戦型ジムの左足を残った左腕で破壊して、陸戦型ジムのコックピットにキャノン砲が当たる様に位置を調整する
「コイツの命が惜しかったら今は引け!」
この手でどれだけの時間が稼げるか…
いや、稼げたとして生き残れるか?
いっそここで…
すると上空にグレネードが飛んでくるのが見える
「ほぼノータイムかよ…!!」
『ミラ!前にブーストしろ!』
陸戦型ジムがグレネードから離れていくのが目に入る
「まだだ…」
レバーを出来る限り前に倒し、ジムを追いかける様にしてブーストする
地面に擦りながらブーストしているからか機体の振動が半端じゃない
「まだ…こんな所で死ねるかよ!!」
まだ生きたい
こんな所で死ぬ訳には行かないのだ
俺の帰りを待っている人がいる限りは…!