機動戦士ガンダム MS戦線0079 戯け者の弾痕   作:だ~くぱんぷきん

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operation.13 《崩壊》

「_______________ッ!!」

 

陸戦型ジムの背後に付けたものは良いものの、この振動ではこっちの身が持たない

 

案の定、モニターにノイズが走り始める

 

『クソ!しつこい男は嫌われるよ!』

 

スナイパー型がこちらに狙いを定めてはいるものの、ジムが邪魔でこちらを狙い打てないでいた

 

「当たれよ!」

 

キャノン砲だけをジムの影から出し、スナイパーの方に砲撃する

 

反動でブーストの勢いがかなり殺され、ザクにも当たらなかったが、どうやらライフルには掠った様で、脚部を消し飛ばしたあの大火力をもう喰らうことは無い

 

『すまん、ライフルがやられた。』

 

『了解、なら近付いてやるだけだ』

 

どうやらあのクソアマ、回線をオープンにしたままだ。

そのお陰で相手の情報を掴める

スナイパー以外の2機がこちらに迫ってくる

 

ブーストで少し距離を取ろうとするが機体は動かず、アラートが鳴るのみだった

 

推進剤ももう切れかけ

この状況で助かる手段…

 

オリーフィアへの通信も通じないまま

思わずモニター越しの空を見上げる

 

「…」

 

もう言葉も出ない。

砲弾も、後、2発

 

相手は手負いがいるとはいえ残り4機

 

どう考えても、既に詰みだ

 

あの2機の内の1機。よく見たらニューギニアで戦ったブグだ。

 

あまりの理不尽さに思い切り頭を打ち付ける

 

俺が何をした?

俺は殺されそうになったから殺っただけだぞ?

 

俺は…

 

「俺はァ!!」

 

頭から流れる血で滲む視界の中、俺に迫る2機が咄嗟に何かを避ける様にして動くのが目に入った

 

『こちらSRT-ユニット1。アラン・アイルワードです!アンセル・フレイン大尉!生きてるなら返事を!』

 

「・・・あぁ・・・」

 

『おい、アド。少しヤバいぞ』

 

『・・・だな。ミラとPJを回収してヅラかるぞ。ミラ、そろそろオープン切れ。もう良いだろ』

 

『分かったよ…それじゃ隊長、バイバイ♪』

 

その通信が切れると、ブグともう1機のザクが、ユニット1の連中の攻撃を避けながら、スナイパー機のパイロットとあの女を回収していくのが見えた

 

『逃げられたか~、もう少しで私の手柄だったのに!』

 

『リル、張り切るのは良いけど、本来の任務忘れてるんじゃないか?』

 

『そうだぜ嬢ちゃん。俺達の任務はユニット2の隊長の回収だぞ?』

 

その3人の話し声を聞いていると、思わず涙が流れ落ちてくる

 

それは助かったという安堵感からなのか、

それともまた別の感情なのか

 

今の俺にはそれを考えるどころか、今にも崩壊してしまいそうな自我を保つ事で精一杯だった

 

~~~~~~~~~~~~~~

 

 

目が覚めたのは見覚えの無いカーテンで仕切られた一室だった

 

「・・・ここは・・・」

 

まず最初に目に入ったのは果物の入ったバスケット。

その次に見えたのはどこか見覚えのある人と白衣を着た数人

 

「隊長!目が覚めたんですね!良かった・・・!、このまま目を覚まさなかったら・・・」

 

「・・・悪い・・・」

 

「何で謝るんですか!?隊長は何も・・・」

 

「帰ってくれ」

 

「・・・え?」

 

「このままだとお前まで殴っちまうかもしれない・・・出てくるんだよ…あのクソアマの面が…アイツのせいで・・・アイツのせいでクレイグはァッ!!」

 

頭の中で反響するあの声

 

『楽しかったですよ♪』

 

『これでサヨナラですね♪』

 

「アアアアアアアアァァァァァ!!!」

 

「オリーフィアさん離れて!早く抑えるんだ!」

 

注射を腕に突き刺され、液体を流されると、また意識が遠のいて行く

 

「ろしてやる…殺シテ…」

 

視界が暗くなりかけた瞬間、頬に液体が伝わったのを感じた

 

~~~~~~~~~~~~~~

 

~アンセルが目を覚ます数時間前~

 

「PTSD・・・ですか・・・?」

 

あの後、隊長は多量の出血のせいで意識が無くなっており、ユニット1の人達に回収された後、緊急で近隣の病院に搬送してもらった

 

「えぇ、彼、搬送する際に1度目覚めたんですが…」

 

「何ですか…?」

 

「突然暴れ出しまして、余程の事があったのでしょう。それはもう搬送員を何人か殴り倒すほど。しかも何かに怯えるように、しかし殺意が伝わってくる表情でした」

 

「そんな・・・」

 

「アンセルさんが戦場に戻る事は・・・ほぼ・・・不可能かと・・・」

 

「そうですか・・・」

 

思わず胸を撫で下ろす

 

「?、オリーフィアさん、喜んでいるのですか?」

 

「あっ、いや違うんです。決して良くは無いんですが・・・隊長がもう戦場に出なくて良いと言うのが・・・」

 

「なるほど・・・確かに大切な人が戦場に出向くのは怖いでしょうね」

 

「大切な人・・・そうですね。隊長は大切な人です。」

 

「しかしです。貴女のためにも言っておきます」

 

そう言った瞬間、医者の顔が険しくなる

その表情に思わず息を呑む

 

「はい、何でしょうか…?」

 

「例え、彼が目を覚まし、PTSDを乗り越え、平穏な日々に戻ったとしてだ」

 

「はい・・・」

 

「銃を握った感覚は…消えない。それも人を殺めたとあれば尚更だ。何時か、その感覚に苛まれる事になる。それは決して治ることは無い不治の病だ。時に人を傷付けてしまうかもしれない。それでも・・・貴女は、彼に寄り添って上げることは出来ますか?」

 

「出来ます!」

 

思わず立ち上がり大きな声が出てしまう

慌てて座り、医者さんに謝罪する

 

「ハッハッハ、これは彼も良い人を持ったもんだ。」

 

その言葉に顔が赤くなって、温度が上がるのを感じる

 

「それでは、彼にはPTSDを克服してもらう為に、ここへの入院と精神安定剤を出します。」

 

「退院は何時頃に・・・?」

 

「彼が克服したら退院してもらいます。その後も精神安定剤は常備して貰う事は覚悟しておいた方がいいかもしれません」

 

「分かりました・・・」

 

今の私の心は、もう隊長が戦場に戻る可能性が低い事への安堵と、もう以前の隊長を見る事が出来ないという事への不安だった

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