機動戦士ガンダム MS戦線0079 戯け者の弾痕   作:だ~くぱんぷきん

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operation.14 《休養》

「・・・はぁ」

 

こうやって窓の外を眺めるのはいったいいつまで続くのだ

 

病院にぶち込まれ既に1ヶ月が過ぎていた

俺のPTSDの症状もだいぶ引いており、既に日常生活に支障が無い程度には戻っていた

医者によるとその回復の速度は尋常では無く本来ならばここまでくるのに1年は見越してたらしい

 

しかしオリーフィアの強い希望で完治するまでは入院する事となり、ユニット2も休止していた

 

ユニット2が解散されなかったのは元々、任務が少なく、他にも部隊がある事から、あっても無くてもさして変わらないこと、そしてオリーフィアが解散にとことん反対してたからであった

 

結果、解散は保留となったが、俺はこうやって病院のベッドでウジウジしているしかなかった

 

病院の飯を食いながら"あの時"の己の弱さを悔いるしか…無かった

 

「ッ・・・」

 

今でも不意に思い出しそうになってしまう

俺をどん底に落としたあの顔と声が

 

「隊長さん…また思い出しちゃいました?」

 

その声の主はオリーフィアである

彼女は俺につきっきりで何かと世話を焼いてくれる

思い出して発狂しかけても、彼女のお陰で俺は安静を保てていた

 

「大丈夫です…大丈夫…私がいますからね…」

 

「…ありがとう…な」

 

彼女は俺を包容しながら、そう優しく囁く

この感覚はまるで母親に抱かれている時と全く同じ感覚だった

 

心が落ち着いてきた所でオリーフィアにその旨を伝え、彼女から離れる

 

「…悪いなオリーフィア…こんな情けない男で」

 

自分を皮肉る様にそう言う

 

「何言ってるんですか…隊長さんはここでゆっくりしていれば良いんですよ」

 

「それはダメだ」

 

オリーフィアは優しく言ってくれたが俺はそれに間を空けずに拒否の意を伝える

 

「・・・」

 

その言葉を聞いた彼女は徐ろに顔を下げる

 

「悪い…でも…こんな所でいつまでも大人しくなんてまっぴらだ」

 

握りしめた拳をオリーフィアは両手で優しく包み込む

 

「・・・分かってたんです。貴方なら絶対に戦場に戻りたがるって」

 

眉を八の字にしながら彼女は俺に笑いかける

俺はそれに無言で返す他無い

しかし彼女はそのまま続ける

 

「でも…本当はもう行って欲しく無いんです…!」

 

そう言うと彼女の瞳から涙が零れる

 

「もう…あんな危ない場所に…二度と行って欲しく無いんです…!」

 

服の袖で涙を拭うも、その涙は止まらずベッドのシーツを濡らし続ける

 

「ダメですね…私…軍人…失格…です」

 

彼女はそういいながらこちらに涙を拭いながら精一杯の笑顔を向ける

 

そんな彼女を抱き寄せる

 

その俺の行動に困惑の色を隠せないオリーフィア

 

「でも…人間としては百点満点だろ…?」

 

そう言うと、彼女は堪らずに声を出して泣き出してしまう

 

「安心しろ…戦場に言ったって、俺は必ず帰ってくる。お前の所に」

 

「…絶対ですよ…!」

 

「もちろん」

 

「戻らなかったら…?」

 

「有り得ない」

 

「じゃあ約束してください…!」

 

彼女は俺の胸から一旦離れると、顔を赤らめながらこう言った

 

「生き延びて…戦争が終わったら…」

 

「うん…」

 

「私と…!」

 

「うん…」

 

「…一緒に暮らしてください…!」

 

「…俺でいいのか…?」

 

オリーフィアは顔を整えながら、真剣な眼差しでこちらを見る

 

「仲間の為には自分すら犠牲にしようとして…でも本当は凄く脆いのにそれすらも隠そうとして…」

 

「だあっもう止めろ!聞いてるこっちが恥ずかしい…!」

 

「それで隊長…返事は…?」

 

「…いいに決まってるだろ…」

 

「フフッ、隊長さん、顔」

 

妙に暑いと思ったら熱いのは俺の体温であった事に気づく

 

「まぁ、まずはザニーが戻らない限りどうしようもないが…」

 

「それならもう大丈夫ですよ?」

 

「!?、そっ、それならなんで早く教えてくれないんだよ!」

 

「教えたら戻りたがるでしょう?だからずっと黙ってたんです・・・」

 

「それは…宜しくないな…上に怒られちまうや」

 

「ごめんなさい・・・それでザニーの事ですが・・・」

 

「あぁ、続けてくれ」

 

すると、オリーフィアの目が仕事をしている時の目になる

 

「左右の脚部、右腕部は損失、頭部は過剰な振動によりカメラ部分が破損、機器が損傷。コックピット付近も中の部品が使い物にならない程損傷していました」

 

「改めて聞くと、ほぼ撃墜されてたんだな、俺」

 

「ここからです。ザニーは予備パーツが無いに等しいのはご存知ですよね?それで、局地型ガンダムの余剰パーツを使用し、ほぼ新規に作り直しました」

 

「ガンダム!?あのMSのパーツを・・・」

 

まさかザニーなんてMSの改修の為にあのガンダムのパーツを使ってくれるなんて

願っても無い幸運だ

 

「メインカメラもプレッシャーを与える目的で局地型ガンダムの物になっています」

 

「ガンダム・・・」

 

"連邦の白い悪魔"

ジオンの奴らはガンダムの事をそう呼んでいる

それも無理は無い

あの鬼の様な強さは噂で良く聞く

 

見た目だけとは言え、そのガンダムに乗れる

これ程名誉な事など有るのだろうか?

 

あるわけが無い。

 

俺はその時、自分の中で何かがフツフツと煮えたぎるのを感じていた

 

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