機動戦士ガンダム MS戦線0079 戯け者の弾痕   作:だ~くぱんぷきん

8 / 17
operation.8 《戦争の恐怖》

宇宙世紀0079 10月22日

 

 

「クレイグ!!クレイグ!!おいコレット!コックピットを開けないのか!?」

 

 

『・・・今、開けます』

 

沈んだ声でコレットは陸戦型ジムを操作し、黒焦げになったジムキャノンのコックピットをこじ開ける

 

『・・・!!』

 

次の瞬間、コレットが嘔吐する音が通信機器から発せられる

 

「おいコレット!大丈夫か!?」

 

返事は無く、コレットが泣き喚く音しか聞こえない

 

「コレット・・・辛いだろうが、頼む。そっちの画像をこっちに送ってくれ」

 

「隊長!?」

 

「オリーフィア、おかしいと思ってもらっても構わない。だけど、俺は隊長として、隊員の最期はこの目で見ないといけないと思っている。だから…頼む」

 

そしてコレットは無言のまま、画像をこちらに送る

 

「・・・ッ」

 

「これは・・・!!」

 

その画像に写っていたのは黒焦げになったクレイグの死体だった。

しかしその姿は最早、死体とも呼べない、ただの肉塊に過ぎなかった

 

「・・・クソッ!!」

 

情けない

 

「クソッ!!クソッッ!!!」

 

隊員の1人も救えない自分が情けない

 

「クソォッ!!」

 

「隊長・・・落ち着いて下さい・・・!」

 

涙声で俺を慰めるオリーフィアの声も号泣するコレットの声も、喉が裂けるほどの俺の声も、今はただ虚しく、焦げ臭い戦場に響くだけだった

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

あの戦闘から1日が過ぎた

 

俺達ユニット2はパプアニューギニアの基地でクレイグの簡易的ではあるが葬式を開いていた。

 

そして俺は真っ黒に染まった彼のドックタグを握りしめこう言う

 

「クレイグ・・・せめて、安らかに眠ってくれ・・・」

 

クレイグ・べックフォルド特務曹長

 

ここに眠る

 

U.C.0058.7.7.~U.C.0079.10.22

 

そう書かれた墓石の前でSRT-ユニット2の隊員全員が涙を浮かべ、クレイグへ言葉を送った

 

彼のジムキャノンは装甲は愚か、内部の機器まで破損していたらしくマトモに使える部品はほぼ無かった。

 

背部のキャノン砲を除いて。

 

その部位だけは何かに守られたかのように傷が無かった。強いて言えば傷はあったが、それでも奇跡的な程だった

 

俺は、このキャノン砲はクレイグが俺に遺してくれた遺品だと思っている。

 

自惚れかもしれないがこれが隊長の務めだとも思っている

 

逝ってしまった隊員の事を忘れない為にも

 

そう誓い、空を見上げた時だった

 

「おい見ろよ、サープラス・トループ(余り物部隊)だぜ」

 

笑い声と共にその声が聞こえてきた

 

「ああ、あのザニーとテスト用のジムキャノンとか言う廃棄物が配給された部隊か。そんなのに陸戦型ジムを配給するくらいならこっちに寄越せっての。どうせ壊しちまうんだから」

 

「その上仕事は全部ユニット1に持ってかれてるしな。」

 

あぁ、この体の奴等か

 

別に好きに言ってれば良いさ。所詮は戯言。そのうち痛い目を見るのはアイツらだ

 

そう思っていたのにだ

 

「そりゃ1人位死んじまっても文句言えねぇよな」

 

「まぁ1人死んだからなんだって話だけどな」

 

その言葉で俺の堪忍袋の尾が切れた

 

言葉よりも何よりも先に拳が出ていた

 

「イッ!テメェ何しやがる!?」

 

「テメェらみたいな愚図共に何が分かるっつぅんだよ!?1人死んじまっても文句言えねぇだ!?1人死んだからなんだって話だァ!?テメェらここでブチ殺すぞ!?何でテメェらみたいのが生きててクレイグが死ななきゃいけねぇんだよ!?」

 

「テメェッ!!」

 

頬を思い切り殴られるがどうってことは無い

こいつらみたいのがいるから戦争を終わらないんだ、コイツらみたいのがいるから人々は分かり合えないんだ

 

「いきがってんじゃねぇぞクソ野郎!?」

 

「クソ野郎がどっちか思い知らせてやっからかかって来いよ!ろくに戦えもしねぇで!口だけは達者でよォ!?」

 

「お前ら!!ここで何をしている!?」

 

その時に憲兵が来てくれなかったら、俺はあの2人を本気で殺していたかもしれない

 

不幸中の幸いで俺は1週間の独房の中にいるだけで済んだ

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

そして1週間後、ようやく外に出れた俺にそれは突然襲ってきた

 

基地内に警報が響き始める

 

『第1種戦闘配置!第1種戦闘配置!MSパイロットは直ちに搭乗し、敵機を撃退せよ!尚、敵機は人型3機!戦車が2両!繰り返す!・・・』

 

「マジかよ・・・」

 

「フレイン!貴様のMSは格納庫に移してある!とっとと乗れ!」

 

「ハイハイお疲れ憲兵さんよ・・・」

 

いつまにか基地内に移動されていたザニーに乗り込み、OSを起動させる

 

『おい、余り物の隊長さんよ、邪魔だけはすんなよ』

 

『と言うか間違って当たっちまうかもな』

 

またあの不愉快な連中か

 

「勝手に言ってろ雑魚が」

 

『全機、出撃せよ!』

 

あの2人組の陸戦型ガンダムと陸戦型ジムが出たのを確認してからこちらも出撃する

 

敵機は3機と2両。どうってことは無い

クレイグがいなくなってから初めての戦闘。

正直、クレイグのあの姿を見てしまったせいで戦争への恐怖が増した気がする

 

しかしそんな事は言ってられない。

クレイグのドックタグを握りしめ、胸を2回叩く

 

クレイグ。お前の勇気を少しだけでいい。俺に貸してくれ・・・!!

 

「アドバンスド・ザニー、アンセル・フレイン、出るぞ!」

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。