高坂穂乃果は再びスタートする   作:ひまわりヒナ

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長らくお待たせしました。
前回の後書きでまきりんぱなが主役と言いましたが、その前に少し入ります。

また今後このように期間が空く事が多いと思うので、前から行っていた前書きでの前話の簡単な振り返りは毎度行っていこうと思います(所謂、前回のラブライブ!)

ついに行われた1stライブ。
以前と同じように本気で練習や準備をしたが、結局結果が変わる事はなかった。
しかしそれがμ'sの新たなスタートを切れたライブであった事に変わりはなかった。

それではどうぞ


12話 次に向けて

 1stライブが終わった日の夜。

 穂乃果は部屋で1人、布団に寝転がりながら考え事をしていた。

 今後の事で考える事は山程あるが、今は1stライブの事ばかりであった。

 

「結局、人来なかったなぁ」

 

 ライブの結果は変わらず。見てくれたのは昔体験した時と同じであった。

 もちろん、その経験が悪かったわけではない。あの結果だからこそ、得られたものは大きい。

 

 けれど、何故増えなかったのだろうか。

 

 頑張ったからこそ、やはり悔しさは残る。もっとどこか工夫できる事があったのではないか、もっと呼び込むためにできる事はあったのではないか、と。

 

「もっと、頑張らなきゃ」

 

 まだこれからやる事は沢山ある。

 2回目の時を生きる今、悔いを残さないように強く思っていた。

 

 

 彼女は改めて1stライブを振り返った。

 自分の動きや歌に問題はなかっただろうかという点について考える。

 

「……あんまり覚えてないなぁ」

 

 歌っている時、踊っている時、『楽しい』という感情が強く実感できる感覚は覚えているのだが、たくさん練習して身についているためか、自分のダンスがどんなものだったか、いまいちよく思い出せない。

 それだけ集中していた、楽しんでいた、色んな理由は考えられる。とにかく夢中になっていたということなのかもしれない。

 不思議と記憶に残っていないのだ。

 

「あ、そういえば」

 

 そんな事を考えている内に、ダンスが終わった後拍手をもらっている際、にこの姿が見えた事をふと思い出した。

 記憶が正しければ昔自分が体験した時、後に来てくれていた、という事は聞いたのだが彼女の姿を確認した覚えはない。

 

 つまり、やはり何かしら変化が起きているという証拠だ。

 もちろん、今までに多くの変化があった。だからそのような変化が起きても不思議ではない。

 だがその変化が今後さらなる変化をもたらす可能性は十分にある。

 僅かな変化でも、重要な事なのだ。

 

「とりあえずこれぐらいだったかな」

 

 すぐに思い出せる気になった点はこれぐらいであった。

 疲れを残さないためにも早く寝る、それが一番である。

 既に布団の上で横になっていた彼女は、目を瞑る……その前に、もう1つだけ、気になった点を思い出した。

 

(私、絵里ちゃんと会話したんだよね……?)

 

 ライブが終わった後、ハッキリと記憶に残っている絵里との会話。何故か違和感があるのだ。

 記憶には残っているのだが、夢中になって言葉が出ていたためか、まるで自分が話していないかのような感覚だったのだ。

 しかし、何度も言う通り記憶に確かに残っている。

 

 何とも言えないモヤモヤがあるのだが、明日に向けて穂乃果は目を閉じた。

 

 

 

 

 次の日の朝。

 ライブ後という事で、休息のため朝練は控え、チラシ配りに専念することにした3人。

 だがまず向かった先は、

 

「わぁ、うふふ」

「アルパカにハマったみたいですね……」

 

 学院の誇るアイドル、アルパカが飼育されている小屋である。

 つい最近の事なのだが、ことりはこのアルパカさんを見た瞬間一目惚れしたそうで、いつも空き時間にアルパカを撫でながらうっとりした表情で眺めている。

 そして、

 

「いやぁ、もう可愛いなー、アルパカさ〜ん!」

「そうだよね、穂乃果ちゃんもそう思うよね!」

 

 高坂穂乃果もその1人であった。

 昔は可愛いかどうかと問われれば首を傾げていたが、ファイナルライブ前に子供の出産を見届けたなど、色々と関わる機会があり、愛情が湧いていたのだ。

 

「か、可愛い……のでしょうか?」

「「うん!もちろん!」」

 

 満面の笑みで答える2人、しかしまだ理解し難い海未は苦笑い。

 うーん、と悩む海未だったが、ふと我に返って目的を思い出す。

 

「部員を5人にして正式に部として認めてもらわないといけないんですよ!」

「分かってるよ、海未ちゃーん」「そうだねー」

 

 そう言う2人の視線はアルパカに向いている。

 特にことりは完全にアルパカに釘付けのようで、僅かに離れ見ている穂乃果に対し、何度も何度も撫で回していた。

 

「はぁ〜、この首のフサフサ、幸せ〜」

 

 そう言いながらさらに首元を撫で回すことり。

 そんな彼女に対し、今までは静かにしていたアルパカが動き出し彼女の頬を舐めた。

 いきなりの行動に驚き、ことりはその場から倒れるように離れ、一方海未はどうしたものかと困惑しキョロキョロ。挙げ句の果てには、

 

「こ、ここは1つ、弓で!」

「だ、ダメだよ海未ちゃん!」

 

 錯乱した海未は色々と危険なのである。

 そんな中穂乃果はアルパカの行動の意味を知っていたため落ち着いていた。

 おそらく楽しくて遊ぼうとした、そんな所だろうと分析しつつ、声を出すアルパカに動じず、ことりの元へと駆け寄る。

 そんな彼女と入れ替わるかのように、体操服姿の小泉花陽が現れ、興奮状態であったアルパカを落ち着かせていた。

 

「大丈夫?ことりちゃん」

「うん、大丈夫。それより、嫌われちゃったかな?」

「あ、平気です。楽しくて遊んでいただけだと思うから……」

 

 花陽はそう言って、今水が空になったことに気付いたので、入れ替えを始めた。

 そんな彼女に穂乃果は近づいて話しかける。

 

「アルパカ使いだね〜」

「わ、私飼育委員なので」

「あ、そういえば飼育委員だったね」

「え?だったね?」

「あ、い、今のは忘れて!ちょっと間違えちゃっただけだから」

 

 危ない危ない、ホッと胸をなでおろす穂乃果。

 彼女達の昔の姿が懐かしくて、穂乃果にとって思い出話となるものについては、つい口が滑ってしまいそうになる。

 中々気を付けていても回避できない、ポロっと出てくる無意識の領域。

 特に騙すだとか隠すだとかそういった事が下手、要は真っ直ぐなタイプの穂乃果にとって今の状況は色々な面で辛いことであった。

 

「そ、それより2人とも、この子ライブに来てくれた花陽ちゃんだよ!」

「駆け付けてくれた1年生の!」

「は、はい……」

「あの時は見てくれてありがとうございます!」

「い、いえ、そんな」

 

 先輩からの3つの視線。

 恥ずかしがり屋の花陽は少し縮こまってしまう。

 そんな彼女の肩に穂乃果は手を置くと、

 

「ねぇ、花陽ちゃん!アイドル、やりませんか?」

「穂乃果ちゃん、いきなりすぎ」

「君は光っている!大丈夫、悪いようにはしないから!」

 

 ことりの言葉を聞いても止まることなく、顔を近づけ説得するその姿。どこからどう見ても悪人そのものである。

 もちろんワザとこうして説得しているわけではなく、光っていると思う気持ちは本当であり、多少強引なだけである。

 

「あ、あの、西木野さんが」

「あー、ごめん、もう一回いい?」

「に、西木野さんがいいと思います。すごく歌が上手なんです」

 

 花陽は前に穂乃果に教えた事があるように、真姫が音楽室でピアノを弾きながら歌っている事を知っていた。

 そして何度も聞いた事があり、その歌声の素晴らしさを良く知っていた。

 

「そうだよね!私も大好きなんだ、真姫ちゃんの歌声!」

「だったらスカウトに行けば良いじゃないですか」

「もういったよ。でも絶対嫌だって」

「え、あ、すいません。私、余計な事を……」

「ううん、ありがとう!」

 

 笑顔で言う穂乃果。

 そしてすかさず彼女の勧誘を再開した。

 

「ねぇ、花陽ちゃん。私、真姫ちゃんももちろん凄く良いって思ってるんだけど、花陽ちゃんも凄く良いって思ってるの!」

「そ、そんな、わ、私は……」

「大丈夫、花陽ちゃんならできるって、私、信じてる!」

 

 真正面に向き合って言う穂乃果の言葉は、無責任に言っているもののようには思えなかった。

 それもそのはず、今の穂乃果は既に小泉花陽という人物がどういう人物なのか、それをよく知っているからだ。

 とはいえ、その事を花陽は知らない。花陽からすれば、数回出会っただけの人物である。

 その事を思い出した穂乃果は、

 

「あ、ごめん。少し会っただけの人に言われても、あれだよね」

「い、いえ、そんな事ないです。そう言っていただけて、嬉しかったです。でも」

 

 花陽は少し苦しそうに笑って、

 

「私じゃ、アイドルなんて……」

 

 その時だった。

 ほぼ同時に離れた所から「かよちん!」と花陽を呼ぶ声が聞こえた。

 花陽が振り向くと凛の姿が見えた。

 

「早くしないと体育遅れちゃうよー!」

「あ、う、うん!し、失礼します」

 

 花陽は頭を下げた後、すぐにその場から離れ、そして彼女を追って凛も頭を下げた後その場から消えていった。

 あっという間に行ってしまった花陽と凛。

 穂乃果は自然とその背中を目で追っていた。

 

「穂乃果、私達もそろそろ戻りましょう」

「あ、もうそんな時間?」

「ご、ごめん、私がアルパカさんに夢中になっちゃってたから……」

「大丈夫ですよ。しかし次はしっかりやりましょうね。

 それでは、教室へ戻りましょう」

 

 3人は教室へと戻る。

 まだ昔通りに花陽達をμ'sに入れられる確証を得てない今、不安は収まらない。

 どうしたら良いのだろうか、昔通りにやるだけで良いのだろうか?

 様々な疑問が頭を飛び交い、自然と自分と同じ時を過ごしたμ'sメンバー達に助けを求めるように、どうしたらよいかと頭の中で質問していた。

 

 

 

 

 

 




1stライブを振り返っていろいろ思う事のある穂乃果。
けれどそれよりも今は花陽達の参加に向けて、努力する必要があった。
そして花陽と再会した穂乃果だが、まだ彼女の気持ちは心の奥に止まったままであった。

さて、1stライブが終わった穂乃果ちゃんは色々と思う事があったようですが、その解決の前に花陽ちゃん達の方を解決しないといけません。
全てが昔通り上手くいくか分からない今、穂乃果ちゃんには色々な不安があります。しかしそれを相談する事は今はできない。
兎にも角にも1年生メンバーを入れるため、穂乃果ちゃんはさらに行動していきます。

土日感謝祭ですね、行かないとです。
次回は花陽ちゃんが主になるかと。

それではまた次回
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