未来のにこは笑って帰ったと穂乃果の望みは何とか果たされ、そしてにこはこれからの自分の未来に期待を持つ。
その一方で、未来へと戻った未来の矢澤にこは病院にいた。
家族と再会すると同時、ある事を知る……
明けましておめでとうございます。
またもや期間が空いてしまいましたが、今日からアニメでは6話にあたるところへ入っていきます。
それではどうぞ。
「穂乃果でよいと思っていますよ」
「穂乃果ちゃんだと思う」
「穂乃果先輩がいいと思うにゃ!」
「穂乃果先輩が良いかと」
「まぁ、いいんじゃない、穂乃果で」
「……ここまで、同じ意見が出れば同意せざるを得ないわね」
「え?あれ?」
放課後の部室、大きなテーブルを6人が囲み、6人は扉の前に立つ1人に視線を向ける。
その1人、穂乃果は困惑していた。
そんな彼女に部室内にいた彼女は穂乃果に言った。
「μ'sのリーダーは穂乃果ちゃんなんやね!」
「えぇー!?」
———8時間前、朝
「取材、受けてもいいよね海未ちゃん!」
「ほ、穂乃果……ですが」
「取材を通して、私達を見てくれる人がもっと増えるかもしれない。そしたらμ'sのことをもっと覚えてもらえるよ」
「私は、断る理由ないと思うなぁ」
校舎の中庭で躊躇う海未を、穂乃果とことりは説得していた。
副会長の東條希は部活動の取材をしたいとμ'sに話をかけた。
偶然にも中庭で出会い、その話を受けたのは2年生の3人と星空凛の4名。とりあえずはその4人でその取材を受けるかどうかの話をしていた。
と言っても、
「わ、私は嫌です。そんなカメラに映るなんて!」
正確には海未を説得するだけの話し合いになっていた。
「最近はスクールアイドル流行ってるし、μ'sとしても悪い話やないと思うけど?」
「それにね。取材をさせてくれたら、お礼にカメラ貸してくれるって!」
「PVとかとれるやろ?」
「PV?」
「ほら、μ'sの動画ってまだ3人の時のしかないでしょ?」
「あ、そ、そうだった!」
穂乃果としては既に何度もPVを撮った記憶があったが、実際は3人で撮ったものしか今はないことを思い出す。もっとμ'sを広めるためにはもちろん動画1つでは足りないわけであって、カメラを貸してくれるというのは非常にありがたいことだ。
「そういえば海未ちゃん、そろそろ新しいのを作った方がいいって言ってたよね」
ことりはそう言いながら海未に視線を向ける。
取材自体には乗り気ではないが、ことりの言った通り新作PVを作った方がいいとは思う。その為にはカメラというのは必要不可欠、3人の動画は偶然にも何者かが撮影してくれていただけ……
「そ、そういえばあの動画を撮ってくれた人はいったいどなたなんでしょうか?」
「海未ちゃん、話をそらさない。私も気になってはいるけど、今は取材を受けるかどうか、だよ」
「うぅ……う、受けます」
ことりのみではなく、穂乃果と凛にも視線を向けられ、しぶしぶ頷く。
そらそうとした話題の答えを穂乃果は持っているが、それに今答えることはない。それよりも今大事なのは、
「よーし、それじゃ他のみんなにも伝えてくるね!第2弾PV作り、頑張ろう!」
「ちょ、ちょっと穂乃果!気が早いですよ!」
2作目となるPV作りに向けて、穂乃果はその場から走り出した。
———放課後
「スクールアイドルとはいえ学生である。プロのように時間外で授業を受けたり、早退が許されるようなことはない。よって……こうなってしまうのである」
希のナレーションと共に、穂乃果の一切飾らないありのままの生活が流される。
「……って、ありのまま過ぎだよ!」
頬を膨らませ、ぷんすかと怒りの声をあげる穂乃果。
ありのままの生活、というのは言葉通りで授業中の居眠り、昼食をとって、また居眠り。いつもの彼女ではあるがその姿を見られるのはこの上なく恥ずかしい。
「よく撮れてましたよー、ことり先輩」
「ありがと~、こっそり撮るのドキドキしちゃった」
そういえばことりちゃんが撮ってたんだ。
そのことを今は思い出したがすっかりそのことを先程まで忘れ、しっかりと自分の日常生活はカメラ内に収められている。
客観的に見ると、驚くほどのぐーたらぶりである。自分の事ではあるが、思わず呆れて笑うことしかできない。
「普段だらけているから……」
「さすが海未ちゃんはしっかりしているねー」
え?と拍子抜けた声をあげる海未。
ビデオカメラには凛々しい姿……かと思えば
「可愛く見える笑顔の練習?」
「プライバシーの侵害です!!」
鏡に向かって笑顔の練習をする映像をすぐさま隠す。
穂乃果たちとしては人のいないところではこういう可愛いところがあるのは知っていたし、そこまで驚くことではないのだが、やはり本人は見られるのはまだ恥ずかしいようだ。
いや、それは未来でも変わっていないな。未来の事なのに懐かしく思う、不思議な感覚だった。
「完成したら各部にチェックしてもらうから、問題があればその時に……」
「で、でもその前にえr……生徒会長が確認しますよね?」
絵里の怖い表情と声が頭に浮かぶ。
仲良くなる前の彼女との壁はかなり大きい。もちろん未来では親友だが、だからこそ以前の彼女と話し合うことへの恐怖は大きいというのもある。
希としては穂乃果がμ'sにとって大きな壁となっている、生徒会長として彼女達と相対する存在である彼女に怯えているかのように見えたかもしれないが、できることなら怒られたくない、ただそれだけが実際の本心。
「まぁそこはなんとかなるんじゃないかな、穂乃果ちゃんなら」
「えぇーそんなぁ~」
「うちにできるのは、支えてあげるだけ」
希がそう呟くと同時、部室のドアが勢いよく開かれる。
全員が視線をそこへ向けると、僅かに髪が乱れ、息が乱れた様子のにこの姿があった。
「取材が来るって本当!?」
「もう来てますよ」
「あ、コホン! ……にっこにっこにー!みんなに元気ににこにこにーの、矢澤にこでーす! えっとー、好きな食べ物はー うぇ?ち、違う?素顔?」
息を切らした様子から、一瞬でアイドル矢澤にこになったのは流石だが、今回の取材目的はあくまでも生徒の素顔に迫るというものである。
そう言われにこは少し考えた後、ちょっと待ってねと何やら思いついた表情で、突然髪を結わいていたリボンを外す。
「いつも? いつもはこんな感じにしているんです。アイドルの時のにこはもう一人の私。髪をキュッと留めた時にスイッチが入る感じで……」
唐突に始まる矢澤ワールド。
皆何も言わず視線を合わせると同時に頷き、立ち上がって部室を出て行った。
向かうは場所を変えて取材を行う為に、中庭で待っている花陽と真姫のもとへだ。
「ちょっと、誰もいないじゃない!!」
––▽––▽––▽––
「た、たすけて……」
「緊張しなくても平気、聞かれたことに答えてくれればいいから」
中庭で花陽と真姫と集合し、早速取材をしようとしたところ花陽は緊張しているのか、ずっと固まったままだった。
時間はあるし編集もできるからと、花陽の緊張をほぐそうとする一方で、真姫は離れた場所でいつも通りの様子……ではなく取材をやらないと言って、逃れようと距離を置いていた。
凛がこっちに来て、と言ってもやらないと一点張り。
「ええんよ、嫌だったら無理にインタビューしなくても」
そんな様子を見ていた希はそう言うと、カメラを真姫へ向けて、
「真姫だけはインタビューに応じてくれなかった。スクールアイドルから離れれば多感な15歳、これもまた自然な……」
「なに勝手にナレーションかぶせてるの!」
希の機転をきかせた方法での撮影、とうとう真姫も仕方ないとインタビューを応じることにした。
「まずアイドルの魅力について聞いてみたいと思います。では花陽さんから」
「え、えーっと、その……」
「かよちんは昔からアイドル好きだったんだよね」
「は、はい!」
「それでスクールアイドルに?」
「えっと…… ん、ふふ」
「ちょっと、止めて!」
花陽の緊張をほぐそうと変顔する穂乃果、ひょっとこ仮面をつけることり。
凛と花陽は笑いすぎてしまって、とても撮影しているような雰囲気ではない。
「まったく!これじゃμ'sがどんどん誤解されるわ!」
「ごめんごめん、ありがとう、μ'sの心配してくれて」
「べ、別に、私は…… あ、撮らないで!」
撮影雰囲気が乱れてしまったので一度今まで撮ったインタビューを見返すという名目の休憩時間を設けた。
インタビュー企画を中心的に進めていた凛が希と共にカメラを見返すと、気付いてはいたが真姫が言うことは何一つ間違っていない。
「ここまで見ると、だらけているというか遊んでいるだけのように見える。でも、スクールアイドルの本番は練習やろ?」
希の言葉通り、次の撮影は屋上での練習だ。
「よーし、皆気合入れていこう!」
––▽––▽––▽––
海未指導の下、屋上でいつも通りの練習が始まった。
離れたところで眺める希が思うのは、やはり先程までの雰囲気とは明らかに違うということ。
真剣なまなざしで激しいダンスを踊り、リズムをとりながらそれを海未が眺め、個人個人に指摘する。
汗を流すその姿は、十分に迫力を感じるものである。
「かれこれ一時間、ぶっ通しでダンスを続けてやっと休憩、全員息はあがっているが文句を言うものはいない」
彼女達が休憩を始めると、希はナレーションを入れた。
「どう?」
「流石練習だと迫力が違うね。やることはやっているって感じやね」
そこへ先程までの事を気にしていた為か、真姫は希に練習の様子を問う。
希はそのことについて答えると同時、練習の様子を見て少し疑問に思っていたことを彼女に質問した。
「練習って普通、リーダーが指揮するものじゃない?」
「それは」
真姫は彼女の疑問に答えられない。彼女の疑問は海未が指揮していたことにあった。
もちろん、海未の様子を見れば彼女が指揮する役を担う事に不思議はない。
だがμ'sのリーダーは……
「2人ともどうしたの」
2人が視線をこちらに向けていたので気になった穂乃果は2人に近づく。
休憩と同時、1度練習風景を撮影した動画を部室で見ることになっていたので、部室へ移動しながら希は穂乃果に質問をする。
「練習って穂乃果ちゃんが指揮しないのかなって」
「私?海未ちゃんの方が、すっごい教えるの上手だし、普段から運動しているから皆の動きを見て分かることも多いと思って、任せてるんです」
「へー、でもダンス創ってるの穂乃果ちゃんでしょ?」
「ダンスは皆で考えることもありますけど、基本はことりちゃんが」
「あ、それじゃあ歌詞を考えてるんやね」
「一緒に考えることはありますけど、基本は海未ちゃんが」
「それじゃああなたは何をしているの?」
穂乃果はうーんと、頭を悩ます。
少し経って答えたのは、
「一緒に考えながら2人の応援してます」
この受け答えで希の疑問は1つにまとまる。
ずっと想像していたことと、実際の様子で食い違いが発生したのだ。
そして部室へ着くと同時、彼女はその疑問を穂乃果にぶつけた。
「うち思ったんだけど、どうして穂乃果ちゃんがμ'sのリーダーなん?」
先に席に座っていた5人と、一緒についてきていた真姫の耳にもその質問は耳に届いた。
とうの質問された本人は、
「うーん、なんででしょう」
そう言えばリーダーは誰かと、議論したこともあったなぁ。と懐かしい記憶がよみがえる。
この事で誰がリーダーに向いているか、カラオケ行ったり、ダンスゲームで遊んだりしたはず、最終的には誰か決まらなくて……
「歌詞を考えるにあたって、穂乃果から私の頭の中にはなかった言い回しや、独創的なアイデアをいただいていますし、何より私は穂乃果に引っ張ってもらっている点は多いです。なので私は穂乃果でよいと思っていますよ」
「私も穂乃果ちゃんから衣装のアイデアもらっているし、海未ちゃんと一緒で穂乃果ちゃんが先導してくれるからできることも多いかなって、だから私も穂乃果ちゃんだと思う」
穂乃果の記憶ではリーダー議論において、2人が自分を推薦してくれた記憶はあるが、何やら記憶と違いがあるような気が僅かにしている。
「凛も穂乃果先輩からダンスとか歌とか、いっぱい教わってるし、なんだかすっごいリーダーって感じがして、穂乃果先輩がいいと思うにゃ!」
「り、凛ちゃんと同じで、穂乃果先輩は全員の先頭に立ってμ'sをやっている気がして、穂乃果先輩が良いかと」
「曲を作るきっかけを作ってくれたし、何をするにしても積極的に進んで行動してくれるから、まぁ、いいんじゃない、穂乃果で」
なにやらその記憶違いがだんだんと明確化されてきている。
次第に穂乃果の中で、妙な胸騒ぎがし始める。
「……ここまで、同じ意見が出れば同意せざるを得ないわね。私も穂乃果で良いと思っているわ」
「え、あれ?」
にこの言葉ではっきりと記憶違いが明確化される。
そもそもリーダー議論の発端は、にこのリーダーにふさわしい人物は誰か、という話からだった。
「なるほど、うちの知らないところで色々な面で頑張ってて、皆らからの厚い信頼を得てる……だからμ'sのリーダーは穂乃果ちゃんなんやね!」
「えぇー!?」
部室内に穂乃果の驚きの声が響く。
彼女の記憶の違い、リーダーは誰か、その議論が生まれなかったという違い。
何故こんなことが起きてしまったのか、穂乃果は困惑するしかなかった……
穂乃果ちゃんが経験してきた通り、インタビューが行われることになり、途中までは記憶通りの進み方でしたが、リーダーは誰だという議論に対して、穂乃果であると結論が出てしまう記憶違いが生まれました。
何故このような事が起きてしまったのか。それはまた次回。
久しぶりの投稿で正直なところ、自分がどのように書いていたかスタイルを忘れてしまい色々と苦戦しました。
なかなか時間が取れず、今後もこのような事が起きてしまうかもしれませんが、気長にお待ちいただけると(長すぎだとは自覚していますが)。
それではまた次回。