申請書を出すが、これまた良い結果は出ない。
しかし、まだ始まったばかり。アイドル活動はこれからだった。
今回からアニメ本編で言えば2話になりますね。
「朝から何?」
次の日の朝、またもや場所は生徒会室。
穂乃果達は再び絵里と希の前に現れ、一枚の紙を提示した。
その内容は講堂の使用許可であった。
「講堂の使用許可を頂きたいと思いまして」
「部活動に関係なく、生徒は講堂を使用できると生徒手帳に書いてありましたので」
絵里と希は提示された紙を見る。使用する日にちは、ちょうど新入生歓迎会、その放課後であった。
「新入生歓迎会の放課後やな」
希はそう言いながら、疑問の眼差しを3人に向ける。いったい何に使うのかという疑問だろう。
しかし、海未とことりはすぐに答えられなかった。いや、答える事がそもそもできなかった。穂乃果に講堂の使用許可をとろうといきなり言われただけで、何に使うかまでは言われなかったからだ。
正確に言えば、アイドルのことは伏せて、許可だけ取っておこうという話だったのだ。
そんな中、ただ1人、穂乃果だけが強く思っている事があった。
「ライブです」
その一言に絵里と希だけでなく、海未とことりも目を丸くする。
「3人でスクールアイドルを結成したので、その初ライブを講堂でやる事にしたんです」
穂乃果が2人に言っていないのに理由はあった。
それは2人に言えば止められる可能性があったという事、特に海未に言えば、まだやるべきではないと強く言われるに違いない。
そうなるのも極普通の事である。
結成したばかり、何をやるか、まだ完全に決まっていない。ライブをやる事はかなり難しいと誰が見てもわかる事。
もちろん、穂乃果もそんなこと分かっている。
未来の事が分かっているとは言え、未来が変わるかもしれない、その可能性を考慮すれば難しい道を歩く事になる。それも分かっている。
けれどやらなければいけない、と彼女は強く思っていた。
「ほ、穂乃果」
「まだライブやるのは難しいんじゃ」
「そうです、それにまだステージに立つとは……」
2人からの反論。そんな光景を見れば、
「本当にできるの?そんな状態で」
疑問を持たれても仕方なかった。
もちろん、そうなる事も穂乃果の想定の範囲内である。
「やります、やらせてください!」
熱意のある言葉、穂乃果の目を見れば、誰もが彼女を信じてあげたくなるだろう。
実際、この時絵里は何かを言い出す事はできなかった。不安要素は多いが、遊びでやっているものだとは思えなかったからだ。
「3人は講堂の使用許可を取りに来たんやろ?部活でもないのに、生徒会がとやかく言うことはない、そうやろ?えりち」
希の言う事は正しく、絵里は何も言い出すことはできなかった。
結局絵里は使用を許可。3人は生徒会室から去った。
2人きりになった生徒会室、絵里は希に質問した。
「何故、あの子達の味方をするの?」
「何度やっても、そうしろって言うんよ……
カードが」
希が窓を開けると、唐突に強風が起こった。
カードが辺りに散る中、壁に叩きつけられる1枚のカード。
『THE SUN』のカード。その意味は『成功、誕生、祝福、約束された将来』
「カードがうちにそう告げるんや!」
許可を得たその日のお昼休み。
海未と穂乃果だけで朝の事について話していた。
「ちゃんと話したじゃないですか、アイドルの事は伏せておこうと!」
「ごめんね、海未ちゃん。でもあそこでライブって言わなきゃ、海未ちゃん恥ずかしがって出てくれないかなって思って」
「うっ。わ、私はまだステージに立つとは」
「ステージに出なきゃ、有名になれないよ。私たちの目的は?」
「は、廃校の阻止、です…… もう、穂乃果はずるいです」
あそこでライブをすると言えば、公言した以上でなければならない気持ちになる。そうすれば海未もより出てくれるようになるだろうという、穂乃果の策であった。
とは言え、恥ずかしがることは間違いない。根本的に改善は必要である。
そんな時だった。「お二人さん、掲示板見たよ!」そう言いながら3人やってくる。
同じクラスの、ヒデコ、フミコ、ミカの3人だ。
「スクールアイドル、やるんだって?」
「まさか海未ちゃんもやるとは思わなかった」
その言葉を聞いて嫌な予感がした海未は、すぐさま穂乃果に掲示板に何か貼ったのかと質問する。
「うん、ライブのお知らせ!」
笑顔と共に発された穂乃果の言葉。
はぁ、とため息をつきながら、穂乃果を連れて教室へと向かった。
「穂乃果は勝手すぎます!」
校舎内に入ると同時に始まるお説教。
確かに自分でも勝手だなと感じるぐらいだから、ガミガミと言われてもしょうがない。
「歓迎会まで約1ヶ月、まして何一つできてないのに、見通しが甘すぎます!」
「そ、そうだよね、あはは」
自分で言っておいて何だが、海未の言葉は正論中の正論。
もう自分でも認めざるを得ない程の正論に、肯定的になってしまう。
教室に戻ると、ことりは独り言を言いながら何かを描いていた。
海未はどうしたのだろうか?と思いながら、目の前の席に座る。そして穂乃果も近くの席に座るとほぼ同時に、「よし!こんなものかな!」と言い、見て見て、と描いていたものを2人に見せた。
「ステージ衣装考えてみたの!」
「おぉ!可愛い!」
描かれた衣装を食い入るように見る穂乃果。
その気持ちには可愛いと言った感想の他に、懐かしい、という感想も存在した。
「このカーブのラインが難しいんだけど、何とか頑張って作ってみようかなって」
「うんうん!すっごく良いよ!」
「ありがとう、穂乃果ちゃん!海未ちゃんはどう?」
顔が引きつってしまう海未。
どこからどう見ても素足に短いスカートを履いているその絵を見て、海未は視線を自分の足へと向けた。
そんな彼女の視線に割り込み、穂乃果は、大丈夫だよ、と声をかける。
「海未ちゃん、そんなに足太くないよ!」「人の事言えるのですか!」
言われてみると、そう言えばこの頃の私はどうだっただろうと、視線を下ろし確認する。
「……よし、ダイエットだ!」「2人とも大丈夫だと思うよ」
「そう?んー、じゃあとりあえずこの件は置いておいておこう」
「そうですね、他に決めることがありますから」
他に決める事といったら何だろうか、穂乃果は思いつくものをとにかく口に出す。
「サインでしょ、街に出歩く時の変装でしょ」
「そんなもの必要ありません!」
「必要だよ!だって海未ちゃんのサインすごくちっちゃ……くなっちゃいそうなんだもん」
冷や汗が流れる。
海未のサインが小さい事を知っているのは、穂乃果ただ1人。本人はこの頃、サインの経験はないだろうから、本人さえ知らない情報。
そんな事を口にしてしまえば、追求されてしまう。今だってかなり無理して言葉を変えたから、怪しまれているかもしれない。
「確かに、海未ちゃんならそうなっちゃうかも」
「だとしても、今重要な事ではありません!」
ほっと息をつく。何とかごまかせたようだ。
こんなにも2人と会話してる間にドキドキしたのは初めてかもしれない、と思いながら、1人胸をなでおろす。
「まず決めなきゃいけないのは、グループ名かな?」
「あ、それなら、ミュ……」
「「ミュ?」」
一難去ってまた一難。
気が緩んでしまっていたため、ついつい笑顔で言いかけてしまった。
2人の視線が集まり、息を呑む。
動悸は激しく、冷や汗も先程の倍出ているのではないかと思う程である。
僅か数秒、必死に頭を働かせ、苦し紛れに出てきた言葉は、
「ミュ、ミュータントガールズっていうアイドルもいるんだって!他のグループの名前を参考にしようよ!」
「他のグループですか」
「何も知らないで考えるより、そうしたほうが良いかもね!」
危ない。いや、危ないどころの騒ぎじゃない。首の皮一枚つながったというのは、まさにこの事だろう。
依然早く動く動悸を感じながら、穂乃果は笑顔で2人と再び話し始めた。
次はボロを出さないように、と強くと思いながら。
そんな3人の姿を教室の外から黙って見る者が1人いた。
少しずれていた首元のリボンを直す。その色は緑。
しばらく見た後、3人に気付かれないように自分の教室へと戻っていった。
ついに穂乃果ちゃんがやってしまいました。
まぁ、なんとか今回は誤魔化せましたが、非常に危ないですね。今回の件で警戒心は上がったでしょう。
さて、アイドル活動を始めた3人ですが、タイトル通り前途多難です。
それでも3人ならやれる。その信念の元、穂乃果ちゃんは動きます。
最後の人は誰か?予想してみてください。
どうせあの人でしょ?本当にそうでしょうか。
そう言えば本日、新ピカでの劇場版が終わりますね。
行かなきゃ(確信)
それではまた次回。