高坂穂乃果は再びスタートする   作:ひまわりヒナ

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ついに3人集まったμ's。
申請書を出すが、これまた良い結果は出ない。
しかし、まだ始まったばかり。アイドル活動はこれからだった。


今回からアニメ本編で言えば2話になりますね。




6話 前途多難なアイドル活動

「朝から何?」

 

 次の日の朝、またもや場所は生徒会室。

 穂乃果達は再び絵里と希の前に現れ、一枚の紙を提示した。

 その内容は講堂の使用許可であった。

「講堂の使用許可を頂きたいと思いまして」

「部活動に関係なく、生徒は講堂を使用できると生徒手帳に書いてありましたので」

 

 絵里と希は提示された紙を見る。使用する日にちは、ちょうど新入生歓迎会、その放課後であった。

 

「新入生歓迎会の放課後やな」

 

 希はそう言いながら、疑問の眼差しを3人に向ける。いったい何に使うのかという疑問だろう。

 しかし、海未とことりはすぐに答えられなかった。いや、答える事がそもそもできなかった。穂乃果に講堂の使用許可をとろうといきなり言われただけで、何に使うかまでは言われなかったからだ。

 正確に言えば、アイドルのことは伏せて、許可だけ取っておこうという話だったのだ。

 そんな中、ただ1人、穂乃果だけが強く思っている事があった。

 

「ライブです」

 

 その一言に絵里と希だけでなく、海未とことりも目を丸くする。

 

「3人でスクールアイドルを結成したので、その初ライブを講堂でやる事にしたんです」

 

 穂乃果が2人に言っていないのに理由はあった。

 それは2人に言えば止められる可能性があったという事、特に海未に言えば、まだやるべきではないと強く言われるに違いない。

 そうなるのも極普通の事である。

 結成したばかり、何をやるか、まだ完全に決まっていない。ライブをやる事はかなり難しいと誰が見てもわかる事。

 

 もちろん、穂乃果もそんなこと分かっている。

 未来の事が分かっているとは言え、未来が変わるかもしれない、その可能性を考慮すれば難しい道を歩く事になる。それも分かっている。

 

 けれどやらなければいけない、と彼女は強く思っていた。

 

「ほ、穂乃果」

「まだライブやるのは難しいんじゃ」

「そうです、それにまだステージに立つとは……」

 

 2人からの反論。そんな光景を見れば、

 

「本当にできるの?そんな状態で」

 

 疑問を持たれても仕方なかった。

 もちろん、そうなる事も穂乃果の想定の範囲内である。

 

「やります、やらせてください!」

 

 熱意のある言葉、穂乃果の目を見れば、誰もが彼女を信じてあげたくなるだろう。

 実際、この時絵里は何かを言い出す事はできなかった。不安要素は多いが、遊びでやっているものだとは思えなかったからだ。

 

「3人は講堂の使用許可を取りに来たんやろ?部活でもないのに、生徒会がとやかく言うことはない、そうやろ?えりち」

 

 希の言う事は正しく、絵里は何も言い出すことはできなかった。

 

 

 

 結局絵里は使用を許可。3人は生徒会室から去った。

 2人きりになった生徒会室、絵里は希に質問した。

 

「何故、あの子達の味方をするの?」

「何度やっても、そうしろって言うんよ……

 

 カードが」

 

 希が窓を開けると、唐突に強風が起こった。

 カードが辺りに散る中、壁に叩きつけられる1枚のカード。

『THE SUN』のカード。その意味は『成功、誕生、祝福、約束された将来』

 

「カードがうちにそう告げるんや!」

 

 

 

 許可を得たその日のお昼休み。

 海未と穂乃果だけで朝の事について話していた。

 

「ちゃんと話したじゃないですか、アイドルの事は伏せておこうと!」

「ごめんね、海未ちゃん。でもあそこでライブって言わなきゃ、海未ちゃん恥ずかしがって出てくれないかなって思って」

「うっ。わ、私はまだステージに立つとは」

「ステージに出なきゃ、有名になれないよ。私たちの目的は?」

「は、廃校の阻止、です…… もう、穂乃果はずるいです」

 

 あそこでライブをすると言えば、公言した以上でなければならない気持ちになる。そうすれば海未もより出てくれるようになるだろうという、穂乃果の策であった。

 とは言え、恥ずかしがることは間違いない。根本的に改善は必要である。

 

 そんな時だった。「お二人さん、掲示板見たよ!」そう言いながら3人やってくる。

 同じクラスの、ヒデコ、フミコ、ミカの3人だ。

 

「スクールアイドル、やるんだって?」

「まさか海未ちゃんもやるとは思わなかった」

 

 その言葉を聞いて嫌な予感がした海未は、すぐさま穂乃果に掲示板に何か貼ったのかと質問する。

 

「うん、ライブのお知らせ!」

 

 笑顔と共に発された穂乃果の言葉。

 はぁ、とため息をつきながら、穂乃果を連れて教室へと向かった。

 

 

「穂乃果は勝手すぎます!」

 

 校舎内に入ると同時に始まるお説教。

 確かに自分でも勝手だなと感じるぐらいだから、ガミガミと言われてもしょうがない。

 

「歓迎会まで約1ヶ月、まして何一つできてないのに、見通しが甘すぎます!」

「そ、そうだよね、あはは」

 

 自分で言っておいて何だが、海未の言葉は正論中の正論。

 もう自分でも認めざるを得ない程の正論に、肯定的になってしまう。

 

 教室に戻ると、ことりは独り言を言いながら何かを描いていた。

 海未はどうしたのだろうか?と思いながら、目の前の席に座る。そして穂乃果も近くの席に座るとほぼ同時に、「よし!こんなものかな!」と言い、見て見て、と描いていたものを2人に見せた。

 

「ステージ衣装考えてみたの!」

「おぉ!可愛い!」

 

 描かれた衣装を食い入るように見る穂乃果。

 その気持ちには可愛いと言った感想の他に、懐かしい、という感想も存在した。

 

「このカーブのラインが難しいんだけど、何とか頑張って作ってみようかなって」

「うんうん!すっごく良いよ!」

「ありがとう、穂乃果ちゃん!海未ちゃんはどう?」

 

 顔が引きつってしまう海未。

 どこからどう見ても素足に短いスカートを履いているその絵を見て、海未は視線を自分の足へと向けた。

 そんな彼女の視線に割り込み、穂乃果は、大丈夫だよ、と声をかける。

 

「海未ちゃん、そんなに足太くないよ!」「人の事言えるのですか!」

 

 言われてみると、そう言えばこの頃の私はどうだっただろうと、視線を下ろし確認する。

 

「……よし、ダイエットだ!」「2人とも大丈夫だと思うよ」

「そう?んー、じゃあとりあえずこの件は置いておいておこう」

「そうですね、他に決めることがありますから」

 

 他に決める事といったら何だろうか、穂乃果は思いつくものをとにかく口に出す。

 

「サインでしょ、街に出歩く時の変装でしょ」

「そんなもの必要ありません!」

「必要だよ!だって海未ちゃんのサインすごくちっちゃ……くなっちゃいそうなんだもん」

 

 冷や汗が流れる。

 海未のサインが小さい事を知っているのは、穂乃果ただ1人。本人はこの頃、サインの経験はないだろうから、本人さえ知らない情報。

 そんな事を口にしてしまえば、追求されてしまう。今だってかなり無理して言葉を変えたから、怪しまれているかもしれない。

 

「確かに、海未ちゃんならそうなっちゃうかも」

「だとしても、今重要な事ではありません!」

 

 ほっと息をつく。何とかごまかせたようだ。

 こんなにも2人と会話してる間にドキドキしたのは初めてかもしれない、と思いながら、1人胸をなでおろす。

 

「まず決めなきゃいけないのは、グループ名かな?」

「あ、それなら、ミュ……」

 

「「ミュ?」」

 

 一難去ってまた一難。

 気が緩んでしまっていたため、ついつい笑顔で言いかけてしまった。

 2人の視線が集まり、息を呑む。

 動悸は激しく、冷や汗も先程の倍出ているのではないかと思う程である。

 僅か数秒、必死に頭を働かせ、苦し紛れに出てきた言葉は、

 

「ミュ、ミュータントガールズっていうアイドルもいるんだって!他のグループの名前を参考にしようよ!」

「他のグループですか」

「何も知らないで考えるより、そうしたほうが良いかもね!」

 

 危ない。いや、危ないどころの騒ぎじゃない。首の皮一枚つながったというのは、まさにこの事だろう。

 依然早く動く動悸を感じながら、穂乃果は笑顔で2人と再び話し始めた。

 次はボロを出さないように、と強くと思いながら。

 

 

 

 

 そんな3人の姿を教室の外から黙って見る者が1人いた。

 少しずれていた首元のリボンを直す。その色は緑。

 

 しばらく見た後、3人に気付かれないように自分の教室へと戻っていった。

 

 

 

 

 




ついに穂乃果ちゃんがやってしまいました。
まぁ、なんとか今回は誤魔化せましたが、非常に危ないですね。今回の件で警戒心は上がったでしょう。

さて、アイドル活動を始めた3人ですが、タイトル通り前途多難です。
それでも3人ならやれる。その信念の元、穂乃果ちゃんは動きます。

最後の人は誰か?予想してみてください。
どうせあの人でしょ?本当にそうでしょうか。

そう言えば本日、新ピカでの劇場版が終わりますね。
行かなきゃ(確信)

それではまた次回。
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