とは言われず、講堂の許可を得た3人。
しかし計画も何もない。前途多難であるが、穂乃果達は諦めず頑張るのであった。
今回かなり短いです。
「中々思いつきませんね……」
「何か私達に特徴があれば良いんだけど……」
海未とことりは困った表情でそう呟く。
3人の性格はバラバラ。グループ名を作ろうと考えても、どうやって考えるかすら分からない3人にとって、かなりの難題である。
たった1人、穂乃果だけは名前を分かっているのだが、もちろんその名を言う事などできない。
「穂乃果、何かありませんか?」
「え、あ、えーと、じゃあ皆の名前を使って、ほのかうみことり!とか」
「漫才師みたいですね」
「だ、だよね。あ、じゃあ、海未ちゃんは海!ことりちゃんは空!穂乃果は陸!名付けて、陸海空!」
「全然アイドルっぽくないけど」
だよねー、と穂乃果は机に突っ伏す。
名前は浮かんでいるのに、言えないから適当にしか言えないもどかしさ。もやもやとした感覚は好きではなかった。
とは言え、焦ることはない。過去に名を付けてもらったように、また名を付けてもらおう。
「これで、よし」
「丸投げですか」
ライブ告知の紙の前に投書箱を置く、グループ名を自分達で考えるのではなく、募集するためだ。
こういった形ですることによって、生徒達が興味を持ってくれるのではないか、という考えの元で出した案である。
しかし、今の穂乃果にとっては建前上の理由でしかない。
本当の目的は、
(希ちゃん、もう一度お願い!)
東條希に名前を書いてもらうという事、ただ一つであった。
投票箱を置き、次はどこで練習するかという話になった。
練習する場所、と考えた時、浮かぶ場所と言えば例えば体育館などがある。
しかし多くの部活がそういった場所を利用している事は大体想像付く。部活でもない自分達に場所を譲ってもらえる可能性は低いし、気も引ける。
「空き教室を?なんでお前らが?」
浮かんだ案は、空き教室を利用する事。
早速、担任の山田先生に話しかける。
「スクールアイドルの練習に……」
「アイドル?お前らが? フッ」「は、鼻で笑った!?」
いつ何度聞いても、怒りを覚える鼻笑いである。
結局見つからず悩む、ことりと海未。たった1人、練習場所の解を持つ穂乃果。
どうせ辿り着く場所なのだから、タイミングは良いかと思った彼女は、
「2人とも、屋上を使おう!」
2人に唐突に提案した。
屋上? 2人はパッとイメージはできなかった。
屋上は確かにほとんど利用されない。だから人が使ってるとは考えにくいからベストポジションであるかもしれない。
だが、利用していないのは自分達も同じ。あまり練習場所というイメージはなかった。
とりあえず3人は屋上へ向かった。
「ここしかないようですね」
「日陰もないし、雨が降ったら使えないけど、贅沢は言ってられないよね」
「でもここなら音とかも気にしなくて大丈夫そうでしょ?」
「そうですね、ここで練習しましょうか」
練習場所を決めた3人は、横一列に並ぶ。
「よし、まずは歌の練習から!」
「「はい!」」
穂乃果の合図とともに3人は練習を開始……
かと思いきや、穂乃果は大事な事を思い出す。
(あ、曲、まだできてない)
曲名、START:DASH!!
歌詞、ダンス。共に完璧。
しかし、それは今この場で穂乃果、1人のみ。
「曲は……?」
「私は知りませんが……」
訪れる静寂。黙り込む3人。
この時、この瞬間、穂乃果が言えるのは、
「私も、知らない」
たった一言の嘘だけだった。
「アイドル……」
小泉花陽は穂乃果達の用意したライブ広告の前で、目を輝かせながらじっとそれを見つめていた。
彼女は昔からアイドルに対して憧れを抱いており、釘付けになっていたのだ。
スクールアイドルがここ、音ノ木坂にいるとは聞いていなかった。だからこそ、まさかまさかのこの出会いに運命的なものを密かに感じていた。
そんな時だった。
「アイドルねぇ」
「ひゃっ!?」
唐突に後ろから聞こえてきた声に、思わず悲鳴を上げ、その場から瞬時に離れる。
自分の後ろにいたのは、黒髪ツインテールの少女だった。
身長はそこまで高くなく同じ1年生かなと思ったが、1年生は教室が1つしかない。そして彼女を見た覚えはない。
「悪いわね、驚かせちゃって」
「い、いえ、大丈夫です」
よく見ると、リボンが緑色。あ、この人3年生の人か。と、彼女は分かった。
僅か10秒程であったが、気まずいと十分感じる程の静寂がその場にはあった。その3年生の彼女は、ただ黙ってポスターを見つめている。何となく、その場から離れる事ができなかった。
そんな時、「ねぇ、あんた」唐突に話しかけられビクッとする。
「な、何でしょうか?」
「アイドル、好き?」
え? 思いもよらない質問にキョトンとする。
「え、えっと、はい!大好きです!」
「そう、それじゃ」
「は、はい、さよなら……」
彼女は一言そう呟いて、その場から離れていった。
それとほぼ同時に、「かーよちん!」聞きなれた声が足音と共に聞こえてきた。
その声の主は星空凛であった。
「あ、凛ちゃん」
「一緒にかーえろ!」
「うん、帰ろっか」
凛に手を引かれその場から離れる花陽。
まだその時は、ポスターに描かれていたグループの1人になることなど、全く考えていなかった。
先程の3年生が誰なのかということが、妙に気になっていた。
後半は花陽ちゃんがメインでしたね。
前半はなんて無計画なのだろう、と改めて思い知るはめになってしまいましたが、穂乃果ちゃんは何でも知っているので、作ってないことをすっかり忘れてしまっていたようです。
兎にも角にも、課題は盛りだくさん。
3人の努力と根性が求められます。
今回短かったので、次回は長めにできるよう頑張ります。
それではまた次回。