東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結 作:ラギアz
真「・・・なあ、風神録って」
ラ「ただの導入。序盤の本命は第三章~第五章だよ」
真「まだ前哨戦か」
ラ「そ、では、どうぞ!」
「真さん、真さん」
「ん?何、妖夢」
「合体スペルカードとか考えてみません!?」
「・・・はい?」
白玉楼に来て、三日目の朝。
早朝からの素振りを終えた俺と妖夢は朝ご飯を作る為台所に向かいながら、他愛も無い会話をしていた。
「ほら!二人で斬撃混ぜてみるとか・・・同時に相手を斬ってみるとか!」
「お、おう・・・どうして急にそうなったの?」
「え、えっと・・・カッコいいじゃないですか!!」
身振り手振りも交え、汗だくの道着を揺らしながら妖夢は楽しそうに話している。
理由はいささか子供っぽいが、俺とて男子高校生。やはりそう言うものには惹かれてしまうもので。
「いやいや、そこは二人の霊力を混ぜ合わせての必殺技でしょう。妖夢の霊力の質って何?」
霊力。
前にも話したと思うが、これには使用者の意思がそのまま反映される陽、その意思の正反対が反映される陰の霊力がある。
俺は皆を護りたいと言う意思から陽が”守護”。
そして、その逆である”破壊”。
霊力を扱う異常にこれらは確実に存在するため、その質によって霊力のパラメータの様な物が変わるのだ。
「私は主に斬る、つまり殺すです。・・・ので、私の陽は”殺戮”。陰は”生命”です。」
「・・・結構強くない?」
「そうですね、派手だとは思いますが・・・何せ、私はいつも陰の方しか使ってません。敵や、本気で怒った時だけしか陽は使いませんよ」
ボウ…
妖夢が左手を掲げると、ほのかに桜色の霊力が光始めた。
左の掌だけが光る様子は、とても美しく、幻想的だ。
「・・・ま、”生命”を使うせいで霊力を纏った時に人は殺せません。斬る為に使うのに、その所為で斬れない。変な事ですが、私は結構気に入ってます。」
「ほう。なら良いじゃないか。・・・そうだ、こんなのはどうかな…」
「おお!それは良いですね…」
俺は思いついた事を妖夢に話し、妖夢も更に案を出して来た。
台所に向かうまでの、短い距離。
その会話は目的地に着いても、途切れる事は無かった。
「・・・若いわね」
「ふふふ、紫の感性が古いだけよ」
それを見つめる、二つの影。
一つは、
「幽々子も覗き見何て趣味が悪いんじゃ無くて?」
西行寺幽々子。
西行妖と言う妖怪桜に捕らわれた亡霊。
桜色の髪に、水色と白の衣。
紫紺に輝く扇子をいつも携えている彼女は、自身の隣に居る妖怪に話しかける。
「あら、紫も覗き見してるじゃない」
「・・・たまたま通りかかっただけですー」
八雲紫。
幻想郷創設に関わった七賢者の一角であり、強大な力を持つ大妖怪としても有名である。
長い金髪に、堂々とした立ち振る舞い。
その存在感、威圧感だけで普通の人間ならば一目散に逃げだすだろう。
「たまたまじゃないでしょう?」
「・・・当たり前じゃない。ほら。これ。」
幽々子が微笑みながら紫に尋ねると、紫は何処からか二通の便箋を取り出した。
宛名には、天音真と魂魄妖夢の名前。
「異変よ。・・・妖怪の山山頂付近に神社が幻想入りしたわ。天音真と魂魄妖夢に調査をお願い。」
「分かったわ~。で?相手は強いの?」
「・・・心配なのが、一人現実の方から来た女の子が居てね。ほら、真って直ぐに突っ走るし、女の子を本気で殴らないからねえ。」
「・・・まあ、大丈夫でしょ~」
「ふ、ふふふ・・・幽々子には適わないわ・・・じゃ、私はこれで。」
「ええ、またね~」
「じゃあね」
紫は言葉と同時に消え、幽々子は便箋を持ちつつ食堂へと向かった。
「・・・また一波乱ありそうねえ・・・」
徐に呟いた亡霊は、全てを見通すかのように目を細める。
舞台は整った。
遂に、少年の物語は加速し始める。