東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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すみません、昨日の帰宅時間が夜の十一時三十分でした。
家族での用事とはいえ、昨日投稿出来なくてすみませんでした。


第八章第十五話「sideレミリア」

真紅の魔力が幻想郷の空を切り裂く。曇天に連なる灰色の雲を吹き飛ばす程の速さで、レミリアは日傘を手に地底へと向かっていた。

場所は咲夜から聞いて知っている。妖怪の山――――ならば、10分程度で移動が出来る。

霊夢さえも置いていく速度。光る眼光は、最早見え始めて来た大穴を見据えていた。

 

呼吸を止める。急停止により、レミリアの体に強力な負荷が掛かるが、それを無視しレミリアは垂直に地底へと突っ込んだ。

風切り音が轟音と成り耳元で響く。常人なら視認できない速さで地底の底へと、レミリアは一瞬で辿り着いた。

 

「・・・ふう、ちょっと疲れたわね」

 

巨大化させていた自身の黒い蝙蝠の翼を縮め、元のサイズに戻す。

纏っていた真紅の魔力もふっと空気に溶ける様にして消える。

 

(さて、お空?に聞きに行きましょうか。・・・礼儀は忘れない様にするつもりだけど・・・)

 

カツン、と少女の軽やかな靴音が小さく響く。

 

(――――場合によっては、力づくね)

 

その眼は鋭く、まるで獲物を狙う様に細められ。

口からは犬歯が剥き出しになっていた。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

それから、2時間ぐらいか。

歩みを止めず、延々と歩き続けたレミリアの前に豪勢な屋敷が現れる。

紅魔館と同等かそれ以上。少しむっとしたレミリアは、乱暴にドアをノックした。

 

「はいはーい、今出ますよっと・・・」

 

扉の向こうから少女の声が聞こえ、次いで直ぐに開けられる。

 

「んにゃー・・・?お客様?」

「そうだと良いのだけれど。私はレミリア・スカーレット。・・・出来れば、この館の主と会いたいわね」

 

 

通された先に居たのは、桃色の髪をしたレミリアと同じくらいの少女。

体から繋がる管の先にある第三の眼を確認し、レミリアは彼女が覚妖怪であると理解する。

手で促されるままソファに腰かける。

 

「・・・こんにちは。私はこの館、地霊殿の主の古明地さとり、です。・・・ええ、この前助けて下さったのは貴方の従者も居るんですね。・・・隔さん、咲夜さん。・・・後は私のペットが、真さんにお世話に成りました」

「驚いた。こんなにも深く読めるのね。・・・でも一応。私はレミリア・スカーレットよ。今日は聞きたい事があって来たの」

 

驚きに目を見開くレミリア。

しかし直ぐに気を取り直すとさとりに向き直り、自己紹介をする。

剣呑な考えは出したら行けない。レミリアは本来の目的のみを頭に思い浮かべた。

 

「・・・成程、隔さんが暴走妖に・・・」

「ええ。それで、お空という人に少し話を聞きたくてね」

「そうですか。それくらいなら全然問題ないです」

 

にっこりと微笑んださとりは背後に立って居た猫っぽい少女――――お燐に声を掛け、お空を連れて来させた。

 

扉を出て束の間。直ぐに戻ってきたお燐の後ろには、黒い烏の翼を携えた少女が。

 

「え、えっと・・・さとり様、どうしたの?」

「貴方に話を聞きたい人が来て下さったので貴方を呼びました。さあ、掛けて下さい」

「うにゅ・・・」

 

おずおずと座り、心配そうにレミリアの様子を伺うお空。

安心させる意味も含め、少女は紅い瞳をそっと和らげた。

 

「初めまして。私はレミリアって言うの。貴方のお名前は?」

「わ、私は霊鳥路空・・・お空って呼んでほしいな」

「分かったわ。で、お空、ちょっと聞きたい事があるのだけれど・・・」

 

レミリアは目くばせでさとりに聞いて良いかどうかを聞く。

そっと彼女が頷くのを見て、そしてレミリアは口を開いた。

 

「今、私の従者が暴走妖って言って・・・真が貴方を助けた時のお空みたいになりかけてるの」

「えっ!?だ、大丈夫なの!?」

「正直、時限爆弾ね。それもいつ爆発するか分からない、どれくらいの規模で爆発するかも分からないレベルの」

 

それで、とレミリアは言葉を続ける。

もしかしたらお空の嫌な記憶を掘り返してしまうかもしれない。だが、従者の前に立つのは主であるべき。

少しの葛藤。それでもレミリアは、そっと問う。

 

「・・・私は従者を助けたい。その為には、暴走妖の情報が少しでも欲しい。・・・お空、もし良かったら、貴方が暴走妖に成った時の事を教えてくれないかしら?」

 

「・・・」

 

ピリッ、と。

一瞬空気が硬直する。肌を刺すような冷気が一瞬部屋に漂い、

 

「・・・・うん。分かった」

 

それを切り裂いたのは、他でも無いお空だった。

緊張感が解れる。数回の深呼吸の後、苦虫を噛み潰したような表情でお空は話し始めた。

 

 

「最初はね、何か変な人に斬られたの。その時に傷は無かった。でもその後、何か朝起きると服が汚れてたり、戦った後みたいに妖力が無かったり・・・妙に疲れてたりしたの。それでそのまま大丈夫だろう、って放置してたら急に頭にノイズみたいなのが掛かって、見慣れない映像が頭で流れて・・・そこからは直ぐだった。次の日にはもうノイズが掛からなかった。頭も痛い、体も動かしづらい。何より心臓がずっと痛かった」

 

隔の容態に似ている。

レミリアはすっと目を細め、一言も聞き漏らすまいと神経を集中させた。

 

「その次の日に、遂に映像が途切れなくなった。・・・それが自分の『記憶』だって、急に分かるの。そしてそれが分かった瞬間に心臓から黒い霊力が溢れ出て、理性?みたいなのが無くなっていくの。体は思ったように動く。でも、決して止まらない」

 

お空は、言い切る。

 

「『壊せ』『殺せ』・・・これ以外の事を考えると頭が凄く痛くなって、逆にこれだけを考えると凄く楽になる。真は・・・私の中にあった、その思いを無理やり植え付ける『核』を壊してくれたの」

 

・・・まだ、そこまでは行ってないか。

レミリアは少しの猶予がある事を確認し、大きくため息を着いた。

要は隔の心臓にある核を壊せば良いだけなのだ。それなら、素手でも出来るじゃないか。

 

「ありがとう。お空。助かったわ」

「ううん!良かった!頑張ってね!」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

お空と別れ、レミリアは飛び立った。

見え始めた希望。深紅の軌跡を宙に描き、彼女は紅魔館へと向かう。

その胸に、一部の絶望は無い。

 

――――だからこそ。彼女は、もう手遅れであることを微塵も考えなかった。

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