東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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ラ「実は今回、真君は・・・」
真「短いです、どうぞ」


第八章第十九話「射る者」

俺の右側が揺らめき、白の霊力が一瞬で赤い霊力に塗り替わる。

左の黒い霊力を俺は掌に集め、口を開いた。

 

「霊黒剣[鬼丸]」

 

かなりの重量が掌に伸し掛かる。自分自身よりも大きい刃を地面に置き、俺は奥で黒い刃を掲げた隔に向けて右腕を向けた。

 

刹那、始まる隔の連撃。

いや、始まろうとした、連撃。

 

一撃が俺の右手に衝突する。その瞬間、それは斬りかかった速度と同じ速度で跳ね返された。

 

拒絶。幻夢が護る事も壊す事からも眼を背け、そして見つけた第三の霊力。

炎の様に赤く揺らめく霊力は、全てを拒絶する。

 

一刀目が大きく上に弾かれた隔は態勢を崩し、放った二本目の斬撃は虚空を切り裂く。

 

その間に。俺は、鬼丸の刃をどんどん巨大化させていた。

闇に紛れて判別がしにくいが、鬼丸はその刃を更に大きく、鋭くしている。黒い霊力の波動が段々と地面に亀裂を入れ始め、自身の重みで地面に沈み始めた。

 

流石に隔も気づいたのか。一瞬目を見開き、次いで大きく跳躍。

二刀を揃え、体を大きくしならせ――――一閃。

寸分狂わず斬撃は鬼丸へと迫る。その刃を打ち砕かんと、猛威を振るう。

 

それが当たる前に、俺は鬼丸から手を離した。

 

ズドン、と地面に深く沈み込む黒い超剣。隔の刃が鬼丸を一撃で粉砕する、その一瞬前。

 

「桜花[華散り―焔―]」

 

地面を強く踏み砕き闇夜に身を躍らせた俺は、滅壊ノ星撃の要領でブーストした桜ノ妖を居合いで抜き放った。

真一文字に振るわれた刀は宙に真紅の軌道を描き、隔の黒い刃を半分くらいに切り裂いた。

 

「フルバースト」

 

右腕に黒い刻印が浮かび上がり、それは更にリングの様に俺の腕を中心に三つほど回り始める。

黄金の輝きを放つそれはオーバーレイ状態の霊力を更に増幅させ、

 

「滅壊ノ星撃」

 

左手で放つ、黒と赤の流星を更に強くした。

破壊の意思が籠められた拳は神速を以て隔の自身を庇う様にクロスした両腕の中心を穿つ。

鈍く重たい音を周囲に轟かせ、少女の華奢な体は地面へと撃ちだされた。

 

ドゴンッ!!

 

粉塵を撒き散らし、隔は地面に強烈に叩きつけられる。

クレーターを生み出し亀裂は地面に走り、体を九の字に曲げ呻く隔へ向けて――――

 

俺は、いや、私は(、、)赤い瞳を輝かせ弓を生成する。

それは禍々しい、赤黒い弓。血の様に深い赤は、淡い月明かりを受けて煌々と主張を存在する。

 

「心臓部分の核だよね」

(そう!というかお前やり過ぎだよ!)

「うん、ちょっとやり過ぎた」

 

中に居る少年と軽く会話をし、私は弦を全力で引き絞る。

無防備に晒されている黒い核。そこへ照準を合わせ、私はぱっと手を離した。

 

「揺らめき、貫け――――壊せ、[陽炎]」

 

呟かれた言葉に応えるかの如く、何も無かった虚空から赤黒い炎の様な物が一瞬現れ、そして直ぐに消える。

世界が一瞬揺らめく。高熱の風が吹き荒れ、見えない矢は鋭く隔の心臓にある黒い霊力を破壊した。

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