東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結 作:ラギアz
青痣が酷い右腕。永琳さんの処置により骨は繋がっているらしいが、それでも動かすと痛みはある。
掌を開く事も、握りしめる事すらも難しい。畳の上に胡坐を掻き、薬草と霊夢の買って来てくれた薬のおかげで大分良くなった体をごろんと倒す。
電灯の付いている天井。左手を上に伸ばし、ためいきを吐く。
・・・俺がここに運ばれてきてから。丸一日。
隔が何をしているのかだけが気になる。本当は今すぐにでも飛び出したい。
しかし夢月の厳しい監視がある。抜け出すのは困難。
編み物をしている夢月は、黙々と作業に取り掛かっている。そんな中、ふと俺は幻夢に話があると言われていたのを思い出した。
「・・・オーバーレイ」
「っ!?」
ぼそっと呟く。
夢月が驚き慌て此方へ眼を見開くが、出力の弱い状態のまま俺は幻夢に呼びかける。
「幻夢、今なら大丈夫」
(分かった。じゃあ、呼び出すよ)
そこまで言い、オーバーレイを解く。
次いで襲い掛かって来る睡魔に似た微睡み。深い深い海に沈んでいくような感覚に、俺は身を任せた。
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そこは白い世界。
終わりの、果ての見えない地平線の真ん中に、赤を基調とした服に金の刺繍をした俺の師匠、博麗幻夢が立って居た。
ただならない雰囲気。魂の世界だと言うのに身震いが止まらず、俺の足取りは意識せずとも遅くなる。
腕を組む幻夢の近くに寄る。肌を突き刺す殺気。刹那、幻夢の腕が霞んだ。
「馬鹿野郎ッッ!!」
「ふごおっ!」
ドゴン!!と叩き込まれた脳天へのチョップ。
頭を勢いよく下に叩かれ、俺はそこをさすりながら顔を上げた。
「無茶すんなと言い続け・・・もう反抗期かこいつと思って居れば・・・今回のは本当に馬鹿だね!?」
「返す言葉もございません」
「妖夢一人に悪役押し付けて・・・。死にかけて・・・陽炎が拗ねてたぞ」
「だから最近話してくれないのか」
呆れたように話す幻夢。
ひと段落した所で、彼女は地面に腰を下ろした。
吊られるように俺も地面に正座する。幻夢は豪快に胡坐を掻くと、先ほどとは一転真剣な眼差しを浮かべた。
「えーっとね・・・話ってのは、簡単に言えば確実に隔を助けられる方法だ」
「・・・は?」
幻夢の突然のカミングアウト。
しかし、彼女がここまで言わなかったと言う事は、恐らく何かがある。
自分自身が異常に冷静に成って行くのを感じる。その中で、幻夢は話しだす。
「博麗一の技が『滅壊ノ星撃』。二の技が『五月雨仕掛けの泡沫』。・・・んで、すっとばして・・・」
「六の技、『破霊陣』。これは、霊力を破壊する技だ」
「霊力を・・・破壊、する・・・?」
幻夢は右の掌を軽く持ち上げ、上に向ける。
すると浮かび上がる小さな、紅い陣。それが拒絶であると言う事は、直ぐに理解できた。
「・・・これで触れたものの霊力は。全て、破壊することが出来る」