東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結 作:ラギアz
幻夢の言葉に、呆然となる。
それで万事解決。それで終わる。
口を開こうとした瞬間、厳しい表情で幻夢は遮り、言葉を続けた。
「人間の魂は、力の結晶である霊力から出来ているんだ」
幻夢の目が、鋭く細められる。
薄々はわかっていた。ノーリスクで隔を助けられはしないと。
「・・・霊力を全部破壊するってことは、隔の魂も破壊するって事なんだ」
その言葉を聞いた瞬間、脳裏で目まぐるしく隔の記憶が駆け抜ける。
物心付いた時には一緒に居た。俺の中で、俺以外の人の記憶で一番多いのは間違いなくあいつだ。
なんだかんだでずっと隣に居た。怒ったり笑ってたり、忙しい奴だった。
「・・・人形にするか。殺すか。どっちにするんだい・・・?」
幻夢の表情が、歪む。
苦しそうに、でも俺が迷わない・・・迷えないのを知っているという風に。
すっと俺は視線を地面に落とす。
そこに広がるのはどこまでも白い床。答えなんてものは、一つもありはしない。
「・・・俺は」
一言呟く。固まる。
それでも幻夢は何も言わず、待ってくれた。
膝の上で、左こぶしを握り締める。服に皺ができる、そんな些細なことを考え。
「・・・隔は助ける。でも、
「隔の魂は、か・・・。そっか、
「ああ」
「分かった。陽炎に、伝えておくよ。・・・それじゃあ、ね」
「うん。またいつか」
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目を覚ます。目の前には、心配そうに俺を覗き込む霊夢と夢月の姿が。
「・・・おはよ」
「お帰り、霊夢」
左手を使って、何とか起き上がる。欠伸を噛み殺すと、突然霊夢が俺におにぎりを差し出してきた。
「速く食べて!食べたらとっとと行くわよ!」
「行くって・・・どこに?」
大きいおにぎり二つの内一つを手に取る。
中身は梅。酸っぱい味と風味が口に広がり、食欲を強く刺激した。
巫女服を纏い、夢月は式神を多数持ち出す。
おにぎりの最後の一口を食べきった処で、俺の右腕に包帯を巻いてくれている夢月がつぶやいた。
「隔さんが・・・やっと、見つかりました」
「夢月の式神に頑張って貰ってたのよ。そしたら、ここから東に居るって。でもこれを言うとあんた一人で行くからね、私たちも着いて行くわ」
「勿論、危なくなったとき以外に介入はしません。真さん、本気でぶつかってきてください!!」
夢月が両こぶしを握りガッツポーズを作る。
破霊陣は、おそらく使える。なら、隔を助けることができる。
「ありがとう、二人とも。・・・行こう」
時間は夜。
木造の家を出て、夜空の星を見上げる。九月の夜風は少し肌寒い。
東へと。東へと。
俺たちはそれだけを胸に、今、飛び立った。