東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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第九章第六話「旅立ち」

幻夢の言葉に、呆然となる。

それで万事解決。それで終わる。

口を開こうとした瞬間、厳しい表情で幻夢は遮り、言葉を続けた。

 

「人間の魂は、力の結晶である霊力から出来ているんだ」

 

幻夢の目が、鋭く細められる。

薄々はわかっていた。ノーリスクで隔を助けられはしないと。

 

「・・・霊力を全部破壊するってことは、隔の魂も破壊するって事なんだ」

 

その言葉を聞いた瞬間、脳裏で目まぐるしく隔の記憶が駆け抜ける。

物心付いた時には一緒に居た。俺の中で、俺以外の人の記憶で一番多いのは間違いなくあいつだ。

なんだかんだでずっと隣に居た。怒ったり笑ってたり、忙しい奴だった。

 

「・・・人形にするか。殺すか。どっちにするんだい・・・?」

 

幻夢の表情が、歪む。

苦しそうに、でも俺が迷わない・・・迷えないのを知っているという風に。

 

すっと俺は視線を地面に落とす。

そこに広がるのはどこまでも白い床。答えなんてものは、一つもありはしない。

 

「・・・俺は」

 

一言呟く。固まる。

それでも幻夢は何も言わず、待ってくれた。

膝の上で、左こぶしを握り締める。服に皺ができる、そんな些細なことを考え。

 

「・・・隔は助ける。でも、あいつの魂を壊させはしない(、、、、、、、、、、、、、)

「隔の魂は、か・・・。そっか、それで良いんだね?(、、、、、、、、、)

「ああ」

「分かった。陽炎に、伝えておくよ。・・・それじゃあ、ね」

「うん。またいつか」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

目を覚ます。目の前には、心配そうに俺を覗き込む霊夢と夢月の姿が。

 

「・・・おはよ」

「お帰り、霊夢」

 

左手を使って、何とか起き上がる。欠伸を噛み殺すと、突然霊夢が俺におにぎりを差し出してきた。

 

「速く食べて!食べたらとっとと行くわよ!」

「行くって・・・どこに?」

 

大きいおにぎり二つの内一つを手に取る。

中身は梅。酸っぱい味と風味が口に広がり、食欲を強く刺激した。

巫女服を纏い、夢月は式神を多数持ち出す。

おにぎりの最後の一口を食べきった処で、俺の右腕に包帯を巻いてくれている夢月がつぶやいた。

 

「隔さんが・・・やっと、見つかりました」

「夢月の式神に頑張って貰ってたのよ。そしたら、ここから東に居るって。でもこれを言うとあんた一人で行くからね、私たちも着いて行くわ」

「勿論、危なくなったとき以外に介入はしません。真さん、本気でぶつかってきてください!!」

 

夢月が両こぶしを握りガッツポーズを作る。

破霊陣は、おそらく使える。なら、隔を助けることができる。

 

「ありがとう、二人とも。・・・行こう」

 

時間は夜。

木造の家を出て、夜空の星を見上げる。九月の夜風は少し肌寒い。

 

東へと。東へと。

 

俺たちはそれだけを胸に、今、飛び立った。

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