東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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第十章第三話「病室の会話」

博麗霊夢は、天音真を運び込んだはずが自分まで治療を受ける事になっていた。

雷との激戦。夢想封印を使ってまで挑んだのにも関わらず、逆にピンチになったし、逃げられてしまった。

夢月のサポートは決して悪くなかった。寧ろ状況にあそこまで臨機応変に応じれるのは素晴らしい才能だろう。

だからこそ、霊夢は自分の慢心を戒める。今まで特に負けた事の無かった彼女に、今回の敗北は堪えた。

最終奥義も通用しない。白いベッドの上で、黒い闇に取り込まれた様な気分。

しかしそんなのを露知らず、一人の黒白の魔法使いはピシャン!! と病室のドアを開け放つ。

 

「よう霊夢!面白そうな事やってたんだって?私も混ぜてくれよ!」

「・・・魔理沙、五月蠅い。私は病人よ?」

「おう、だから見舞いに来てやったんだぜ。ほら、エデンの林檎」

「危ないもん渡すんじゃないわよ!普通の林檎でしょ!」

 

腕に下げていたバスケットから魔理沙は赤く熟した林檎を取り出し、霊夢へと投げる。

片手で掴み取る霊夢。続いて差し出された包丁で器用に林檎の皮を剥きつつ、ベッド脇の椅子に腰を下ろした魔理沙に尋ねる。

 

「・・・真は見てきた?」

「ん、ああ・・・まあな。ありゃあ酷い。まるで人形だぜ・・・体は永琳が治療してくれたが、話しかけても反応なし。自分からは動かないし、右腕はもう一生動かせない、だと」

「私は、真に会ったとき止めるべきだったのかしら・・・」

「さあなあ。少なくとも私は止めなくて良かったと思うぜ」

「なんで?」

 

大きい帽子を頭から取り、魔理沙はそれをバスケットに詰め込む。

床に荷物を全部置いてから、霊夢の方を向いて彼女は話し始めた。

 

「取りあえず一つに、あいつは隔を助けたんだろ?それとだな、あいつは絶対戻ってきてくれるだろ。ピンチの時に駆けつけて、また守ってくれると信じてるからな」

「・・・それだけじゃない。隔を助けても真があれじゃあ・・・。それに、二つ目に至っては確証なんて無いじゃない」

「そこで絶対に有り得ないって言えないのが可笑しいんだよなあ。どっかで霊夢もあいつの事を信じてるんだぜ。それに真は約束を破るような奴・・・だな、良く勝手に飛び出していくし。でも、約束を忘れるやつじゃない。一か月は死なないで無事に帰ってくるっていう霊夢と交わした約束を、あいつは守ってくれるさ」

 

魔理沙の紡いだ長い言葉を、霊夢は何も言わずに聞いていた。

解いている髪の先を、人差し指でいじくる。口を尖らせ、霊夢はつぶやいた。

 

「そりゃあ・・・信じてないと言ったら嘘になるけど。でも、確証はないってだけで」

「不安なんだな、うん。・・・ふっはあああ!!!霊夢が真っ赤になってやんのおおお!!」

「うっさい!!」

 

堪え切れないといった風に魔理沙は霊夢の顔を指さし叫ぶ。

白い布団で顔の半分を隠す霊夢。

そんな中で、魔理沙はすっと立ち上がりバスケットを掴んだ。

 

「自分に自信が持てないのは、誰でもあることだ。・・・あんま気にすんな、私とかも傍に居るからな」

 

照れ隠しのように、急いで帽子を深く被る魔理沙。

そのまま病室のドアを小走りで出ていく。残された霊夢は、布団を顔の傍から引き下ろし、

 

「・・・ありがと」

 

小さく、呟いた。




次回、現実の方の真君。・・・と妖夢かな・・・?
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