東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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お久しぶりです。

ラギアです。えっと、毎日投稿が復活します。
流石に一か月で夢幻魂歌百話分は無理でした。と言う事で、復活します。
勿論あきらめたわけではないですが・・・。

それと一つ、実は今日でラギア氏が一周年を迎えます。
やりました。一周年です。

長らくお待たせいたしました!
それでは、どうぞ!


第十章第六話「記憶邂逅[隔]」

ざわざわ、ざわざわ。

 

かぜにゆれて、きがゆれている。おとがして、ぼくはあたりを、みまわした。

 

「こんにちはー!」

 

こえが、きこえた。

 

そっちをむくと、そこにいたのは、すごくかわいいおんなのこだった。

 

ぼくはちいさく、「こんにちは」といった。

 

おんなのこはわらった。わらってくれた。

 

「わたしは、かくり!よろしくね?」

「ぼくは、しん。よろしく!」

 

そっとさしのべられた、みぎてをぼくはやさしくにぎりかえす。

 

 

むかしの、むかしむかしの、おとぎばなしにでてくるような。

 

そんな、てんきのいいひだった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「・・・昔の君だね。そして、最初に隔と出会った時の君だ」

「覚えては無いけど、懐かしい気はする。・・・隔は、昔黒髪のショートだったんだよな」

「ボクと一緒だね」

 

俺の家の庭。

そこで風景を眺めていた俺に、あいつは話しかけてくれた。

思い返せば、あの服には見覚えがある。

確か捨てようとしたら、隔が必死になって止めてきた。俺の服だと言うのに何故か抱え込み、

 

『これはダメだよ!もう!』

 

とかなんとか、怒られた気がする。

 

隣に浮かぶ恵の左手が、その指がさらさらと溶けていく。

黄金色の粒子が空へと散っていく。景色は、目まぐるしく変わっていく。

 

 

僕も隔ちゃんも、小学六年になった。

もうランドセルも小さくなってきて、ボロボロだ。

そろそろ卒業式。親が来てくれ――――ればどんなに良かっただろう。

 

僕の両親は、僕が三歳の頃に交通事故で死んだ。

 

奇跡的に生き残った僕は、隣の家の魂魄さんのおかげで今を生きている。

いや、何よりも隔ちゃんだ。

下校途中、僕よりも少し前を歩く隔ちゃんはセミロングの黒髪に僕のプレゼントした黒いカチューシャを付けている。

 

「隔ちゃん、カチューシャは邪魔じゃない?」

「邪魔じゃないよ!真が私にくれたんだから。一生、大事にするからね!」

「・・・ありがとう、隔ちゃん!!」

 

尋ねてみたら、彼女は満面の笑みで答えてくれた。

今は冬だけれど、隔ちゃんの笑顔は一足早く春を運んできてくれた。

 

 

僕も――――いや、俺も中三である。

この三年間で、色々あった。

いつの間にか一人称も変わり、めきめきと身長も伸びる。

どうして俺と言うようになったのか。それは確か、剣道の道場で隔を守るためだった気がする。

強くなりたい、もっともっと――――

 

親を失った、つまり家族の愛とやらを受けられなかった俺は孤独だった。

 

・・・しかし、隔のおかげで俺は今を生きている。

親友も居る。毎日が楽しい。

 

でも、もう二度と俺は大事な人を無くしたくはない。

 

記憶は無い。でも、両親の事を思うと心臓がぐっと縮むような感覚に陥るのだ。

会いたい。会いたい。一度でいいから、名前を呼んでほしい。

 

それが絶対に無理だとしても。

 

「真、おーい。だいじょぶー?」

「ん?・・・大丈夫だよ、隔」

 

だからこそ、俺は大事な人を守るんだ。

 

二度と。失わないために。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

恵の左手が、肘の当たりまで消えた。

世界が金色の粒子と同時に崩れ去り、それを運ぶように青緑の風が吹く。

それらは全て俺の中に入り、そして魂の隙間を少しづつ埋めていった。

 

ゴウッ!! と、次の瞬間に記憶が蘇る。川遊びも暴走妖も、何もかもが。

 

あいつの、笑みが脳裏にしっかりと浮かび上がる。

 

長い黒髪を揺らし、澄んだ瞳を輝かせる隔を。

 

「戻ったみたいだね。・・・ボクにとっての隔は、能力によって生まれたものっていう認識だけれど」

 

恵は、そこで言葉を切った。

 

「キミにはどうもそうじゃないらしい。真の一番大事な記憶にアクセスした結果が、隔の記憶なのだから」

 

優しい笑みを少女は浮かべる。

崩れゆく世界を見ている俺は、そっと頷いた。

すると、ポゥ…と左手が肘の当たりまで金色に輝き始める。恵の失われた箇所が、俺の体や魂の一部になっているかの様に。

 

「いい感じだね。いい感じだ。・・・さあて、時間も無いし次だね」

 

恵は、右手を横に振る。

再び変わる世界。

 

そこに現れたのは、銀髪のショートカット、俺と同じ青色の眼をしている少女。

 

 

 

――――に向かって抱き着いている、俺自身の姿だった。

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