東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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第十章第十二話「明けた夜空」

雷が、彼岸ノ妖を振り被り悪夢の霊力を纏いながら俺へと走ってくる。

途中で、奴は雷撃を纏った。バヂバヂバヂ!! と電撃が弾け、速度が一段と上がる。

 

――――隔を助けた時は、夜明けだった。

 

茜色の優しく強い神々しい光が、闇夜を裂き新たな光をもたらす。

瞼を閉じれば、その光景がまるでそこにあるかのように浮かんでくる。俺は右手と左手の指を絡め、胸の前に持って行った。

 

皆の記憶が蘇る。皆に助けてもらった自分を、今変えるんだ。

 

強い思いが、全身を駆け巡る。広がった魂の器が、幻夢の霊力とドライブを同時に受け止め。

 

俺の体は、金色の霊力を纏い始めた。

光が揺らめく。雨が遠のき、世界が遅くなる。

 

「・・・開け」

 

力を込めながら、俺は組み合わせていた右手と左手を段々と離していく。するとその間に、引き離されていくと同時に生成される黄金の刃が現れた。

バキン、バキキッと刃に亀裂が走る。砕け散りそうなそれが、完成すると同時に。

 

「満開[妖霊の彼岸花]」

 

黒みを帯びた黄色の刃によって、破壊された。

俺へと刃は届かなくとも、金色の刀は生成された瞬間に壊された。欠片が雨に打たれ、キラキラと宙を舞う。

 

だけど。

それでも。

いや、だからこそ。

 

雷雲に閉ざされた夜明けは、その太陽を隠した。

一度失われる光。それでも、太陽は無くならない。その雲の向こう側でも強い輝きを絶やさない。

 

この”刀”は。

 

砕け散っても蘇る。絶対に、消える事は無い。

 

ギュルンッ!!!

 

宙を舞う欠片が、時間を巻き戻したかのように一か所に集まる。

それは黄金の霊力の塊。水晶の様に乱雑なそれに、俺は右手を翳す。

 

その瞬間。結晶が、砕け散った。

 

中から現れる、黄金の日本刀。無駄な装飾などは一切無いのに、神々しさを纏うその刀の柄を握り、俺は銘をはっきりと告げる。

 

「魂刀[羅刹ー明ケノ夜空ー]」

 

羅刹ー明ケノ夜空ーを握った右手を、俺は上へ切り上げた。

ドンッ!! と、黄金の霊力が斬撃となり一瞬で雷を吹き飛ばす。どこまでも伸び続ける斬撃は、空へ空へと昇り詰め。

 

爆風を巻き起こすと共に、雨雲を吹き飛ばした。

 

青空が広がる。太陽の光が地へと降り注ぐ。

黄金の輝く霊力を纏いながら、俺は右手の刀を起き上がろうとしている雷へ突きつけた。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

霊夢は、夢月と共に全力で結界を張りながらその様子を見ていた。

幾度も幾度も繰り返される絶大な霊力の波動。二人で生成している結界でさえも、その周囲に巻き散らかされる霊力でビリビリ震える。

 

そして、彼女らは目に焼き付けた。

天へと昇る、一筋の黄金の輝きを。

雨雲を吹き飛ばし、青空を広げ太陽を顕現させたその少年の力を。

 

結界の中に居る人々は、呼吸すらも忘れ、その光景に見入った。

それ程までに力強く、安心できる。そんな雰囲気が周囲を漂い始めた。

 

霊夢は、気を引き締め直す。

博麗の巫女として、たった一人の少年に負けないように。

 

一人の少女として、その意地を見せるために。

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