東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結 作:ラギアz
試しに、[あむ]と打って変換してみてください!
ラギアのパソコンでは、しっかり出ました。
君の名は、泣きはしませんでしたが良かったです!
今日見てきました。寒かったです。
では、どうぞ!
虹色の結界が解かれる。霊夢や魔理沙が手を振るところへ、俺は着地した。
「終わったぞ」
「お疲れさま、真。・・・ねえ、肩に背負ってるのって何?」
「雷だけど」
「お前何連れてきてるんだぜ!?」
まずにこやかに挨拶し、次に霊夢はじりじりと距離を取りながら俺の肩に居る雷へ指をさした。
答えた瞬間に、隣に居た魔理沙も大きく後ろに飛び跳ねる。
あわあわとしながら、霊夢は警戒を解かず口を開いた。
「・・・死んでる?」
「いや、生きてるよ。瀕死だから、早く永琳先生に見てもらいたい」
「おいおい、そいつは敵だぞ!?何でトドメを刺さなかったんだよ!」
「残念ながら、殺し損ねた」
「じゃあ私がやるぜ。そいつをそこに下ろすんだ」
魔理沙は真剣な表情で、帽子から八卦炉を取り出した。
しかし、俺は雷を庇うように後ろに下がる。そして、魔理沙へ声を掛けた。
「こいつを生かすのは、俺の為だ。・・・それに、俺が寝返っても隔に殴られて終わりだし」
「・・・魔理沙、真に何言っても無駄よ。飛び出すな、勝手に行くなと言うのを一度でも聞いた?」
「無いな。うん。・・・しょうがねえのかあ」
「しゃーなしよ」
何かボロクソ言われている気がする霊夢と魔理沙の小声での会話。
くるっと此方に向き直った時にはもう、八卦炉は帽子の中に仕舞われていた。
「もしも雷が暴れ始めたら、有無を言わさず殺す。それに、監視も付ける。これでいい?」
「おっけーだ。じゃあ、早く雷を永琳先生の処に連れていこう」
俺達はそこで話し合うのを止め、雷を担ぎながら怪我人の確認をしている永琳先生の元へ向かった。
優曇華や輝夜さんが近くで手伝っている。少し申し訳なく思いつつ、俺はそっと話しかけた。
「永琳先生、あの、重傷者が・・・」
「・・・真!?ちょっと何で右腕が動いてるの!?意識が回復してるの!・・・というか、それは雷、よね?」
「えっと、はい、こいつは敵ですが・・・俺が助けるべき人でもあるんです」
「助けろ、と?」
「お願いします」
少し険しくなる永琳先生の視線を、俺は真っ向から受け止める。
そのまま数秒間が経過し、大きくため息をついた永琳先生はすくっと立ち上がった。
「ここに居る皆を救ってくれたものね。しょうがない、そいつを治療するわよ。・・・ただ、お代は高く付くわよ」
「ありがとうございます」
雷を手渡すと、永琳先生は直ぐに担ぎその場を優曇華に任せ去ろうとした。
しかし、その時に。
突然、雷の体から黒い霊力が立ち上る。永琳先生も、霊夢や魔理沙も雷へ視線を向けるが。
――――そいつに、もう意識は無かった。
気絶している。つまりこれは、雷の意思ではなく。
その中に居る、悪夢の霊力。悪夢の、魂。
思考が一瞬停滞する。皆が見ている中で、その魂はどぽんっと雷から全てを抜き出し、
「あっ・・・あぐああっ!!??」
いきなり、俺の体へと侵入してきた。
どずずずと得体のしれない不快感が脊髄を走り抜ける。指先が痺れ、動かない感覚。
視界が、端から黒く浸食されていく。
意識が深い闇に落ちていく。赤黒い霊力が俺の体から放出され、俺自身を守るように囲んだ。
「真!?真、ちょっと・・・!」
霊夢の焦った声も、段々と遠くに薄れてゆく。
抗えない。地面に膝をついた俺は、そのまま意識の暗転と共に地面へと倒れた。
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それは、とある光景だった。
自分自身の手が、紅く黒く染まっている。
目の前にあるのは、岩盤に打ち付けられ、内臓も脳みそもぐじゃぐじゃに潰されている少女の姿だった。
最後の力を失い、少女の右手が肘からぼとりと千切れ落ちる。亀裂の中心に居る少女は、もう確実に生きていなかった。
俺じゃない。天音真では無い。
これをやったのは、誰なんだ――――
『アハハ』
直後に、声が聞こえた。
自分じゃない。
もっと声の高く、無邪気で、公園で遊んでいる少年たちから聞こえるような声。
でも、背筋を逆撫でられるような感覚に陥る、不気味な声だった。
快楽か、狂気か。それとも演技なのか。
肩を震わせ、少女は笑い続ける。岩盤に叩き付けられている少女の鮮血がこびりついた両手で自身を掻き毟りながら、少女は笑い続けた。
『アハハハ、アハハ!・・・・アハハハハハハハハハハハハハハハッハハハハハハハッハハハハハハハハハ!!!!!!!!!』
何なんだ、これは。
どこかで聞いたことのある声。
その声はいつまでも笑い続け、そして最後に――――小さく呟いた。
『
光景が、消え去る。
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鼻孔を、土の匂いが擽る。意識の覚醒。慌てて飛び起きると、目の前では霊夢達が臨戦態勢を取っていた。
刹那、俺の全身を悪寒が襲う。急いで後ろを振り向けば、そこには黒い髪をだらりと下げた悪夢が居た。
いや、ただ居るだけじゃない。
その少女は。黒い霊力を煙の様に全身から立ち上らせ、
青緑の光を纏っていた。
周囲の草木が枯れ果てていく。
少女の濁り切った紅い瞳がすっと持ち上げられ、一瞬だが、俺と交錯した。
――――悲しそうな。寂しそうな。微かに震える瞳は、何かを訴えているようで。
俺は思わず言葉を失う。その瞬きの一瞬で、悪夢は強い光に包まれて消えた。
誰もが呆然と立ち尽くす。そんな中で俺は一人、自身の右腕を見つめた。
あの光は。あの力は、あの現象は・・・!
「俺の右腕を直した、[恵まれる程度の能力]・・・っ!?」
俺達の間を、秋を知らせる冷たい風が吹き抜ける。
空には青空が広がる。後にはなにも居ない。
平和な風景。しかしそこにいる人は皆、緊張感を拭えずにただ立ち尽くしていた。