東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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第十一章第四話「二泊三日、射命丸のお知らせです!」

「あちゃ~、これは妖夢さんにも風邪移っちゃってますねえ」

 

そう言い、烏天狗――――もとい、射命丸文はやれやれとわざとらしく肩を竦めた。

成程、やけに顔が赤かったのはその所為か。

そして妖夢が風邪引いたのは俺の所為ですね分かります。

 

文とは、以前幻想郷に居た時に天狗の里を救った時に会った。

烏天狗や白狼天狗上位互換、『猿天狗』。風という力を極限まで高めたあいつと俺は戦い、そして天狗の里を守り切ったのだ。

そこに行ったのは別の目的があったのだが。まあ、成り行きと言うやつである。

 

かといって、そこまで親しい訳ではない。彼女は基本、誰とでもあのテンションである。

 

「・・・真、お粥作ってこよ?」

「お粥?あんなんお湯溶き片栗粉に御飯ぶちこむだけでしょ?」

「うん、何でお湯溶き片栗粉が出てきたのかな!?」

「だってあれ、白くて温かくてぬちょっとしてるじゃん!水溶き片栗粉はとろみが出るけど冷たくなるから、お湯溶き片栗粉で代用するんだよ!」

「誤解を招く言い方をすんなー!ほら、作り方教えてあげるから!将来私が病気になったらどうするの?」

「いや・・・それはお前の旦那とか彼氏が何とかしてくれんだろ」

「・・・真」

「お、おう」

 

立ち上がり、少し俺より背の低い隔と言葉を交わす。

それを文がにやにやと見てくる中で、俺はどうやら地雷を踏んだらしい。隔の眼から光が消え去り、目を開いたまま彼女は首を傾げ、口角を少し上げる。

 

「真の彼女とかお嫁さん、誰がなるの?」

「さ、さあ・・・。分からんよ。あ、でも暁とか良いお嫁さんに成りそうd

 

「ごめん今何て言ったの?」

「!?」

 

心当たり何て在る訳が無い!!

彼女居ない歴=年齢の俺が彼女やらお嫁さんの候補、居る訳が無いのに!

 

しかし、思い付きで暁の名を口に出した瞬間に俺は口をつぐんだ。

いや、その雰囲気と視線だけで無理やり口を閉じさせられた、の方が近い。

文は今、俺達を無いものとして見ているらしく、だらだらと汗を流しながら懸命に妖夢の看病をしている。

隔は俺から視線を外さない。俺も、外せない。

 

「・・・こ、候補居ないっす」

「本当にー?」

「うん。大体俺より良い奴は沢山居るし・・・。俺と付き合ってくれたりする人は居ないだろ?」

「真」

「はい」

 

「一遍死んできて?」

「・・・・・・・・・」

 

にっこりと。

とてもとても良い笑顔で、俺は隔に言葉の凶器で斬りつけられた。

思わず、俺の部屋(妖夢就寝中)を飛び出す。目元を抑えながら、青白い軌跡を残し俺は廊下を駆け抜けた。

離れている筈なのに、隔が後ろに居るような錯覚を覚える。しきりに後ろを確認しながら、俺はもうとにかく夜の白玉楼を駆け巡る。

 

『・・・馬鹿だね、本当に』

「陽炎ちゃんのアホオオオオオオオオオオオオオ!!!!」

『とばっちりだよね!?』

 

霊力を使って身体能力の強化をしている俺は、普段の数倍速く走れる。もうとにかく俺の部屋から離れていく。取りあえず、遠くへ行く。

そのまま空でも飛びそうな勢いで、俺は地面を蹴りぬいた――――!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

数時間後。

冷えた体をさすりながら、俺はおそるおそる自分の部屋へと戻っていた。

自分の部屋を怖がるなんて変な物だが、仕方が無いだろう。今俺の部屋には、何よりも怖いあの方が居るのである。

 

隔は可愛い。だからお粥を、お湯溶き片栗粉何ていうものを使わずに作れる超人的なスキルを持つ彼氏何てそれこそ一瞬で出来るだろう。

中学校から同じことを考え続けている。あいつの隣に俺が居るのは、いささか不自然だと。

 

恵の能力で作られたとしても、隔は隔だ。

成績優秀容姿端麗才色兼備文武両道だとしても、その前に一人の女の子であり、俺の幼馴染である。

 

だからこそ、俺以外の良い人を見つけてほしい。

 

今は夜の11時くらい。妖夢の手入れしている日本庭園が月明かりにぼんやりと浮かび上がり、昼とはまた違う顔を見せている。

綺麗で、美しい。池に反射する三日月を眺めていると、突然

 

「どうも、清く正しい射命丸文ですよ!」

「ふおっ!?」

 

背後から、元気な文が話しかけてきた。

驚いた俺を、彼女は一枚ぱしゃりと撮る。シャッターチャンスを逃さない文には呆れを通り越して感心するが、ここで話しかけてきたと言う事は俺に用があると言う事だろう。

案の定、文は前置きもそこそこに話をし始める。その内容は、俺にとっては意外だった。

 

「・・・妖怪の里を救った”英雄”としてあがめられている、と・・・」

「はい、そうなんですよ。もう・・・皆真さんの記事が書かれている新聞を真っ先に買っていくんです。それに天狗は結構自分の武器を持つんですが・・・」

 

文はそこで切ると、縁側に腰かけている状態で右手を天に突き上げ、

 

「この刀の銘は、『風刀[羅刹]だー!』とか言う奴らが」

「・・・十人くらい?」

「里の若者の十割を占めているんですよ」

「それ全員だからっ!?」

 

かなり恥ずかしい。見返りを求めて里を救ったわけでは無いのだけれど。

だがしかし、そこまではまだ良いのだ。

俺とて人間。誰かの憧れになるのは恥ずかしくとも嬉しい。

 

だけど。

 

「そこから・・・何で、俺が『里の若い天狗全員』と一対多数で戦う事に繋がるんだよ!!」

 

思わず絶叫する。

天狗の里は、かなり大きい。若者も沢山居る。

 

俺vs若い天狗全員。

 

一騎打ちならまだしも、総力戦がもう。

 

 

「すみません・・・。もう、里の中で決まっちゃってるんです・・・!!」

 

 

そう。

 

俺の意思に関係なく、最早決定されているのだ!!!




お、お粥ってお米に水を多めで炊くだけなんですね・・・。

知りませんでした(殴
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