東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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ラ「二章・・・終了です・・・」
真「ああ!鬱ラギアが誕生しやがった!」
ラ「三章ね、一人殺そうか生かそうか悩んでるキャラが居てね・・・」
真「へえ、なして?」
ラ「殺せば物語が盛り上がるんだけど」
真「だけど?」

ラ「可愛いから殺したくねええええええええ!!!!!」

真「取り敢えずお前は一回殴られろおおおお!!!!!」

隔「あ、で、ではどうぞ!」


第二章最終話「例え」

ぼんやりと、意識が覚醒した。

瞼の上から光が差し込み、ふかふかの感触に消毒液の匂いが鼻に着く。

ああ、ここは病院か。

そして恐らく永遠亭。

幾度も幾度も無茶をしている俺にとって、この永遠亭はもう行きつけの店・・・では無いがここの職員さんと顔なじみに成るくらいには通っている所だ。

 

眼をゆっくり開けると、病室の白い天井が目に入る。

やはり包帯をグルングルンに巻かれており、上体と腕、足に強い圧迫感を感じた。

 

ベッドの隣で、何か紙を捲る音が聞こえ、俺は顔をそちらに向ける。

 

「あら、起きたのね」

「・・・紫?」

 

そこには、本を読んでいる妖怪の賢者事八雲紫の姿があった。

紫と白を基調としたフリルの付いた服、スカートは長く足首辺りまで隠れている。

白い手袋をいつも嵌めており、その鋭く美しい瞳と流麗な金髪は麗人というイメージを与えるが、八雲紫はその実かなりの切れ者であり絶対的強者だ。

魂を幻想郷中から集めていた異変の被害者でもあり加害者でもある、2300年前の初代博麗の巫女を導く者でもあった。

 

「そ、七賢者の八雲紫17歳よ」

「・・・」

「よし、全治二週間から一か月くらいまで引き延ばして差し上げようかしら?」

「キャーユカリンカワイイー」

「二か月、ね」

「ごめんなさい許して下さい」

 

黒い笑みで右拳を握りしめた紫に慌てて謝り、長く息を吐いた紫が右拳を下したところで彼女は話し始めた。

 

「・・・全く、神様殴るなんてねえ。というかまた無茶したそうで。真、貴方二日間ぶっ続けで寝てたからね?妖夢と咲夜と隔が見舞いに来てたわよ。元気になったら行ってあげなさい」

 

「うん。怒られるな。」

 

「そりゃあこんなに無茶したらねえ。それにしても・・・これだけやられて死なないなんて、全く恵まれてるもんだわ。」

 

「うん。自分でもそう思うよ」

 

片手で持っていた本をパタンと閉じ、時空を切り裂き出現させた隙間に本を投げ込む。

椅子から立ち上がった紫はどこからか取り出した日傘を持ち、

 

「じゃあ、私はこれで。今度遊びにいらっしゃいな。」

「うん。ありがとう、紫」

 

一度挨拶を交わすと、直ぐに病室のドアを開けて出て行ってしまった。

枕側にある開け放たれた窓からは四月下旬の風が舞い込み、白衣の裾を揺らしていく。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

白い病院廊下を、足早に紫は歩いていく。

何時に無く鋭い光をその眼に宿している彼女は、その思考をフル回転させていた。

 

「あら、紫」

「・・・永琳じゃない」

 

紫は思考を一回止め、自身の友人である八意永琳に顔を向ける。

八意永琳、幻想郷屈指の名医でありヤブ医者。

彼女に創れない薬は無く、ここ永遠亭の全ての患者を治療しているのも永琳である。

月からの侵略者でありながら、紫と肩を並べるほどの強さと頭脳を持ち合わせている女性。

 

「その様子じゃあ真が目を覚ましたのね。良かったわ」

「ええ、元気だったわよ」

「そう。」

 

他愛も無い会話を、最低限の言葉だけで紡いでいく。

穏やかな友人同士の会話―――――を切ったのは、次いで放たれた永琳の言葉だった。

 

 

 

「で?隔が攫われたことはあの子に伝えてないの?」

 

 

 

ビシイッ、と空気が固まり、只ならぬ緊張感が場を支配した。

 

永琳も紫も、その瞳を鋭く光らせている。

一触即発。大気が震える様な妖力と霊力を、無意識の内に彼女等は放出していた。

 

「・・・今の真に伝えたら、絶対直ぐに抜け出す。それは貴方にとっても私にとっても有意義な事ではないわ」

「まあそうなのだけれど。いつかは彼も知るわよ?そしたらまず、何故伝えなかったと貴方の元に向かうんじゃないの?」

「それは覚悟の上よ。今、霊夢や早苗が情報を集めてくれている」

「へえ、珍しいわね。どうしてあの子たちに頼ったの?」

 

「・・・今回は、とてつもない妖怪が相手だから。そして、過去の因縁が混ざり合う戦いになりそうなのよね」

「貴方だと、分が悪いのかしら?」

 

「博麗の血を受け継ぐ霊夢と、奇跡を起こす早苗でしかあいつの調査は不可能」

 

「紫がそう言うのだから、相当なのね」

 

「ええ。私も一応情報は集めているけどね。はっきり言って、真じゃ適わない」

「そう。ま、真の面倒は責任を持って私が診るわ」

「お願いね、永琳。・・・それじゃあ」

「ええ、また」

 

紫は別れを告げた瞬間、隙間も開かずに一瞬で消えた。

永琳も背を向け、さっき起きた少年の元へと歩を進める。

 

 

例え、運命を変える少年が眠っていても。

例え、未熟なままであっても。

 

世界は止まらない。

無慈悲に、全ては動き出す。

 

血に染まった血筋を、継ぐ者たちの運命は―――――

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