東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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第十一章第十四話「妹紅戦」

作戦開始は、一週間後。

悪夢との交戦に選ばれなかった俺は、意気消沈しつつ白玉楼へ帰ろうとした。

しかし、博麗神社を出たところで妹紅に呼び止められる。内容は、私の教えたあの技は使える様になったか。

妹紅には戦い方を教えてもらった。そしてその中で、俺が唯一妹紅に授けてもらった技がある。霊力を全属性に、炎に変換できるからこそ使える技だ。

俺はそっと頷いた。あれを使うと大分疲れるが、強大な技だ。こっそりと練習するのにも、技自体が大きいため場所が限られる。

 

迷いの竹林の、少し開けた場所。俺と妹紅は二人っきりで、そこに来ていた。

 

「うーし、じゃあ大分強くなったんだっけ?」

「そ、それなりには」

「まあ悪夢と交戦出来ないからって気を落とすな。お前のはやっぱり守るのが主体だからな。・・・ま、これから見せてもらうのは凄まじい攻めだけどな」

 

妹紅がどさっと地面に腰を下ろし、胡坐を掻く。長い白髪が地面に垂れてしまうが、それを妹紅は気にする様子も無く俺へと視線を向けた。

俺は妹紅から距離を取り、深呼吸をする。ぽつぽつと降る雨の下で、俺は叫ぶ。

 

「バースト!!」

 

出力、24%。最大。

青白い光が俺の体に纏われる。次の瞬間、それらは全て赤き炎に変換された。

ボオオと空気中の酸素を消費しながら赤い炎は燃え盛る。俺は霊力を段々と広げていきながら、炎を維持する。大体、大きさは15mの俺を中心にした円。

妹紅が、ぴくりと眉を上げる。俺は広げていた霊力を一気に圧縮し、そして―――――

 

 

「[パゼストバイフェニックス]!!!」

 

一気に、全力で放出した。

刹那、霊力の衝撃によって俺の体が空へと吹き飛ばされる。翼の様に広がる霊力。それはまるで不死鳥の様に空を舞いながら、姿を生成していく。

妹紅のパゼストバイフェニックスは、首が無い。

しかし俺は、妹紅とは違い霊力を炎に変換しているし、そもそもの生成方法が違う。火の粉を撒き散らしながら、迷いの竹林の上空で顕現した炎の不死鳥。

その中心部に居る俺は、よっこらせと立ち上がった妹紅の合図に目を見開く。

 

人差し指ちょいちょいと自分の方へ動かしている。

そう、攻撃して来いと言っているのだ。それも恐らく、この不死鳥から繋げられる最大威力で。

妹紅は不老不死だ。だから俺がここで全力の一撃を放っても、直ぐに生き返る。

 

・・・そういう問題ではないのだが。しかし、心なしか楽しそうにしている妹紅を放って置くのも悪いだろう。俺はそう思い込むと、すうっと息を吸った。

そして、全神経をフルに集中させる。刹那、霊力が更に膨れ上がると同時に不死鳥が大きく咆哮する。紅蓮の炎が渦を巻きながら俺の右足へと集中し、そこから大きい翼を生成した。

 

ゴオオオオッッッ!!!! と、そこから繰り出される爆炎と翼を震わせた風圧が同時に俺を後押しする。頭を妹紅へと向け、右足を上空に向けている状態で、俺は一直線に妹紅への距離を詰めた。

 

距離が、零に成る。驚愕と楽しさを交えた笑みを浮かべている妹紅へ向けて、俺は至近距離で一回転。

後方にあった爆炎の翼を纏った右足が、強烈な蹴り上げとなって妹紅の腹部を鋭く貫いた。

そのまま、勢いにのって妹紅は上へ吹き飛ぶ。

・・・が、俺はそれを許さず。上へ振り上げた足を再度超高速で振り下ろし、一瞬上に行きかけた妹紅を地面へと叩き付けた。

三度目の攻撃。俺は踵落としをした右足を後ろへ大きく振り、再び空中で一回転する。

翼が、大きく広がり空気を叩く。爆炎が炸裂し、紅蓮の槍となった俺の蹴りが妹紅へと突き刺さった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「ひゃー、痛かった痛かった。すごいねえ、私と同じ技だけど全然違うや」

「すみませんすみませんすみません・・・!!」

 

陽気に笑う妹紅。しかしその服は結構ボロボロである。

気にすんな、と俺の背中を強く叩くと、一転変わり妹紅は優し気な笑みを浮かべ、呟いた。

 

「交戦出来なくても、出来る事はある。人里を守るのも、立派な事だ。・・・お互いに頑張ろうな」

 

雨は、上がっていた。

作戦まで、後一週間。妹紅のその言葉で、俺は再び強く成ろうと決意した。

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