東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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第十二章第十五話「吐き出せ」

悪夢は全て思い出した。

自身の記憶を掘り返した上で、彼女は悪い記憶のどれを消したと言った。

しかし。それを聞いてくるなら、彼女は気づいていない。

 

自分が、夢幻魂歌を使えない事に。

 

「前提から、間違えている……?」

「そうだ。ここで言わせて貰うなら、悪夢の記憶を俺は壊してなんかない」

 

じゃあなんで陽炎の力を使ったのか。

 

そんな視線が隣の暁から送られる。俺は極力陽炎の事を頭から消すと、悪夢へ向けて告げる。

 

「元々お前は夢幻魂歌を、というよりは……あの幻夢や良夢、怪夢と過ごした日々が心から憎めなかったんだよ。この世界の理不尽が全部全部、自分たちに降りかかってきている気がしても。無駄働きをしているのも」

 

信じられない――――というよりは、認めないという顔をしている悪夢へと俺は呟く。

彼女の、世界を恨む気持ちはわかる。家族が全員死んだうえで、行き場のない怒りを誰かにぶつけたくなるのは心底理解できる。

でも俺には隔が傍に居てくれた。八つ当たりで怒鳴ったこともある。

 

だけど、彼女は俺から離れていかなかった。

 

「――――なあ悪夢。お前にとってのあの日々は、本当に|悲しくて大嫌いな、そんな日常だったか?それだけの感情しか無かったのか?」

 

悪夢の体の震えが止まる。

黒い霊力が一瞬霧散し掛けるも、ぐっと踏みとどまった。

 

「お前の傍には、いつも寄り添ってくれる人が居ただろ!幻夢も霖之助も良夢も怪夢も!」

 

紅の瞳が、俺の蒼い瞳と交錯する。俺は叫びを止めない。

その思いに呼応する様に、霊力がゴオッと強まる。

 

中にある魂が、強く大きく燃え上がる。

 

「それは絶対幻じゃない!夢なんかじゃない!良い場所全部切り捨てて、皆無かったことにしようとしてんじゃねえよ!」

 

悪夢が、口を開きかけて、そして止まる。

俺の後ろで、皆がその動きを止めていた。その中でただ一人、俺はもう一度強く告げる。

 

「……俺が、俺が最後に陽炎の能力をフルで使ってお前を完全に殺さなかったのには理由があるんだ」

 

俺は悪夢だけを見つめて言う。

その荒れ狂った森の中で、青白い霊力と黒い霊力を纏い、初代博麗の巫女、博麗幻夢の技を継ぐ者同士が、向き合う。

 

「――――――来いよ。博麗悪夢ッッ!!その体じゃあ、精々出せる霊力は――――――!!」

 

そして。

 

俺は幾度も幾度も握りしめてきた右拳を。

 

再び、骨と筋肉が軋み音を鳴らすほどに握りしめる。血管が浮かび上がり、霊力が燃え上がる。

 

 

「俺のオーバーレイと同じくらいだろうよ!さあ、殴り合おう。思いを叫べ、ぶつけろ。そんでもって、希望を持って歩き出せこの大馬鹿野郎!!」

 

俺が陽炎の能力を使ったのは。

 

ただ単純に、悪夢と対等に殴り合うため。

彼女に思いを吐かせ、叫ばせて、発散させて。

 

そして、救うためだった。




戦闘パート終了とか言ったっけ……?

まあ、言ったとしたならば。

あれは嘘だ(`・ω・´)(殴(蹴(切(斬
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