東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結 作:ラギアz
「一代目博麗の巫女の・・・直系!?」
「そうです。だからといっては何ですが・・・博麗幻夢の正当継続権は私に在ります。ですので、さっさと幻夢を私に寄越しなさい」
夢月は鋭い視線で俺を睨み、最後までしっかりと言い切った。
しかしだが、これはかなり強引な意見だ。
「いや、それはお前が決める事じゃ無いし。それならさっさと幻夢に会いに行けよって話だろ。お前に何があったのかを俺は知らない。きっと大事な事なんだろうけどさ、」
俺はそこで言葉を切り、夢月を強く見据える。
「俺にだって事情があんだよ」
「そんな事は分かってます」
しかし、彼女はそれを無視した。
己の意見を、夢を突き通そうとする為。
彼女は、夢月は大きく声を上げる。
「それでも!私にはもう
「・・・この、馬鹿野郎が・・・!!」
夢月が右手を振り上げ、子鬼にやったのと同じように手を振り降ろす。
刹那、やはり重力が強くなり、霊力を6%使って居る体でも大分動きにくくなった。
「私の能力は[月の加護を受けれる程度の能力]。月が持つ輪廻のサイクル、重力、反射すると言う惑星そのものの力を、私は使う事が出来ます。」
「うわ、チート」
過酷な重力下の中で俺はぼそっと呟き、その裏では必死に頭を回していた。
恐らく俺ではこいつに勝てない。
博麗の強さなら、霊夢や幻夢の所為で痛いほど身に染みている。
逃げても恐らくは捕まえられるし、なにより他の人をこの重力に巻き込む訳には行かないだろう。
相手は女の子。
まともに殴れないし炎も使えない、刀なんて以ての外。
「夢月」
「はい」
「別に闇鬼は二人で倒せばいいじゃないか。何で一人にそんな執着してるんだ?」
「・・・家族の仇です。それを他の人には背負ってほしくないし背負わせないためにもです」
「今のお前じゃあ力が足りないのか?」
「ええ。だから博麗幻夢が必要なんです。彼女の・・・いえ、彼女自体が」
ああ、そうか。
夢月は、普通に、優しい少女なんだ。
だから復讐と言っても闇雲に走らず、それでも力が足りないから。
「・・・本気で行くぞ?」
「望むところ、です!」
炎は使えない。
でも、妹紅さんの所で学んだのはそれだけじゃない。
「暗夜[蒼月]」
先に動いたのは、夢月だった。
夢月の右手に蒼白く光る球体が生成され、それは太陽の光を反射しながら莫大な霊力を凝縮させていく。
「暗夜[蒼月]」
もう一度、夢月は同じスペルを使用した。
今度は左の掌に蒼白い球体が生成される。
流石、と言ったところか。
どちらにも秘められた霊力はとてつもなく大きく、それでいて繊細。
バーストを7%まで引き上げ、俺は少し身構えた。
「行きます」
夢月はそう呟き、長く息を吐く。
まるで月明かりの様に静かに佇む光を夢月はその身に纏い、次の瞬間凛とした声で叫んだ。
「博麗[月光双破]!!」
刹那―――――
彼女の持つ蒼白い霊力の満月が急激に膨らみ、彗星の様に放出された。
圧倒的攻撃力。
絶大な霊力と強さを前にするも、俺は敢えて前に踏み出した。
迫る球体の中心に向かって、全力の正拳付きを放つ。
・・・そして、俺はそれを”拒絶”した。
霊力に前自分の意思を反映するのとその正反対を反映するのがあるのは幻想郷では常識だ。
しかし、初代博麗の巫女であり霊力を一番最初に生み出した博麗幻夢はもう一つ、それらの真ん中を反映する霊力を生み出した。
破壊も守護もしない。関わらない。
――――拒絶。全てを跳ね返し、全てを拒む力を持つ霊力。
赤い霊力に包まれた右手は蒼い球体を弾き飛ばし、球体に詰まっていた霊力を霧散させた。
「なっ・・・!?」
夢月が驚いたように目を見開き、慌てて態勢を整える。
「遅い」
それでも俺は、構わず拳を放出した。
空気の渦を作り巨大な岩石すら破壊しそうな威力の拳は夢月のガードを崩し、小さな体を十数m吹き飛ばす。
地面に手を突き刺し、夢月は砂埃を盛大に立てながらも自身の体をその場に括り付けた。
そして、霊力を全開にする。
「私はっ・・・」
月明かりの様に淡く青白く光る体は、その身に余る苦痛を抱えているかのようで。
「私はっ!負ける訳には行かないんだっ!!」
心からの叫びにも、どこか悲痛の色が混じっていた。
・・・でも、それは俺も同じだ。
隔を助けなきゃいけないんだ。
でも、俺一人じゃあ何も出来ない。
だから
今は、負けよう
「
夢月が、最大の気迫と思いを込めて叫んだ。
視界を光が覆い尽くし、何が起きているのか分からないまま全身を強い衝撃が襲う。
(行ってらっしゃい、幻夢)
彼女に何が起きているのかは分からない。
でも、幻夢は俺の物じゃないし誰の物でも無い。
夢月に縋れるものが無いなら。
幻夢は、きっと支えになってくれるだろうから。
俺は、もう一人の魂を思い浮かべながら、意識を闇に落とした。
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「はあっ・・・はあっ・・・」
荒く息を吐きつつ、自分の体の中に入って来た初代の感覚を私は確かめた。
心臓を強く締め付けられるような痛みを我慢しながら、最後に手を抜いた男の人を見下ろす。
私の最後の技は波一つ立てない様に相手を拘束し、最大出力の霊力をぶつけるという荒業。
・・・でも、この真と言う人はまだ余裕があった。
懐から取り出した竹筒から丸薬を二つ口に押し込み、苦みを必死に耐えながらなんとか咀嚼する。
後、どれくらいだろうか。
真と言う男の人に疑問を持ちながらも、私は自分の村を守る為に駆け出した。
陽炎「真が最後に思い浮かべてたのって誰?」
真 「名前隠せ馬鹿あああああああ!!!」