東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結 作:ラギアz
真「元気が無いです・・・はい・・・」
ラ「では、どうぞ!」
「何をしているのですか、少年」
突如、真上から声がかかった。
凛としていて芯のある、強い声は綺麗な湧き水の様にすっと染みこんで来る。
初めて聞く声に振り向くと、後ろから霊夢がその人物のなを告げた。
桃色の、肩辺りで切りそろえられた髪に引き締められた体。
高い身長に出過ぎず出なさすぎずの肉体は筋肉がバランスよく付いており、赤と金色のチャイナドレスに隠されている。
そして、その女性の右腕には包帯が全面に巻かれていた。
「あら、華仙」
「こんにちは霊夢。初めまして、少年。私は茨華仙と申します。宜しくお願いしますね」
「天音真です。よ、宜しくお願いします」
にこりと微笑み、華仙と呼ばれた女性は右手を俺に差し出す。
それをしっかりと握りしめ、俺達はそのまま会話へと移った。
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「成程、記憶を代償に、ですか・・・」
お茶を口に含みつつ呟く彼女に、霊夢は煎餅を齧りながら答える。
「そ。それに真は直ぐに無茶するから、霊力が全く使えないってのは結構辛いのよね。真としても、見てるこっち側としても。」
「ふむ、呪力・・・呪いと文字による術ですか。元々解呪が難しい上に、鬼の四天王レベルの呪力。・・・解くのは相当難しいでしょうね」
呪力。
どうやら、それが今回俺に悪影響を及ぼしている物らしい。
文字を刻み、呪いを妖力や霊力を込めて送る。
霊力や妖力によって力を得た文字は、そこに刻まれた効果や力を発揮する。
というものらしい。
しかしこれは悪影響だけでなく、病気を治したり戦いに使ったりと沢山の事で使える万能な能力だ。
その分全ての能力中一番扱いが難しいらしく、霊夢や仙人である華仙でさえも簡単なものしか取り扱えないとのこと。
再び厄介な事に巻き込まれた俺は、自分の右手を見、
「・・・勝手に治ったりしないの?」
「「しない(です)」」
小さく呟くも、即答される。
霊力が使えない、つまり例え陽炎を使ったとしてもその間に大事な記憶が抜けてもダメだ。
外から与えられた霊力にも反応するらしいし、どちらにしろ解呪するしか道は無い。
「・・・しょうがないですね」
少しの沈黙、破ったのはお茶を啜る華仙だった。
湯呑をコトン、とちゃぶ台に置き、彼女は立ち上がる。
そのまま俺を見据え、口を開いた彼女は―――――
「良い物を上げます。欲しいなら、ちょっとだけ私と一緒に空を飛んで貰いましょう」
にこりと、陰のある笑みを浮かべた。