東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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ラ「この章で、誰か死ぬと言ったな・・・」
真「お前、まさか・・・」

ラ「あれは嘘だ(。-`ω-)」
真「読者様、少しだけお待ちください」


(殴(蹴(斬(殴(殴(蹴蹴蹴


ラ「えっと・・・学校で話を考えてて・・・『あれ?殺さない方が良くない?』と急遽予定を変更しました・・・すみません。本当に、すみません」

真「因みに死ぬ予定だったのは?」
ラ「天久一択」
真「・・・うん。まあ・・・」
ラ「重ねてお詫びします、本当にすみませんでした」

真「今日はラギアの展開にしては珍しいな。次回、長すぎた四章も終わり。短めの五章に突入します。では、どうぞ」


第四章第三十一話「片道切符」

そして。

 

瞬きをも許さない、一瞬の静寂を、破ったのは―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒き、片翼だった。

 

 

 

黄金の焔が全てを打ち砕く一撃によって散らされ、最高まで高められていた集中力が切れる。

プツン、と目の前で命綱を切られた様な、絶望。

 

俺を待つのは、無慈悲な落下。絶望への、片道切符。

 

片翼の一撃で態勢を崩した俺に向かって、緋色の眼を細めた天久は霊力のハンマーで俺を地面へと叩きつけた。

全身を激しい衝撃が襲い、左手の甲から血が飛び散り息が一瞬詰まる。

焦点の定まらなくなった視界の端で、天久は俺が立ち上がるのを待っているかのように動かない。

もう一度。

もう一度、燃やせ!!

 

切れかけのオーバーレイを割れそうな程に痛む頭を抱え無理やり持続させる。

勢いよく、飛び退る様にして跳ね起きた俺は自分自身の中を引っ掻き回すようにして、痛みの山の中から自身の力を必死に探す。

 

力を失った両手を投げ出し、震え始めた両足を叱咤する。

 

でも。

見つからない。さっきまで輝いていた希望は、今はもう息絶えた絶望へと。

 

夜の闇が一層濃く見える。

自分自身の中に広がる虚空が、自分自身を蝕んでいく。

 

血みどろの右手に刻まれた無数の黒い刻印は、俺に言い切れない不快感を与えながら記憶を吸い取っていく。

 

皆は、死んだ。

 

俺も、死ぬのか?

 

いや――――逆に、どうやって助かるんだ。

 

無様に這いつくばるか?

幻夢と陽炎を渡して、命だけはって言うか?

 

 

無理だ。

 

 

天久が見逃す以前に、それを俺が許さない。

 

 

万事休す。

 

打開策の無い俺に向けて、まるで追いかけまわしていた蟻を踏みつぶすように。

 

天久は、最後に告げる。

 

「ばいばい、真」

 

三日月に重なる様に浮かんでいるのは、巨大な漆黒の霊力の塊。

そっと、俺は目を閉じる。

ただ俺を殺す為だけに生成された無駄に大きいそれは、俺の返事も待たずに真っすぐ振り下ろされた。

 

 

 

 

 

 

 

・・・・何故か、心地よい。

 

 

 

 

瞼を閉じていても、目の前に光を感じる。

 

 

 

 

――――――――ああ、死んだのか。

 

 

結局誰も護れず、幻想郷は無くなり、皆は死に――――――――

 

 

「魔理沙!フラン!もっと魔力を頂戴!」

「必死にやってるんだぜ!」

「いくよー!」

 

 

 

・・・何だ、この声は。

 

 

「ぐっ・・・駄目!弾き返せない!」

 

 

走馬灯、なのか?

 

この声も?風も?霊力も?

霊力の塊が目の前にあるのは分かる。

何せ、風切り音が尋常じゃない程に吹いているのだから。

 

 

 

 

「行くわよ!水木金符[生命の滴]!!」

 

 

 

 

ポゥ・・・・

 

 

突如叫ばれ、魔力が急激に高まり。

俺の体全体が優しい光に包まれ、痛みがすっと引いていった。

 

オーバーレイの効果時間が過ぎ去り、霊力が消え去る。

 

「もう、耐えられない!」

「くそ、待つんだぜ霊夢!」

「後少し、後少し溜まります・・・もう少し・・・っ!」

 

聞きなれた声。

目を開いている時よりも鮮明に声が聞こえ、霊力や魔力の風が吹き荒れているのが分かる。

 

 

 

そっと、俺は目を開けた。

僅かな・・・いや、確かな確信をもって。

 

 

 

「マスタースパーク!」

「獄界剣[二百由旬の一閃]!」

 

 

 

俺から8m程離れた上空で、天久の生成した霊力の塊は割れそうな結界に押しとどめられていた。

それを援護する様に放たれた虹色の砲撃、薄紅色の斬撃。

 

ギャリイイ!!!と激しく火花を散らしながら、それらは激しくぶつかり合う。

・・・皆は。

 

皆は・・・生きていた。

 

そして、皆が助けに来てくれた。

 

無意識のうちに俺は拳を強く握りしめる。

燃え尽きかけていた魂が、再び火種を取り戻す。

 

 

結界が割れる。

押しとどめられていた全てが、洪水のようにどっと溢れ出す。

恐くない。大丈夫。

 

 

俺が出来るのは、今この一瞬を。皆へと被害を及ぼすであろうこれを、俺だけで受け止める事。

 

 

両手を広げ、俺はその塊を睨みつけた。

 

それが世界の理でもある様に、霊夢や妖夢、魔理沙の全てを壊していく。

止まらない。壊せない。

 

視界が覆い尽くされる。

音が、消える―――――――――

 

 

 

 

「そこまでよ」

 

 

 

 

 

刹那。

 

 

背筋が、いや全身が蒸発しそうな程の魔力の波動を感じ、俺は目を見開いた。

 

 

夜の闇を切り裂くように、血の様に紅い一条の光が俺の目の前へと突き刺さった!!

 

 

ドッガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンン!!!!!!

 

 

轟音。そして、衝撃。

 

身の毛もよだつほどの余波と衝撃を間近で喰らい、俺は後ろへ転がる様にして吹き飛んだ。

 

「大丈夫!?真!」

 

それを空中で受け止めてくれたのは霊夢。

焦った様子で捲し立てる霊夢に俺は安心感を感じ、気づけば俺は彼女のパーカーの裾を強く握ってしまっていた。

 

 

「・・・怖かったわね。もう、大丈夫よ」

 

 

優しく、何も言わずに霊夢はそれを受け入れてくれる。

 

やんわりとした空気が場を一瞬和ませ。

 

紙を引きちぎる様に、さっき紅い槍を落とした張本人が砂埃の中、地面へと降り立った。

 

「久しぶりね、天久。川遊びの時から、貴方には不思議な運命が見えていたのだけど。・・・まさか、こんな事だったとわねえ」

 

揶揄う様に、レミリア・スカーレットは肩を竦める。

場に似合わない軽い、おどけた口調。

それでもひしひしと肌を突き刺すのは、圧倒的強者―――いや。

 

 

夜の帝王。王者の風格。

 

 

 

流石に不味いと思ったのか、天久さえも少しだけ後ずさりした。

それを気にも留めず、レミリア様はやれやれ、と首を振る。

 

「全く、私の従者に手を出すなんて」

 

そして、紅い眼を冷徹に光らせた。

 

 

 

「貴様は死刑だな、御走天久。精々最後の足掻きを存分にするがいい」

 

 

 

王の判決。

逃れられない宿命。

 

焦りを浮かべ、天久は片翼を大きく振るった。

 

でも。

 

 

「・・・何だ、こんなものか。詰まらないな。実に詰まらない」

 

 

本気のレミリア様に通用するような物では、無かった。

口調も雰囲気も、がらりと変わった吸血鬼の王に俺達は皆口を開けない。

物音一つも立てれない、ただただ風と天久の攻撃音が響く。

 

 

全てを、片手で。

或いは、防御せずに。

 

何をしても傷一つ付かないレミリア様は、天久との距離が5mくらいになった所で自身の右掌に巨大な深紅の槍を生成する。

 

俺は、生唾を飲み込んだ。

 

神槍グングニル。

 

あれが。

 

あれが、本物・・・!!

 

俺との手合わせの時には見せない、濃密な魔力で生成された神の武器。

 

 

それを目前に、天久は逃げると決めた様だった。

 

背中を見せない様に速く後ろへ下がり、片翼で煙幕を作ろうと地面へと振り下ろすが。

 

 

「神槍[スピア・ザ・グングニル]」

 

 

深紅の槍は、それを許さない。

 

天久の黒い鎧を貫通し、その神槍は天久の胸を貫通する。

 

血飛沫が夜空を舞い踊り。刹那。

 

 

 

最後の力を振り絞った天久は、自分から崖の下へと落ちて行った。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「・・・逃がしたか」

 

何とも言えない空気の中。

突然、レミリア様は呟いた。

 

「さて、と。パチェ、真の回復ありがとう。後、ごめんなさい。天久は逃がしてしまったわ」

「別に、新しい魔法を試せたから良いわ。レミィもお疲れ」

 

雰囲気の変わったレミリア様は、申し訳なさそうに言った。

 

助かった安堵。

皆の頼もしさ。

 

 

 

 

そして、自分の無力さ。

 

 

 

霊夢の腕の中で一人静かに奥歯を噛みしめながら、俺は皆と一緒に暁や咲夜さんの居る所へと歩き出した。




実は最後、少しだけ違和感のある様に書きました。
この章でラブコメってた人の名前、片方だけ・・・?
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