東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結 作:ラギアz
風で、暁の髪が宙に浮きあがる。
紫紺の矢が、深く、深く彼女の額に突き刺さり―――――
派手な閃光を散らしつつ、爆発した。
暁の体から、紫色の光が放たれる。
それは、男や破壊を見せてくれた暁の呪力を、軽々と超えて行く。
絶大な力の奔流。解き放たれた暁の才能は、一度暁から離れ再び入っていく。
男はそれを静かに佇みながら見つめ、俺は少し離れたところで見ていた。
神秘的な光景。
深い紫の燐光が渦を巻く中、最後の力が入ると同時に光の粒子は消え去った。
地面に足を付け、暁は呆然と己の体を眺める。
「・・・今、お前の封印を解いた」
徐に、男が口を開く。
「今のお前なら、その力を正しい方向で使えるだろう。・・・来い、続きだ」
暁は、男をじっと見上げた。
その眼には、少しの迷い。
暫しの沈黙。その後、暁は大きく飛び退る。
桜ノ蕾を逆手に握り直し、黒き瞳を真っすぐに男へと見据え、暁は呟く。
「貴方が誰かは知らないけれど」
そして、笑う。
「ありがとう」
刹那。
暁の華奢な体躯から、紫紺の閃光が放たれた。
「纏・
渦を巻く風。
そこに乗るは、紫の炎。
呪力と妖力、二つを鎖の様に組み合わせた力は最高の盾となり、最高の矛と成る。
逆手に構えた桜ノ蕾を軽く引き絞り、暁は刀を中心に炎の渦を巻き起こした。
男が構え、警戒する中で、暁は走り出し。
「纏・紫電」
バヂィッ!!! と強い力が弾けると同時に紫の閃光が瞬き、暁の体が一瞬にして消える。
明らかに今までとは異質の速さ。
男の背後に現れた暁は、体を全力で引き絞り―――――
急いでガードを固めた男の上から、炎の渦を纏った剣で切り裂いた!!
弾き飛ばされる包帯の男。雷を纏いながら、暁は更に膝を曲げ力を溜め始める。
これが、本当の暁。
俺が見て来れたのは、ほんの一部だったのだと。
そして俺は、やはり弱すぎるのだと。
縦横無尽に駆け巡る暁を見ると、そう思わずにはいられなかった。
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決着は、直ぐに着いた。
あの後直ぐに包帯の男が降参し、やけに呆気なく終わったのだ。
そして俺達は今、包帯の男に着いて来いと言われ後を追っている。
何かあるのではないか、と警戒するべきなのだろうが、暁がススス…と着いていってしまったので仕方が無い。
一応桜ノ蕾の柄に手を当てつつ、俺は歩き続けた。
「着いたぞ」
森を抜けた所で、男が呟く。
そこには古い木造りの大きい屋敷が、まるで新築の様な綺麗さで立っていた。
暁が隣で息を飲む。
俺も余りの大きさに呆然としながら、戸を開け中に入っていく男を追いかける。
「・・・さて、暁」
中に入り、男は俺達に向き直った。
「少しだけ、向こうの方で遊んできてくれ・・・少し、この少年と話があるんだ」
「・・・わ、分かりました」
何故かがちがちに緊張している暁は俺達に背を向け、そのまま歩き始める。
どこか後ろを気にして居る様な素振りを見せる暁に向かって、男はもう一声かけた。
「・・・私は、君のお父さんじゃない。君のお父さんの、古くからの親友さ」
「・・・」
暁の動きが、一瞬止まる。
しかし、彼女はその声に答えなかった。
少し歩む速度が速くなり、俺と包帯の男はそれを見つめ。
「・・・行こうか」
「はい」
暫くして、俺達は歩き始めた。