東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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ラ「隔さん・・・聞いて下さいよ・・・」
隔「ん?どうしたの?」
ラ「最近・・・悩み事があってですね」
隔「おや珍しい。どうしたの?」

ラ「暁・・・書いてると・・・」
隔「絵だね?うん」


ラ「ロリつきになるんです・・・・」

隔「それ完璧にラギアの所為だよね・・・」

ラ「では、どうぞ・・・ふっへっへ・・・」
隔「遂に・・・いや、元々壊れてたか!」


第五章第十五話「交代」

とある夜空で。

とある人里の裏路地で。

とある森で。

とある清流の河原で。

 

紅き霊弾を見た彼女たちは、同時に呟いた。

 

「・・・行きますか」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

俺は窓の外に光った霊弾を目に納め、そして深く息を付いた。

疲れている。ずっと、休めていない。

このまま誰かに任せても良いが――――――――

 

そんな選択肢は、一番最初に切り捨てた。

 

ベッドから跳ね起き、壁に立てかけてあった桜ノ蕾を手に取る。

軽いが、確かにそこに在る重み。冷徹な刃の温度の先にある、静かな殺気。

 

腰に桜ノ蕾を括り付け、確固たる足取りでドアへと歩み寄る。

 

「・・・真?」

 

丁度、暁も来たようだ。

コンコン、と軽くドアがノックされる。

恐らくレミリア様はこの行動を見透かしているだろう。

それでも止めない。その理由は、行け、と言う事。

 

俺はドアを開け、そして時雨と日登を腰の後ろに付けている暁に向けて微笑んだ。

 

「さて、行こうか」

 

近くの窓から外に出て、直ぐに八咫烏に乗り込む。

夜の闇の中でも分かるほどに黒き翼を大きく広げた八咫烏は、悠々と空へと飛び立った。

 

 

月明かりを全身で受け止めながら、俺達は風を切っていく。

必死に捕まって居なければ確実に振り落とされる状態の中で、俺は暁へと話しかける。

 

「なあ暁」

「ん?何?」

 

「今回の戦闘、全部俺に任せてくれないか?」

 

隣に座る暁の顔を覗き込む様にしていうと、彼女は少し驚いた様だった。

黒い瞳を大きく見開き、そして小さく頷く。

 

「良いよ。その代わり、危なくなったら助けに入るからね」

「ああ。宜しく頼む」

 

強い口調で暁は断言する。

それに笑いつつ答え、俺は全速力で目的地へと飛んだ。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

実態の無い刃を、全て撃ち落とす。

風の刃。鋭く速く、見えない斬撃。

 

それを全て気配だけで撃ち落とす夢月に、微塵も余裕は無かった。

 

(・・・少々、不味いですね)

 

彼女にとって、早苗と隔は少しの足かせとなってしまっている。

そして、場所が悪い。

 

彼女の能力をフルに使うならば、満月の夜が最高だ。

そして、力が強すぎるが故、単独での戦闘が基本となる。

早苗の結界は追いつかない。隔は、戦えない。

 

自身の仲間を邪魔と認めたくない夢月は、すっと目を細めた。

 

(まあ、これで勝てないのは私の力不足。一度死んだ身・・・死なばもろとも、です)

 

そして、自ら風の刃へと突っ込んだ。

お祓い棒を正中線に構え、襲い掛かる脅威を眼前で叩き折る。

 

 

 

死へと続く渦へと身を躍らせる夢月を見た隔は、そっと悟る。

 

ああ、私達は邪魔なのだと。

 

寂しさと悔しさ。

それでも夢月の足手まといにならないために、彼女は早苗と共に夢月から離れて行った。

 

考えて。今この瞬間、私にも出来る事があるはず。

 

隔は必死に脳をフル回転させる。

学校一位の脳味噌を。全国模試一位の脳味噌を。

 

全部、使って。

 

 

(ありがとうございます、隔さん。そしてすみません)

 

夢月は鎌鼬へ向かって迷いなく突き進む。

そして、能力を全開にした。

 

ドグンッ!! という何かが軋む音と共に、周囲の木々が重力に引っ張られドンドン折れて行く。

夢月の立つところから波紋上に広がる亀裂は、その重力の強さを物語っている。

 

(調子に乗るな)

 

その状態のまま、夢月は少し速度の緩くなった風の刃を弾いていく。

 

(私は、時間稼ぎ)

 

しかし。

それでも。

 

取りこぼした刃が彼女の柔肌を切り裂くたびに、時間が経つ度に、彼女の動きは鈍くなっていく。

紅い鮮血が舞い始め、息が荒くなっていく。

小刻みに震える己の体を夢月は気合で奮い立たせ、そして何度もお祓い棒を構えた。

 

 

互角の攻防。

夢月が死に物狂いで踏ん張る中、遂にしびれを切らしたように鎌鼬は姿を現す。

 

サイくらいの大きさのイタチ。灰色の毛並みは全く柔らかく無く、一つ一つが尖っており光沢を放って居る。

 

夢月の目の前に現れた鎌鼬は、刃と成る灰色の尾を限界まで引き絞った。

 

「・・・っ!!」

 

眼を見開き、急いで夢月は重力をそいつだけに掛けようとする。

しかし、鎌鼬の方が速い。

結界を張る暇も無く、その刃は撃ち放たれ―――――――

 

 

夢月の、腹部を真一文字に切り裂いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――いや、それが本来ならば在り得た未来なのだろう。

 

眼を見開く夢月。緊張感が一気に高まる中で、一筋の冷や汗が背筋を辿る。

完全な死の感覚。救けは来ない。

 

刹那、鋭い殺気を纏った灰色の刃は。

 

 

「バーストオオ!!」

 

 

突如空から降って来た少年の翳した白刃によって、受け止められた。

 

ぬらりとした殺気を纏う、何の変哲も無い日本刀。

しかしそれは青白い霊力を纏い、何倍物の威力と強度を誇る代物になっている。

 

「暁!夢月を頼む!」

 

鎌鼬の目の前に降り立った少年、天音真は暁に支持を出すと同時に、大きく刀を突き出した。

 

反射的に避ける鎌鼬。

後ろに飛び退ると同時に放たれた風の刃を少年は全て落とし、獰猛に口角を吊り上げる。

 

「さて、悪いがここらで交代だ」

 

ブウン…

 

少年の右手が薄く黄金色に光り、黒い刻印が宙に浮かび上がる。

 

それを鎌鼬や暁、夢月が認識するのと。

 

鎌鼬の体が、真っ二つに成るのは同時だった。

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