紅美鈴には秘密がある   作:テッソルムリア

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大変遅くなりました(土下座)
エタるところでしたが何とか復活した次第です。


それでは「紅美鈴には秘密がある」最終章、始まります。







終章 495 years ago
「異変解決者の方々が出動されるようです」


「おーい、霊夢~。おーい!」

「………何よ五月蝿いわね、聞こえてるわよ」

 

 

宵闇に包まれている博麗神社。

月明かりが照らすその境内には、快活な声の白黒魔法使いと面倒くさそうな声の紅白巫女が存在していた。

状況から見るに、白黒魔法使いが突撃してきたところのようだ。

 

 

「霊夢!空を見てみろ!」

「紅いわね」

「霧も出ていますわ」

「デジャブね」

「異変だぜ」

「そうね」

「………異変だぜ?」

「分かってるわよ」

 

 

畳み掛けるような白黒魔法使いの物言いに比べて、紅白巫女の対応は随分とおざなりな物だ。

そんな紅白巫女に対して、まるで異変ならやることは決まっているだろうと言わんばかりの表情で白黒魔法使いは告げる。

 

 

「だったら解決しに行くべきじゃないか?」

「別にすぐに行かなくてもいいでしょ。そこまで悪影響なさそうな霧だし。あと2、3日してからでも―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいや。今すぐ解決に行ってもらうぞ。博麗霊夢」

「―――何の用かしら………藍」

 

 

神社に乗り込んできた霧雨魔理沙に対し、気怠げに対応していた博麗霊夢。

そんな霊夢を制したのは八雲紫の式、八雲藍であった。

突如現れた彼女に対し、博麗霊夢は胡乱げな目を向ける。

 

 

「何、暇を持て余してそうな巫女に個人的なお仕事を、と思ってな」

「よく言うぜ。絶対紫の差し金だろ」

「同意ね。そんなすぐバレる嘘は止めときなさい」

「やれやれ………酷い言われようだ」

「何だ?違うのか?」

「いや、当たりだ」

「ほらやっぱり紫の差し金じゃないの。嫌よ、そんなので行かないからね。私は」

 

 

ツイっと視線を逸らした博麗の巫女に対し、妖怪の賢者の式はニヤリとする。

 

 

「お前ならそう言うだろうということで、紫様からこれを預かってきている」

 

 

八雲藍は流し目で霊夢を見やりつつ、懐から一枚の紙を取り出した。

大体御札くらいの大きさと形の紙で、見ると裏側に何か書いてある。

 

 

「何だそれ?」

「ふむ、これは何と言えばいいかな………そうだな、これは『無料券』だ」

「無料券?何のさ」

 

 

八雲藍が取り出した紙に興味を持ったのか、魔理沙が尋ねると藍は無料券と言う。

更に聞き募る魔理沙に対し、藍は再度ニヤリとすると言い放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「何(・)で(・)も(・)さ」

 

 

その言葉に魔理沙が反応するより速く、ガタッと音を立てて起き上がる霊夢。

分かりやすい態度に呆れた表情をしつつ目を細める藍。

 

 

「まぁ、あくまで叶えられることに限るが………おや?どうした霊夢?」

「―――それは異変解決の報酬なのかしら?」

「そうだ。異(・)変(・)解(・)決(・)者(・)に与えられる報酬だ」

「―――あら、こんなに霧が出ていては大変ね。博麗の巫女である私が今すぐ、迅速に、確実に解決してくるわ」

 

 

そう言うやいなや、霧の湖―――紅魔館の方角へと飛び去ってしまう霊夢。

藍はその背中に向けて笑顔で手を振りつつ、先程から黙したままであるもう一人の異変解決者に視線を向ける。

 

 

「………なぁ」

「何かな魔理沙」

「それは異変解決者に与えられるんだよな?」

「私はそのように仰せつかっているが」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――なら別に、異変解決者は博麗の巫女でなくてもいいよな」

「ふふふ―――そうかもしれないな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――そうして八雲藍は彗星の如き速度で飛んでいく白黒魔法使いを手を振りつつ見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 霊夢

 

 

 

(………おかしい)

 

 

まるで欲に目が眩んだかのよ(・)う(・)に(・)神社を飛び出してきた霊夢。

しかし、その心のうちには様々な疑惑、疑念、不信感などが湧いて出てきていた。

 

 

まず、八雲藍が神社に来た時点で不信感を持った。

別に来たことがないわけでも、異変解決の催促が今までなかったわけでもない。

しかし、あそこまで吟味されるかのような視線は初めてであった。

 

 

魔理沙は気づいていなかったかもしれないが、魔(・)理(・)沙(・)が(・)来(・)た(・)時(・)か(・)ら(・)藍(・)は(・)い(・)た(・)。

だからこそ、あえて魔理沙の誘いに乗らず、気が向かないような態度を取った。

そしてそれを間髪いれず制止してきたのも、らしくない。

 

 

あとはあの露骨な報酬も疑惑の的だ。

無料券?しかも何でも?

正直に言うと何の冗談かと思った。

紫は確かにおちゃらけた所もあるが、そういった線引きはしっかりとしている人物だ。

だからこその妖怪の賢者なのである。相手が博麗の巫女でもそれは変わらない。

まぁ仮に本当だとしてもあの妖怪なら、口八丁でどうとでも出来そうだが。

 

 

しかし、らしくないのは事実である。

藍のあの態度が本当に余裕がないのか、それすらも演技なのか―――そこまでは分からなかった。

しかし、確実に言えることは一つ。

 

 

 

 

「今回の異変は、何か違うわね………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 魔理沙

 

 

 

博麗神社を彗星の如き速度で飛び出した魔理沙は、現在紅魔館に向かっ―――ていなかった。

八雲藍が取り出した紙―――無料券とやらには確かに妖怪の賢者の残滓とも言うべきものがあった。

 

 

しかし魔理沙はそこにそ(・)れ(・)以(・)外(・)の(・)力(・)も感じたのだ。

その力に見覚えがあった魔理沙はとある場所を目指し、そこに降り立つ。

 

 

 

 

 

そこは妖怪の山に存在するもう一つの神社―――そう、守矢神社である。

だが、目的地に降り立ったというのに魔理沙の表情は険しい。

何故なら―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(―――いない………)

 

 

いつもなら境内で掃き掃除をしている東風谷早苗も

縁側で座っていることが多い八坂神奈子も

それらを見てのんびりしている洩矢諏訪子も

 

 

姿どころか気配すら一切感じられない。

 

 

しかし魔理沙にとっては予想外ではなく、むしろ予測に近づく結果であった。

 

 

 

 

 

 

 

(―――やっぱりそうか………あの報酬には紫以外も関わっていそうだな)

 

 

魔理沙は藍の「異変解決者に与えられる報酬」という言葉に引っかかりを覚えていた。

異変を解決したものに与えられる報酬―――なるほど分かりやすい。

では、報(・)酬(・)を(・)与(・)え(・)る(・)のは誰だ?

八雲紫?

 

 

 

 

 

 

―――いいや、藍は一言も紫が与えるなんて言っていない。

紫(・)様(・)か(・)ら(・)預(・)か(・)っ(・)て(・)き(・)て(・)い(・)る(・)と言っただけだ。

そして紙に込められた紫以外の者の力。

 

 

最初は楽観視していた今回の異変が、一気にきな臭くなってきた瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

それらを確認した魔理沙は次の目的地に向かうことにする。

 

 

「お次は………ちょいと面倒だが、あの妖怪の親友とやらの所に行ってみますかね―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

―――桜が咲き誇る冥界の楼閣、白玉楼へ

 

 

 

 

 







今回は異変解決組(原作主人公)サイド。


やはり腐っても主人公、何も考えなしじゃありません。
―――と、いう感じだと私個人的には考えています。


霊夢と魔理沙、着眼点は違いますが二人が気づいたことから起こす行動は終章でもキーポイントになる予定です。
そのために敢えて今までのお話で出さないようにしていたってのもあります。
主役は遅れてやってくるってやつです(本編主人公とは言ってない)


それではもうしばらくの間、お付き合い頂ければ幸いです。




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