紅美鈴には秘密がある   作:テッソルムリア

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「あとは貴女が決めることよ」

side パチュリー

 

―――人里 稗田家―――

 

さて、乗り込んではみたけれど、どう動いたものかしら。

場の空気を察するに、またメアリーが何かしでかしたんでしょうね。

まったく…母娘揃ってどうしょうもない吸血鬼らだわ。

 

私(とレミィ)の目的を達成するには場所を移したほうが都合が良いわね。

欲を言えば、紅魔館まで連れ帰りたい所。

そのためにはあの三人と稗田阿求をどうにかしないといけないわ。

 

八雲紫は手助けしてくれるかしら。

これ以上険悪になるのは本意では無いはずだから、可能性は高いと思うけど。

なら先に動いたもん勝ちね。

 

「突然お邪魔して悪かったわ。でもレミィがどうしても会いたいって言って聞かなかったから」

「ちょっと!私はそんなこと……むぐっ」

ここはレミィをダシに使わせて貰いましょう。余計なこと言わないうちに口を塞いでおくのも忘れずに。

 

「それで自己紹介は滞り無く終わったのかしら?」

そして続けてこう言えばおそらく……

 

「ええ、つつがなく終了しましたわ」

そう八雲紫が言ってくれるでしょうね。

それじゃあ最後の詰めね。

見た感じ、あの三人はこの場から退くことを考えていたようだし同意してくれるはずだわ。

 

「そうなの。それなら次は私達にも顔合わせの場をくれないかしら?やっと会えたんですもの。母娘で積もる話もあるでしょうし。もちろん紅魔館一同も心待ちにしているわ」

「(むーっ んむーっ!)」

もう少し大人しくしていてちょうだいレミィ。

 

「……そうですね。家族の団欒も大切でしょう。今日はここ辺りでお暇させていただきましょうか」

八坂神奈子がそう言うと、他の二人も異論は無いようだ。

じゃあ最後は……

 

「ま、待ってください」

やっぱり来たわね御阿礼の子。

貴女には悪いけど連れ帰らせて貰うわ。

私は彼女のそばに寄り、そっと囁く。

 

「……今日はこのまま帰らせて頂戴。このままでは貴女の為にもならないわ。大丈夫、幻想郷縁起の加筆についてはきちんと穴埋めさせて貰うから」

「………分かりました。必ずですよ」

「ええ」

脅し混じりの言葉に、少し迷ったようだけど渋々納得したようね。

 

 

「紅魔館の門前までスキマを繋いであるわ」

ちょうどいいタイミングね。やっぱりことメアリー・スカーレットに関しては協力的になるみたいね。妖怪の賢者は。

 

「あら、ありがとう」

そう言いつつレミィをスキマに押し込む

「(パ~チェ~!!)」

何か聞こえた気がしたけど気のせいね。

さて本命を連れて行きましょう。

 

「……さぁ行きましょうメアリー・スカーレット。紅魔館のみんなが待ってるわ」

「……ええ、分かったわ」

思った以上に素直ね。まぁ下手に抵抗されなくて良かったけど。

 

 

そうして私達は、じっとこちらを見つめる山の神たちの視線を感じながら、スキマを潜ったのだった。

 

 

 

 

 

 

side メアリー

 

―――紅魔館門前―――

 

……ずいぶんと目まぐるしかったですね。

急に雰囲気が重くなったと思ったら、パチュリーとレミィが乱入。

あれよあれよというまに紅魔館まで戻ってきてしまいました。

 

あれ、これもしかして母娘の対面的な雰囲気?

ま、待って!まだ心の準備が!

助けてゆかりん!

 

「(いい加減腹くくりなさい)」

 

ゆ、ゆかりーん!(絶望)

ど、どうしよう。宴会の時は何か雰囲気で「レミィ」とか「愛娘」とか言ってた気するけど、いま素面だから恥ずかしい!メッチャどもりそう!

というかずっと「お嬢様」呼びしてたからそれが出ちゃいそうになるのが怖い。

うわっ レミィすっごい睨んでるし!

あっ こっち来た

 

「……(ボソボソ)」

「え?」

レミィが何か言ってますが聞き取れません。何て言ってるんでしょう。

 

「……だから!……私はあんたのことを母親なんて認めない!って言ったのよ!」

 

レ、レミィー!(満身創痍)

うぅ、そうだよね……今までずっと騙していたようなものだもんね……

その間、親としては関わっていないってことだし……

 

真っ白になった私を置いて、レミィは一目散に館に入っていってしまいました……

ああ、空が綺麗だな……

 

若干魂が抜け出ていた私の所に、今度はパチュリーが近寄ってきました。

 

「……大丈夫かしら。表情は変わってないけど結構効いたんじゃないかしら」

「……大丈夫よ。ご心配なく」

いや、大丈夫じゃないです。

 

「まぁ貴女も知っていると思うけど、レミィは相当な意地っ張りよ。あれが本心とは限らないわ」

慰めてくれてありがとうパチュリー……

すごく身にしみるよ……

 

「……まぁそれはともかく。紅魔館へようこそ、メアリー・スカーレット。紅魔館は貴女を歓迎するわ。これから誤解を解くのも、レミィたちの母親として過ごすのも、はたまた今までのように過ごすのも自由……出来るかは分からないけどね。とにもかくにもあとは貴女が決めることよ。私達は場所を提供するだけ」

 

……ウェイ!?

え、パチュリーあれ知ってんの?それとも偶然?

そんなことを聞く暇もなく、パチュリーも館に入っていってしまった。

 

……どうしたものかな

とりあえずみんなに話しかけて……それから考えても遅くはないかな。

じゃあ早速……

 

「あ、言い忘れてたわ」

うわぁぁぁ!!?

パチュリー行ったんじゃなかったの!?

 

「……何かしら」

もう驚かさないでよパチュリー……

 

そんなことを考えていた私は次のパチュリーの言葉に……本当に思考が停止してしまった。

 

 

 

「……おかえりなさい。貴女の家はここよ、メアリー」

……

……

……そうして私が再起動したのは、パチュリーが館に入り、紫から声を掛けられた時だった。

 

 

 

「……良かったわね、メアリー」

「……うん、本当に」

 

 

 

 

……今までの時間を取り戻せるわけじゃない。

でもこれからを出来るだけ、メアリー・スカーレットとして彼女たちと過ごせたら良いな……

そう思いながら私は、紫に別れを告げ、紅魔館(我が家)に入っていった。

 

 

 

 

 




さて、これにて第一章終幕となります。

次回からは紅魔館住人とのあれやこれやですね。みんなどんな反応をするんでしょうか……


※追記 シリアスさんはしばらくお休みです



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