思ったより、このデスゲーム攻略は悪くない   作:形右

6 / 14


今回はスマホより投稿なので、もしかしたら何処かに不備があるかもしれません。
もし、何かありましたらお気軽にご報告下さい。


『ビーストテイマー』

 

 

なんやかんやとSAO開始から約一年が経った。

 

ハチヤ達は相変わらず最前線で戦っていた……のだが、今日最前線の転移門前で1人の男が必死に何かを訴えているのを見かけて話を聞いてみることに。

 

聞くところによると、なんでもオレンジギルド【タイタンズハンド】に仲間を全滅させられてしまい、敵を討ってほしいという。しかし、決して殺しではなく連中を牢獄にぶち込んでほしいとのことらしい。

 

(殺し、ではなく〝罪を償わせてほしい〟か・・・)

 

その言葉にハチヤはその依頼を受けることに決め、タイタンズハンドの足取りを追いはじめた。(キリトは付いて来た。その場にいなかったために残してきてしまった女性陣は……後日、どうにか「お話し」で了承をいただいた。――その際に見た彼女たちのいい笑顔は……忘れられないほど美しかった…………嘘です、めっちゃ怖かったですハイ)

 

 

そして二人でしばらく捜索を続けた結果、ようやく連中のあしどりを つかむことに成功した二人。

 

その足掛かりをもとに、さらに派生してリーダーの足取りを追う。

 

 

――そして第三十五層にて、ついにそのリーダーの足取りをつかんだ。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

その情報をもとに、リーダーを追ったハチヤ達が第三十五層を訪ねたとき、ちょうどそこで二人の幼j………ゲフンゲフン少女がいて、タイタンズハンドの女リーダーのロザリアを見つけた。

 草がげに隠れている俺たちの聞いた話の内容はビーストテイマーの二人とロザリアがアイテム分配でもめていた。その内容を要約すると、二人には使い魔モンスターである《フェザーリドラ》が回復してくれるのだから回復アイテムは必要ないだろとのことだがいくら何でもそれはと思うような内容だったが、二人は幼さゆえにその挑発にカチンときたのかそのまま怒って森に入って二人で街に帰るつもりらしいが……。

 

「なあハチ、あの二人ちゃんと帰れると思うか?」

 

「…………正直厳しいだろうな。見た感じ、二人ともそれほどレベルが高いってわけでもないっぽいしな」

 

「……追いかけるか?」

 

「…………そうするしかねぇかな」

 

そんな訳で、二人を追いかけようと思ったのだが……。生憎この森は《迷いの森》と呼ばれるダンジョン、出口にたどり着くためのリミット――つまり制限時間があり、一分以内に抜けないと東西が入れ替わる仕組みになっているのだ。

 

ハチヤとキリトなら抜けることなど造作もないが……。迷っている人間を追いかけて脱出、となると話は別物となってくる。どうやらあの少女ら二人はずんずんと先に行ってしまったようで……、この中で迷子になっているらしくなかなか見当たらない。そうこうしているうちに日も暮れ始め、キリトとハチヤは正直めんどくさくなってきて……ダンジョンの木のトラップをぶった切りながら雑に突き進んでいき……やっと見つけた二人がドランクエイプに襲われているのを見つけ、すぐさま助太刀に入る。

 

しかし、少しだけ遅かった……。二人が助太刀に入り、エイプを倒したとき――二人の使い魔だった二匹の小竜は二人を庇い消え去ってしまったところだった…………。

 キリトとハチヤは二人のビーストていまーの少女に近づき声をかけた。

 

「すまない、君達の友達を助けられなくて……」

 

「もう少し早く見つけられたら良かったんだが……すまん」

 

 

二人の少女は涙を浮かべながらも助けてくれた二人の剣士に礼を述べ、場に残っていた使い魔の死んだときに残るアイテム《心》を両手で抱き涙を流していた。それを見て、ハチヤとキリトは一つの手段を提示する。

 

「………そのアイテム、心アイテムって表示されているなら――まだ希望はある……」

 

「…………えっ?」

 

「……どういうこと?」

 

 ハチヤの言葉に、疑問符を浮かべている二人にキリトが補足を付け加える。

 

「実はね……最近見つかったんだけど、第四十七層で使い魔蘇生用のアイテムが手に入るっていう話があるんだ」

 

「本当ですか!?」

 

「ほ、ホント!?」

 

「あ、ああ…………ん?」

 

二人の言った情報を聞き、茶髪の方がキリトに黒髪の方がハチヤに詰め寄る。その際、ハチヤは詰め寄って来た少女の顔を見て……何だか違和感を覚えた。

 

何だか、どこかで会ったことがあるような気がする……。誰だったっけか……覚えてる。覚えてるんだ。確か千葉村とクリスマスイベントんときの……。ただ、名前が出てこないのだ。それこそ川何とかさん並に思い出せない。……そういえば。

 

(あーそういえば確かあいつの妹の……なんつったっけ――ああそうそうけーちゃん。京華だったか…あの子と一緒に劇に出た……――――)

 

「―――あ、もしかして…………留美?」

 

「…………なんで知ってるの?ロリコン?」

 

「いや違うって、お前千葉村とクリスマスイベントって言葉に心当たりないか?あと奉仕部……とか」

 

「…………!もしかして……、は……はち、幡……?」

 

「あ~やっぱりルミルミだったのか」

 

「アレ?ハチ、ひょっとして知り合いだったのか?」

 

「ああ、リアルの方でちょっと色々あってさ……そん時知り合った小学生」

 

「ルミちゃん、この人達知り合いなんですか?」

 

「こっちは知ってるけど、こっちの人は知らない」

 

「あお、じゃあとりあえず自己紹介しとくか……。俺はキリト、こっちのハチの友達だ。よろしく」

 

「あ、えっと……。シリカって言いますルミちゃんと同じビーストテイマーで、友達です」

 

「ルミ……よろしく」

 

「お前よかったな、友達できて」

 

「八幡こそ、ぼっちだったんじゃなかったの?」

 

うっせ、と言いながらルミルミの頭をなでてやると……照れながら頷いた後、ぷいっ! と顔をそらしたのであんまり変わってないんだなと思いなんだかハチヤはホッとした。

 

「ところで八幡はなんでここにいるの?」

 

「リアルネームで呼ぶなって…………まぁ、ちょっとした野暮用だ。お前らこそこんなとこうろうろして……危ないだろ?お子様は帰って寝る時間だ?」

 

ちょっとだけ、本来の目的をぼかしてルミにそう伝えたハチヤだが……ルミは何故か不機嫌になる。

 

「…………また子ども扱い」

 

「まぁ、そういうな……。そのアイテム取りに行くの、俺らが手伝ってやるからよ」

 

「ほ、本当ですか!?」

 

「ああ、これでも一応攻略組だしな。俺とキリトがいれば四十七層なんてたぶん余裕だ」

 

「……何だか八幡替わったね。あと、目も治ってるし」

 

「…………そうかもな。まぁ俺だって少しくらい変わることもある、ってことだ」

 

「……そっか」

 

「それにルミルミだと分かったなら、まぁ助けねぇわけにもいかんしな……。千葉のお兄ちゃんの悲しい性ってやつだ」

 

「ルミルミいうな!あと…………シスコン」

 

「うっせ、うちの妹天使だからいいんだよ。それに……まぁそのなんつーの?お前も、もう一人の妹みたいなもんだ」

 

「…………妹って………………」

 

ため息をつくルミを見てハチヤは?を浮かべる。しかしそんなルミの気も知らずキリトにも話を振り始めるハチヤ。

 

「キリトだって分かるだろ?なんとなくほっとけない気分とかさ」

 

「まぁ……分からなくはない――とは思う。いや、そりゃ確かにそんな感じだけどさ……」

 

「うむ、それでこそお兄ちゃんというものだ」

 

「……クスッ、ハチヤさんて本当に大好きなんですね妹さんの事」

 

「おうよ、あ……でも最近もう二人、下にこの弟分ともう一人妹分出来たせいかスキル強化されてるな。SAOに兄スキルあったらもうカンストしてるまである」

 

「もう一人の妹分………?誰の事、あの生徒会長?それともけーちゃんの事?それとも――――ほかの女?」

 

 あっ、あれれれ~?ルミルミのハイライトが消えてくよ~?俺なんかおかしいこと言ったけかな~?(冷汗)

 

「まてまてまてまて!おっ、落ち着け!とにかく落ち着け!今は街に帰る方が先決だろ!?」

 

「…………」ムゥ

 

むすぅ っとしてはいるものの、ルミはおとなしく八幡に従い森を脱出することにしたようだ。

 

こうして森を抜け、街に戻った一同。明日、使い魔蘇生のクエストに出向く為にそのダンジョン『思い出の丘』の説明をしようと宿に向かおうとしていたところ……。その途中でロザリアが声をかけてきた。

 

 

「あーら、シリカにルミじゃない。あの森を抜けられたのねぇ」

 

「ロザリアさん……」

 

美人ではあるが、なんとも意地の悪い笑みを浮かべながらシリカとルミの顔を眺めるロザリアは、彼女たちのパ^トナーである二匹のフェザーリドラがいなくなったのを見てこう言ってきた。

 

「あら?あのトカゲちゃんたちはどうしたのぉ~?あ、もしかしてぇ――――死んじゃったぁ?」

 

使い魔は格納も誰かに預けることも不可能なのだ。それをわかって聞いてくるあたり、この女の性格の悪さがうかがえる。

 

「確かにピナたちは死にました!でも!」

 

「必ず生き返らせる。そしてもう一回チルに会うんだから」

 

二人のその言葉に二人の不幸を実に愉快そうに眺めていたロザリアの目がわずかに見開かれるが、直ぐに嘲るような表情に戻り言葉をつづける。

 

「へぇ、ってことは例の《思い出の丘》に行く気なの?でもあんたらのレベルじゃ攻略なんてできるのかしらぁ?」

 

「当たり前だろ」

 

そこへハチヤが口をはさんでくる。

 

「なぁにアンタ、この子らにたらしこまれちゃったロリコン共の1人かしら?」

 

「ろ、ロリコンじゃねぇし!俺はルミ(コイツ)のリアルの顔見知りってだけだ……。それにあの程度のダンジョン、俺たちのアシストがあれば突破できない方がおかしい。むしろ楽勝過ぎるまであるな」

 

「ふーん……。ま、せいぜい頑張ってねぇ~」

 

ロザリアはハチヤの乱入にこれ以上は面倒くさいと判断したのか、会話を切るとさっさと立ち去ってしまう。

 

そのあとハチヤ達は宿に入りシリカとルミに明日出向くダンジョンの説明をし、装備を整えてやるとそのまま眠り翌日を迎えたのだが…………。

 

 

「…………どうしてこうなった?(二度目)」

 

 

ハチヤは正直なぜこうなったのかが分からない。

 

―――――なんでルミとシリカがハチヤの上に載って寝ているのか?将来的には美少女になるだろう二人に抱き枕にされるというのは男としてはやぶさかではないが、べつにロリコンではないため(ここ重要)この困った妹ども(何だろう……最近アイデンティティを侵されまくっているような……お兄ちゃん、いくらゲームの中だからって、ポイント低そうなことやってないよね?ねぇ?【黒笑】)を起こす作業を開始する。その際に悪寒がしたのは内緒だし、それは気のせいだ。寧ろそれしか無い――はずだ。

 

 

「……まぁ、起こすか」

 

なんで入って来たのかはおいておくとして、ともかく起こさねばと二人を揺する。

 

「おい、起きろルミ、シリカ」

 

「……ぅんっ…?…………あ…八幡。おはよう」

 

「ああ、おはよう…………って!?そうじゃじゃないだろうが!?なんで俺のベットに――ってかなんで俺の上に乗ってんだよお前ら」

 

「えっと…………さ、さぁ?」

 

「…………はぁ…もういい、とにかくシリカとキリト起こしてら、さっさとダンジョンに行くぞ」

 

「うん」

 

そのあと急に赤面してあわわわとうろたえだすシリカを落ち着かせ、グースカと眠りこけている馬鹿(キリト)を起こして……。第四十七層、《思い出の丘》を目指し転移門へと向かった――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――そして…………。

 

 

第四十七層 《思い出の丘》

 

 

「うわぁ~!」

 

「……すごい」

 

シリカとルミは歓声を漏らす。ここ第四十七層のゲート前の街《フローリア》は無数の花であふれかえっていた。だが、それはここに限ったことではなく、この第四十七層は通称『フラワーガーデン』と呼ばれており街やその周辺のフィールドからダンジョンに至るまでとにかく至るところすべてが花だらけなのである。

 

「綺麗……」

 

「ホントだねぇ~」

 

「二人とも~その辺でストップだ。残りは帰りにでも見て行ってくれ」

 

「あ、ハイ!そうでしたね」

 

「……ケチ」

 

「おい」

 

そういってふてくされているルミをなだめ、先へと進んでいく一同だったのだが…………。

 

 

 

 

「ふあぁぁ!?た、助けてぇ~」

 

「ちょっ、何なの!?」

 

「落ち着け二人とも、そいつ……」

 

「そうだ落ち着け二人とも。そいつ雑魚だから、スッゲェ弱いから。とにかく落ち着いて、そいつの頭の白くなってるところにソードスキルを叩き込め。そうすりゃ……」

 

 ハチヤとキリトが落ち着けと言ってくるが二人はまさに『歩く花』もっと言えば人を食う『食虫植物』いや、『食人植物』といったところだろうか?ともかくそんな感じのmobにもう大慌て……というか軽くパニックである。…………まぁ、植物のくせに妙にぬめぬめした触手のようなもので、いきなり逆さ吊りにされたら女の子にはちときついかもしれないが。

 

「だ、だってぇ……!」

 

「こいつら気持ち悪い!」

 

「……確かにそうか」

 

確かにこのシチュは、所謂『そっち』系の方々が見たら悶え時にそうなものではあるが………。ぶっちゃけノーマルのキリトとハチヤには幼女二人のこんあシーンそんな長く見ていたくないし、加えて二人なのでステレオでキャーキャー言ってるので何ともいたたまれなくなる。というか、普段無口なルミがここまで喚くとは意外だった。

 そんな訳で、スカートの為思い切って動けない二人を見かねたハチヤが剣を引き抜き二人を助けにかかる。レベルの高いハチヤにとってこの程度の相手など、もはや敵ですらない。彼のフルった斬撃は、たった一撃であっさりとMobをポリゴンに変え……そうやって消えてしまった敵から落っこちてくる二人を受け止める。

 

「さて諸君、さっきので得た教訓は何だね?」

 

キリトはなんだか先生か教官のような感じで二人に問いかけるが……。

 

「えっと……」

 

「…………むぅ」

 

「二人とも油断大敵、勝って兜の緒を締めよってとこだな……。オーケー?」

 

「は、ハイ」

 

「……むぅ…………分かった」

 

ハチヤの言葉に、シリカは素直にルミはまたも不貞腐れたように答えるが……まぁよし、と先へと進んでいく一同だったが……。

しかし、その後も似たような――いや、むしろ気持ち悪さが倍増しているような仕様のMobモンスターたちのの出現に少女二人はタジタジだった……。

 

とはいえ、それでもどうにか自分たちの力で突破しようと足掻き続け、どうにか倒して進んできた。

 そして、ダンジョンも残りあと少しといったところに差し掛かりモンスターもあらかた倒したのだが、ルミがハチヤにじとーっとした目つきで見てくる。

 

「ねぇ、ハチマン。…………もしかしてエッチなモンスターばっかり選んでない?」

 

「ンなことするか!」

 

何度も言うようだが、俺はロリコンではない!(魂の叫び)

 

大体つるペタの幼女がネトネトされてるとこなんて見ても――――何それ超卑猥、むしろ卑猥さしか出てこないんだが……。っていうか、さっきから散々見てるけどね。さきほど散々見たシーンがフラッシュバックし、新たな扉が開きかけた八幡を現実に引き戻したのはそのシーンの元凶その一だった。

 

「…………ねぇハチマンってば!」

 

「はっ!」

 

いけないいけない、思わずトリップしてしまっていた……。ってかルミルミよ、リアルネームで呼ぶなってのに。何度言ったら分かるんですかねぇ?それにしてもやばかった。もう少しで堕ちるとこだった……。幼女とは可愛く、また恐ろしいものだ。

 

そんな感じで、禁断の扉一歩手前ぐらいまでトリップしていたハチヤは無事現実へと帰還した。

 

「……ゴホン、ともかくだ。もうすぐこのクエストのラストだ―――ほら、あそこの祭壇あそこでこのクエストで得られる使い魔蘇生用アイテム《プネウマの花》が手に入る」

 

先ほどまでのことを悟られまいと、わざとらしい咳払いで場を一新する。そして、しばらくまた歩き続けると……。

 

 

――一同は、ついに目的の場所。『思い出の丘』の最深部である、祭壇に辿り着いた。

 

 

その祭壇にビーストテイマーの二人が駆け寄ると……その祭壇から二本の花が咲いた。これこそが、このダンジョンで手に入る限定アイテム且つ彼女たちの目的の品《プネウマの花》である。

 

「これで……あの子たちがよみがえるんですね」

 

「うん、そうだよ。よく頑張ったなシリカ」

 

「えへへ……っ」

 

「…………よかった……」

 

「……頑張ったな」

 

そういってほっとしている二人を静かに見守り、フィールドを引き返してく。使い魔の蘇生は安全な圏内でやった方が確実だからという判断のもとでの行動だ。そして引き返す途中……キリトとハチヤの依頼の目的の連中が4人を見ていた。どうやら、昨日のレアアイテムゲットの情報を聞き……横取りに、いや…そんな生易しいものじゃない。まさに強奪、持ち主である少女たちを殺すことさえ厭わないような奴らだ。

…………この二人の前だが、まぁ仕方ない。タイミングが重要である、なのでハチヤは機会をうかがうことを決めると……キリトにアイコンタクトを送る。それを察したらしいキリトは、小さく頷くと機会が来るのを待つことを了承した。

 

そしていかにもな橋に差し掛かったところで、ハチヤとキリトは二人を手で制し、止める。

 

「二人とも、ちょっと止まってくれ」

 

「キリトさん、ハチヤさん、どうしたんですか……?」

 

「ハチマン……?キリトも……どうしたの?」

 

不思議そうにしている二人には申し訳ないが……わざわざ、こんないかにもな橋で挟み撃ちにされたらそれはそれで多少困る。なら、こちらから仕掛けていくことで相手の出方を崩すと同時にこちらに有利に動くように仕向ける。

 

「そろそろ鬼ごっこは終わりにしないか?ストーカーさん」

 

「まったくだ……いい加減にしろよ、お前らの熱視線なんか受けたくねぇっての…………」

 

すると橋の反対側の方に生えてる木の影から一人の女性が出てきた。その人物はシリカとルミの見たことのある人物でこの一見おそもそもの始まりのきっかけに大きくかかわっている人物であった。

 

「ロザリアさん……?」

 

「なんで……?」

 

「へぇ、あたしのハンティングを見破るなんて……随分高い索敵スキル持ってんのねぇ?」

 

ロザリアは妖艶な笑みとともにハチヤを見てくる。

 

「能書きはいい、俺たちはお前〝達〟を討伐するために来たんだ。それに俺の知り合いにちょっかいかけようとしたことも……今からたっぷり後悔させてやるよ」

 

ぞっとするような瞳でロザリアを見据えているが、ロザリアはそれに気づきもせず、仲間がいる自分にケンカを売っている馬鹿かカモ程度にしか思ってない。

 

「へぇ、ならたっぷり後悔させてもらおうじゃない」

 

数で押している、自分たちの方が有利だ。そんな直ぐに崩れる自信を絶対だと思っているロザリアは、不敵に笑って見せるとパチンッ

と指を鳴らす。

すると木の後ろから十人程度のプレイヤーたちが出てくる。

 

「この人たちは……?」

 

シリカの疑問にキリトが答える。

 

「こいつらは犯罪者……オレンジギルド《タイタンズハンド》の奴らで、そこの女がそのリーダーだ」

 

「で、でも、ロザリアさんはグリーン……」

 

「オレンジギルドって言っても全員がオレンジなわけじゃないんだ、獲物を引き寄せるグリーンが必ず一人二人いるんだ」

 

「詰まる、この前まで私たちのパーティにいたのは……」

 

「まさか……!」

 

「そう、今度はお前たちを狙っていた……という事だ」

 

「そうそう、一番楽しみだったアンタらが抜けちゃったからがっかりしてたんだけど……何だかレアアイテム取りに行くっていうじゃない?だから、ここで狙ってたってわけ」

 

「うそ…………」

 

「…………卑怯者」

 

「は、何とでもいいな。それにしてもアンタらも馬鹿ねぇこのことわかってるのにこの子たちについてくるなんて、ホントにたらしこまれちゃった?」

 

「いや、俺たちはアンタらを探してたんだ―――この間アンタらが三十七層で襲ったギルドを覚えてるか?」

 

ロザリアはたいして気に留めた様子もなく、しばらく考えるしぐさをした後やっと思い出しましたとでもいうようにこういった。

 

「ああ、あのビンボーな連中ねぇ」

 

「そのギルドのリーダーだった男はな……最前線の転移門前でお前らを倒してくれる奴を探してたんだ。回廊結晶を片手に≪お前らを倒して牢獄に送ってくれる≫ようにってな……。お前らみたいな馬鹿にあいつの気持ちがわかるか?わかるわけないよな……人を何の思いもなく殺せちまうような屑に…………わかるわけがない」

 

「はっ!何本気になってんのよ、バッカみたい。そもそもここで殺したからって本当に死ぬかなんてわかんないじゃない。もしかしたら現実に帰ってるかもしれないじゃない?むしろ感謝してほしいくらいだわ」

 

「…………そうか」

 

「そもそも、ここでのことなんて現実に罰せられるわけでもないのに理屈やら倫理やらを持ち込んで正義の味方ぶるやつがあたしは大っ嫌いなのよ!」

 

「……分かった」

 

「あら、随分と物分かりがいいわね?なら金とアイテムとそのガキどもおいてさっさとどっかいきな」

 

「俺が分かったていったのは…………てめぇらが救いようのねぇゴミだってことが、だ」

 

びっくりするほど冷たい声色でロザリアたちをにらむハチヤに全員がひるむ。

そう言いながら、剣を鞘から引き抜き……その射抜く様な視線をロザリアたち《タイタンズハンド》のメンバーたちに向けたまま、キリトにこういった。

 

「キリト、俺一人で十分だ。手を出すなよ?」

 

「……ああ、わかったよハチ」

 

その会話を聞いてタイタンズハンドのうちの一人が怯えた声を上げる。

 

「黒と緑がかったロングコートに盾無しの片手剣……それに―――キリトに…………ハチ?

ハッ!?ろ、ロザリアさん!こ、こいつら攻略組のビ、ビーt……!!」

 

メンバーの一人が、とても決定的な事を気づきそうになるが…それをロザリアは馬鹿馬鹿しいと嘲る様に遮る。

 

「攻略組ぃ~?そんな奴らがここにいるわけないでしょ!それにもしそうでも、レアアイテムもってるカモに過ぎないんだから、この人数に勝てるわけないでしょ?」

 

その言葉にたしかに…と思い直したか、それとも恐怖を払ったのか……果たしてどちらなのかは定かでは無いが、《タイタンズハンド》のメンバーは此方へとゆっくりと歩み寄ってくるハチヤに切りかかっていく。

しかし、ハチヤは反撃もせずにただその攻撃をただ受け続ける。

その様子を見ていたシリカ、ルミの二人は驚きキリトに早く助太刀をしようと呼びかけるが、キリトは二人を落ちつく様に指示する。

 

 

「き、キリトさん!ハチヤさんが!?」

 

「助けないと!!」

 

「大丈夫だよ、二人とハチのHPバーを見てみて?」

 

キリトのその言葉に、二人は慌ててハチヤのHPバーを見る。

そこでは、通常では考えられない事が……起こっていた。

 

「えっ……」

 

「減って……ない?」

 

そう、嵐のような斬撃を受けても全く減っていない…………いや、正確にはほんの少しだけは減少するのだ。だが、少しすると…時間にして10秒足らずで、すぐに満タンに戻るのだ。

その様子に苛立ったロザリアは、いつまでたってもたった一人のプレイヤーを殺すどころか倒す事すら出来ないメンバーに怒鳴りかける。

 

「……あんた達!何やってんだい、さっさと殺しな!!」

 

「はぁ……はぁ……どうなってんだ!?」

 

「10秒あたり500…いや、450ちょいってとこか……生憎だが、その程度のダメージじゃあ俺は倒せねぇな。俺のレベルは79、HPは14800……ただでさえあんたらとはかなりのレベル差だろうな…。そして、それに加えて―――俺にはバトルヒーリングスキルによる自動回復が10秒につき600ある。つまり、どうやってもアンタらに俺は倒せないってことだ」

 

「……そんなん有りかよ…………!?」

 

「有りなんだよ。たかがデジタルの数字が一つ二つ違うだけでここまで無茶な差がつく、これがレベル制MMOの理不尽さってやつなんだ……」

 

そして回廊結晶を取り出してタイタンズハンドのメンバーにこういった。

 

「こいつが何かとか、そんな話はどうでもいいな……テメェらには今すぐに牢獄に飛んでもらうぞ」

 

「チッ!転移―――」

 

ロザリアが往生際も悪く転移しようとしたのをハチヤが高速で移動して剣を首に突きつける。

 

「ぐ、グリーンのあたしを傷つければあんたがオレンジに……!?」

 

「だからなんだっていうんだ?」

 

「!?」

 

「別に抵抗するなら……この場で全員殺してもいいんだがな?俺は依頼人の要望で仕方なくお前らを生け捕りにしてるんだ。べつに俺はお前らのことなんてそうでもいいんだ。それこそ殺してレッドになったら……そうだな、今度はほかのレッドギルドでも信用させて内側からつぶしにでも行こうかな……そんな訳でだ、俺には別にお前を殺すなんてその程度なんだよ」

 

その言葉にロザリアの顔から笑みが完全に消えうせる。

 

「ああ、でもお前は殺されたいんだっけ?そういやさっき、確かこう言ってたよな…………〝この世界で死んだって死ぬなんて証拠はない。むしろ解放してやってるんだから感謝しろ〟ってな…………?」

 

「ひっ!?」

 

「ちょうどいい…………今度はお前が実験台になってくれよ、それで成功したら俺の仲間たちの解放に使うから」

 

「や、やめて!し、死にたくない!死にたくない!!いやぁあああああああああ!!!!」

 

「あ、そう?でもな…………俺がお前の言うことなんて聞くいわれなんてないよな?」

 

「ひぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?!?!!?!?!?!?!?!?」

 

ロザリアはじたばたとあちやから逃げ出そうとするが、ハチヤから逃げ出せるはずもなくその姿はひどく醜く見える。

 

「そんなにいやなら殺さないでやろうか?」

 

「!?」

 

ただ付け加え、回廊結晶でゲートを開けその暗闇を見つめながらこうロザリアに告げながら…………。

 

「このゲームのクリアまでの監禁と不自由の日々と引き換えに、な?」

 

「い、いや……ゆ、許し―――」

 

「お間に殺された奴らも……きっと死ぬ前…お前らにそういってたんだろうな…………」

 

 そのまま、ロザリアを牢獄への闇に放り込むと先ほどまでのやり取りに腰が抜けてる連中もまとめて放り込み、最後の一人が消えるとそのゲートも閉じる。

 そしてハチヤはため息を一つつくと三人のもとに戻り、帰ろうと告げる。

 

「ハチ……お前って――――――怖いな……」

 

「悪かったな、あんなろくでなしなんて殺してやろうかなんて思ったがあくまでも依頼だからな」

 

「……照れてる?」

 

「…………ンなわけあるか」

 

 そうして二人はすっかり腰の抜けてしまってる幼女二人組を起こし、二人のホームに送っていく。その道中でハチヤとキリトは二人に囮にしたみたいになってしまってすまなかったと謝った。

 それに対し二人は特に起こった様子もなく二人は―――

 

「別に、気にしてないし。むしろ助けてもらったから……」

 

「そうですよ、お二人は私たちの恩人ですし……それに私たちはお二人が優しいこと……私達はちゃんと知っていますから……」

 

 ―――そう言ってのける。それを聞きキリトとハチヤは恥ずかしそうに笑うと、ありがとうと二人に告げると二人を彼女らのホームまでしっかりと送り届け《プネウマの花》で使い魔たちが蘇生されるところをしっかりと見届けると再び前線に帰っていく。

 しかし、ルミはハチヤの服の裾をつかみ寂しそうにこう聞いてきた。

 

「…………ねぇハチマン。また、会える?」

 

「ああ、フレンド登録したからな……なんか用があったらメッセージ飛ばしてくれ。そうしたらこっち来るからよ」

 

「うん」

 

そういって嬉しそうに笑ったルミとシリカを残し、二人は今度こそ前線へと戻っていく。守りたいものを帰るための原動力を、また一つその胸へとしまうと…………彼らは転移門へと入り姿を消したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 






さて、アインクラッド編もだいぶ進みました。次回はまた結構シリアスなところなので、頑張って書きます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。