ガーリーエアフォース ACES   作:D-Ⅸ

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やっと完成です。



キルギス上空2

<<マトヴェイ!>>

<<中尉!>>

 

隊長と俺が悲鳴に近い叫びを上げる。

しかし、もう遅かった。

 

光線は回避行動途中の機体、その中央を貫通、燃料と下げていたミサイルに引火。

脱出する暇すら与えられずに機体は爆散、中尉は炎上する機体と共に空へと散ってしまった……。

 

あまりにあっけない、僚機の最後だった。

 

<<チクショウ!交戦開始だ!仇を取れ!>>

 

隊長の言葉が、呆然としていた俺と3番機を現実に引き戻した。

今は戦うしか無い。

悲しむのはその後だ。

 

<<3番機、交戦!>>

<<4番機交戦!>>

 

やらなきゃやられる。

直感的にそう感じた俺は気持ちを無理やり切り替えた。

 

<<何だ!何があった!各機、報告を!>>

 

すると、今度は基地から通信が届く。

明らかに動揺してる事が伝わってくる口ぶりだった。

 

<<不明機からのレーザー攻撃だ!2番機が落とされた!パラシュートなし!>>

<<攻撃されただと……!それは確かか!>>

<<こちら4番機、確かに見ました。敵のレーザー攻撃で、中尉が……>>

<<クソッ……不明機を敵機と断定。交戦を許可する。何としてでも撃墜せよ>>

<<言われなくても!もう始めてる!>>

 

俺は不明機を振り払い、あわよくば後ろを取れる様にこの機体の優秀な運動性を生かした旋回戦へと持ち込んだ。

右に、左に、下に、上に、機体の翼を最大限に使って不規則な機動で逃げ続ける。

だが後ろの不明機はその機動から外れる事無く付いて来ていた。

 

<<なんて奴だ>>

<<こちら3番機、後ろに付かれた!振り切れない!>>

<<落ち着け!5秒後に左旋回。捕捉して攻撃する>>

 

その直後、俺の真横をそのレーザーが突き抜けていく。

気が付けば俺は追いつめられていた。

旋回性はこのSu-27と比べても互角以上、これでは埒があかないどころか下手をすれば落とされかねない。

 

<<チッ、まずい>>

 

そんな時、3番機のフォローに入っている隊長機からまた無線が飛んでくる。

 

<<おい4番機、常に位置と高度を変え続けろ。相手に隙を晒すな。暢気に水平飛行なんかしたら落とされると思え>>

<<クソ!こちら3番機!ミサイル被弾!右エンジンが止まった!油圧に異常!これ以上の戦闘は困難です!>>

<<4番機!俺が3番機についてる奴を追い払うまで持ちこたえろ!3番機は今すぐ離脱しろ!時間は稼いでやる!>>

<<それとコイツはミサイルが効かん。火器管制の異常で自動ロックオンが使えなくなった。手動でロックオンして誘導させてみたが、キツいジャミングのせいでミサイルの誘導もおかしい>>

<<了解>>

 

短く返事をすると同時に意識を戦闘に集中させる。

俺は後ろに付いて来ているコイツを今度は引きはがす為に、アフターバーナーを点火させて上昇、高度を稼ぐ。

次は急降下の速度を利用して振り切るつもりだ。

戦闘に集中していたせいで、気が付けば隊長と3番機からははぐれてしまっていたが、それでも俺は気にせず機体を飛ばし続けた。

隊長が3番機を守る為に戦っている以上、ここは自分で何とかするしか無かった。

 

ある程度上昇したところで一気に反転、重力を利用して加速しつつ急降下を行った。

相手のレーザーの射線から機体を上手く外しながら、高度を犠牲に速度を得ていく。

その後ろを飛ぶバケモノもまた、背後にピッタリと……いや、徐々に距離を詰めながら付いて来る。

恐らくは攻撃を連続で避けられている以上、次こそは確実に当てて仕留めたいとでも思っているのだろう。

 

敵の動向を気にしつつ、俺はある事をする為にタイミングを見計らっていた。

 

<<高度6000……5000……4000……3000……2500……今!>>

 

俺は機体に装備していたあらゆるミサイルを正面の山に向かって発射した。

機体から離れたそれらは音速を遥かに超える早さでまっすぐ進み山肌に突き刺さる。

次の瞬間、大爆発と共にもうもうと煙が立ちこめた。

 

俺は少しだけ機首を起こして少し浅めの角度を取り、フレアを撒きながら躊躇なくその煙の中に飛び込む。エンジンを絞ると同時にエアブレーキを立て急減速。

全力で機首を引き上げる。

燃料を消費し、重たいミサイルを全て切り離した機体は想像以上に軽く、巨大な鉄の塊であるはずの戦闘機がまるで木の葉の様だった。

そして操縦桿を倒して今度は機首を水平に戻した。

 

 

 

コブラ。

Su-27のような機体だからこそ出来るマニューバだった。

 

 

 

機体と操縦者に負荷をかける高速域からの急減速と強引な姿勢制御。

通常の飛行ではまずあり得ないGに押し潰されそうになりながら何とか敵を薄くぼやけた視界の中に捉える。

奴は俺が煙に飛び込みフレアを射出したその一瞬だけ俺を見失い、オーバーシュートしていた。

背後に付いた俺の機体に気が付いた敵は上へ逃げようとする。

 

一か八か、その瞬間に俺は迷わず機銃を撃った。

それは曳光弾の輝きと共に敵機の左主翼の付け根に吸い込まれ、そのガラス細工のボディを撃ち砕く。

翼をもがれた機体はバランスを失い錐揉み回転をしながら力なく落ちて行き、キルギスの荒れた大地へと突き刺さる。

 

 

 

 

 

バケモノが……落ちた。

 

 

 

 

 

<<……そうだ!隊長!>>

 

勝利の余韻に浸りかけていたところで、まだ隊長が敵機と交戦しているだろうという事を思い出し、その姿を探す。

だが、

 

 

 

応答、無し。

 

 

 

まさか!

俺は慌ててレーダーを睨みつけるがそこにはこの空域から飛び去って行く一機の不明機以外、何も映っていなかった。

その最悪な予想を裏付けるように、先に離脱した三番機から通信が入る。

 

<<レオノフ……隊長は……隊長は、俺を庇って落ちた。俺の機体と……敵のミサイルの間に、自分の機体を割り込ませて……>>

 

ノイズ混じりのその声は、震えていた。

 

<<…………>>

 

俺は何も言えなかった。

今まで俺は自分や仲間が死ぬ覚悟などとうにできていたつもりだった。

高校を卒業して、空軍に志願したそのときから。

だが、こんなに早くに訪れるとは思ってもみなかった。

あまりにも呆気ない死。

一瞬で人の命が奪われる戦場の恐怖。

その現実を今、目の前に突きつけられていた。

 

 

 

自身の肉体と機体を酷使した激しい戦闘の疲れと、僚機と隊長を同時に失った喪失感が波のように押し寄せてくる。

体から力が抜け、深く溜め息をついた。

 

 

 

<<……不明機の撤退を確認。帰投せよ>>

 

 

 

基地からの通信が、コックピットに空しく響いた。

 

 

 

 

 




戦闘描写には自信が無いですが何とか書き上げました。

今回はリアルの方で予定が立て込んでいた事と作者が書いては消してを繰り返していた事で更新が遅れてしまいました。



○ 描写不足だったのでその補足情報と裏設定



補足

1、主人公は無我夢中で戦っていて、なおかつ隊長機と3番機から離れた位置にいた上にレーダーにはEPCMの影響でノイズがかかっていたので当然知りませんが、主人公がザイを撃墜したタイミングと隊長が落ちたタイミングは数秒程度の誤差があるもののほぼ同時です。
ザイは3番機を守りながら戦っていた隊長機を撃墜し、その近くを飛んでいた撤退中の3番機に追撃を仕掛けようとしましたがその直後に主人公がザイを撃墜。
僚機の墜落によりザイは反転して撤退しました。
ザイが戦闘行動を停止して作戦空域を離脱したのでEPCMは元の微弱な状態へと戻りました。



裏設定と元ネタ紹介(またはストーリーにほぼ関わらない妄想の産物)

1、実は今回のロシア軍とザイの戦闘は地上から観光客によって撮影されていました。
タイトルは『06/09/2015 [Kyrgyzstan] Russian Air Force VS UFO』

さらにその映像が撮影された数分後、航空機を目当てに現地を訪れていた写真家が尾翼を損傷させて右エンジンから黒煙を吐きながら帰還して来たSu-27の写真を異なるアングルから複数回撮影しており、それが動画の信憑性を裏付ける一因になりました。
また、主人公は後日、「UFOを撃墜したパイロット」としてテレビのインタビューを受ける事になりますが、本編にはほぼ影響しません。
後日談としてZERO風にまとめて上げるかもしれませんが予定は未定です。

2、今回主人公が取った戦法は作者自身がACINFのTDMで取っている戦法を元ネタにしています。

作者(TDMレート1600手前)が取るTDMの行動

・相手が諦めるまでドッグファイトに付き合う。
その間は囮として回避に徹して味方に落としてもらう。

・上下運動を繰り返して上や下のポジションから味方を狙う敵を攻撃する。

・低空に逃げ込んでビルとかの建築物の間を高速スキマニア。
最後に適当なビルへMPBMを撃ち込んで目くらまししながら離脱(モルガン使用時&都市マップTDMのみ)。

・サイファーとピクシーの事を考えながらヘッドオン合戦。
合い言葉は<<撃て!臆病者!>>または<<カモォォォォォォン!>>
相手は死ぬ。(たまに俺も死ぬ)

3、隊長の最期は5の序盤ミッションのバートレット撃墜シーンを元ネタにしました。




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