二次創作紀行~とある魔術の禁書目録~   作:鮪瓜

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第10話

結果だけ言えば禁書目録(インデックス)は見事に完治した。背中の切り口はまるで何も無かったかのようで禁書目録自身は至って元気だ。レンはそんな禁書目録を上条に任して部屋に帰った。さすがに月詠に3人匿えと言うのは酷だろうというレンの配慮だった(月詠なら笑顔でOKと言ってくれるだろうが)。

そういうことでレンが家に帰ってきたのはもう時計の針が両方てっぺんに回った時だった。警備員(アンチスキル)に見つからずに帰るのはひと手間だった。

そんな訳で疲れたレンはすぐに熟睡、起きたら既に10時を回っていた。夏休み2日目、いきなり補習をさぼってしまったことを特に何も思わず眠気冷ましがてらコンビニにコーヒーでも買いにいくことにした。だが、コンビニへ行くとコーヒーは全て売り切れ、訊いてみると白髪の少年が買い占めていったらしい。

(なんだよ、コーヒー買い占めって…………カフェイン摂取しないと死んじまうのか?)

レンは軽く毒を吐きながら歩き出すレン。すっかりコーヒーの口になってしまったので少し遠くなるもののコンビニを目指すのであった。

 

 

金田学は忙しい。今は夏休みだから学校がない分楽だと思われるかもしれないが、夏休みが始まった所為で規則を無視し始めたりする学生が増える。その結果風紀委員(ジャッジメント)の仕事量が増えてより忙しくなる。それなら一体学がどう忙しいか具体的に説明しよう。

まずは見回り、路地裏などで羽目を外している武装無能力集団《スキルアウト》がいないか確認しなければいけない。風紀委員の任務は見つけ次第注意するくらいでいいのだが、そこはやはり武装無能力集団しかも最近は幻想御手(レベルアッパー)がある所為ですぐに暴力沙汰になる。そして学はそれを鎮圧する為に能力を使う。結果、固法に見つかって始末書の束を書かされる。

その上、先ほど言ったように幻想御手が出回っており、その所為で暴力沙汰が増え、副作用で倒れる人間が急増している。

幻想御手に見回りに鎮圧に始末書、最後のは学が悪い気がしないでもないが、とにかく学は忙しかった。そして今日は新たに幻想御手の摘発という任務が加えられ、学は第十学区まで来ていた。一番治安が悪いこの場所には武装無能力集団が大勢集まっている、学は大能力者(レベル4)、その強さを買われここ第十学区に駆り出された(白井でも良かったのだが、学があんなところへ少女1人で行かせられないと言った)。

そんな訳で学は今、幻想御手を転売しようとしている武装無能力集団の前に立っている。無論、その無能力者(レベル0)たちは幻想御手を使用して何だかの能力を得いている。しかも人数は3人、さすがの大能力者でも注意しなければいけない。

「風紀委員だ!」

「あぁ?なんだてめぇ?」

「ちょうどいい、こいつで試そうぜ」

「お、ナイスアイデア~」

学は武装無能力集団の台詞があまりにも予想通り過ぎて予知能力(ファービジョン)に目覚めたのかと思った。

「とりあえず、拘束させてもらうぞ」

「あぁ?」

こいつらはまともに喋れないのかと思いながら演算を開始する。

学の能力は電撃装甲(ボルテッカー)電撃使い(エレクトロマスター)の特殊形態で普通の電撃使いが外に電撃を放つのに対して電撃装甲は体内に電撃を流す。それにより筋肉は活性化、電気信号の伝達も早くなり身体能力を格段にアップさせる。

演算を瞬時に終わらせた学は高速なスピードで男の溝うちを殴りつけた。元からある学の腕力に加えてスピードの載った拳、男はうめき声をあげてその場に倒れた。

「な!?てmがぁ!」

「遅いよ、遅い。遅すぎる」

人蹴りでもう一人の男を気絶させた学はあと一人を拘束する為に正面を向いたとともに視界がグンと下がった。何事かと思えば道路がまるで液体の様になり学の足を飲み込んでいた。

「くっ!」

「は、自慢のスピードもこれじゃあ形無しだな」

「形無しなんて言葉、よく知ってる、な!」

全く焦ることなく、冗談を言う学。男はその余裕綽々の態度に苛立ち、その手で学を殴ろうとする。彼の能力はコンクリートを柔らかくするだけの能力、しかも学の全身を飲み込めない。

学は太もも辺りで止まった時点でそれに気づいて男が殴りかかる寸前に自身の周りに電気を流した。

「がっ!?」

「体内だけしか電撃を流せないと思ったか?残念、こうして鎧のように纏わせることも可能だよ」

学は気絶した男に無駄だと分かりつつも説明をし、そこから立ち去ろうとしたところ、動かないことに気が付いた。疑問に思い、足元を見るとそこには足が無く、いつもよりコンクリートが近くにあるように感じた。いや、感じたのではなく、実際に近いのだ。

「あ…………やっべ」

男の能力によりコンクリートに足を突っ込んでいることを思い出した学はビルとビルの間から見える空を仰ぎ見て呟いた。

 

 

佐天涙子は迷っていた。最近巷で有名な幻想御手(レベルアッパー)を使うべきか、使わないべきか。昨日、佐天の友人の白井黒子は幻想御手を持っている場合は直ちに没収すると言っていた。これはいけないもの、佐天もそれは重々承知している。だが、頭で分かっていても行動には出せない。憧れていた能力者への糸口をそう軽々しく手放すことは出来ない。

白井と同じ風紀委員の金田学はこれを要らないと言った。それはきっと大能力者だからだと佐天は考えている。その学の友人の白神レンは能力を要らないと言った。佐天はこれを諦めだと思っている。

佐天涙子はまだ諦められない。自分にはまだ実は能力が眠っているのではないか、遅咲きなだけではないだろうか、そう考える。

幻想御手を使えば能力者になれる、夢が叶う。だが、もしそれをしてしまえば風紀委員の友人に迷惑をかけてしまう。

佐天のその思いが手を止めている。いや、佐天がそう思っているだけで実際は違う。

 

ただ、怖いのだ。

 

これを使って友人に失望されるのではないかと。

これを使ったら何か罰が待っているのではないかと。

そして、これを使っても能力に目覚めないのではないかと。

(はぁ……………………)

佐天はしばらく周りを気にせず歩いていた所為でいつの間にかあまり見知らぬ場所を歩いていた。少し人通りの少ない場所、武装無能力集団にでも鉢合わせしてしまったら最悪だ。

佐天は道を引き返そうと回れ右して歩き出そうとした。だが

「は、話が違うじゃないか!」

そんな叫び声が聞こえて足止めた、止めてしまった。引き返してそっと曲がり角を覗くと三人の不良と学生が一人いた。様子を見ているとどうやら幻想御手絡みらしい。

「十万で売ってくれるって言ったじゃないか!」

「たった今値段が上がったんだよ」

男は蹲り、不良たちに批難を浴びせる。だが、不良の一人に蹴られ、その場に倒れた。

佐天はそれを見て、まず風紀委員か警備員(アンチスキル)を呼ぼうと携帯を出す。だが、運悪く充電切れ、もう一度現場を見た。

男が幻想御手欲しさに不良たちに売ってくれと嘆願した。男の自業自得だ。佐天がわざわざ首を突っ込む必要はない。どうせ、すぐに風紀委員が来て彼も助かる筈だ。

男は不良に殴られる、蹴られる。だが、佐天には関係はない。

関係ない、筈なのに………………。

「止めませんか?」

佐天はいつの間にか男たちの前に出ていた。

「その人けがしてるし……」

拳を握りしめて必死に言葉を続ける。本当はすぐにこの場から逃げ出したい。だが、佐天は必死にその場に止まる。

警備員(アンチスキル)もすぐに来るんだかr」

ガン!!

いつの間にか男の一人が佐天の前にいた。そして佐天の横、後ろの壁を思いっきり蹴りつけ、おもむろに佐天の髪の毛を掴んだ。

「今なんつった?てめぇみてぇな非力なガキが生意気言ってんじゃねえぞ!」

「ひっ!」

 

「もらい物の力を自分の力だと勘違いしているあなたに彼女を笑う資格はありませんわ」

 

佐天が男に殴られかけたそのとき、横からそんな声が聞こえた。

「風紀委員ですの。暴行傷害の現行犯で拘束します」

そこにいたのは長い髪をツインテールにした少女、白井黒子。風紀委員の腕章を付けて彼女は立っていた。

 「なんだと思えばガキが一人増えただけじゃねえか」

男はそんなことを言いながら白井に近づいて白井の肩を掴もうとし、そして「なかなか上玉じゃねえか」と言う。ロリコンでしょうか、ロリコンでしょうね。白井はそのロリ男に肩を触られる前に男に触れて、空間移動(テレポート)を使った。

「がっ!」

男は地面に叩き付けられた上に鳩尾を踏みつけられて気絶した。

「まぁあ、あなた方のようなクズは抵抗してくれた方が思い切りブチのめせてよいですわね」

「へぇ、言ってくれるねえ。その高く伸びた鼻、へし折ってやるぜ!」

男(薄目)はそう言って近くにある鉄筋などを能力で持ち上げて白井へ投げつけた。だが、そんなもの空間移動にとっては無意味に近い、白井は男の顔を鞄で思いっきり殴った。

「へぇ、空間転移か。初めて見たぜ」

仲間二人が倒されたのにもかかわらず男は気に留める様子はない。もしかしたら男からすれば彼らは仲間ではなく、部下か捨て駒だったのかもしれない。

「俺は色んな事やってお前らに追いかけられることがあったからな。てめぇら風紀委員を一遍ギタギタにしたかったんだぜ!」

男は白井に襲い掛かる。白井はあくまで冷静に男の背後に空間転移をし、同じように気絶させようとした。だが

「!?」

白井の目の前には本来あるはずの男の背中も何もなかった。

「白井さん、後ろ!」

「!」

佐天の声で後を向いた瞬間、白井は脇腹に衝撃が走った。

「がっ!」

そこでようやく白井は男に蹴られたことに気がついた。白井は地面に叩き付けられ、数回バウンドした。

「白井さん!」

「カカカカカ、いいねぇ」

男はナイフを出しながらまだ倒れている白井に近づく。

止めたいけど自分には何も出来ない。佐天は自分の無力を悔みながら目を閉じる。

「くっ…………」

白井は何とか立ち上がろうとするが、体が言うことを聞かない。

振り上げられるナイフ

気持ちが悪い男の笑み

このまま振り下ろされれば白井は最悪死ぬだろう。だが、そうはならなかった。

最初に聞こえたのは風を切る音、そして次に金属音。

白井は驚いていた。何故ならいきなり横から何かが飛んできて男の手に当たり、ナイフを弾き飛ばしたのだ。男は手を押さえて何か――コーヒー缶が飛んできた方向を睨んだ。そこには不敵な笑みを浮かべながら買い物袋をぶら下げて立っている少年――白神レンがいた。

 

「おいおい、女子中学生を苛める高校生はさすがにやばいだろ」

 




1ヵ月ぶりの更新、maguro328です。
まだ消えんよ、てか消える気はないです。せめてでも3巻までは絶対にやりたい。
頑張ります。
アドバイス、評価、感想お待ちしております。
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