奇抜な服装のお姉ちゃん――神裂火織との邂逅から遡りその日の昼、忙しない学園都市では色々なことがあっただろうけど、一番の出来事は
しかしどれだけどこかの誰かが忙しかろうと気にする必要はない。幻想御手の正体が共感覚性により聴覚から五感全てに働きかけ脳波をある一定にすることでネットワークを構築し、処理能力を上げる、うんたらこうたらとか、その犯人が一度も登場していない木山春生なる人物だったり、御坂美琴が大いに活躍したとか、語れば本が1冊以上出来上がる話があるのだが、些細なことだ。
よくよく思い出してほしい。今回、レンが関わったら絶対と言っていいほど彼女がいた。学が事件を追えばかなりの確率で彼女と会った。
佐天涙子、初春飾利の友達で、都市伝説が大好きで、
無能力者が能力を求め、そこに付け込まれたことにより起きた幻想御手事件、ある意味、佐天とその周りの人物の出来事はこの事件の一例だとも言えなくもない。
とそれらしいことを長ったらしく語ってみたものの、レンが神裂と会うまでの、この日の出来事で語るのは学園都市の危機に関わることとかそんな大それたものではない。
なんて、それらしく語ってみたものの、今回の話はもっと単純なのだ。
ただの友情物語である。
その日の昼、レンは学に用事(誰からでも、レンからでもどうでもいいこと)があったので風紀委員の一一七支部に訪れた。
しかし、学は出払っており不在、帰っても良かったのだが、どうせ帰っても暇なレン(友人少、恋人無)は少しお邪魔することにした。
「暇潰しに来たのでしたら、帰ってくださりませんか?」
お邪魔することにした瞬間、白井からきつい言葉をかけられた。しかしレンは何食わぬ顔でソファに座り初春に出してもらったお茶を飲む。
「別にいいじゃねえか。それで、幻想御手事件は解決したのか?」
「いえ、ですが……」
レンは白井の性格からしてここは部外者だから教えられないと言われると思っていたのだが、白井は当たり前のように教えてくれた。それが多少信頼されているのか、後で学に訊くので話しても話さなくても変わらないと思われたのか、定かではないが、教えてもらえるのなら、素直に教えてもらうことにした。
「……共感覚性か、それじゃあ、解明まであと一歩ってところか」
「そうですね」
答えながら初春は両手を胸の前でグーを作る。どうやら、解決に向けて気合を入れ直しているらしい。白井も、何故か御坂も表情には出さないが、同じように気合は入っているのだろう。
3人とも本当に仲がいいようで…………そう、
「そういえば、佐天はどうした?」
「え? えっと、最近会えてないんです。電話にも出なくて……」
気合を入れた初春だったが、レンの何気ない質問でしょぼくれてしまった。現在の初春に対して佐天というワードは禁止らしい。御坂も白井もそれを知っていたのか、言ったレンを睨んだ。でもレンは特にそれを気にする様子もなく、平然としていた。
「電話にでないねぇ……まぁ、あいつだっていつもお前らといるわけではないしそういう日もあるよな」
「そう、ですね……」
「そうそう。さて、幻想御手ももう手伝えそうなことないし、お暇しますか」
「あら、それでは早々にお帰りください」
何か、白井の風当たりが本当に強い気がするレン。しかし、レンは別に白井に気に入られようとは思っていないのでこれまた特に気にする様子もなく、笑っている。
「帰る、帰るよ、帰りまーすよ。でも、その前に1つだけ先輩として君君らに助言をあげよう」
「助言?」
胡散臭いと言わんばかりの顔で御坂は言う。それは当然と言えば当然で、
これもまたレンは気にしない。そのまま言葉を紡ぐ。
「無類の都市伝説好きで、能力者を友達に持ち、無能力者である佐天涙子。お前らの中で誰よりも早く幻想御手のことを知った彼女が幻想御手に興味がないわけがないだろ?」
そう言ったレンの顔にはもう笑みはなかった。3人はレンの表情に少し唖然とする。レンはそれもまた気にしない。
「あいつも何回か、それらしいシグナルを出してたんだけどなぁ、お前らは気づいてなかったか? あいつは幻想御手の話をしたとき、使いたいと遠まわしにでも言ってなかったか? ほら、みなさんはそんなものが本当にあったら使いますか、とか」
全員はそこで思い当たることがあったのか、はっとした顔をした。
「初春、お前はもしかしてうすうす気づいていたんじゃないのか、佐天が幻想御手を持っていることを。御坂、超能力者として
まるで見てきたかのように言葉を続けるレン。そこに躊躇も遠慮もなく、ただ事実を告げているだけに感じる。
「別に、お前らが友達思いじゃないとか、そんなことは言っていない。むしろ、友達を良く思っているからそうなってしまったんだろうな。こういう深入りする話はいくら友達でもしにくいし。でも、気づかないふりはするなよ。心配だったらちゃんと聞け。迷惑かけろ、かけられろ。本音で話してみろ。お前らは友達なんだろ?」
そこまで言うとレンは笑顔になり「ま、年を取ったら要らぬお世話をしたくなるもんだよ。聞き流してくれても結構、結構、結構毛だらけ、猫灰だらけ」と言ってスキップで部屋を出て行った。
『…………』
残された少女たちはお通夜のようなムード、それもそうだろう、大げさに言えば友達が犯罪行為に手を染めたと言える上にそれに気づけなかったのだ。
「……佐天さん、一度私に嬉しそうにミュージックプレイヤーを見せたんです。幻想御手が音楽だって分かったとき、あれは幻想御手なんじゃないかって思ってたんですけど……」
「そうですか。それならば、初春に佐天さんを任せてもよろしいでしょうか?」
「え? 黒子、それなら私たちも」
「佐天さんが幻想御手を使っていたら、他の方と同様に倒れてしまうかもしれません。もしかしたら、もう倒れている可能性もありますから、早急に事件の方も解決しなければなりません」
白井の言っていることは正しい。佐天がもし、もう既に被害者になってしまっているなら、今すぐにでも事件を解決するべきだろう。それは御坂も分かったようでそれ以上は何も言わかなかった。
「初春、あなたに任せてもよろしいでしょうか?」
「……はい!」
決意をした初春、その裏、具体的には扉の向こう側では帰ったはずのレンと今さっき帰ってきた学がいた。
「で、結局お前はどこまで知ってるんだ?」
「さぁ? 全部が全部、俺の頭での
「そっか。まぁ、今回は俺に任しておけ。するっと解決して英雄譚を聞かせてやるよ」
「期待してるよ」
とは言ったものの、一体何の根拠があって言っているのか、レンは分からなかったりする。今回の事件、超能力者と大能力者がいる。そして学から聞いた話によると
そんなメンバーがいる中で学が活躍できるかと訊かれれば、レンはノーと答える、即答、即決だ。
幻想御手事件、その結末での学の英雄譚に(笑)が付かないことを願いつつも、付いたら付いたでどう弄んでやろうかと考えるレンだった。
特に変わりのない原作シーンはできるだけカットしていきます。
次でレベルアッパー終わるかな?